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第52話

「...で、結局どうなったの?

アークは無事?」


と心配そうにアークを見つめるメイベル


アークは自身の妻にすると


ヴィクトリアに宣言した事を思い出し


「俺は大丈夫

あの...メイベルさん?」


「何よメイベルさんって、気持ち悪い」


今までさん付けなんてされてこなかったメイベルは


少し新鮮だなぁと思いながら


アークの話の続きを聞く


「えっと、ヴィクトリアさんにな

あの...メイベルを妻にするって宣言したんだ」


「え!?なっ...何言ってるのよ!?

いや、確かに婚約者だから

そのうちとは思ってたけど...でもなんで!?」


するとヴィクトリアが話に入り


「はっきりさせておいた方が良いかと思ってな

アークが私の前で宣言できるか試したんだ」


メイベルはアークを見て恥ずかしそうに


「私...どうしたらいい?」


とアークにくっ付きそれを見たヴィクトリアは


「娘《メイベル》、15で結婚はまだ早いぞ

...と言いたいところだが

私も今の娘《メイベル》の年齢で結婚しているから

反対は出来んな...

でも、まだ子供は早いぞ!」


アークがメイベルを見つめ合い


「子供かぁ...メイベルは欲しいか?」


「うん、アークとの子供が欲しいな」


「そっかぁ...

でもその前に結婚しないとだな

親父と母さんがビックリしそうだから」


するとメイド長が


「失礼ですが

お二人とも避妊はされましたか?」


とぶっ込んだ質問にヴィクトリアが驚愕し


「...は?」


と、口が開きっぱなしになっていた


ブレイクはメイド長の言葉に頭を抱える


「こうならない為に口止めしておいたのに

母さんの前で言っちゃったよ...」


ヴィクトリアがメイベルに確認する


「...まさか、もうしたのか?アークとか?」


「えっと...はい」


恥ずかしそうにメイベルは肯定する


するとヴィクトリアはアークの肩を掴み


「責任取れるんだよな?」


アークに詰め寄るとアークは真剣な表情で


「はい」


「...そうか、わかった」


とヴィクトリアは納得したのか


アークを婿に迎える事を


魔道具を使いユージーンに伝え


「...婿だからアークはシルヴァ家になるのか

よろしく頼むよヴィクトリア」


「あぁ、わかった

マリアの調子はどうだ?」


ヴィクトリアは妊娠5ヶ月のマリアが気になり


ユージーンに話を聞く


「特に変わりはないかな?

食の好みは少し変わったくらいだね」


そうか、とヴィクトリアはユージーンに


今度、マリアの見舞いに行くと伝え


魔道具の通信を切った


「これで正真正銘アークは僕の兄さんになったね

改めてよろしくアーク兄《にぃ》」


「ブレイクが義理の弟かぁ

まあ、そっかぁ...」


ブレイクの頭を撫でているアークは複雑な表情で


それを見たメイベルは口を尖らせていた


「姉さん、そんな顔しないでください

アーク兄《にぃ》と姉さんは夫婦になるんですから

アーク兄《にぃ》もボーッとしてないでほら!」


とブレイクはアークの手をメイベルの頭に乗せ


ヴィクトリア達を連れて


ティラの様子を見に行くのに


メイベルとアークを2人きりにする


「...なんか気まずいな」


とアークが手を離そうとした時


メイベルに手を固定され


「...撫でてくれないの?」


とアークは上目遣いをされ断る事が出来ず


そのままメイベルの頭を撫でた


「...コレいつまで続けるんだ?」


とアークがメイベルに聞くと


「満足するまでじゃ...ダメ?」


とアークに抱き付くメイベルだった


アークもメイベルに抱き付き返し


「これからもよろしくなメイベル」


「うん...私はノワと違って

第二婦人とか認めないからね」


「ねぇよ、メイベルだけだ」


とそんな会話を盗み聞きするブレイク


「ブレイク?悪趣味だよ?

