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第56話

メイベルを追いかけブレイク達は


急いでアーガルド法王国に向かい到着した


「街の中じゃ被害が大きくなるな

潜入するしかないノワが確かマールと同じ

隠密魔法が使えたな?」


とヴィクトリアがノワに確認し


ノワが1人単独でメイベルのところに向かう事に


「その間、僕たちはどうしますか?

僕もアーク兄《にぃ》も、とてもじゃないですけど

もう我慢は出来ないですよ?」


とブレイクとアークが今にも暴れ出しそうなのを


どうにか止めてメイベルを奪還する為に


ノワのサポートをする、と言ってもやる事はない


「それじゃあ、行ってきます」


ノワが隠密魔法を使いメイベルが


いるであろう大聖堂に向かった




「...あれから誰も来ないけど

私はどうしたらいいんだろう?」


とメイベルは自身の名前すら思い出せず


1時間程前に着替えを貰い


聖女、聖母特有の白いドレスに着替えていた


それから数時間を過ごすと


「...メイベル(小声)」


「え?私?」


とノワが隠密魔法を解き目の前に現れる


「え!?」


「しー

帰ろうメイベル」


とノワが手を差し伸べるがメイベルは


「私、メイベルって言うんですか?

それに貴女は?」


「私はノワ・クロノ・シルヴァ・ハート

貴女の義理の妹になります

貴女はメイベル・シルヴァ・ハート

ヴィクトリア・シルヴァ・ハートの娘で

ブレイク・クロノ・シルヴァ・ハートの姉で

アーク・シルヴァ・ハートの妻です」


いきなり言われてもと戸惑うメイベルにノワは


「今は時間がないの

あとで説明するから、急いで!」


「...わかりました」


とノワがメイベルの手を引き


隠密魔法を使いヴィクトリア達の元に戻る




宿を取っておりそこにヴィクトリア達は集まって


メイベルとノワを待っていた


「娘《メイベル》!良かった!

大丈夫か?怪我はないか!?それにその服...」


「あの...ありがとうございます?

えっと、ヴィクトリアさん?」


うっ...とヴィクトリアは心にダメージを受ける


「姉さん母さんが拗ねるので

母上と呼んであげてください」


「わかりました、ブレイクさん?」


さん付けにやはりブレイクも心にダメージを受けた


「メイベルは今、記憶が...なんと言うか

抜け落ちている感じなんだな

俺はアークよろしく」


「ありがとうございます

アークさん」


アークは心構えが出来ていたのか


ダメージは少なかったが


やはりくるものはくる


「なんか、変な感じだな

メイベルにさん付けなんてされた事ないからなぁ」


「そうなんですか?

私はどんな人物なんですか?」


と上目遣いでアークの顔を覗くメイベル


「...ずるいよなぁ」


「え?」


「いや、なんでもない

メイベルがどんな人物かかぁ

とにかく真面目で...」


(私はメイベルよろしくアーク)


「...家族想いで」


(仕方ないわよ母上は忙しいから)


「...ちょうど俺が親と

疎遠になった時も優しくてさ」


(アーク!そんなにショボくれない!

行くわよ!何って!?買い物よ!

母上が待ってるから早くね!)


「...俺と家族になってくれるって時は嬉しかった

子供の話もしたんだ」


(男の子かな?女の子かな?

アークはどっちがいい?)


「...だけどちょっと怒りっぽくてさ」


(アンタは余計な一言が多いのよ!バカ!)


「...メイベルは素敵な女の子だよ」


とアークが涙ぐみながらメイベルに説明する


「...そうなんですね

私...そんな...」


「いや!無理にそうする必要はないし

てか絶対に無理があると思う!

だからゆっくりでいい!

俺もメイベルが嫌な事はしたくないから」


とアークがメイベルの手を握る


メイベルはその手を握り返し


「ごめんなさい、正直わからない事だらけで

アークさんの事は少し保留にさせてください

でも私はメイベル?なんですよね

それなら私は此処に居るべきだと思います」


するとそこにスゥとライトも現れ


「あ!メイベルが居る!」


「ほんとだぁ!」


ライトがメイベルの方に走って行き抱き付く


「あの...この子は?」


「お前の甥っ子の孫《ライト》だ」


ヴィクトリアが説明して


ブレイクが補足する


「僕とノワの息子です」


そうなんですねとメイベルが納得していると


スゥを見て


「それにこの方は?」


「スゥはスゥ!主のダイニフジンだ!」


「え?第2婦人ですか!?

ブレイクさん貴方って人は...」


とメイベルが頭を抱えるとヴィクトリアが


「娘《メイベル》、息子《ブレイク》なら第5婦人までいるぞ?」


「えぇ!?そうなんですか?

なんだが凄いですね...」


と弟のブレイクの事に驚いていたが


ライトにあそぼう!と誘われて


メイベルも遊びだした


主にスゥが馬になりライドレグをして


部屋を駆け回っていた




「聖母様が居ないだと!?

何をしていたんだお前達は!

