第60話
「それはまずい事になったな
邪神の力は確かに危険だ
だがヴィクトリア達と敵対するのも危険すぎる
ブレイク達に魔王城に行かれても困る
どうしたものか...」
国王ミランドは妹ヴィクトリアの話を聞き
頭を悩ませていると
謁見の間に突如として1人の兵が駆け込んで来た
「陛下!一大事です!」
その兵は傷だらけで皆が驚いていたが
国王ミランドは冷静に
魔法師団の治癒魔法の使える者を呼び
兵の傷を看させ、その兵に話を聞く
「どうした、何があった?」
「以前から調べていた
迷いの森近くの古代遺跡から
奇妙なモノが現れ我々と敵対し始めました
古代遺跡の調査隊は壊滅
護衛兵も私以外...」
1年前からルア王国は迷いの森にある
古代遺跡を調査していたが
これまでいくら調べても良い報告どころか
なんの変化もない状態だったのに
いきなりのこの状況に国王ミランドは
妹ヴィクトリアに向き直り
「ヴィクトリア
話はまた後にする事にしよう
今は古代遺跡の調査に向かってくれ」
「断る!
私達にメリットがない
古代遺跡がどれほどのモノなのかわからんし
今は孫の事で手一杯だ」
ヴィクトリアが言う古代遺跡がどれほどのモノとは
古代遺跡には当然
古代魔法、古代遺物、古代文明が眠っており
それがどれほどの危険性を持つかわからない
自身や息子や孫達を危険に晒す様な事は
ヴィクトリアからすれば論外だった
「母さん
ルア王国の存続の危機かもしれないですよ?
古代遺跡から出てきたモノって複数ですか?」
ブレイクが傷が治っていく兵に聞いた
「いいえ1体です
たった1体に調査隊と
護衛兵は壊滅状態になりました
その1体には刃が通らず
魔法も効きませんでした
それに...」
「それに?」
「喋ったんです
“私のバディはどこ”って」
喋ったと言う事は意思疎通は出来る
ブレイクはそう考えるが
「尚更、私は反対だ
バディと言ったか?意味がわからん」
「じゃあ僕が行きます」
「なに!?息子が行くのか!?
それは許可出来ない
息子が行くという事は
夜明けの旅人が行くという事だろう?
まだ娘は本調子じゃない危険だ」
娘のメイベルを気遣いヴィクトリアが
息子のブレイクの提案を拒否する
「わかりました
じゃあ、僕1人で行きます
母さんが動かないなら銀翼は動かないし
確かに姉さんは本調子じゃない
アーク兄も気が気じゃないだろうし
僕の妻達には子供達を
見守ってもらわないといけないので」
と、そんな時だった
「ぼくもいく!」
ライトがブレイクにしがみ付く
「ライト!?
危ないからママと一緒に待ってよう?」
「やだ!」
ノワがライトを抱えようとすると
必死に逃げるライト
それを見たブレイクが
「陛下今回は調査が依頼ですよね?」
「あぁ、対象の1体をどうにかしたいが
そういう訳にもいかないからな」
すると逃げているライトを抱き上げるブレイク
「じゃあライト、一緒に行こうか!」
「え!?ブレイク!?
ダメだよ!!絶対ダメ!!
そんな危ないのにライトを連れていくなんて!!」
ノワが反対するが
ブレイクはもう連れていくつもりだった
それを見たメーアとヴィクトリアが
「なら私も付いていく」
「ノワ、孫は私が護るから大丈夫だ」
2人がが付いて行くならと
ノワも付いて行こうとするが
メイベルに止められる
「母上とブレイクが居ない時にノワまで居ないと
ちょっと不安だからノワは残って」
と本調子ではないメイベルに言われ
ノワは仕方なく残る事にし
ブレイクとライト
それにヴィクトリアとメーアが
古代遺跡の調査に向かう事になった
迷いの森を彷徨う“ソレ”は
モンスターを蹂躙し焼き尽くし魔石を回収する
まるで食事かの様に魔石を齧り吸収していく
「いったい
私の相棒は何処にいるんだろう?
この辺りに反応があるけどセンサーが故障して
正確な位置がわからないし
それに...何故あの集団は私に攻撃を?
話は聞いてくれないし
バケモノ呼ばわりされたし
ちょっとショックだなぁ」
真っ赤な色をしたフルプレートメイルの様な
見た目をした“ソレ”は
相棒を探していた
そんな対象をブレイク達はすぐに発見した
「いったい何だアレは?」
ヴィクトリアが茂みから
対象を目視で確認していると
ブレイク達に気付いて対象が
ブレイク達の方に振り向く
「あのー
私の相棒知りません...か?」
まずヴィクトリアを見てその後に
メーアに視線がいきブレイクに
そしてライトへと視線が移っていくと
ライトを発見した“ソレ”は
「やっと見つけたぁぁぁ!!!!」
とライトの方に走っていきライトの手をとると
「私の相棒!!!!
