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第53話

ディルが産まれて3ヶ月が経った頃


国王ミランドも孫が産まれた事により


ヴィクトリア邸に頻繁に訪問していた


「ディル〜

おじいちゃんでちゅよ〜」


「あ〜!あ〜!」


とディルはおじいちゃんが嫌いなのか


ローラ王妃には懐いているが


国王ミランドが抱っこすると泣く


しかもギャン泣きする


「私には懐いてくれるけど

ミランドはダメなのね

どうしてかしらヒゲのせい?」


確かにブレイク達の周りでヒゲが生えているのは


国王ミランドだけだった


「...仕方ない、剃るか」


「それでも泣かれたら

ミランドが嫌いって事になるわよ?」


ローラ王妃が国王ミランドにそういうと


まだヒゲのせいにしておきたいのか


ヒゲを剃るのを諦めた


「なんだがディルがすみません陛下」


「ブレイク、陛下ではなく

父と呼べと言っただろう?

ティラの夫は我が息子と同じだ」


「そうよブレイク

私も母と呼んで欲しいけど

それはヴィクトリアが怒るかしら」


「そうですね

お義父さんお義母さん

...ってなんか変な感じしますね」


とそれを聞いていたヴィクトリアが


「母...さん...だと?」


「あーあ、知らないわよブレイク

母上このあと絶対、拗ねるからね」


メイベルが言った通り


ヴィクトリアが...私が母さんじゃないのか?


と拗ね始め宥めるのにブレイクは苦労した


「ブレイク

ヴィクトリアを宥めている時に悪いんだけど

ディルの事で話があって来たの

ディルは王太子として育てる事になると思うわ」


「う〜ん、わかってて

ティラと結婚したんですけど

ディルがどうしたいか

まだわかる歳じゃないからなぁ

ディルも今はシルヴァ家ですから

僕はディルが嫌がるなら反対しますけど...」


とローラ王妃とブレイクの話にヴィクトリアが


「私の孫《ディル》は誰にも渡さんぞ!

王になりたいならそうすればいい

なりたくないなら私は

ミランドの敵になってでも戦う」


ルア王国の特級Sランクの


パーティリーダー2人が


敵に回るとなるとルア王国の兵達に勝ち目はない


それに2人ともそれぞれのパーティのメンバーも


2人に協力するだろうから尚更、勝ち目がない


「無理強いは良くないけど

考えておいてね

いつ誰がディルの事を

利用しようとするかわからないから」


「それは王位継承権の事ですか?」


「...」


ティラがディルを抱いて不安そうにブレイクを見る


「大丈夫だよティラ

何があっても僕がどうにかする」


とブレイクがティラを安心させる


「...そう、わかったわ

まだ先の話だからその時に決めればいいわ」


とローラ王妃がティラからディルを受け取り


高い高いするとディルはキャッキャ喜んで


その場の皆が癒されていた




クレアとメルの子供達


ティアとルベルは床に座り


「あ〜あ〜」


「あぶぅ」


と2人は互いの顔を見て何やら会話をしている


そんな微笑ましい2人をメイド達や


使用人達もこぞって可愛がる


「ティアお嬢様〜

ルベル坊ちゃま〜

こっち向いて〜」


ティアとルベルがメイド達の方を向くたびに


黄色い歓声が上がるというそんな日々が続いた




ノエルはよく寝る赤子で


あまり泣かないし手のかからない子で


いつもスゥと昼寝しており


それをブレイクは見ながらスゥの頬を撫でる


「...ん?なんだ主、一緒に寝るか?」

 

とベットに入る様に言われ


ノエルを真ん中にして川の字になって横になって


ブレイクはスゥとノエルを見ていた


(ノエルは本当に泣かないし

ずっと寝てるなぁなく時もお腹がすいた時と

おしめを変える時くらいだし

わかりやすいからライトやディルと比べると

手のかからない子だなぁ

ティアとルベルは互いに遊び相手なのか

ずっと2人で遊んでるしなぁ)


するとスゥがブレイクの手を握り


ニコッと笑いブレイクにキスをし寝始めた


「...なんか2人とも自分に素直だよなぁ」


と寝ている2人を見ながら


その日はブレイクも昼寝をして過ごした


夕方ブレイクが起きるとノエルもスゥも居なかった


焦ったブレイクは探索魔法を使い2人を探すと


皆で子供達と広間に居た


「ビックリしたぁ...いきなり居なくなるから

どこ行ったかと思ったよ」


とブレイクが広間に入る


「主、気持ちよさそうに寝てたから

邪魔したら悪いかと思って

そしたらちょうどヴィクトリア達が

集まってたからノエルも

遊ばせようと思ったんだけど

ずっと寝てる本当にこの子は起きないな〜」


とノエルを抱っこしていると


ライトがスゥに近付いてきて


「いいこ〜いいこ〜」


とノエルをナデナデしていた


「前までだったらギャン泣きしてたのに

お兄ちゃんの自覚が芽生えたのかな?」


ノワがライトを見て感心していた


「そうかもね

ライトも掴まり立ちとか

単語なら喋れる様になってきたし

子供の成長は早いね」


ブレイクは子供5人を見ながらそう言うと


ヴィクトリアは


「もっと増えてもいいぞ!

