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第6話

そこに居たのは


雷を纏いし猛獣


白と黒の縞模様に大きな爪と牙が


特徴的でありそんな雷獣の姿に


一行は息を潜めていた


沈黙が続くが


その沈黙を破ったのはスイレンだった


スイレンはすーっと雷獣の元へと近付き


「ねえ、アンタ

そこのと契約してくんない?」


スイレンに雷獣は驚き


「大精霊か!?...どいつだ?

うーん...仕方ない力を示してはもらうが

それでも良いか?」


わかったわ、とスイレンがヴィクトリア達を呼び


ユージーンが前に出る


「なんだお前か...

こっちの方が良かったなぁ」


雷獣はブレイクに目をやるが


スイレンの契約者である事を知り落ち込んでいた


「まぁ仕方ない

魔法使い、私と魔法のぶつけ合いだ

最大の魔法を放て」


わかった、とユージーンは魔力を溜めて


風魔法で竜巻を繰り出す


それに合わせて雷獣も雷魔法を展開する


ユージーンの放つ竜巻と


雷獣の放つ雷がぶつかり合う音は


ブレイク達が耳を塞ぐ程で


(クソッ!...相殺は出来たが

当てられないと厳しいか)


そうユージーンが悔しがる顔を見せていると


「...フッ、合格だ!」


雷獣がそう一言告げるとユージーンの方まで近寄り


相殺出来る奴はそう多くないのと


特に悔しがったのが雷獣的に良かったらしい


「いいのかい?

力を示さなくてはいけないんじゃ?」


「バカかお前は

何の為に契約するんだ

力を付ける為だろう

ただその力を目の前にして

諦めずそして悔しがった

そこの評価が高い

まぁ、及第点だ」


そう言うと雷獣は契約を結ぶ準備を始めた


「及第点という事もあり

中位の契約にするが文句はないな?」


思ったより良い契約にユージーンは頷いた


雷獣はユージーンの前に座り


同じ様に続ける様に言う


「「今ここに血の契約を!」」


と、ここまでで良いと


雷獣はユージーンの口を前脚で塞ぐ


「今この時から

我、汝の牙となる事をここに誓う」


雷獣の言葉にユージーンは驚いた


契約内容が中位の中でも上位に近い


契約内容だった


「さて小僧

私に名を付けろそれで契約は完了する」


ユージーンは雷獣を見て考える


「私は名付けは苦手なんだよなぁ

息子の名前も妻が付けたし、うーん」


するとヴィクトリアが


「雷獣の姿が虎と酷似している

だから雷の虎でライコはどうだ?」


ユージーンはヴィクトリアの提案に頷き


雷獣はライコと名付けられた


名付けが終わった事により


ユージーンとライコが魔力のパイプで繋がり


ユージーンの魔力が膨れ上がった


そしてライコにも変化が現れる


人型になっていき


人化が進むにつれ魔力も上がっていく


白髪に黒のメッシュが入り髪が肩まで伸び


白いワイシャツに白ズボンに黒いネクタイ


黒いローブに羽衣を纏った


魔法使いの様な格好になった


「なるほど、こうなったか

まぁ契約者が魔法使いならこんなものか」


ライコは服の伸縮性を確かめながら


身体を動かしユージーンの方に向き直り


「これからよろしく頼むぞ、小僧」


ライコはユージーンに手を伸ばし


2人は握手をして契約は終わった


「...凄かったなぁ」


ブレイクがユージーンの契約に感心していると


(御主人様《マスター》と私がした契約の方が凄いのよ?)


と、スイレンが念話で話しかけてきた


(そうなんだ、契約って

何種類くらいあるの?)


契約の種類は大きく分けて4つ


最上位の“命尽きるまでの契約”


上位の“魂の契約”


中位の“血の契約”


下位の“名の契約”


下位の契約でも魔法が使えない者が


使える様になったりする程で


それほど精霊との契約は特別なものだと言う


最上位の契約をした


ブレイクの例は極めて稀と言う事らしい


(でもさ、僕がした契約って

命尽きるまでと魂の契約2つ被ってない?)


