依頼執行
士郎からの依頼――。それは黄の《守り神》である女性・ヴィオラが生存時にいた恋人を探してほしい、という頼み。
しかしそれには1つの疑問を抱く。
「もしかしなくても、ヴィオラさんの恋人も成仏できていない幽霊…、とかなんですか?」
そう聞いた愛羅にんー?と愛想よく首をかしげ、少しの間をおいてから言う。
「幽霊…だけど神獣、なのよね。…人じゃなく、獣」
「神獣って…!」
愛羅は驚いて脚がすくみそうになった。神獣とは古くから伝わる獣の一種であり現在では存在しない生き物だ。見た目は狼と変らないような白い毛並みをもつ犬神であり、黄金のような金の瞳をしている。名前からしても、遥か昔神に仕えていたという伝えから、その名称で広がっていった。
「あの時は神獣だって気がつかなくてー…、彼の本来の姿を見たときは驚きだけじゃ済まされなかったわ…。それでも好きなった以上は人とか獣とか、どうでもよくなってた。それくらい、彼を愛してた。他の誰かに批判されていても…」
苦笑顔で話すヴィオラに愛羅は戸惑う。だってそれは今の時代でも考えられないことだった。人と獣-人外-が寄り添って生きることに。そんな愛羅に気づいてか、ヴィオラは少し戸惑って謝罪する。
「あ…、ごめんね愛羅ちゃん。ちょっと想定外すぎたよね?」
「いえ…違うんです。その、なんて言ったらいいのか、分からなくて…」
「うんうん。普通驚くよ、こんな話?」
そう言っては愛羅の頭を一撫でする。
「それでもこうして引き受けてくれた愛羅ちゃん達には、とっても感謝してるの。私この通り自縛霊だから、この石像一辺からは離れられないの」
「ヴィオラさん…」
ありがとう、と礼を言うヴィオラに愛羅は目頭が熱くなった。
しかし次にはまるで関係ないかのように、ヴィオラは呼びかける。
「あとねー。士郎とも話してたんだけど、私に妹がいたら、こんな感じなのかなぁ?」
「え?」
「あなたの従者にも言われたんだけど、顔?というか、雰囲気なのかな?どこかよく似てる、って。私たち、どこかで血を分けた姉妹なのかな?」
うふふ、と笑うヴィオラに愛羅は驚きを隠せなかった。
*
「『神からのお告げを民に届ける使者。絶大なる信頼と美貌を得た《女神》、と称された少女。戦時にはその類稀な能力を最大限に生かし、国への被害も最小限に生かした。のちに黄の《守り神》と謳われた彼女は、病に侵され17という若さでこの世を去った。』…ねぇ」
「―笑っちゃうでしょう?神の声が聞こえる、以外はほとんどは作り話よ、それ」
彼女の人生が綴られた一部に、セラは自分に読み聞かせながらつらつらと読む。遥か昔とはいえ、異例な力をもつ人物も存在していたもんだな、と。しかしそんなセラの思いもヴィオラの言葉にかき消される。
咄嗟に戦闘体勢にはいるセラに、いやいやいや!、とヴィオラは焦り異をこめる。
「大丈夫だよ、セラ君。もうあんなことはしないから。最初はほら!…ちょっと興奮してただけというか…なんというか?」
えーと、あーと、と焦るヴィオラにセラは言う。
「それなら『君』呼びはやめて貰えませんか?ヴィオラさん」
「んー!!なら私もさん付けしなくていいよ?死んだ時は本当に17だし、多分私より年上でしょう、セラ?」
そうセラに笑顔を振りまくヴィオラだった。
「それで?なにか収穫はあったかい愛羅」
「…何も」
日と場所は変わり、ここは再び黄の城。士郎が応接間に愛羅たちを通してから、頼んだ依頼の進み具合を聞く。どこか楽しそうな表情をしながらメイド達に運んできてもらった茶菓子に手をのばす士郎。