ずっと探してたんだよぉ!!!!」
「え?ぼく?」
とライトの言葉に
「私の名前は...
戦闘装甲No.15です」
「せんとう...そうこう?
むずかしいのはわかんないけど
イチゴちゃんだね!」
「イチゴちゃんですか?可愛くて良いですね」
ライトによって“ソレ”はイチゴと名付けられた
イチゴの話を聞くと
彼女は今から1500年前に作られたそうで
戦闘装甲というのはその時代に
とある博士が作った戦闘兵器だった
「私は遺跡に封印されていました
ですが貴方の力を感じその封印が解け
今に至るという訳です、私の相棒」
そこまで聞くとヴィクトリアが
「ちょっと待て、いきなりで何が何だかわからん
まずお前は孫の味方なのか?」
「はい!私の相棒ですから!」
それを聞いてヴィクトリアはブレイク達と話し合う
「どう思う?
孫の事を見るなり興奮した様子だが
おそらく古代遺物だろう?」
「うーん
僕は危険は無いのかなぁと思いますけど
どうなんですかね?
母さんやメーアさんはどう思いますか?」
「私は古代遺物はあまりわからない
だがライトの力になってくれるなら
別に良いんじゃないか?」
と話はまとまってきたが
実際にこのフルプレートメイルのいちごを
どう街に入れるかという問題がある
まず間違いなくモンスターと思われるだろう
「それなら問題ないです!相棒!」
「え?なに?」
するとイチゴはライトの手首に
ピッタリと合ったブレスレットになった
「これなら大丈夫ですよね?」
「確かに、これなら
ただのアクセサリーに見えるか...」
ヴィクトリアが一旦一安心かとイチゴを連れて
街に入り王城に向かった
「イチゴちゃんはなにがすき?」
ライトがイチゴに話しかける
「私ですか?
私は戦闘用に作られてますから
戦闘は得意ですが
本当は...自然を見るのが好きです」
「おはなとか?」
「そうですね花を見るのも好きですし
川や山を見るのも好きです」
ライトがブレスレットに成っている
イチゴに話しかけている姿は
見ていて微笑ましいものだった
そんな中ヴィクトリア達は
国王ミランドに報告をする
「孫が付けているブレスレットが
例の対象だそうだ
1500年前の戦闘兵器でなんて言ったか...
戦闘装甲No.15だったか
それで孫がイチゴと名付けて
街に入るのにフルプレートメイルから
ブレスレットに変化した状態だ」
といきなりの話に国王ミランドはついていけず
「...そ、そうか
危険は無いのだな?
しかし、調査隊と護衛兵の壊滅は
どう説明するのだ?」
するとイチゴがフルプレートメイルに姿を戻して
「こちらをご覧ください」
いちごは遭遇した調査隊と
護衛兵との映像を映し出した
「なんだコレは!?」
「私の記録を映し出しました」
イチゴが古代遺跡から目覚めると
そこにいた調査隊のリーダーの男が
イチゴを我が物にしようと近付くが
イチゴは自身の相棒はコイツではないと
そう思い男を無視し外に出ようとすると
男は護衛兵を呼びイチゴを取り押さえようとした
だが、イチゴは止まらない
イチゴの装甲は攻撃を反射する特別製で
魔法も反射する為
調査隊や護衛兵の魔法や攻撃は
そのまま返される事になる
イチゴは壊滅する調査隊に
私の相棒はどこですか?
と聞き回るが怯えた調査隊が魔道具の爆発物を
イチゴに投げつけるが
それもイチゴには効かなかった
その爆発に巻き込まれ調査隊と護衛兵は壊滅した
そんな一部始終が映し出された
「なんだ、イチゴは悪くないじゃないか
勝手に自爆した奴が悪いだろう
それに古代遺跡に爆発物を持って行くのは
禁止にしてなかったか?」
ヴィクトリアが映像を見てそう言う
「確かに
爆発物は禁止にした筈だが
何故、持っているのだ?」
バタン!と
そこに勢いよく入ってきたのは
メントール伯爵だった
「陛下!騙されてはいけません
貴重な古代遺跡の遺物ではありますが
調査隊と護衛兵は壊滅させられ
その映像も本物だかどうか怪しいものです!」
メントール伯爵はイチゴを指差して激しく糾弾する
「あのおじさん
なにいってるの?