以前した契約を思い出すと


確かに2つ被っていた


(それは、重ねがけをしたからね)


重ねがけとは下位と中位の重ねがけなど


契約内容の弱いのを補填する為のもので


スイレンがした最上位と上位の契約は


普通に反則級の代物だった


(まぁ、御主人様《マスター》程の魔力量じゃないと

魔力が足りなくて契約の重ねがけは

普通出来ないんだけどね)


ブレイクの魔力量込みの契約内容だっただけで


普通の人が重ねがけするとスイレンの言う通り


魔力が枯渇し生命力を


魔力の代わりに使用されてしまう為


単純に寿命が縮む、余程の事がない限り


重ねがけは出来ないし、しない


ブレイクの魔力量は契約する前から


化け物級だったという事になる


契約した今尚増え続けていた


(御主人様《マスター》はどこまで魔力が上がるのかしら?

契約すると総合的に魔力は増えるけど

御主人様《マスター》の場合そのレベルじゃないのよね

人間は15歳まで魔力が増える生き物だから

あと御主人様《マスター》は7年は増える計算よね)


そんな事言われてもなぁ


と、ブレイクが苦笑いしていると


それに気付いたヴィクトリアが


「スイレンと2人で話しているのか?」


私も混ぜろ!とブレイクを抱き抱え


契約の事をスイレンに聞いていたと説明すると


ブレイクにヴィクトリアが


そうか!私も説明出来るぞ!


とスイレンに対抗してきたが


コレットに叩かれシュンとなっていた




ライコと契約を終えて


ヴィクトリア達はルア王国に向かって


森を歩いていたが日が暮れ始めたので


野営の準備をし始めた


「ブレイク君!お願いだ!」


そう言い出したユージーンにブレイクは困っていた


ユージーンは今の実力を知る機会が欲しいとの事で


スイレンと契約の重ねがけをしたブレイクに


模擬戦を申し込んでいた


ブレイクに戦闘経験がない事を踏まえても


まだユージーンの実力が


ブレイクに届かないとわかっており


それにスイレンがいるので


ユージーンはどうにかなると思った


「まぁ、大丈夫だと思うわよ御主人様《マスター》

怪我だけ気を付けてやればいいだけだから」


と、スイレンは呑気なもので


えぇ?、とブレイクは困惑していたが


意を決して模擬戦をする事にした


少し開けた場所に少し離れて2人は向かい合った


「良かったのか?小僧

お前は“アレ”には勝てんぞ?」


ライコの言葉に


知ってるさ、とユージーンが答える


ユージーンの目的はどこまで


自分の力が発揮できるか


ライコとの連携など


そういう事を考えていた


ヴィクトリア達が見守る中


ユージーンとライコ対ブレイクとスイレンの


模擬戦が始まった


「いくよ!ブレイク君!」


ユージーンが杖を構え魔法を展開する


ライコはユージーンの背後におりサポートする


ユージーンの魔法は風だかライコの雷と混ざり


嵐魔法へと変化した


その嵐がブレイクの周りを覆っていく


いつもより強すぎる威力にコレットが声を上げた


「ちょっと!?やり過ぎじゃ!?」


ヴィクトリア達、女性陣は


心配そうにブレイクの方を見ていた


ガシャーン...ゴロゴロ...


ユージーンの嵐魔法が


ブレイクを目掛けて放たれる


周りの木や草などを巻き込んで


破片となった木などが当たるだけでも


かなりの致命傷になりそうな破壊力をしており


ブレイクの事を心配するヴィクトリア達だったが


魔法を放ったユージーンが冷や汗をかいていた


(こんなに威力がでるものか

やはり精霊との契約は凄いな

しかしこれを受けている

ブレイク君が尚更、末恐ろしい)


冷静に嵐の中を見てみると


ブレイクが魔法をドーム状に展開しており


木の破片などがブレイクの前で止まり


下に落ちていく


「時間魔法の防御面は凄いねブレイク君」


そうですか?とブレイクが褒められたと喜んでいた


「それじゃあ、攻守交代ね」


と、スイレンが水魔法で嵐を吹き飛ばし


水の刃を無数に放つが


ライコが待ってました!とばかりに


雷の檻の様な魔法を展開して


水の刃が当たるとスイレンまで感電していった


「ビリビリするわね、御主人様《マスター》あの檻

どうにかしないと攻撃が通らないわね

属性の相性問題もあるからどうしようかしら」


そっかぁ、とブレイクが少し考え


(スイレン僕の時間魔法って

他の魔法にも効果あるの?)


