第4話
姉妹の姉はクレアというらしい
16歳のハーフエルフだったハーフエルフは
エルフより短い耳と水色の肌が特徴的で
銀色の髪が胸の前で三つ編みになっており
身長も高く胸やお尻も大きいコンプレックスなのか
やや猫背で身体を隠したがっている
杖を持っていて魔法をよく使うらしい
妹のメルは14歳でクレアより身長も低く
前髪パッツンのポニーテールで肌や髪の色は
姉のクレアと一緒だか胸は...
本人曰く弓を引く時に邪魔にならないから良い
弓を好み魔法はクレアより苦手だそうだ
姉の事は大好きで
姉はもっと堂々としたら良いのにと
思っているらしい
「2人はなんで僕達の事を監視していたの?」
2人は龍王国にいる王子の指示で
森の巡回をしていた所ブレイク達を見つけ
監視していたとの事で
特に大精霊のスイレンとその契約者である
とてつもない魔力量をしているブレイクを警戒して
死ぬのは覚悟の上で追い出す事を考えていたが
思いの外ブレイクが幼い事と
悪意のカケラもない事に2人は警戒を解いて
「私達は龍王国のフィート王子の命令で
外部の人を入れる訳にいかないんで...」
クレアが説明していた...
次の瞬間!
(御主人様!魔法を展開して!)
スイレンの指示で時間魔法を
索敵魔法の様にドーム状に展開し
飛んできた矢を受け止める
魔法を解除しその場に矢が落ちる
「なんだあの魔法は!?」
「見た事のない魔法だあの少年が!?」
「それより大精霊の方が危険じゃないか!?」
辺りをエルフ達が囲んでおり
それを見たクレアとメルが怯え始める
「おい!半端もん邪魔だいつまで
この樹海にいるつもりだフィート様が良くても
我々は認めた訳じゃない!早く出ていけ!」
「ヒッ」
「お姉ちゃん!」
怯えるクレアを見てメルがエルフ達を睨む
「私達が何をした!
お前達に直接迷惑はかけてない!
フィート王子の命令さえ無ければこんな樹海
とっくに出て行っている!」
目に涙を溜めながら吠えるメルに
エルフ達は再度、弓を構えて
クレアとメルだけを狙い矢を放つ
(ねぇ、スイレン
これがハーフエルフに対する普通の反応?)
(そうね人にもエルフにも馴染めない
それがハーフエルフの運命とも言えるわ)
(...そっか)
クレアとメルの周りにドーム状に時間魔法を展開し
矢を受け止める
「な!?何故邪魔をする!?」
「僕は...僕は一生懸命に生きようとする
この姉妹を蔑むあなた達が嫌いだ
立場の弱い者はずっと弱いままなのか?
そんな訳ない!だがあなた達は
この姉妹を蔑む事に疑問も抱かない
いいじゃないか生きたいように生きていいんだ
誰だって僕だって、この姉妹だって...
これ以上この姉妹を蔑むのは僕が許さない」
エルフ達が今度はブレイクに標的を変える
次の瞬間
バキ!バキバキバキ!
「うわ!」
「なんだ!?」
エルフ達が乗っていた木を真っ二つに切り裂いた
ヴィクトリアがエルフ達へ向かって吠える
「さっきから聞いていれば
息子の邪魔ばかり
それによりによって息子に弓を構えるだと!?
ふざけるのも大概にしろ!」
ヴィクトリアは完全にブチ切れており
コレットも短剣を構えて
ユージーンは魔法を展開し始めている
エルフ達も矢を其々に向けて放つが
全て到達する前にブレイクの魔法に受け止められる
「...おい
別にいいさ狙うならなら俺だけを狙えよ
この人達は俺の大事な人なんだ
ふざけるなよ、次狙ったら...」
ヴィクトリア以上にブチ切れたブレイクの魔力
どんどん膨れ上がっていく
膨れ上がる魔力にスイレンが焦り始め
スイレンがブレイクより先に
エルフ達を濁流で流していった
「あ?
あぁ、そうか...スイレンがやってくれたのか」
「御主人様一旦怒りを鎮めて...