黄の城に滞在している間、黄の、まだ『黄』と称される前までの時代から今までの歴史が綴られた幾本に何度も手をかけてきたが、収穫はまるでゼロだった。そんな従兄には目を向けられず、貰った紅茶に視線を落とす愛羅。それから口を開く。
「ねぇ、従兄さん。もし獣に身を委ねて、それが当たり前のように叶わない駄目なことでも、彼女はその神獣を…恋人の存在を、皆に認めさせたかったのかな…」
そんな愛羅からの発言に士郎は少し瞳を見開く。
「そうだねぇ…。人種が違えど、彼女たちは愛し合っていた。“普通”だったら、他がなんと言おうと気にしないのが多いだろうけど、彼女たちの場合は違った。逆に、自分たちの存在を認めて欲しかった。そう言いたいのかぁ」
マカロンを手に取った士郎は指でころころと回し遊びながら言う。そんな士郎に神奈の『食べ物で遊ぶんじゃない』というオーラが流れ込んでくる。
「うん…少なくとも私にはそう聞こえた。認めてほしくて、だから、」
「それは、どうして?」
「え…?」
「認めて、どうなるの愛羅?」
これまで以上に見ない士郎の真剣な眼差しに愛羅はどきり、とする。
「今も昔も変わらない。『愛の形は人それぞれ』と言うけど、彼女たちの場合は人と獣だ。本来なら到底ありえない事。人間同士のように愛しあう姿を見た・想像した、当時の人間達からそれを見た場合どうなると思う?―彼女が煙たがられ、人間たちとの縁を決裂されるだけだ。」
当時、ヴィオラが生きていた遥か昔の時代では、獣の類は今のように家畜類で養われることが多かった。神獣も、野蛮でなく優しい心の持ち主が多かった為戦争時の道具として以外に、類稀な美貌と共に家族の一員として民に飼われることも少なくなかった。
そんな神獣という獣が人と結ばれるとなれば、流石に話は違ってくるのだろうか。そんな道理に愛羅は少しの疑問を抱く。
「従兄さん。私がまだ見ていない資料とか…ある?」
おずおずと尋ねる愛羅に士郎は口の端を上げて答える。
「あるよ?付いておいで、いいもの見せてあげる」
そう言った士郎はソファから腰を浮かしては、愛羅を誘う。
* * *
時代は戦争真っ只中。平和なんて時はほんの少しだ。少し貧乏で生活が苦しくても、それでもヴィオラはこの国が好きで、尚の事この国の為に役立つために自分に託された使命に励んでいた。
まだ16だった少女に託された『使命』は神の声を聞き、それを状況に応じて民の皆に伝えること。言わば神の使者とでも言おうか。それがヴィオラの務めだ。
しかし神だなんて存在するはず無い、馬鹿な事をいうな、と周りからはあたり風が酷い。それもそうだ、と彼女自身も一番分かっているつもりだ。しかし聞こえてくるのだ、しょうがないじゃないか、とヤケになる時もある。そんな民が多い中、一際信じてくれる民がいた。彼女と同い年の少女・ミカエラ。
「まーた、『お告げ』が聞こえてくるのヴィオラ?おじさん達まーたぐちぐち言ってたよーもー。面倒くさいったらありゃしない」
元気に飛び跳ねた茶色い短髪が揺れる。
「あはは…。でも、聞こえてくるのよ天-そら-から…。もう時季に、また戦が始まる…。そう神様はお告げに」
「戦ねー…。今は何もないけど、またこれから起こるってこと?」
「多分…」
「『多分』て!あんたの予知は良く当たるんだから!!自信持ってよヴィオラ!!」
「うん、ありがとうミカエラ」
そうヴィオラが告げた数日後、戦は起こった。しかし幸い、今までの中ではすぐに収まるような戦であり、それを予知したヴィオラにも高い評価が下された。手のひら返しねー、なんて皮肉たっぷりに言うミカエラにこら、と軽く怒鳴りつつもヴィオラ自信、心が晴れ晴れしていた。