人の恋路を勝手に盗み見るのは」


とブレイクはノワに怒られ


ブレイクはノワと共にティラの元に向かった


ヴィクトリア達が先にティラの部屋に入っており


「遅かったな、何してたんだ?息子《ブレイク》」


「いえ、なんでもないです

それよりティラはどう?」


ティラはベットで横になっており


「うん、今は横になってれば大丈夫」


少し不安そうな顔を見たノワは


ブレイクの手を引き


「ティラ、無理しないよ

甘えたい時は甘えればいいんだから

ブレイクも鈍感なところあるから

言わないとわかんないし」


とブレイクをティラの側に居させて


ノワが2人きりにさせてあげようと


ヴィクトリア達と共に部屋を出る


「...ノワには悪い事したわね」


「そうかもしれないけど

今はティラのことが大切だから

ノワも気を遣ってくれたんじゃないかな?」


ブレイクは妻達が


仲良くしてくれればそれで良いと考えていて


妻達の戦いにはあまり介入していなかった


「そういえばスゥの方は大丈夫なの?」


「うん、特に何も言ってなかったけど

大丈夫だと思うよ」


そう、とティラがその後少し黙る


「ティラ?どうしたの?」


とブレイクがティラを心配して近付くと


ティラに腕を掴まれベットに引き摺り込まれた


「ティラ!?」


「...ブレイク、少しだけこのままでいさせて」


と甘えたいティラをブレイクはそっと抱き寄せ


「今日このあとは2人で居ようか」


とティラを目一杯甘えさせるブレイクに


「別に...貴方がそうしたいならそうすれば?」


とツンツンしているティラだった


ブレイクはティラのおでこにキスをして


2人は昼寝を始めた




ヴィクトリア達はスゥのところに集まっていた


「あ〜!あ〜!」


とライトがスゥの顔を見て


ヴィクトリアの腕の中で暴れる


ヴィクトリアが名残惜しそうに


ライトをスゥに渡すと


ライトはスゥの顔を触りご機嫌だ


「キャッキャ!」


笑いながらスゥと戯れるライト


それを見てヴィクトリアやカルラ、グレイシアの


おばあちゃん組は羨ましそうにしていた


「やっぱり孫となると可愛いな

私はこうやって孫を見れるだけ幸せ者だよ」


とカルラが言う言葉には


一度死んだ過去があるという経験の重みがあった


「そうですね、坊やの子供ですかぁ

息子達も早く相手が見つかれば良いのだけれど

暫く無さそうだから...

それにしてもライトちゃんは可愛いですね」


とグレイシアもライトが可愛いのか頭を撫でる


「御主人様《マスター》の子供かぁ

未だなんて呼べば良いのかわからないのよね

坊ちゃん?ご子息?」


「普通にライトで良いんじゃないのか?

スゥもそう呼んでる主の呼び方は変わらないけど」


とスゥがライトと遊びながらスイレンと話す


「でも、孫《ライト》はノワの息子だから

将来は魔王になるのか?」


「どうでしょう?

父様が後継は欲しそうにしてましたけど

本来魔王は子供に受け継がれるものじゃないので

皆に選ばれた者が次の魔王になりますから

ライトは...たぶん関係ないと思うんですけど」


ヴィクトリアの質問にノワが答える


「まぁでも孫《ライト》はブレイクとノワの息子だから

強くなりそうだな

どんな子育てをしようと思ってるんだ?」


「あんまり考えてはないんですけど

ライトがやりたい事をやらせてあげられれば

私はそれで良いんですけど

ブレイクがなんて言うかなぁ?」


ブレイクの性格を考えるとノワの教育方針に


乗っかってきそうだと話が弾む


「そういえばアーク達は今何しているんだ?

娘《メイベル》の夫になるんだ

子供の事でも話してるのか?」


するとメイド長が


「お二人なら先程

街に出かけていきました」


「そっ...そうか

日暮までに帰ってくれば良いが...

いや、それも違うか...

もう夫婦になる仲だ大目に見よう」


ヴィクトリアの予想通り


2人は日が暮れても帰って来なかった


するとブレイクとティラが起きてきて


「あれ?姉さんとアーク兄《にぃ》は?