じゃないと、この樹海が無くなっちゃうから」
ブレイクの怒りと呼応して魔力量が跳ね上がり
爆弾みたいな迫力がブレイクから発されており
クレアとメルも怯えており
「息子大丈夫だ、ありがとうな」
そっとヴィクトリアがブレイクを抱きしめて
その場はどうにか落ち着いた
「ブレイクはキレると口調が変わるのね」
コレットがボソッとユージーンに話しかける
「そうみたいだね
ブレイク君は特にヴィクトリアに
懐いてると思っていたけど
私達の事でも怒ってくれていたのは
なんだか嬉しかったね」
落ち着きを取り戻したヴィクトリア親子は
クレアとメルの特技に夢中になっていた
ハーフエルフの特技といえば霧化だ
2人とも霧になり元に戻る
それを見たヴィクトリアとブレイクが喜んで
まるで赤子をあやしている様な空間だった
「こんなんでいいの?」
「え?凄い事だよメル
僕には出来ないし」
するとメルは顔を伏せる
「私はお姉ちゃんみたいな
魅力が無い、自信がない」
「?」
メルの言いたい事がわからないブレイクだったが
メルは話を続ける
「蔑まれる理由はあるけど
蔑まれない理由がない、私には特徴がない
生きていていいのかよくわからなくなる時がある」
その言葉をブレイクは遮ることなく聞き口を開く
「...そっか、でもさ
生きていくのに理由はいらないと思うよ
誰だって辛い事、苦しい事があったり
勿論楽しい事もいっぱいあるし
そんな中でも生きていくしかないと思う
僕はそうあれれば良いと思う
特徴ってのは人と違う部分だと思うんだ
違うから人から怖がられるし
蔑まれるのかもしれない
でも場所が変われば人も変わる
良い出逢いもあるよ
僕はクレアとメルに逢ったのは
良い出逢いだと思ったよ」
その言葉を聞いたメルそれにクレアは涙を浮かべ
空を見上げていた涙が溢れないように
「息子の言う通りだ
2人が蔑まれて来たのかもしれないが
ここにいる者は誰もお前達を蔑んだりしない
フィート王子だったか?直談判してやろう!
2人が自由に生きられる様にな!」
ヴィクトリアが拳を振り上げて
その後姉妹を抱き寄せた
大丈夫だと頭を撫でる
そして2人の涙腺は限界を迎え
まるで母に甘える子供の様な姉妹の姿を
他の皆は温かい目で見守っていた
龍王国の中央にある城の中に
謁見の間にて龍の女王グレイシアに
龍人族の大神官が治療をしていた
グレイシアは人化の魔法で人の姿になっていたが
どこか憔悴し切っている様子だった
「...もう良いぞ、大神官」
大神官に指示を出すが大神官は諦められず
「いいえ、女王様必ず治してみせます!」
そんな中、謁見の間の扉が開かれる
ギィー、バタン!
グレイシアの2人の息子が入ってくる
「母上!マンドラゴラが手に入りました
コレが効かなければあとはエリクサーぐらいしか」
人の姿をした弟のフィートは
身長もそこまで高くなく華奢な身体をしており
賢く争い事を嫌う性格で龍に戻っても
10メートル程しかなく龍にしては身体が小さいが
龍王国の民からも信頼厚い人物だった
それとは正反対の兄ロストは
人の姿では身長もあり筋肉もしっかりついている
その体で争い事を好むが故に
乱暴者として龍王国の民から認識されている
そんなロストが口を開く
「まぁ、仕方ないだろダメな時はダメなんだから」
その言葉に大神官が激怒する
「ロスト殿!元はと言えば貴方が
ブルガなんぞに手を出すから!」
グレイシアの容体が悪いのは
獣王ブルガの尻尾の毒を喰らってしまったからで
ロストがグレイシアやフィートの気を引くために
ちょっかいを出して襲われた所を
グレイシアが庇って負った傷から
段々とグレイシアは憔悴していった
「なんだよ!俺のせいだってか!?」
そんな言い争う2人にグレイシアが
「もうよい!
2人とも、もう下がれ!
気が滅入る...」
その言葉に大神官とロストが渋々その場を去る
フィートがグレイシアに薬を飲ませて
様子を見るが容体が回復する事はなかった
「母上、大丈夫ですか?
マンドラゴラでもダメみたいですね
必ずエリクサーを手に入れてみせます」
フィートの頭を撫でてグレイシアは
「私の事よりフィートの事が心配
このままだとフィートが
はぐれの龍になってしまうから」
このままグレイシアが死ぬと
王位は長男のロストに移る
フィートはロストの気分次第で
追い出される可能性があり
追い出されるとはぐれの龍と呼ばれ
ギルドの討伐対象になる
はぐれの龍になると逃げ続けるか
強くなるかの2択になる
フィートは逃げる様な性格でも無ければ
決して強い訳でもない
このままいくと討伐されてしまうだろうと
グレイシアは考えていた
「はぐれの龍になる不安はありますが
それより母上の治療が優先ですから」
どこまでも母を想うフィートを
グレイシアは抱きしめる
「母上!?」
フィートが驚いていると
「ありがとうフィート
私もどうにか頑張ってみるわ」
フィートが急ぎエリクサー探しを始め
グレイシアは大神官を呼び出し治療を進める
ロストはダメな時はダメなんだと
あんな事を言っていたものの
繁華街で酒を呑み情報収集を始めていた
数日が経ちグレイシアの容体が悪化し
フィートもロストも焦り出し
グレイシアが大神官に聞く
「大神官、私の命は後どれくらい?」
大神官は俯きグレイシアに見解を述べる
「私の見立てでは後5日程度だと思われます」
「そうか...」
フィートは自室にて徹夜で薬品の研究をしており
ロストは何かないかと街を巡回していた
「何か...何かないのか!クソが!」
木箱を蹴り木片がある人物の前に飛び
その木片を片手で受け止めロストに話しかける
「龍王国の第一王子ロストだな
ここにエリクサーがある
氷龍王グレイシアに死なれては困るからな
お前にくれてやる」
その人物がロストに瓶に入ったエリクサーを投げた
(あ?今エリクサーって言ったか?)