急いで探せ!聖母様が居なければ意味がない!」


教皇が部屋に戻るとメイベルが居なくなっており


大慌てで教会専属の騎士団が街中を探し始める


それに索敵魔法で気付いたブレイクは


「母さんアーガルド法王国も

姉さんが居ない事に気付いたみたいです!

急いでルア王国に向かいましょう!」


ヴィクトリアが先導し皆が


メイベルを囲む様に移動を開始した




「あーあ、あのクソ野郎

聖母様に逃げられてやんのどうする?アプー」


女は組織のボスであるアプーに聞く


「はぁ?

あのクソ野郎はいつになったら学ぶのかねぇ...

お前ら!仕事だ!

雇い主は変わらずだが

俺達が信仰しているのはあの方だ!

わかってるな!」


と粛清組織は教皇に呼び出しをくらい


教会専属の騎士団と共にメイベルを探す


聖女、聖母専用の白い正装に身を包むメイベルを


囲み移動する、兎に角目立つ為


ブレイク達を探すのは特に難しい事もなく


街中でブレイク達は囲まれてしまった


「さあ、聖母様!

大聖堂に戻りましょう!」


騎士団の1人がそんな事を言う


「ねぇパパ?

このひとたちわるいひと?」


「そうだね姉さんを攫った悪い人だ」


「そっかぁじゃあ

ゴブゴブさんたちよぶ?」


ライトの提案はモンスターを


アーガルド法王国に襲撃させて


混乱に乗じて逃げ切ると言うものだった


「でも、一般市民に被害が出るなぁ」


「ゴブゴブさんたちに

このわるいひとたちだけと

たたかってもらえばいいの?」


「うん、ライト出来る?」


「うん!だいじょうぶ!」


とライトが大きな声で


「みんなぁぁぁぁぁあ!!!!!!」


その声にじゃーくんの魔力が乗っており


近くに居るモンスターは全て反応する


ゴブリン、ワーウルフ、オーク、オーガ


ワイバーン、キマイラが街に入って来た


「みんな!!!

このひとたちだけとたたかって!!!」


モンスター達はライトの指示に従い


騎士団に襲いかかる


「モンスターが!マズい!

聖母様に近付けるな!」


するとブレイク達が考えていた作戦とは


違う事が起き始める


アーガルド法王国のギルドから


冒険者がモンスターを討伐する依頼が


教皇から出されたのだ


「マズいな...これじゃあ

冒険者にも被害がでるな

ライト!モンスターを撤退させるしかない!」


「でも、いいの?

このままじゃにげれないよ?」


モンスターを撤退させなければ


ライトが傷付くのは明白だった


「いったい...どうしたら?」


メイベルが考える


「やっぱり私だけ残れば...」


「バカな事言ってんじゃねぇ!

俺達は誰も諦めてなんかない!」


とアークがメイベルに言い放ち


精霊融合《ソウル・ユニオン》をする


「そうだ娘《メイベル》

私はお前がどれだけいい子なのかを知ってる

小さい頃から苦労をかけてきたから

そんなお前が自己犠牲で残ると言うなら

私は此処に居る全員を倒してでも

娘《メイベル》を連れて帰る!」


アークに続きヴィクトリアも


精霊王化《スピリット・ユニオン》を既にしており臨戦体制だった


そしてブレイクが


「以前姉さんはこう言ってくれたんです

ブレイクは私の家族で弟だ!って

なら敢えて言わせてもらいます


メイベルは僕の家族で姉さんだ!」


皆の言葉にメイベルは


少しだけ記憶が蘇る


(初めまして僕はブレイクって言います

いきなり弟って言われてもビックリしますよね?)


(私は息子《ブレイク》にも甘い自覚はあるが

娘《メイベル》にも甘いぞ!?)


(婚約者作らねぇの?

そっか、なら...俺となるか?)


「...そう...ブレイクは私の弟

...私はメイベル・シルヴァ・ハート

私の母上はヴィクトリア母上だけで

私の夫はアークだけだ!」


「メイベル!思い出したのか?」


アークが嬉しそうにメイベルを抱きしめ


「全部じゃないですけど

えっと...グレンであってるよね?」


「なんだ忘れちまったのか?お嬢

ま、いっか!お嬢はお嬢だしな!」


メイベルが記憶を取り出しつつある事で


グレンとの繋がりも戻りつつあったが


そこに教皇もやって来て


「これは聖母様

さ、帰りましょう!

貴女様が居ればこの国も安泰です!」


その言葉にメイベルが反応し


「なにが聖母よ!

私はそんなんじゃない!

炎帝の聖女だか聖母だか知らないけど

私は私!メイベル・シルヴァ・ハートだ!

なにが帰りましょうだ!

人を勝手に攫っておいて!」


騎士団も段々と教皇の独断で


メイベルを攫った事に気付き始め


冒険者達も薄々気付き始めたが


「粛清組織!さっさと聖母様をお連れしろ!」


と不死の軍団である粛清組織のメンバーは


仕方なくブレイク達と対峙する


そしてアプーが


「面倒くせぇ

どうせ勝てないんだから諦めればいいのに」


その言葉にヴィクトリアが反応し


「なんだと!?

