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第48話

「なんなのよアイツ!」


トラリはブレイクの態度が気に入らない様子で


愚痴をこぼしていた


「ブレイクさんに生かされているようなもの

なんだから文句言わないの」


ナーラがトラリを宥め


廊下を歩いていると


「坊ちゃん!なぜですか!?

アイツら坊ちゃんに対しての

感謝の気持ちが足りないですよ!

文句の一つでも言いたいくらいです!」


使用人の1人が我慢の限界だと


ブレイクに訴えかけるが


「絶対にやめてください

あの人達は僕の客人です

文句なら僕が受け付けますから」


坊ちゃん...と使用人がそれは違うと黙る


ナーラ達の部屋にブレイクが入り


わざと掃除をしてないのを見ると


ブレイクが掃除をし始める


それを見たメイドが慌ててブレイクを手伝い始める


それをみたトラリは


「なんでアイツ...

私達の事嫌いなんじゃ?」


すると後ろで見ていたローグが話しかける


「そんな事はないと思うぞ

俺《ブレイク》は皆に頭を下げて

お主らの滞在を許して貰っていた

それでもヴィクトリアが1ヶ月期限を設けた

ヴィクトリア自身も気に入らないところは

あるようだしな

皆が皆、納得しているわけではない」


「じゃあなんで?私達に直接言わないの?」


「それは俺《ブレイク》が全てを堰き止めているからだ

先程のようにお主らに

迷惑がかからないようにとな」


ナーラは薄々気付いていたので


トラリを止めていたのだ


「おかしいよそんなの...」


トラリはブレイクに向かって行く


「...なんですか?」


「ごめん、ありがとう」


ブレイクは視線を合わせず


「...何の事ですか?」


ブレイクの態度にイラッとしたトラリは


「アンタが全部やってくれてるのが

気に入らない!しかもアンタは恩にも着せない!」


ブレイクはそんなトラリの言葉を聞き流し


「...そんな事ですか

貴女には関係ないことです」


するとカルラが話に割って入る


「坊や、いい加減ちゃんと話してやりなよ

どう向き合えばいいのか

わからないのは知ってるけどさ」


「別にあと3週間ぐらいしか居ない人達だ

僕には関係ないよ」


「なら何でそんなに2人に肩入れするんだい?」


「何の話?」


「使用人にもヴィクトリア達にも反対されて

それでもどうにか頼み込んで1ヶ月の期間を設けた

そんなに2人を気に入ってるんだろう?」


ブレイクはカルラにそんな事を言われて否定する


「そんな事はないよ

ローレル・クロノの尻拭いをしてるだけだよ」


と、話していても埒があかない


「とにかく仕事を探して出て行ってください

僕はそれの邪魔をされないようにしてる

ただそれだけですから」


とブレイクはまたナーラと


トラリから離れ屋敷内を見回る


2人が差別されないように




「とっとと出てってやる!」


とトラリが部屋で出て行く準備をすると


そこにメイベルが現れる


「その方が助かるわ

ブレイクの為にも早く出てってよ

私は許してない私の弟を

あんな目に合わせておいて

ぬくぬくと暮らすなんて」


あんな目に?とナーラがメイベルに聞く


「え?聞いてないの!?

ブレイクは...」


「何やってるんですか!姉さん!」


ブレイクがメイベルの話を遮り


メイベルを連れて行く


「あんな目...ってどんな目よ」


とトラリがブー垂れるが


ナーラはブレイクの事が気になり


ヴィクトリアに話を聞きに行く


ヴィクトリアは比較的


ナーラにも話をしてくれる人物で


ブレイクと出逢った話から今までの話を聞いた


「...そうですか、すぐに出て行きます」


「仕事も住む場所もないのにか?

息子《ブレイク》がわざわざ1ヶ月の滞在の

許しを私に得たんだ

ちゃんと考えてから行動に移せ」


といつもよりキツめの言い方をする


ヴィクトリアだったヴィクトリア自身も


ナーラ達を良くは思っていない


だがブレイクがそれを止めている為


ヴィクトリアは我慢していたのだった




それから2週間が経ちナーラは職が見つかり


住み込みで働く事が決まった


そこにトラリも住む事になり


トラリは冒険者になる為に


ギルドで試験を受け見事合格した


ブレイクが選別で大金貨2枚をナーラに渡し


2人はヴィクトリア邸を出て行った




「え!?

3ヶ月は試用期間で給料が出ないんですか!?」


実際に住み込み先でその事を聞くナーラ


「そうだよ?それに1ヶ月働いて

大銀貨3枚だけど家賃として銀貨5枚は貰う

今月からね、払えるかい?」


確かに部屋の広さなどから相場より安いが


本来一文なしのナーラ達には無理な条件だったが


それを予想していたかのように


ブレイクは大金貨を2枚渡していた


大金貨1枚で4人家族が2年くらいは暮らせる金額だ


それを踏まえてブレイクはナーラ達を


困らせないよう動いていた


「...いったいなんなのよアイツ

どうせ親から貰ったお金でしょ!」


トラリは知らないブレイク自身


特級Sランク冒険者だという事を


その事実を知るのは数日後の事だった




『復活まであと1ヶ月程か...