孫は何人いてもいいからな!」


と次の孫はまだかとブレイク達に催促してくる


「それならまず姉さん達でしょ、ね?アーク兄《にぃ》」


と突然話をふられたメイベルとアークは


急に焦り始める


「...その反応は、まさか!」


とヴィクトリアがメイベルを問い詰めると


「最近いつものが来ないから

昨日シスターメリアのところで

確認してもらったら

妊娠2ヶ月って言われて...」


ヴィクトリアにはメイベルのお腹は


少し膨れている様に見える気がした


「俺も昨日一緒に付いて行ったんで

ヴィクトリアさんにいつ言うか迷ってたんだけど

このタイミングで言う事になるとは...」


ヴィクトリアは歓喜のあまり


メイベルを抱きしめようとしたが


ブレイクがどうにか時間魔法でそれを止める


「前にも言いましたけど

妊婦に激しい事はしないでくださいね、母さん」


「なんだか

いつも、すまないな息子《ブレイク》」


と自身の感情のコントロールが


出来ていないヴィクトリア


そんな人物なのは皆が知っている事だった


妊婦に激しい運動はやめて欲しいものだが


「娘《メイベル》に赤ちゃんかぁ...そうかぁ...」


とヴィクトリアはとても嬉しそうで


メイベルのお腹をさすり


ノワの時と同じ様に


孫はまだか?とメイベルに聞く


メイベルはまだ先ですよと


ヴィクトリアに言い聞かせる




メイベルが妊娠半年になる頃


ライトは1歳半になり


ダークエルフと人族のハーフの


ライトは成長速度が早く


人間換算するとライトは3歳の大きさになり


特にライトはもう走り回っていた


「ライト坊ちゃま!

危ないですからそこから降りてください」


と庭師の脚立に登っていたライトが


メイド達に心配され


脚立から落ちそうになると


ブレイクがどうにかキャッチし


「パパァ!」


「もう、パパァ!じゃないよライト?

危ない事はしない約束だろ?」


えへへとブレイクが構ってくれるのが嬉しいのか


また脚立に登ろうとライトがする為


急いでメイド達が脚立を片付ける


ライトは下唇を突き出しイジけるが


ブレイクに抱っこされて機嫌が良くなり


ブレイクがノワを連れてライトを公園に連れて行く


「そっかライトがそんな事をしたんだ

構って欲しい時期なのかな?」


ノワとライトを見ながら一緒に遊んで


それを見ながらブレイクが


「う〜ん、でも危ない事はさせられないから

気を配る必要があるのはちょっと疲れるね」


「でも坊やライトは

ダークエルフと人族のハーフだから

身体は人族より頑丈なんだろう?

そんなに心配しなくても大丈夫じゃないかい?」


とカルラがライトを撫でながら


「ばぁば!」


「なんだいライト

孫ってのはいいねぇ可愛くて

坊やは小さい頃から賢くて

子供っぽくなかったからねぇ」


とブレイクの昔の話を聞けてノワは嬉しそうだ


「ブレイクはどんな子供だったんですか?」


「そうだね、ノエルに少し似てるかな

泣かないし寝続ける事はなかったけど

お腹が空いて泣いたり

オシメを変えるタイミングで泣いたりしたねぇ」


とカルラがブレイクの話をしていると


「僕の話はいいよ...