ふざけるな!!娘《メイベル》は私が必ず連れ帰る!」


「いやアンタに言ったんじゃ...」


「早く殺せ!その為の粛清組織だろう!

聖母様以外は殺して構わん!」


その言葉に周りはドン引きしており


「仕方ねぇやるか」


と粛清組織はブレイク達と戦闘を始めた


ブレイク達も最初は余裕で戦えていたが


ブレイク達はそもそも長期戦に向いていない


そのうちアークの魔力が切れ


メイベルがアークを心配して駆け寄る隙に


アプーに攫われる、そして教皇の元に辿り着くと


「よくやった!これで後の事はどうにでもなる!」


「...」


アプーが黙って教皇に従っている


その違和感はメイベルにもわかっていた


「聖母様?

粛清組織が私に従うのか疑問ですかな?

答えは簡単です此奴らが我らが聖女教、聖母教を

信仰する信徒だからです

私の言う事は聖女様、聖母様から

言うのと変わらない

その為...」


と、話が長い教皇の小言はいいとして


メイベルが気になったのは


“聖女様、聖母様から言うのと変わらない”


その言葉に引っかかった


「そうか!なら!」


「...ニヤ」


とアプーはメイベルが閃いたのを見て笑みを溢す


「粛清組織!私を全力で援護しなさい!」


とメイベルの一言で粛清組織は止まる


「なっ!?聖母様?

お前達!何をしている!

私の命令が聞けないのか!」


と粛清組織の女が話し出す


「我々は勤勉なる聖女教、聖母教の信徒です

教皇様にその様な事はないですよクソ野郎」


「なっ!?なんて物言いだ!

そんなんでは聖母様からの恩恵を受けられんぞ!」


「いや受けただろう?

聖母様に全力で援護するって言う

直接聞けるとなるといいもんだな

我々聖女教並びに聖母教は

今より!聖母メイベル様に仕える!

文句がある者は?」


とアプーの言葉に粛清組織の誰も手を挙げない


「なっ!?なに?

私は教皇だ!この国で1番偉いのだ!

何故、思い通りにならん!」


教皇の頭は禿げ散らかっていたがグレンが


「なんだか見苦しいなお前

だからそんな頭なのか

潔くツルツルにすればいいんじゃねえか?

オイラが手伝ってやるよ!」


と教皇の髪を全部焼き


教皇はツルツルではなくコゲコゲになり


「あれ?なんで焦げてんだ?

オイラ火力間違えたか?」


とグレンが教皇を挑発すると


「なんなのだ貴様!聖母様に寄って

貴様など炎帝様には頭も上がらんだろう!

だいたい...」


と教皇は知らない目の前のグレンが炎帝なのだ


光輪を見れば誰が見ても


高位な精霊なのはわかる事で


どう考えてもメイベルの隣にいるのだ


炎帝以外の何者でもないだろうと


バカでもわかる筈だったが


バカ未満の教皇はわからない様で


「なぁ、お嬢をこんなにしたお前に

オイラは腑煮えくり返ってるんだよ

この怒りをどうしてくれる?」


「貴様など炎帝様に焼き尽くされ...」


「「精霊王化《スピリット・ユニオン》」」


(お嬢少し身体借りるぞ)


(わかったけど、やりすぎないでね?)


とメイベルがグレンと精霊王化《スピリット・ユニオン》をして


主導権をグレンに与えると


「なぁ?オイラはどうすればいいと思う?

お前を殺したところでオイラの怒りは収まらない

この国を破壊したとてそれは変わらないだろう

オイラの契約者のお嬢は優しいんだ

お前にも温情を与えてくれとさ

もちろん断ったけど、オイラの不甲斐なさもあるし

お前に対しての怒りの感情が

止《とど》まる事を知らないんだ」


いつも温厚なグレンがブチ切れており


教皇の命は既に燃え尽きる事が決定しており


その後のストレスをどう発散させようか


グレンは考えするとアプーが


「俺達は不死の軍団だ

何をしても死にはしない聖母様に迷惑もかけた

クソ野郎のあとは俺達で発散すればいい」


「そうか!お前らいい奴だな!

殴られに来てくれるのか!」


「いや、痛いのは痛いんだぞ再生するのも」


とグレンのストレス発散方法が決まり


教皇に向き直るグレン


「まっ...まさか?

炎帝様だったとは、知らなかったんです!

どうか!温情を!お情けを!」


「もう、遅ぇ

お嬢にあんな思いさせておいて

ふざけんなよ

お前には聖なる炎で浄化をしてやるよ」


黒炎を大量に出してそれを合わせると


炎が段々と白くなり


聖なる炎と言うのもコレの事かと


周りは驚愕していたが


粛清組織のメンバーは


神々しい!や


アレが!など


各々炎帝の聖母の姿を見て感動していた


「白炎《びゃくえん》の禊《みそぎ》」


と教皇は白い炎に包まれ骨だけになってしまった

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