...母さんそんな顔しないでください

僕が探してきますから」


ブレイクは探索魔法を使い


街に2人を探しに出た


すると、アークとメイベルは


雑貨屋に行っておりブレイクは雑貨屋に入ると


「これが良いんじゃないか?」


「いや、母上の髪に合うのはこっちじゃない?」


と2人でヴィクトリアにプレゼントを選んでいた


2人が選んでいたのは髪飾りで


ヴィクトリアがいつも


ポニーテールかハーフアップにするので


結び目のところに着けれる髪飾りを選ぶのに


時間がかかっていたのだ


「メイベルに似合えば

ヴィクトリアさんにも似合うだろうなぁ」


とメイベルに髪飾りを着けさせると


「私は良いのよそれより...」


「綺麗だなメイベル」


すると顔を真っ赤にしてメイベルはアークを叩く


「私は良いって言ったでしょ!」


「なんだよ本当の事だろ!

照れ隠しで叩くなよ!痛ぇから!」


2人の夫婦漫才にどこで声をかけようか


迷うブレイクだったが埒が明かないので


「2人とも母さんが心配してますよ

早く決めて買って帰りますよ〜」


「え!?マジか本当だもう日が暮れてらぁ

メイベルに似合うからコレにしよう!」


「いや、こっちのヤツ!」


「もう2つとも買えば?

プレゼントなんていくつあってもいいんだから」


とブレイクの提案で


銀色の髪飾りを買いそれぞれ


ブレイクの瞳の様な


赤い装飾がされている物をメイベルが選び


メイベルの瞳の様な


青い装飾がされている物をアークが選んで


急いでヴィクトリア邸に帰った


「...帰ったか」


「すみませんでした!

俺がメイベルを無理矢理

付き合わせたんで俺の責任です」


アークが開口一番謝罪をし


ヴィクトリアはメイベルにも視線を合わせると


「すみません、母上

私も調子に乗って色々見漁ってたので

2人の責任なんです」


見漁って?とヴィクトリアが聞くと


2人は雑貨屋で買った髪飾りを


ヴィクトリアにプレゼントした


「そうか、コレの為に...2人ともありがとうな

だが!次からはもう時間は気にするな

夫婦になる仲だそれくらいは許そう」


とヴィクトリアから許可が出て


2人は夜も外に出れる様になった


ヴィクトリアはと言うと2人からのプレゼントに


ニマニマしてご機嫌だった


「それにしても姉さんとアーク兄《にぃ》は

なんでこの色の髪飾りにしたの?」


ブレイクの質問に


「私はブレイクの瞳の色と

同じ方が良いかなぁって思って」


「俺はメイベルの瞳の色と

同じ方が良いと思ったから

この配色のやつにしたんだ」


と息子と娘が大好きなヴィクトリアに合わせての


考えでヴィクトリアはメイベルとアークを抱きしめ


嬉しくなって撫で回していた




日替わりでヴィクトリアは


メイベルとアークが選んだ髪飾りを着け変え


鏡を見てライトに


「良いだろう!孫《ライト》!

娘《メイベル》とアークが買ってくれたんだ!」


ライトは髪に何か付いてるという認識だったのか


「あ〜」


手を伸ばし髪飾りを取ろうとしていたが


ヴィクトリアが高い高いをすると


それも気にならなくなり


キャッキャ喜んでいた


ライトと遊んでいるヴィクトリアに


ブレイクは相変わらず


孫離れは無理そうだなぁと呆れられており


「母さん

ライトのご飯の時間ですから返してください」


「私が抱いていても魔力は渡せるだろう!

...このままじゃダメなのか?」


シュンとするヴィクトリアを


仕方ないとブレイクは抱っこさせながら


ライトに魔力を与える


「本当に母さんったら

まあ、助かりますけど

親の出番が無いじゃないですか」


「いいだろう?

可愛い私の孫《ライト》だぞ!

誰にもやらん!」


これはライトの将来も大変な事になるなぁと


ブレイクは考えていた




1ヶ月経つとクレアが破水した


ヴィクトリア邸でお抱えの医者に診てもらうのだが


あまりにも出血が多く輸血が必要だった


メルは妊婦という事もあり却下され


エルフ繋がりでダークエルフのノワが


輸血する事になったがノワの身体の安全を考えると


一定以上の輸血は危険だった


それでもクレアの出血は止まらず


「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」


メルが呼びかけても意識が戻らない


そんな状態を聞きつけてとある人物が


ヴィクトリア邸に飛び込んできた


「クレア!死ぬんじゃない!

