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第72話 ハロウィンパーティー 1日目 その1


今日はハロウィンパーティー当日。

1日目は学生と学校関係者や家族などが参加できる日である。2日目は一般開放日のため、来年度入学したい子が見学に来たり、種族関係なく参加出来るため、明日はとても賑わうそうだ。

そして、その夜には生徒たち限定のプロムがあり、みんなはそれを楽しみにしているのである。


私はというと、ハロパの準備に追われていたため、ユアさんと話した際にプロムがある事を思い出した。

その時までプロムのことは頭からすっぽりと抜けており、未だに準備をしていないだなんてことは言えず、ドレスを楽しみにしているわと言われてしまい、とても焦っている。

当初はヨルくんと行く約束をしていたが、先日別れたため一緒に行くのはおかしいし、ユアさんにはチアキくんがいる。イブキくんたちはアイドルのことで忙しいため話題にすら上がらず、今更聞いたところでプロムは明日開催されるため、諦めモードであった。


一旦プロムのことは置いておいて、まずは今日のライブを成功させることに集中しないといけない。

外ではファン役の子たちがライブの宣伝をするためにビラ配りをしていたり、教室に行くとメンバーのグッズ販売が行われている。

私はプロデューサーだからと全員のグッズをサンプルとして貰えたので、箱推しの人のようにストラップをカバンに付けている。

ペンライトはメンバーカラーの各5本が販売されているので、全色持つのは私ぐらいだろうが、気にせずにライブ中に振る予定だ。


これから始まるリハが終わり次第、メンバーみんなも少しの時間ビラ配りをし、お客さんを増やすつもりだ。

今日は13時と15時にライブを行う予定で、そのリハーサルをするために体育館へと私たちは移動した。


当日までみんなで1度も練習をしておらず、ミズキくんは本当に来てくれるのだろうかと心配していたが、リハを始める直前に彼はやってきた。


「おはよ」


「ミズキくん!本当に来てくれたんだね!」


「僕のことをなめてる?」


「いいえ」


「今からリハやるんでしょ?行かないと」


「行ってらっしゃい」


彼の背中を見届ける。すると、ワンテンポ遅れてヨルくんも入ってきた。


「お疲れ〜!」


「ヨルくん、何でここに?」


「それはね、僕の後輩を見に来たんだよ」


みんなはマイクテストをし、立ち位置にスタンバイをし、リハーサルは始まった。


ステージでライトに照らされて歌っている彼らを見ていたら本物のアイドルのように見えた。


曲が終わるとみんなはなんだか不安げな顔でおりわ、シュウヤくんに「どうだった?」と尋ねられた。


「凄くよかったと思ったんだけど、みんな的には納得いっていなさそうだよね」


みんなは同時に頷いた。すると、横にいたヨルくんが口を開いた。


「個々のパフォーマンスはよかったけど、全体としてのバランスがまだ足りない感じかな。

もう少しメンバー内で曲中にアイコンタクトとかコミュニケーションを取った方がいいかもしれないね」


ヨルくんの正直な感想に5人とも悔しそうな顔を浮かべていた。


「その通りだな。的確なアドバイスに感謝する」


シュウヤくんは悔しそうな顔でもいつも通りの口調だった。


「もう1回やろうか」


先程の助言を受けてからのリハは1回目よりも更に魅力が出ており、途中で近くで踊っている時は顔を見合せたりしていて、メンバーの仲が良さが垣間見えたり、楽しそうにパフォーマンスをしているように見えた。


「さっきよりも凄く良くなっているよ!!」


私は興奮気味に語ってしまったが、みんなも先程よりも完成度が上がったことを実感しているような表情であった。


「俺たちもそう思った。さっきよりも団結力みたいなものが出来たようなそんな感じがしたな」


シュウヤくんがそう話すと、他の4人も頷いていた。


「ヨルさんって伊達にアイドルやってないんだね」


ミズキくんは普段の口調より柔らかく話していた。


「伊達にって、ミズキくんは俺のダンスの後輩なんだから、もっと先輩を敬うべきだと思うけど」


ヨルくんはミズキくんの言葉の意味を理解しているのか、嬉しそうに彼を見ていた。


「何をニヤついているの?ちょっと気持ち悪いんだけど」


「ひどいな〜、こんな綺麗な顔してるのに気持ちが悪いだなんて初めて言われたよ」


流石にショックを受けていそうだった。ミズキくんも言い過ぎたと思ったのか、ヨルくんから顔を背けいていた。私はこの流れを断ち切ろうとこの場を仕切る。


「ーーとりあえず、お遊びはここまでにして。

みんな、さっきの調子で今日のパフォーマンス出来るように頑張ろう!!」


ここで一旦リハーサルは終わり、みんなで控え室に戻ろうとすると、イブキくんに「2人っきりで話したいことがある」と誘われて、誰もいない校舎裏へと向かった。

何だか見た覚えのある展開であったが、とりあえずイブキくんの背中を追いかけて、向かい合う形になる。

しばらく見つめ合い謎に緊張感が高まる中、私は彼の言葉を待っていた。


「前からヒマリに言いたいことがあって、ついてきてもらったんだ」


ようやく口が開かれたと思いきや、意味深な言葉に動揺し鼓動は早くなる。

言いたいこととは一体何なのだろうと気になり口にしようと思った時、稲妻が走ったようにこの光景を思い出した。

それは確か入学式の日に見た、イブキくんに人間だとバレる日ではなかっただろうか。この重い空気感はそうとしか思えない。

ここでバレるのはタイミングとしては全く良くないので、どうにかして彼の会話を逸らさないと。


「そうなんだ!そういえばさ、さっきのリハよかったよね」


唐突な流れすぎるが、時間稼ぎである。


「うん。僕も良いパフォーマンスだったと思った。

それで、ヒマリに伝えたいことがさ……」


「ちょっと待って、心の準備させて」


「わかった」


彼は真剣な顔で話そうだったので、何とか止めたがここから離れるしか方法がない。


「一旦、飲み物買いに休憩スペース行ってもいい?」


「それはダメ。すぐに終わるから」


彼は私の手首を掴み、どこにも行かせないようにさせられた。これは意を決して話を聞くしかないと思い、深呼吸をし、彼の顔を再び見る。


「僕がヒマリに言いたいことは……ハロウィンパーティーのプロムに僕のパートナーとして参加してくれないかな?」


「プロムのパートナー?」


想像していた内容と違い、腑抜けた声で聞き返した。


「そう。本当はもっと早く誘うべきだと思っていたんだけど、ヒマリも僕も忙しかったし、1人になる時間がなくてギリギリになってしまったんだ。

ヒマリには行く相手がいるかもしれないけど、もしいなければ僕と一緒に行ってくれませんか?」


ヨルくんとはパートナーを解消していたから、誰にも誘われていない。これは行くべきなんだろうけど、2人でみんなのいるパーティーに行くのはなんだか小っ恥ずかしいと思ってしまう。でも、断ってしまうのも、彼に失礼だし行きたい気持ちもあるため、悩ましい。


「……」


「行く相手がいるなら断ってくれても大丈夫」


「いないよ!ただパーティー用のドレスもないし、プロムの準備何にも出来てないの。だから、そんな私と行ってもいいのかなって……」


「ヒマリと行きたいんだ」


まっすぐに紫色の瞳で見つめられて、私は思わず頷いていた。


「ありがとう。プロムは18時から始まるから17時に寮に迎えに行くよ」


「わかった」


「控え室に戻ろうか」


ふわふわした気分のまま、控え室へと戻った。

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