オークが10000

ワーウルフも6000まで増えた

あとは時期を待つだけだな』


邪神の復活まで1ヶ月もないが


ブレイク達はそれを知っている


邪神の奇襲は奇襲では無くなる




「...ふぅ

これでやっと終わった、疲れたなぁ」


と自室で背中を伸ばしていたブレイク


そこにローグがノックして入る


「俺《ブレイク》、もうすぐ邪神が攻め込んでくる頃だ

準備しておけ

...どうかしたのか?」


「いえ、なんでもないです」


ブレイクはオリハルコンの大剣を触りながら


考え事をしていた


(これで心残りはない

大丈夫、皆がいる邪神にも勝てる)


翌日


ブレイクはナーラ達の事が気になっており


訓練にも集中出来ずにいた


それを見たローグが


「気になるなら話して来い

このまま腑抜けた状態じゃ足手纏いになるぞ」


「別に腑抜けてなんて...」


ブレイクの状態は皆が見てもわかるくらい


集中出来ていない


皆もブレイクにナーラとトラリに


話してくるようにと訓練は中断された


ブレイクがギルドに向かうと


ちょうどトラリが依頼を受けるところだった


「...なに?アンタも冒険者なわけ?

どうせ大したランクじゃないんでしょ?」


トラリがブレイクを挑発すると


「おい!バカやめろ!

ブレイクは特級Sランクだぞ

お前じゃ瞬殺されてもおかしくない」


とアデルがトラリを抑える


「特級Sランク?なによそれ?」


アデルのパーティに入った


トラリはブレイクの強さをまだ知らない


「今お前はEランクだろ?

1番上がSランクだ、表記上はな

だけどその上があるんだ

銀の舞姫達銀翼がまず特級Sランクになった

それと並んでブレイク達

夜明けの旅人も特級Sランクになったんだ

つまりこの国の切り札って言っても

過言じゃねぇんだよ」


その事実にトラリは愕然とする


「...なら何であんな事したんだ

オマエが命令したら周りは

何でも言う事聞くのか?ふざけんな!!」


トラリは1人で街に飛び出す


アデルがそれを止めに外に出たが


見つからないするとブレイクが


「アデル、僕が探してくるよ

話したい事もあるしね」


ブレイクが探索魔法を使いトラリを探す


するとナーラが住み込みで働く食堂の近くに


いる事がわかりブレイクはちょうどいいと


2人に話に行こうと向かった




「何なんだよアイツ!何で...」


トラリは自然と母ナーラが働く


食堂の近くに来ていた


「お腹すいたな...でもお金ないしなぁ」


「なら付いてきなよ

ご飯を食べながら話そう」


後ろにはブレイクがいた


「なんでオマエなんかと!」


「話があるからだよ」


淡々と答えるブレイクがトラリを連れて食堂に入る


入ってきたブレイク達にナーラが驚いていたが


ブレイクが店主に


「すみません金貨1枚でナーラさんを

今日休みにしてもらえます?

それと個室を使いたいんですけど」


「きっ...金貨!?...わかりました

ナーラ後ろの個室使いな」


とナーラの案内で個室に入る


ブレイクが椅子に腰掛けると


突然トラリがナーラに話し出す


「コイツこの国で1番強いんだって!

その強さでなんでも出来るから

私達をバカにしてるんだよ!

特級Sランクだかなんだが知らないけど

もうアンタには関係ないだろ!

話なんかない!」


「トラリ!貴女はどうしてこうも

ブレイクさんの厚意を無駄にするの!?