どういう事?とスイレンが


ブレイクの思考を共有すると


スイレンがいきなり笑い出した


「いいわね!それやりましょう!

面白いわ御主人様《マスター》!」


ブレイクが雷の檻に手を翳すと


パッ!と消えてしまった


「「なっ!?」」


雷の檻が最初から無かったかの様に


消えてしまい再び展開するが


またも消されてしまった


「凄いねブレイク君

魔法停止《マジックキャンセル》を使えるのかい?」


魔法停止《マジックキャンセル》とは魔力量の差が


一定以上ある場合にできるものであるが


「違う、これは...」


ライコが何かに気付く


そして急に笑い出してしまった


「あはは、小僧これはもう無理だ

諦めろこれは魔法停止《マジックキャンセル》じゃない

時間魔法だ、“ただし魔法に干渉している”」


魔法に干渉とは何か


例えば水魔法と風魔法が互いに干渉し合うと


氷が出来るその要領で


雷の檻に時間魔法が干渉し


魔法に使った魔力を風化させたのだ


「えぇ?それじゃあ何をしても

全部消されるんじゃ?」


その通りである


「ただユージーンさんの使った魔力分と

同等の魔力を使うんで燃費悪いと思いますけど」


燃費が悪いと言うがブレイクの魔力量は


今尚、増え続けている


いったい誰がブレイクに魔法で勝てるのだろうか


そう思うユージーンだった


パァン!と手を叩いたヴィクトリアに皆が注目した


「よし終わったな!ご飯にしよう!」


別に勝負はついてないが、ユージーンは勝てないし


ブレイクはどうやっても負けない事がわかった


模擬戦も終わり夕食の準備をし始めた


トントントントン


野菜を切り鍋に水を入れ


ヴィクトリアが狩ってきた


猪型のモンスターを捌いて


煮込んでいく味付けに岩塩を削り


これで野菜煮込みの完成


「いやぁ息子《ブレイク》の索敵魔法で

狩りが楽に出来たな」


ヴィクトリアがブレイクの索敵魔法を褒め


それなら良かったです、と


ブレイクも満足そうにしており


クレアとメルもここまで狩りが楽なのは初めてだと


称賛しておりブレイクはとても嬉しくなっていた


そんな中ユージーンが木を風魔法で切り加工して


テーブルを作り6人分の椅子も用意し


皆で食卓に着く、野菜煮込みとパンを食べながら


「今の団長よりは強くなった筈なんだけど

ブレイク君が規格外過ぎてイマイチ

自分の強さがわからないんだよなぁ」


ユージーンの魔法は今や


国の最終兵器と言われてもおかしくないが


ブレイクとの模擬戦では


あまりわからなかった様だった


その様子にコレットが


「いや、団長2人でも

今のアンタには勝てないでしょ」


そうかなぁ?とユージーンは嬉しそうにしていた


「そういえば精霊は

食事を摂らないけど何を食べるんだい?」


ユージーンの質問にスイレンが答える


「私達精霊は基本的に

契約者の魔力を糧に動いているから

契約者の魔力がご飯?なのかしらね」


そうなんだとユージーンと


ブレイクが興味を示していた


その夜の火の番は睡眠がいらない


スイレンとライコがする事になり


ヴィクトリアはブレイクと寝るつもりだったが


コレットとクレアに止められ男性陣と女性陣で


別々のテントで寝る事になった




ブレイクはテントで横になり


今までの事を思い返していた


(凄い経験をしたなぁ

ヴィクトリアさん達との出逢いから

クレアとメルも出逢った

それに龍王国での事

ねぇ、カルラ僕はちゃんと生きたいと

思える様になったよ

カルラが繋いでくれた命だから大事にするよ)


と、物想いに耽っていた


(ヴィクトリアさんを

母さんと呼んではみたいけど

まだちょっと緊張するなぁ...)


その事をスイレンに相談すると


(好きに呼べばいいんじゃないかしら?