それよりノワは子供の頃どうだったのさ」


「坊や達、アンタらはまだ子供だよ」


カルラのツッコミにブレイク達は笑い出す


「そっか...まだ14歳だもんなぁ、僕もノワも」


そろそろノワの誕生日が近いので


ノワは先に15歳になるが2人ともまだまだ子供だ


とカルラが2人を撫でる


「これから大変だろうが仲良くするんだよ?」


「うん大丈夫だよ

ね、ノワ」


「うん、これ以上妻が増えなければね」


それはないでしょ、とブレイクは言うが


そんなのわかんないよ、とノワが拗ねていると


「パパ!ママ!」


とライトが2人を呼び


2人はなんだろう?と近付くと


2人に抱き付きほっぺにそれぞれチュウをする


「えへへ、なかよし」


とライトがそんな事をするから


ブレイクとノワはライトに抱き付き返した


するとそこにトラリが通りかかった


「弟!ライトも元気か?」


「トラリ!だっこ!」


とライトがトラリに抱っこを要求する


「はいはい、抱っこなぁ」


とライトをトラリが抱っこし


キャッキャ笑いながら高い高いをしてもらっていた


「トラリ姉さんは今帰り?」


「あぁ、アデル達とさっき別れたところで

見かけてから寄ったんだ」


トラリが所属している


アデルのパーティ烈火の剣は


最近1番勢いのあるパーティで


パーティメンバーも一般市民に人気が高く


アデルを除く女性3人の人気が特に高かった


「弟は子供も相手もいるからいいよなぁ

私なんて相手は見つからないし

最近は討伐依頼ばっかりで

兎に角疲れるし、なんかなぁ...」


トラリは愚痴を溢すが


それでも仕事なのでトラリは一生懸命


仕事をこなしていって今に至る


「姉さんは今ランクいくつだっけ?」


「今はCランクだなぁ

アデルがBランク昇級試験が

きたって喜んでたけど

どうなるんだかわかんないしなぁ」


「そっか...烈火の剣はもうそろそろBランクか

それより先が大変って聞くけど

僕は初っ端からBランクだったから

そのへんはわからないなぁ」


「なんだ弟、自慢か?」


そんなつもりはないとトラリに弁明するが


トラリはそんなに言うならライトを持って帰るぞと


それは困るなぁ、とブレイクはノワと苦笑して


トラリはライトをブレイクに返し帰宅する


「そろそろ日も暮れるから帰ろうか」


ブレイクがライトとノワを連れ家に帰る


買い物帰りのヴィクトリアとメイベル


そして荷物持ちのアークとばったり会った


ヴィクトリアは持っていた荷物を


アークに預けてライトを抱っこする


既にいっぱい荷物を持っているアークに


更に荷物を預けるとアークの腕は限界を迎える


ブレイクとノワが急いでアークから


荷物を受けとりどうにか家まで帰る


その間もヴィクトリアはライトを抱っこして


1人、上機嫌だったが


翌日ライトが居なくなった


ヴィクトリアが大慌てで街中を探し回り


ブレイクは探索魔法の範囲を一気に広げ


ライトの気配を探る


するとライトは迷いの森の奥に居る事がわかり


急いでブレイクはライトの元に走った


ブレイクがそこで目にしたのは


「ゴブゴブさん!ワンちゃん!」


ゴブリンの群れとワーウルフの群れが


ライトを取り囲み...と言うよりは崇められている?


「ライト?何してるの?」


「パパ!

ゴブゴブさんとワンちゃんがケンカしてたから

メだよ!っていってたんだぁ」


ライトは何故かモンスターと意思疎通が取れる様で


ブレイクが来てもモンスターに襲われる事はなく


ライトがゴブリンとワーウルフを


それぞれの縄張りまで送っていき


そのあとはブレイクと共に家に帰った


(ライトはなんだか普通とは違うんだなぁ

モンスターを怖いとは思わないみたいだし

意思疎通が取れていた

それに...崇められていたしやっぱり

気のせいじゃなかったのかな?)


以前ブレイクはライトを見て


時の魔力を感じ取ったと同時に


ライトの中に邪神の気配がしていたのだ


その時からノワに邪神の気配は消えており


ライトが代わりに邪神を封印する


人柱になってしまっていた


(皆にも話しとかないといけないよなぁ

この先のライトが心配ではあるけど

今のところ悪い影響はなさそうだし

...大丈夫かな?たぶん)


とブレイクがライトに思うところはあるものの


ヴィクトリア達が心配している事を考えると


さっさと帰った方が良いと判断し


ライトを抱っこしてブレイクは急いで帰った


「孫《ライト》ぉぉ!!!

どこ行ってたんだぁ!?

おばあちゃん心配したんだぞ!?」


と珍しくヴィクトリアがライトを叱ると


ライトはシュンとして


「ごめんなさい、ばあちゃ

ゴブゴブさんとワンちゃんがケンカしてたから...」


と今回の話をブレイクから皆に伝えると


「モンスターと意思疎通が取れるか...

確かに邪神との関連性を疑うな」


ヴィクトリアはライトを心配するが


特に何も出来ないので一旦、抱きしめる


「私の中に封印してた邪神が

ライトに移ったって事?」


とノワがブレイクに聞く


「たぶんだけど、そうだと思う

しかもその力をライトは自然と使えてる

邪神みたくモンスターを産み出す事はない

と思うけどモンスターを操る事が

出来てしまっていたからね」


それを聞きノワがあたふたし始め


それにライトが不安そうにしていると


「大丈夫!ライトはママが護るから!」


とヴィクトリアからライトを受け取り抱っこする


「ママ?」


とノワに抱き付くライトはまだ小さい子供だ


その力をどうこう考えるのはまだ先でいい


ブレイク達はそう判断し


一旦は様子見にする事にした




『チッ、気付かれたか

ガキだからブレイク達よりは

簡単に堕とせるだろう

邪魔さ入らなければな


...にしてもゴブリンをゴブゴブさんか

ワーウルフもワンちゃんと言っててが

アイツはモンスターが怖くないのか?

おかしな奴らが産んだ子供は

やはりどこかおかしいな』


と邪神はライトの中で復活の機会を伺っている


しかし、これが思わぬ方向に転ずる事になるとは


邪神自身も考えていなかった

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