先生!私の妹を助けて!」


以前のパーティのリーダーであるミューラが


クレアに輸血する為に急いで駆け付けたのだった


他のエルフのメンバーは


「ハーフエルフの事を妹だなんて!

何言ってんだ!?」


などとミューラを止めようとするが


「うるさい!

邪魔だからお前らは静かにするか出てけ!」


ミューラの言葉に圧倒され渋々エルフ達は


静かにする事にした


ミューラの血がクレアに輸血され


無事、女の子を出産した


「よかった、クレア意識もはっきりしてる?」


「はい、ミューラさん

ありがとうございます」


ミューラはクレアの頭を撫でて


「ひとまず安心した

メルも輸血が必要ならすぐ行くからね」


「うん、ありがとう

ミューラさん」


う〜ん、とミューラが唸ると


クレアとメルはどうしたのだろうとミューラを見る


「お姉ちゃんって呼びなさい

2人とも私の妹という事にするから

困った事があったら言う事!」


クレアとメルはミューラに嬉しそうに


「「うん!お姉ちゃん!」」


と抱きついたのだった


翌週メルも破水し


ミューラも急いで駆け付けたが


特に輸血が必要という事もなく


無事に男の子が産まれた


クレアの娘がティア


彼女はハーフエルフ特有の


クレアと同じ水色の肌に


ブレイクと同じ純白の髪をしたハーフエルフで


メルの息子がルベル


ルベルはブレイクと同じ人族の肌の色に


メルと同じ銀髪のハーフエルフで


シルヴァ家の特徴そのままだった




「主、赤ちゃんそろそろかなぁ?」


と妊娠9ヶ月目のスゥはお腹が膨れており


ブレイクも楽しみにしていた


「もうちょっとじゃない?

あと1ヶ月無いくらいだと思うよ?」


「そっか、楽しみ」


スゥは嬉しそうにお腹をさする


その夜、少し早いがスゥが破水し


オギャーと産声をあげ女の子が産まれた


「主、産まれた?」


「うん、ってスゥは疲れてないの?」


「う〜ん...お腹すいたくらい?」


と特に出産において


なんの問題もなかったスゥは


翌日から普通に生活し始める


女の子はノエルと名付けられ


メソポリアのスゥの遺伝で特徴的な赤い髪色に


ブレイクの赤い瞳


肌はブレイクと同じで


人族の肌色をしていた


「ノエルか〜

赤ちゃん可愛いなぁ」


とスゥはテンションが上がり


ノエルを抱っこして走り回る


それを見たライトはギャン泣きし始めて


それを宥めるにはスゥが抱っこするしかなかった


ノエルはというと誰が抱いてもグッスリ寝ていた


泣く時といえばお腹がすいた時くらいで


スゥが母乳をあげるのを知らず


ロード・メソポリアのアリアに聞きに行って


母乳のあげ方を教わっていた


ちょうどギデンとマールの


息子ガゼルが掴まり立ちを始めた頃で 


スゥにくっ付いて歩いていた


順調に行っていたのだティラの出産までは


その肝心のティラの出産は難産で


出産までノワが6時間、スゥが3時間


クレアが9時間、メルが5時間


かかっていたがティラはというと


18時間その間、出血が続き


国王ミランドとローラ王妃に輸血を頼み


どうにか出産成功、母子共に無事だった


「ふぅ、どうにかなったわね」


「大丈夫ティラ?」


「大した事ないわよ

私だけ赤ちゃん居なかった方がショックだもの」


ティラが産んだのは男の子で


ディルと名付けられた


「僕の子供が5人も

ライト、ティア、ルベル、ノエル、ディル

...護るモノが増えたな」


と感慨深いのかブレイクは5人の子供を見て


ポロポロと泣き出していた


「ブレイク大丈夫?」


「主?どっか痛いのか?」


「もう、しっかりしてよね

...父親なんだから」


「大丈夫だよ

ブレイクしっかりしてるもん...ね?」


「なんで疑問系なの?お姉ちゃん

ブレイクは頼りになるから大丈夫」


と5人に心配されてブレイクは


「うん、大丈夫!

これから皆を幸せにしてみせる!」


と意気込むブレイクだった

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