それにヴィクトリアも喜ぶんじゃないかしら

呼んだ直後のスキンシップは激しそうだけどね

私かコレットが間に入るから

大丈夫だ思うけど)


そっか、とブレイクは納得して


その後眠りについた




翌朝


ブレイクが目を覚ますと既にユージーンは


隣におらずテントをあとにしており


ブレイクもテントを出た


先に起きていたユージーンと


昨晩、火の番をしていた


スイレンとライコに挨拶をし


水魔法で顔を洗い服を着替える


ヴィクトリアとコレットも起きてきて


2人にも挨拶をする


コレットがクレアとメルを起こしに行った時に


ヴィクトリアを呼び止め


ブレイクが意を決して


「あの!えっと...」


「ん?なんだ息子《ブレイク》?」


俯くブレイクに合わせてしゃがみ込み


顔を見上げるヴィクトリアだったが次の瞬間


「おはようございます

...母さん」


フン!と反射的にブレイクをタックルする様に


抱きしめていたヴィクトリア


それを見たスイレンが急いで


魔法で引き剥がそうとするが


「離せ!邪魔するなスイレン!

私は母さんだぞ!!!」


クレアとメルも起きてきて状況がよくわからないが


コレットが一旦ヴィクトリアを引き剥がし


「なになになに?何があったの?」


少し見ていない間にヴィクトリアがブレイクを


襲っている様にしか見えなかったのを


スイレンが説明し始める


「御主人様《マスター》がヴィクトリアの事を

母さんって言ったの...そしたらコレよ」


「離せスイレン!息子《ブレイク》!

今そっちに行くからな!!!」


スイレンの時間魔法で


ヴィクトリアの身体の時を止め


ブレイクは間からどうにか抜け出していた


「一旦ヴィクトリア

アンタは落ち着きなさい」


「落ち着いていられるか!

母さんだそ!そう呼ばれたんだ!!!」


そういうヴィクトリアにコレットが説教をし


ブレイクにも暫く母さん呼びは禁止にさせ


それを聞いたヴィクトリアはガッカリしていた




ヴィクトリア達は森を抜けて街道沿いに歩いていく


ブレイクは舗装されている道を


歩くのに慣れておらず変な感じがすると言っていた


龍王国も地面は土で舗装はされておらず


ブレイクにとっては歩きやすかったが


ぎこちなく歩いているブレイクを見て


ヴィクトリアがブレイクを抱き抱える


「ここを真っ直ぐ行くと

ルア王国が見えるそこに龍の涙を提出しに行って

報酬を貰って後は帰るだけだな」


ヴィクトリアが抱き抱える時ブレイクは


魔法で年を戻すようにしており


別に平気だぞ?とヴィクトリアに言われるが


ブレイク自身、本当は歩きたいのだが


ヴィクトリアがご機嫌なので


少しでも軽くしておいた方が良いと思っての


行動だった


そうしてヴィクトリア達が街道沿いに進んでいく


途中ルア王国の手前の町で休憩をしながら


王国前までついた


門番が通行審査をしているが


ヴィクトリア達が顔パスで通れる為


通れる筈だった


「ハーフエルフ!?駄目だろ」


またもやクレアとメルの問題が発生した


「Bランクパーティの権限じゃ

ハーフエルフは入れられない」


ヴィクトリアがどこの誰かわかっていない門番に


イライラし始めたヴィクトリアが


「ほう、私が保証人でも駄目なのか?」


「駄目だ」


話の通じない奴だなとヴィクトリアが騒ぎ始めると


騒ぎを聞きつけて門番の上司が現れ


「公爵様!?ど...どうされました?」


え?公爵?なんの話ですか?と


門番がヘラヘラしていると


上司に頭を叩かれて


頭を押さえつけられた


「申し訳ありません公爵様

どうか此奴の首だけでご容赦ください」


「なにすんだよ!

ハーフエルフは差別対象だろ!?」


反省の色が見えない門番に


ブレイクもイライラし始め


焦り出したスイレンが


「ヴィクトリアとっととコイツどうにかして

そろそろ御主人様《マスター》の堪忍袋がまずいわ」


それは確かにまずいな、とヴィクトリアが


急いで上司に告げる


「そいつの今後はお前に任せる

私達は先を急ぐから通るが問題ないな!?」


「はい問題ありません

ありがとうございます」


と、ヴィクトリア達はその場を後にした

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