↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/62

第5話

バタン!と扉が開き


フィートとロストが入ってきた


「母上!兄上がエリクサーを手に入れました!

ですが本物とわかるまで

...1週間はかかってしまいます」


フィートに連れられたロストは拗ねた子供の様に


いじけているとグレイシアは


2人を側に呼び抱きしめた


「「母上!?」」


「ありがとう2人とも

お前達が一生懸命にエリクサーを探してくれて

母は嬉しかった、たとえそれが

間に合わなかったとしても」


その言葉を聞いてフィートとロストは涙を流す


それを見たブレイクは


フィートとロストに自分を重ねた


あの時は魔法も知識もなかった


でも今はカルラの時とは違う


「あの!僕の魔法を使ってもいいですか?」


大神官がブレイクに


「治癒魔法なら私も使えますが

治癒魔法ではブルガの毒の進行を

遅らせるので精一杯なのです」


ブレイクが使うのは治癒魔法ではない


「僕が使うのは時間魔法です

グレイシアさんの毒の進行を止めます

1ヶ月くらいは時間が稼げると思います」


その言葉にグレイシアは頭を下げる


「私はこの子達の成長を見守らないといけない

治る可能性があるのなら...どうかお願いします」


フィートとロストも頭を下げた


「どうかお願いします

母上を死なせるわけにはいかないんです」


「俺からも頼む!」


ブレイクは頷き魔法を展開し


大きな繭の様な空間を作り出す


その中では毒の進行が止まった


「大丈夫なのか?

魔法を展開し続けて魔力切れにならないか?」


ヴィクトリアの心配にスイレンが


御主人様《マスター》なら大丈夫よ


と誇らしげに言っていた


その場にブレイクが残り


ヴィクトリア達は客間に案内され


ロストは街に出て情報を集めようとし


フィートが研究室に戻ろうとした時


クレアとメルに気付き


「何故2人ともどうしたんだ?

樹海で巡回をお願いしてたはずだけど?」


ヴィクトリアが思い出したようでフィートに


クレアとメルの代わりに話す


「フィートだったか2人を自由にしてやれ」


フィートは不思議そうな顔をして


「え?自由にしてもらって構わないけど

樹海の巡回は頼んだだけで

命令でもなんでもないですけど?」


何かフィートとヴィクトリア達で


意見の食い違いがあり


フィート曰く元々命令などした記憶はなく


ハーフエルフはあくまでエルフという認識だった為


樹海で生活した方が良いと思い


ついでと言ってはなんだが樹海の巡回を頼んでいた


クレアとメルそれに他のエルフもそうだが


それを命令だと勘違いしていた様で


それを聞いたクレアとメルは


「じゃあ私達はどこに行っても良いって事?」


メルの質問にフィートが答える


「そうだね、君達が行きたい所に行く権利がある

まあちょっと寂しい気もするけどね」


ヴィクトリアが2人の頭を撫で


「良かったな!

なんか勘違いがあったみたいだが

これでお前達は自由だ!」


「「良かった...良かったよぉ」」


クレアとメルが泣きながら抱きしめ合っていると


「えっと...

なんか紛らわしい言い方したみたいですね

先入観で樹海での生活を押し付けていた

2人ともすまなかった」


フィートが2人に頭を下げて謝り


ヴィクトリアがそれを見て


意味の取り違えや勘違いというのは


こういう事になるのかと考えていた


クレアとメルの一件も落ち着き


フィートは研究室に戻った


グレイシアとブレイクは


時の繭と名付けた魔法の中で過ごし


なんだか気まずい空気感に


先に口を開いたのはグレイシアだった


「そういえば坊やの名前は?」


グレイシアの言葉にブレイクが答える


「僕はブレイクって言います

こっちはスイレンです

えっと...なんで僕の事を坊やって呼ぶんですか?」


なんででしょう?とグレイシアにもわからないが


何故だかしっくりきたとの事


なんだが初めて会った気がしないのよね


とグレイシアも不思議に思っていたが


ブレイクの懐っこさがグレイシアとの仲を深めた


そうして1週間を過ごす事となった




「チッ...まだグレイシアは死なねぇか

しぶといトカゲだな」


獣王ブルガの機嫌が悪い理由は


まだグレイシアがしぶとく生きている為


グレイシアがいなくなれば


一気に龍王国を支配できるのだが


未だにその一報が届かない


「仕方ねぇな直々に俺様がもう一度行くか」




「よかった...これで治るんですよね」


ずっと一緒にいたブレイクが


グレイシアの回復の見込みがある事を喜んだ


「そうね、坊やのおかげでどうにかなりそう」


1週間が経ちロストが持ってきたエリクサーが


本物だとわかりグレイシアにエリクサーを飲ませ


後は自然回復を待つだけとなった


「それでは私達はこれで失礼する」


ヴィクトリア達は目的の龍の涙が手に入り


ルア王国に向かうだけとなったそんな時だった


ドカーン!!!