自分の能力で皆の役に立てた、のだと。
*
あくる日。ヴィオラは薪木の材料を探しては森の中へと迷い込む。その時だった。うぅ~、と呻き声のような声が聞こえた。感じからして獣だろうか。気になったヴィオラは声のするほうへと近づいていった。
「…ッ!!?」
すればどうだろうか、牛や豚といった見慣れた家畜の類ではなく、見ることも珍しい神獣がそこには倒れ込んでいた。しかし神獣といえど大抵が優しい性格の者の中にも、時に荒い性格で人に害をなす神獣もいるのだと聞く。
でも今目の前にいる神獣は獣で、この世の生物で、生きている他変わりない。そんな神獣が傷ついているのを見て、ヴィオラは放ってはおけなかった。
どうしようかと考えた後、自身が着ていた服の腕の部分を破り切り、常備していた薬草を塗り込んでは怪我をしていた神獣の左腕に巻きつける。白い毛並みを撫で、黄金色の瞳を覗き込む。
「これで大丈夫かな…。さぁ、お前ももうお行き。こんな所、誰かに見られたらお前は戦の道具として使われる。そうなる前にお逃げ」
ね?と言い聞かせるヴィオラの願いが聞き届いたのか、神獣は静に立ち上がりヴィオラの目の前から姿を消したのだった。
いい事をした後はなんだか清々しい。そう思って再び目的である薪木を探しに腰を浮かしたヴィオラだった。
翌日。朝の光を浴びながら目を覚ましたヴィオラはある音に気が付いては上体を起こす。自分の家の戸を何度も繰り返しとんとん、と叩く音に。時刻的にはまだ早いだろうに、こんな朝早くから誰だ?とヴィオラは首をかしげた。
「はーい、今出まーす!」
客を待たせてはまずいと思い、ヴィオラは寝巻きの上からかるく羽織を着て外へとでた。
「はい、どちら…様…?」
出てみれば、綺麗な顔立ちをしていた青年がそこには立っていた。髪は白銀のような鎖骨まで伸びた長髪で、少し垂れ目の瞳は輝かしい黄金色。とても見惚れるほどの美しさであった。しかしその目の前に立っていた青年にヴィオラは見覚えが無かった。ヴィオラが住んでいる場所は村から少し離れにあり、川が流れているだけの何の変哲ない場所にすぎない。用足しに度々村へは脚を運び顔を出すが、あまりに見ない顔なのだ。村に住んでいる住人だろうか…?それとも新しく入ってきた者だろうか?そう考えを巡らせながらも目の前の青年に視線を移す。衣服は全体的に白く長い、ひらひらとした衣。どこかの本で読んだ記憶を思い出してヴィオラは気づく。
――もしかして異国の人?
謎めいた雰囲気を持つ彼を見て、正直それしか検討が付かなかった。そしたら衣服の違いもはっきりする。
「え、と…?」
「会いたかった…僕の“女神”…」
「へっ?」
そう言った青年はヴィオラの有無を言わず突然抱きついてきた。そんな彼にヴィオラはこの状況が理解せずにただ、頭を真っ白にパンクさせるだけしか出来なかった。
「…ちょ、ちょ、ちょっと待って!!いきなり何!?あなたは誰!!?」
突然の事過ぎてパニックを起こすヴィオラは渾身の力で彼の胸を押すと、彼は少し悲しそうに目を細め、それからあぁ!と理解したように口を開く。
「これ…、なんだか分かる?」
「?」
そう彼が見せつけてきた左手には白い包帯のようなものが巻かれてあった。
―いや、包帯ではない。彼女が昨日着ていた服の一部だったものだ。それを確証づけるかのように薬の匂いも漂ってくる。
「…あなたまさか、昨日の神獣…!?」
「うん、そうだよ」
そう言った彼は笑顔で、次には顔を傾けヴィオラの顎をすくいとっては口づけを落とした。
またもや突然のことに動揺しまくりのヴィオラは顔を赤くさせ、わなわなと震えるだけしか出来なかった。