ブレイクさんはまだ何も言ってないじゃない!」


と親子喧嘩が始まるとブレイクが笑い出す


「なんだよ!何がおかしい!」


ブレイクはひとしきり笑うと


「いや、おかしいんじゃなくて

羨ましいと思ってさ

僕は没落貴族どころか普通の家庭でもなかった

奴隷商にいた奴隷の子供だったんだ

そんな僕を必要としたのは実母のカルラだった

彼女は片目を潰されて

人が怖くてもおかしくないのに

僕にも他の人にも優しくしてくれる人だった」


「だった?居ないのか?」


トラリがブレイクの話を聞く


「いや確かに一度は死んだから

合ってはいるけどね

坊やその発言だと

もう居ないものみたいな感じになるよ?」


とカルラがブレイクの話を補足する


「その奴隷商が大型のモンスターに襲われて

僕とカルラ以外は全滅したんだ

僕は足に瓦礫が刺さって痛かったけど

目の前のモンスターを前にして

そんな事は考えられなかった

そんな中カルラは自身の命を犠牲に

悪魔召喚をして僕を助けた」


ナーラはヴィクトリアから話を


大体は聞いていたが


本人から事細かく聞く事になるとは


思っていなかった


「そんなカルラが最後に僕に言ったんだ

“生きろ”ってだから僕は一生懸命、生きる

そんな事を言われて数日の間

村を探して歩いた

そんな時に村を見つけてそこに

足を引きずりながら歩いた

でもね、そこの村長の指示で

村の門が閉まってしまったんだ

理由は僕らを襲った大型モンスターが

僕の背後に居たから」


「...そんな

でもアンタはこの国で1番強い筈だ

そんなモンスター簡単に倒せただろ!?」


「僕は当時8歳だったし

その時、戦う術を持っていなかった

死を覚悟したよ

でも、そんな時とある騎士様が僕を助けてくれた

それがヴィクトリアさん僕の今の母親だね

そんな母さんが僕を助けてくれて

傷も治してくれて

自身の養子にすると言い出して

旅をしながら色んな人に出会って今の仲間がいる

詳しい話はまだあるんだけど


僕が言いたいのは僕は家族が大切だ

血が繋がりとかは関係ないと思ってる

ローレル・クロノがどんな人物なのかは

わからないし、今更それがなんだって話だから

ナーラさんもトラリさんも僕にとっては

勝手に家族みたいなものだと思ってる

だから心配もするし仲良くもなりたい

それが貴女達に望まれないとしても」


ブレイクの言葉にナーラとトラリは


返す言葉が見つからない


「...困らせちゃいましたよね

すみません、でも何かあったら

僕を頼ってください

僕の出来る範囲でどうにかしますから」


とブレイクが個室を出ようとすると


トラリがそれを止める


「何勝手に帰ろうとしてんだよ!

お前は!腹違いでも私の弟だろ!?

なら!それらしくしろよ!

それにお前はまだ子供だろ!?」


トラリは涙を溜めながらブレイクに訴えかける


「トラリ、ブレイクさんが困るでしょ

...でも、私は正直言って貴方がわからない

何でそこまでしてくれるのか

トラリは半分血が繋がっているけど

私は繋がってない」


ブレイクはそこを突かれるとなぁと考える


「僕にもわからないです

でも、僕は貴女がトラリさんを叱る姿に

心が暖かくなりました

僕が家族と一緒にいる時みたいに

だから僕は貴女が好きなんだと思います

貴女がトラリさんの母親でよかったとも」


ブレイクはもう一度椅子に座り


2人と話し合った




「ありがとうございました

店主さんこれで今日は僕の奢りにしてください」


とブレイクは大金貨10枚を取り出し渡す


「...えぇ!?...わかりました

今日一日で凄い売り上げだなぁ...」


と店主もウキウキで料理を作り始め


他の店員もテキパキと仕事をこなす


「じゃあ、また

ナーラさんとトラリ姉さん」


とブレイクはトラリを姉と認めたようで


トラリも嬉しそうにして


「またな弟!」


とブレイクを弟と呼び3人は別れた


それからと言うと


ブレイクは訓練に身が入り始め


ブレイク対ノワやブレイク対スゥなど


ブレイクは時ノ精霊龍神王(クロノスタシス)で


連戦するようになった




そんな日々を過ごしていたブレイク達だったが


その日、邪神が封印から解かれた


『やっと...やっとだ

この日を待ち侘びた!

まずはブレイク!お前からだ!』


と邪神は高笑いをしながらモンスターの軍勢を


ルア王国に向かわせた




バハムートが持っていた封印石が割れた


「ブレイク!封印が破られた!

もういつ来るか、わからんぞ!」


それを聞いたブレイクは冷静だった


「まず母さんはユージーンさんと一緒に

国の防衛を僕達は邪神が封印されていた場所まで

一度、空から確認してきます」


その言葉にヴィクトリアは急いで


ユージーンに連絡をとり王城に向かう


「じゃあ行こうかノワ」


「大丈夫かな?ブレイク

どっちかは残った方がよくない?」


ノワの提案は一理あるが


ブレイクは邪神の軍勢がどのくらいの規模なのか


それに対してどれくらいの減らせるかを考えると


ノワと一緒に行ってバハムートとグレイシアに


モンスターを減らさせる考えだった


「グレイシアさんもバハムートも

移動速度は音速を超えるから

あっという間に帰っては来れると思うんだ

それにモンスターの数を少しでも

減らしておきたいあとは、姉さんやスゥもいるし

あ!そうだスゥ!」


「何〜?」


「ロード・メソポリアにも声をかけておいて!

全部を倒せはしないしラストワンになったら

戦力は少しでも多い方がいいから」


わかった!とスゥはギデン達


ロード・メソポリアの元に向かった

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