龍王国の外壁から凄まじい音が響く


「氷龍王グレイシア!

今度こそ殺してやる!!

出てこないのならば!!!

この国を破壊し尽くしてやる!!!!」


獣王ブルガが突撃してきた音だった


「こんな時に...って兄上!?」


短気なロストは後先考えず飛び出していた


グレイシアをこんなにしたブルガ許せないし


何より原因を作った自分が1番許せなかった


「...今度こそ俺がぶっ飛ばしてやる!

母上は今まで頭の良さと

圧倒的な力でこの国を守ってきた

頭の良さはフィートに

力は俺に受け継がれてる筈なんだ

絶対、俺がぶっ飛ばす!」


人型から龍へと姿を変え大空を舞う


ブルガの元に急ぐロスト


ロストの突撃で外壁の外まで吹き飛ばされるブルガ


だがそのまま首を掴まれロストは頭突きをくらい


怯んだ隙に毒のある尻尾での攻撃が迫る




「私が全盛期ならこんな事には...」


悔しがるグレイシアに


「グレイシアの全盛期ってどれくらい前?

御主人様《マスター》なら戻せるわよ、たぶん」


スイレンがサラッと凄い事を言い放つ


「グレイシアさん

上手くいくかわからないですけど

僕に任せてもらえませんか?」


グレイシアの全盛期は400年前


それを聞いたスイレンはたった400年かと


確かに大精霊からすれば大した数字じゃない


ブレイクはグレイシアに魔法を使う


そしてグレイシアは400年前の姿に戻った


その見た目は40代前半に見えていたグレイシアを


20代後半程に戻した


「ありがとう、坊や」


グレイシアは人型から龍の姿へと変化して


大空を舞いロストのいる方へ急ぐ




キラン!と空が光る


かつて天空の覇者と呼ばれた


氷龍王グレイシアの全盛期の姿だった


「私の息子に手を出すな!」


グレイシアの突進で


ブルガは吹き飛ばされ


グレイシアが尻尾でブルガの腕を掴み空へと投げ


ブルガの体躯は大空へと舞い上がる


グレイシアは大きく息を吸い込み


肺の冷気を口から咆哮と共に吐き出す


グレイシアの咆哮は天を揺るがし大気を凍らせる


ブルガは咆哮をくらい


氷漬けになってしまった


「これで終わり」


そこにグレイシアは突進し氷の塊は砕かれた


粉々になったブルガは当然


元に戻る事はなく


氷龍王グレイシアの復活に国民は歓喜した


その日は街中で宴会が開かれ


ブレイク達も参加する事になった


王城ではグレイシアがブレイク達をもてなす


「ありがとう坊やのおかげでいろんな問題が

解決できた、坊やは私の恩人ね

...って、恩人に坊やって言うのも変ね」


今更変えても変ですよと少し照れているブレイク


それを見たヴィクトリアが息子はやらんぞ!と


既に酔っ払っている様子だった


宴も盛り上がりその夜は賑やかだった




翌朝、改めてお礼を言わせてほしいと


龍王グレイシア達が外壁の外まで見送ってくれた


「この度は本当にありがとうございました」


とフィートが会釈し


ロストが気まずそうに


「前はぶつかって悪かったな

母上の事は感謝してんだ」


そんなロストの頭を軽く叩きグレイシアが


「ありがとう坊や、この恩は必ず」


そんなのいいですよ、とブレイクは言う


そんな事はわかっていたグレイシアは


息子達、同様にブレイクに愛情が芽生えていた


そして一行は龍王国を後にした




しばらく樹海の中を歩いていると


日も沈み野営の準備を始めた頃


「禁術?」


スイレンがこれだけは絶対に駄目だと


ブレイクに教えたのは禁術の事だった


「そう属性によって変わるけど

私だったら水属性だから

水ノ封印石(アクア・コフィン)ね

モンスターを倒した時に取れる

魔石の様な形の封印石よ」


それをするとどうなるの?


とブレイクが聞くと


スイレンはあまり教えたくなさそうだが


「必ず対象を封印出来る

ただし術者も同時にね

御主人様《マスター》が相手だと

相手は魔王か精霊王か神とか?」


魔王や精霊王、更には神が話を聞かない


ヤバい奴みたいな言い方をするスイレンに


一同は苦笑を呈した


「御主人様《マスター》が気にする事はないんだけど

一応ねやり方はもうバレてるし隠しても

仕方ないわよね

御主人様《マスター》の場合

時ノ封印石(クロノ・コフィン)かしらね」


契約してから思考が互いに筒抜けな


ブレイクとスイレンの雰囲気に


ヴィクトリアが何故だか嫉妬し始め


「なんかずるいぞ!」


ブレイクを抱き抱えるヴィクトリアに


なんで僕はいつも抱えられているんだろう?と


ブレイクは不思議そうな顔をして


せめて軽くなるように5歳くらいの見た目になった


「あーあ、またブレイクが困惑してるよ」


コレットが、ハァとため息混じりに呟く


これで機嫌が直るならいいんじゃないかい?