「これは助けてくれたお礼…。感謝しているよ僕の女神」
「ま…、待って!!あなた、本当に…!?」
「うん」
「人間の姿にもなれるの!?」
「うん」
「…世界不思議発見…」
「それじゃぁ…。またね、僕の女神」
「待って!!!本当に待って!! 聞きたい事が山程あるんだけど…いい?」
そう訪ねるヴィオラに神魔の青年は嬉しそうに頬を染めこくり、とうなづいた。
*
彼ら神獣たちは本来獣の姿だが、大人と認められる10を迎えた時、人間でいえば20の時、自然と人間の姿にもなれるのだという。生活の仕方もヴィオラたち人間とさほど変わりないと言う。そんな彼にヴィオラは感嘆する。なぜその様な生活を送っていながら人間たちと交わろうとしないのか。それは彼の言葉で一刀両断される。
「僕らは人間が…嫌いなんだ」
神獣という物珍しい生物だからこそ、手を出してくる人は後を耐えないという。牛や豚と同じく家畜にするか、それこそこの戦時に捕まえては道具に扱うという考えをもつ人間もでてきたほどだ。そんな考えの人間たちに神獣たちは大層嫌がっているそうだ。
「でも、女神は違う…。僕を助けてくれて、怪我の手当てまでしてくれた」
「ねぇ、その『女神』はいい加減やめてくれないかな?恥ずかしいよ」
「じゃぁなんて…?」
「私はヴィオラ=アイリーン。ヴィオラでもアイリーンでも好きなように呼んでいいよ」
「ア……、アイリ…?」
「…真っ先に愛称で呼ぶなんてあなたも変わっているのね。そんなに呼びにくいかな?」
苦笑顔で見つめると少ししてから彼は微笑む。そんな彼に少しどきりとするヴィオラ。
「な、名前と言ったらあなたは何て言うの…?」
「僕?僕は…バレリ。宜しくね、アイリ…」
それからヴィオラの『お告げ』がまたもや戦争の始まりへとなるように火ぶたが切られた。
今度の戦では騎兵に使う馬の他に少数ではあったが、神獣までもが取り入られる程までになった。そしてバレリを神獣と知り、群がってくる民にヴィオラはどうしても引き渡したくない、渡すものか、と最後まで粘り続けた。それ程までに、彼を愛し、手放せないようになっていた。そんな2人に民からの怒りは絶えず、いつの間にか彼女の周りには味方がいなくなっていた。
人種が違うだけで、なぜそこまで批判の声があがるのか…。ヴィオラには分からなかった。
そして戦争は多くの犠牲をだし、民も国もボロボロの状態で生きていくのがやっとなまでに墜ちていった。
しかし何を思ってだろうか、民はヴィオラに罪をなすり付けるかのようになった。神獣を差し出さなかった、お前のせいだ、と民からの声にヴィオラはただたじろぐことしかできなかった。
悪魔と内通している、《女神》なんてものは所詮お飾りに過ぎなかった、など言う拒絶に彼女はどんどん闇へと堕ちていく様になり、そして遂には彼女を《魔女》と罵る様になった。
そんな中。ヴィオラは友人のミカエラに呼ばれては彼女が放った言葉に驚愕する。
「仲介…?私が人と神獣との…?」
「そう…そうよヴィオラ。これは汚名返上でもあるわ。おじさん達が言うことには少し話が良すぎると思うけど…。ねぇ、行ってみないヴィオラ…?」
話は、重傷でありながらも戦から我が国を守ったのだと。そんな彼らを導いたとでもいえる少女には少しくらい話を聞いてやろうじゃないか、という話であり手始めにまずは神獣との間にできた奇妙な仲を取り繕うじゃないか!そういう流れであった。
少し、馬鹿げている。魔女呼ばわりした自分を何事も無かったかのように呼び出すなんて…。そこまで自意識過剰ではないが、今まで自分を避けていたのに恐ろしくはないのか?