エリクサーを受け取って確認しようと
その人物を見た時には既にいなかった
「コレ本物か?わかんねーな
フィートに確認するしかねーか」
エリクサーを握って走り出した
クレアとメルが落ち着きを取り戻し
共に龍王国にヴィクトリア達は向かう
樹海を抜け龍王国に到着すると
龍人族の門番に止められる
「お前達、何の用だ?」
「我々はルア王国から
王命を受けて龍王グレイシアに会いに来た」
書状を見せて門番がヴィクトリア達を通すが
「そっちのハーフエルフは駄目だ」
またか、とヴィクトリアがため息を吐き
「王命を受けたと言ったんだが?
それとも龍王グレイシアが
我々を入れるなとでも言ったのか?」
ヴィクトリアがクレアとメルを連れて通ろうとする
「ハーフエルフは駄目だと言っているだろう!」
「わからん奴らだなぁ...」
(ねぇ、スイレン
人に対して時間魔法を使うとどうなる?)
スイレンがイライラし始めたブレイクに
焦りながら答えた
(...その人の時が止まる御主人様が
魔法を解かない限り永遠に止まったまま)
そっか、とブレイクが門番に手を翳し
門番の時を止めた
「今のうちにに行きましょう」
ブレイク達が通り過ぎ
見えなくなるかならないかくらいの距離をとり
ブレイクが魔法を解き
門番は再び動き出した時には
その場はパニックになっていた
ブレイク達は急いでグレイシアの元に走り
先頭を走るブレイクがY字路に差し掛かり
一本道に合流する地点で
ザッザッザッ
誰かの走る音が反対の道から聞こえた時には
既に気付くには遅く
ブレイクがロストとぶつかってしまった
その衝撃でロストが手に持っていたエリクサーが
地面へと落ち割れてしまった
「テメェ!何しやがる!?」
ブチ切れたロストがブレイクに掴み掛かるが
「すみません
ちょっと待ってください」
と、時間魔法でエリクサーを元に戻して
ロストに手渡した
目の前の出来事に異様さを感じたが
再度エリクサーを手に入れ
ロストは急いでその場を後にした
「なんだが忙しない奴だったな」
ヴィクトリアがブレイクに怪我がないか確認して
一行はグレイシアがいる中央の龍の巣と呼ばれる
龍王国の王城に向かった
フィートが自分の研究室にて
薬品の調合をしていると
バタバタとロストが入ってきた
「フィート!エリクサー手に入れたぞ!」
兄上が?何を?手に入れたって?と
訝しげな顔をするフィートだったが
ロストが持っていた瓶を見ると
ソレはエリクサーの特徴と酷似していた
「兄上!それをどこで!?
今はいいか、それが本物か確認しないと!」
えへへ、と褒められたのが嬉しかったのか
ロストは笑顔を見せたが
「1週間!?...そんなに掛かるのか!?」
エリクサーと確定させるには早くても
1週間は経過を見ないとわからないらしい
そしてコレが偽物だった場合
別のエリクサーを探さないとならない
もし別のエリクサーを手に入れても
結果が出るのにまた1週間は掛かる
「でもフィート
大神官の見立てだとあと5日で...」
「クソ!!」
バキ!とフィートが机を叩き壊す音と共に
2人は落胆した
その頃ヴィクトリア達は書状を見せ
グレイシアの元に案内されていた
「そうですかミランドの娘が病気なんですね
友人の娘が病気なら協力しましょう
水桶を持ってきてそこに私の涙を入れれば
結晶になりますそれが龍の涙となるので
それを持ち帰るといいでしょう」
よし!とヴィクトリアが急いで水桶を貰ってきて
そこへグレイシアが涙を入れ龍の涙が完成した
「ありがとう龍の女王よ、この恩はいつか」
と、そこに大神官が割って入る
「お話中に失礼します!
エリクサーをお持ちではないでしょうか!」
「大神官!いきなり客人に失礼ですよ!」
確かにルア王国にならエリクサーはあるものの
今から帰って戻るとなると2週間は掛かる
それを聞いた大神官は肩を落とす
話を聞いていたブレイクがグレイシアに話しかける
「どこか悪いんですか?」
グレイシアがブレイクに優しく答える
「大丈夫よ坊や、少し体調が悪くて
エリクサーがあれは治るみたいなんだけれど」
グレイシアの坊やと言うのが
ブレイクの実母カルラと重なり
力になりたいブレイクがスイレンを見て
(わかってるわ御主人様でも
グレイシア自身が受け入れてくれるか
そこが問題ね)
「あの!」
とブレイクがグレイシアに話しかけた時だった
バタン!と勢いよく扉が開いた