というユージーンの言葉に


コレットはそれもそうかと納得し


コレット達は野営の準備を進めていった




ヴィクトリア邸にて


ヴィクトリアの1人娘であるメイベルは悩んでいた


母ヴィクトリア本人から


弟を連れてくると手紙が届いたからだ


「まったく母上は何を考えているのかしら」


メイベルはここ数日、シルヴァ家の領地の


運営以外の時間を剣術の稽古に励んでいて


その成果を見てもらおうと帰ってくるのを楽しみに


待っていたが、いきなりの弟の件が気になり


稽古に身が入らず不安が募っていた


その一方で楽しみでもあった


メイベルの父親は5年前に他界しており


ヴィクトリアが当主を務めているが


外出が多いため実質メイベルが当主代理として


貴族間の色んな対応をする


小さい時から責任と重圧に潰されそうになるが


母のためならメイベルは頑張れた


そうしてメイベルは周り特に同年代から


孤立していった、唯一ユージーンの息子で


一つ年上のアークとは


よく話す友人として仲良くしていた


そんな彼が屋敷にやってきて


「なぁ、メイベル

親父から連絡来たんだけど

そっちも来た?」


ユージーンからの連絡も似た様なもので


事が済んだので今から帰ると


もしかしたら弟が出来るかもしれないと


「親父達は勝手だよなぁ

オレ達、子供の事をなんだと思ってんのかねぇ...

って愚痴の一つや二つは出るわな」


「知らないわよそんなの

まあ、母上もユージーン様も何か考えがあるから

連絡を入れたんでしょ」


ハァと2人してため息を吐いたところで


「うだうだ言ってても仕方ないから

いつものアレやるか!」


アレと言うのは加減をした模擬戦の事だった


裏庭の修練場に移動して


木の剣と木の盾をメイベルが持ち


「鎧はいいのか?」


別にいいとメイベルは運動着に着替えて


アークはいつものローブに杖を構えて


互いに10メートル離れたところで


メイドが合図を出す


「よーい、始め!」


途端にメイベルが踏み込むと地面は抉れ


距離を一気に詰める


それを予測していたのかアークは


光魔法を既に展開していた


光の矢が四方八方から無数に放たれる


木の盾を前方に構えて矢を弾く


後ろの矢がメイベルを襲う前に


身体を反転させ木の盾で受けたが


その時点で木の盾はボロボロになってしまった


展開された光の矢は三分の一程まで減ったが


全て避けるのは至難の業であるのは


素人目でもわかった、しかし


メイベルがありえない反応速度で


光の矢を木の剣で撃ち落とした


アークとの距離が後1メートルまで迫る


だがアークもアークで対策を考えており


光魔法が身を包み鎧の様になり


光の剣を2本出しメイベルと接近戦をする


接近戦は当然メイベルが優勢だが


途中、光の矢を展開し直してメイベルと距離をとる


そんな戦闘が続く中メイベルが


「やめやめ、これじゃ決着つかないわよ

と言うより、私の負けね」


メイベルの持っていた木の剣がボロボロになって


これ以上模擬戦が続けられなかった


「よーし、勝った!

やっぱり光の矢と鎧は有効だろうと思ったんだよ」


誇らしげなアークの尻に


メイベルは蹴りをくれていた


なんだかんだで仲の良い2人だった


すると玄関のベルが鳴った


いきなりの訪問者は


ヴィクトリアに求婚する貴族だった


「こういうのは困ります」


一応対応してはいたが内容は本人に


贈り物をしたいというものだった


「そういうのは私ではなく

本人に言ってください!!!」


ヴィクトリアは伴侶は1人でいいという考えで


誰もが高嶺の花だと思っていた彼女に


初めて告白した平民の彼をヴィクトリアは愛した


ヴィクトリアが愛した伴侶は


後にも先にも彼1人だった


もういい加減にしてほしいメイベルと


大変そうだなぁと他人事のアークだった




その頃ヴィクトリア達は


雷獣が住むという山に向かっていた


雷獣とは文字通り雷を纏った猛獣で


精霊の一種である


ブレイクの考えで


ユージーンの契約を試みる事になった


「この山に雷獣と呼ばれる精霊がいるのかい?」


ユージーンの問いにブレイクが答える


「集めた情報によると、そうみたいです」


近くの村で雷獣の目撃情報と被害報告が相次ぎ


更にスイレンが自分と似た気配を感じるとの事


精霊は基本実力を見せないと契約はしてくれない


ブレイクの例はかなり珍しいと言える


山の更に奥に進んでいき


バキバキと枝を踏んで進む音が


緊張感を膨らませる


そこにソレは居た

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。