むずかしいのわかんない!」
「そうですね相棒
こうすれば解りやすい筈です」
いちごはライトに近付き耳当てになり
「私が解りやすく言い換えます
あのおじさんは私が悪い奴だと
調査隊や護衛兵...王様のお友達を返り討ちにし
王様や街の人を襲うんじゃないかと」
「えぇ!?イチゴちゃんはそんなことしないよ?」
「そうですね
私はもう相棒が見つかりましたので
あとは相棒が何をしたいか次第ですね」
イチゴはライトの意志に従うと
そう言い切っている為
ヴィクトリアはそんな危険は無いと
メントール伯爵に言うが
「その遺物が何をするかなど“そんな矮小な子供”に
決められる訳がない!」
メントール伯爵がそう言い放ったその時だった
“そんな矮小な子供”という言葉に反応したのは
ヴィクトリア、メーア、そして“イチゴ”だった
ヴィクトリアがメントール伯爵の胸ぐらを掴み
メーアは背後に立ち心臓の位置に
封印術を展開していた恐らくだが
心臓の動きを止める封印術だろう
1番不味いのはイチゴだった
この場の全てを
吹き飛ばす程のエネルギーを溜め始め
「相棒、いつでも放てます」
と銃の形になりライトがその引き金を引けば
一瞬でルア王国は壊滅するだろう
「だめだよ
イチゴちゃんはやさしいから
ぼくのためにおこってくれてるけど
ばあちゃもメーアも
おじさんとなかよくしないと」
その言葉にヴィクトリアもメーアもイチゴも
臨戦体制を解いた
ライトのおかげで命拾いした
メントール伯爵だったが
「兎に角です!陛下!
この古代遺物は危険なモノです!」
メントール伯爵はイチゴを指差し
その場を去っていく
「そう言えば私のセンサーが故障して
使えなくなってしまっているので
相棒失礼します」
イチゴはライトの身体に合わせて
フルプレートメイルの様な鎧に変化した
「このまま魔力を繋げます
そうすればセンサーや他の機能も使えますので」
とイチゴはライトと魔力を繋げていく
「!?
コレは...四大魔獣の主
邪神が相棒の中にいるのですね」
イチゴがライトの中の邪神の存在に驚いていると
「イチゴ、四大魔獣とは邪神に仕える
4体の強力なモンスターの事か?」
とヴィクトリアがイチゴに聞くと
イチゴが説明し始めた
四大魔獣とは
邪神が創造したモンスターの中でも
特別強力なモンスターの事で
天使や悪魔の様に最初に邪神が創造し
邪神以外で自由自在にモンスターを生み出し
邪神の復活を目論む知的生命体らしい
「知的生命体と言う事は会話が可能なのか?」
ヴィクトリアがイチゴに聞く
「はい、博士は四大魔獣を倒す為に
戦闘装甲シリーズを作りました
ですが、今残っている戦闘装甲シリーズも
あまり多くはない筈です」
「でも、イチゴちゃんのともだちが
まだいるんだね!」
「そうですね相棒」
話を続けるイチゴ
天災の鬼神
毒蜂の女王
時の亡霊
千変万化
「私は天災の鬼神を倒す為に作られました
天災の鬼神の見た目は
オーガに似ていますがオーガとは違い
その体躯は2メートル程で
兎に角、身体が硬く生半可な攻撃では
傷一つ付きません」
すると邪神が話に入ってきて
『天災の鬼神は最強だ
単体でなら我より強い
奴を倒す為に作られたと言っていたが
お前に勝ち目などないぞ』
「じゃーくん?ダメだよ
イチゴちゃんをいじめちゃ!」
「ありがとうございます相棒
ですが私も無策で挑むわけではありません」
とイチゴが変形していき
屈強な外殻を形成し真ん中に
ライトが入れるような窪みを作り
「相棒この中に入ってください
この外殻なら私は誰にも負けないのですが
操縦者が居ないとそもそも動けないのです」
『誰にも負けないだと?
ふざけた事を...』
イチゴの性能を疑う邪神に
「なら僕の時間魔法で
空気の壁を作って攻撃を受けてみようか?
ライトが攻撃をしてみれば
どの程度の攻撃力かわかるから」
ブレイクが自身の時間魔法の
防御面を考えると自身が適材だと言う
「イチゴちゃん
パパのまほうにかてるかなぁ?」
「問題ないです、相棒」
とイチゴは自信満々に答える
そうしてブレイクが魔法で空気の壁を作り出し
イチゴに搭乗したライト
外殻が閉じていき
完全にライトの姿が見えなくなったが
「イチゴちゃん、すごいねぇ!
いろんなボタンあるけどおしていいの?」
「触っても大丈夫ですが
まだ反応しないですよ相棒
今から魔力を先程と同じように私と繋げます
そうしたらボタンやレバーが反応しますので
あとはお好きなように」
わかった!とライトはイチゴと魔力を繋げ
イチゴの外殻の隙間から青白い光が輝き出した
「繋がったみたいだね
じゃあ早速ライト!
この空気の壁を攻撃してみようか」
「うん!」
とライトはボタンを押しまくり
レバーを勢いよく引いたのだった