しかしヴィオラは心の片隅どこかでそう思いながらも、人と獣が一緒に暮らしていけるような、そんな素敵な生活が遅れるなら少しくらい話を聞いてあげてもいいと思っていた。そして次には、何故かヴィオラは今まで着ていた質素なワンピースをミカエラに剥がされ、逆に綺麗な裾丈の長いワンピースにベール、花冠と、見るも華麗な、それこそ《女神》のような身なりへと変貌していった。
「え…?ミカエラ、これなに!?」
「んー?仲介立場ならそれなりの身なりを、と言われたもんだから。即興だからサイズ合わないと思うけど…よし、これなら大丈夫でしょう!似合ってるよ」
胸元の長い長いリボンを結び終えた後、自分をこれでもかと褒めちぎる友人にヴィオラは軽く焦る。しかし次には涙声を含む彼女の声が聞こえてきて咄嗟に視線を移す。
「ヴィオラ……本当に、本当によく似合って…」
「ミカエラ…?」
そういう友人からの瞳にはたっぷりと涙をふくんでいた。突然のことに慌てて、今にも泣き出してしまいそうな彼女を抱きしめては慰める。
「ヴィオラ…、ごめん」
「え…?」
「ごめんねぇ……」
そう涙声で言った彼女の言葉が、ヴィオラが最後に覚えていた言葉だった。
それから次には、私の意識は業火と共に森の中で消えた。
* * *
「そして。着飾れた彼女はどうなったと思う?民に騙され、あの森で焼かれてそのまま還らぬ人となった。神獣も同じように、ね」
「…ヴィオラさんは、最後まで彼を手放すことはしなかった。逆に彼を守ろうとして命を落としたというの…?」
「彼女の精神はそれほどまでに神獣…、バレリを愛していた。ただ、それだけのことだったって事かな。まぁ当時も現在も神の声が聞ける、なんて事自体が他の人から見れば奇怪な事だったろうしねぇ。《魔女》として最初から、彼女を消す他なかったんじゃないかな。それに彼女の『使命』も、当時国からみれば法的手続きを経ない私刑に近かった。それをも持ち上げて火刑にした。…なんとも凄い話じゃないか」
「……っ」
士郎に案内され、とある書庫に案内された愛羅。しかしそこは一度入った場所であった。まだ見ていないところがあるのか?と思った矢先、士郎に案内されるがまま付いていけば、隠し通路があった場所へと案内された。入れば今まで美麗な模様が施された壁紙から一転、煉瓦が敷き詰められた少し薄暗い部屋。人が2、3人ほどしか入れない様な狭いスペースであり、その部屋に管理されていた本を数冊とっては愛羅に手渡す。それこそが黄の《守り神》と謳われたヴィオラの嘘偽り無いない、真実が綴られた本であった。
しかし本で読むよりも、士郎から聞いた物語の方が茨のようなもので喉にきつく絡み付かれたみたいで、呼吸の仕方を忘れそうになる。
「“愛”っていうのは怖いものだね。いつくしみ合う気持ちだとか、相手を慕う情とか、時に憎しみの対立概念なんかにもみなされることにもなる」
「従兄、さん?」
急に語りだした従兄に愛羅は小首をかしげる。しかしそれと同時にか、段々とエスカレートしていきそうな会話に愛羅は冷や汗を憶える。そんな愛羅の考えも虚しく士郎は更に暴走する。
「例えば僕が愛羅を可愛がるのも、その一種だろ?」
「まぁ、そう言われてみればそうだけど…?」
「そうそう、今みたいに敬語がいつの間にか外れてきてる愛羅とか」
「!?従兄さん、それ関係あるの?」
「愛羅は僕の可愛い可愛い従妹だからねぇ。従兄妹だから1/16ほどかな?それほどしか同じ血が流れていなくても、僕の可愛い妹には変わらない。こんな狭い部屋で従兄妹とはいえ、密室ではないとはいえねぇ…」
「えっと、従兄さん…?」
つまり何を言いたいのかさっぱり分からないのだが、そう言おうとする前に士郎は口角を上へとあげる。
「それだけ愛羅を愛している、ってことだよ」
「…従兄さんに言われると口説かれている、という前になんだかおちょくられている様にも聞こえて身の危険を感じるわ」
「え、なにそれ酷い」
「それで従兄さん。話は変わるけど」
「なんだい…?」
少し涙目な従兄に愛羅は話題を振る。
「もしかしたら私、その神獣に会った事があると思うの。この黄で」
そういう愛羅に士郎は瞳をぱちぱちとまたたかせ凝視した。
「なんだって…?」




