第44話
翌朝メイドから手紙を貰ったノワがヴィクトリアに
「ヴィクトリアさん
来週ぐらいに父様が来るって」
「そうか、どうしたんだろうな?」
手紙を読みながらノワが答える
「えっと...」
手紙の内容は
ノワが全く帰ってこないから心配なのと
ヴィクトリア達にお礼の品を持っての訪問だった
「ワイトも親だなノワが居なくて
寂しいならそう書けばいいなにな」
とヴィクトリアは笑いながらノワに話す
「もう、来なくても良いのになぁ...」
まぁ、そんな事言うなとヴィクトリアに宥められ
ノワはブレイク達と共にアークを誘い
討伐依頼を受注しにギルドに向かう事にした
「今回の依頼は何にするんだ?」
アークがブレイクに確認しブレイクは
「討伐依頼じゃ無くても良いんだけど
スゥが討伐依頼が良いって言うから
う〜ん、今回はどうしようかな
今ある依頼は...」
Aランクのオーガの討伐依頼
Cランクのワーウルフの討伐依頼
Dランクのダークスライムの討伐依頼
その3種だった
「スゥはオーガが良い!
いっぱい倒すぞ〜」
スゥがもうやる気になっていた為
オーガの依頼を受ける事にして
ブレイク達、夜明けの旅人は迷いの森を抜け
山岳地帯にいるオーガを探しに向かった
「あと少しで見えてくると思うんだけどなぁ」
とブレイクが探索魔法を使いオーガの位置を特定し
その言葉を聞いたスゥが駆け足になり先を急ぐ
「あーあ、行っちゃったよスゥ
どうするブレイク
私達これじゃあ
散歩に来ただけになっちゃうけど」
メイベルがそんな事を言い
「そうだよね、スゥは元気すぎるから
討伐依頼でほとんどやる事ないんだよね」
とノワも元気すぎるスゥに
獲物を取られた事をぼやいていた
「まぁ、俺はメイベルと
散歩でも良いけどなぁ」
「なに恥ずかしい事言ってんのよ!」
と、メイベルがアークを叩こうとするが
「なんだよいいだろ?婚約者なんだから」
と手を差し伸べる
メイベルは急に静かになりアークの手を握った
ソレを後ろで見ていたノワとブレイクは
「手繋いでるね」
「うん、姉さんもアークも嬉しそうだ」
「「...」」
互いを見て少し黙るが
ブレイクがそっと手を差し伸べる
ノワの手がブレイクの手に触れそうになった時
「主〜終わった!」
とスゥがそこに駆けつけ
ノワとブレイクは手を引っ込めた
「ん?どうした?2人とも顔が赤いぞ?」
「...なんでもないよ」
「...うん、ブレイクの言う通りだよ」
それを見たメイベルとアークが
「あーあ、スゥはタイミング悪いなぁ」
「まぁ、あっちは婚約してはないからなぁ
それにしても将来的にスゥは
ブレイクの何になるんだ?第二婦人か?」
それを聞いていたスゥは
「スゥはダイニフジン?でもいいぞ!」
と、満面の笑みでブレイクとノワに話すスゥに
2人して苦笑していた
魔石や素材を回収していくブレイク達
スゥがどんどん倒していくので
ただ魔石や素材の回収するだけの作業になっていた
「スゥは本当に戦うのが好きだよね」
「うん!身体動かすの楽しい!」
スゥとブレイクがそんな話をして
オーガの魔石と素材を
魔道具バックに詰めてギルドに戻る
「こんにちは〜
あれ?アデル久しぶり!元気?」
アデルはバハムートの中にいた元奴隷の少年
ブレイクの2歳年上で今はDランクの冒険者だった
「久しぶり!ブレイク!
聞いてくれよ受付でさぁ
Cランク昇級の話をされたんだよ!」
アデルのパーティは幼馴染で構成された
3人のパーティ構成になっていた
この若さでは珍しい
もう少しでCランクに昇級する事を
ブレイクに自慢する
「あっという間にランクが上がるぞ
ブレイクと並んで戦うのが楽しみだよ」
そう言うとアデルの幼馴染の2人が
「アンタがブレイク君と並んで!?」
弓使いのバーバラと
「無理無理アンタじゃ足元にも及ばないわよ
ごめんねブレイク君ウチのバカが変な事言って」
魔法使いのジュリア
「なんだよ2人して
別に良いよなブレイク!」
片手剣の使い手のアデルに
肩を組まれるブレイクの反応は
「うん、楽しみにしてる」
アデルは冒険者の才能がある
それはブレイクにも他の皆にもわかっている事だ
またな!とアデル達は依頼に向かう様で
ギルドを後にする
「アデルん所もかなりハイペースで
ランク上がってるよな
ブレイクの影響で俺達も強くなって
麻痺ってきてるけどさぁ」
ブレイク達もアデル達と同じ若い冒険者だ
かなり珍しい部類の冒険者である
「麻痺ってきてるけど
もっと強くならなきゃ皆を護れないから...」
ボソッとブレイクがそんな事を言う
「え?なんて?」
「ううん、なんでもない
依頼の報告と買取に行こう」
ブレイクは皆を連れ受付に向かった
依頼の報告と買取を済ませて
ギルマスのベルズのところにある
魔道具の通信機を借り
アークがこのままヴィクトリア邸に泊まる事を
ユージーンに報告しブレイク達は
ヴィクトリア邸に向かう
玄関でヴィクトリアが待っていた
「帰ってきたな!
お!アークも今日は泊まるんだな?
メイベルとはまだダメだからな!」
まだ15歳と14歳のアークとメイベルに
釘を刺すヴィクトリアだった
「母上!?そんな事はない...ですよ...きっと...」
「いやぁ、わからん娘が
いつ襲われるか...」
その言葉に2人の顔は赤くなっていく
「若いって良いわね〜」
カルラがそんな事を言うが
ヴィクトリアは気が気じゃない
「別にいいじゃないか、番なるのだろう?
早く産めるなら子供は早く産んだ方がいいだろう」
とシルが軽率にヴィクトリアに言うが
その言葉にヴィクトリアは更に怒り始め
アークはブレイクと同じ部屋で寝る事になった
(...ねぇグレン)
(どうした?お嬢
あー、アークの事か?)
(うん、最初は嫌じゃないから
婚約したんだけどさ今はなんだか...
うん、好きなんだ
でも怖いね好きな人がいるって
婚約解消とか言われたらどうしよう?)
(え?そんなのぶん殴るに決まってんだろ?
お嬢を泣かせるって事はそういう事だろ?
殺しちまうかもしれねぇな)
メイベルの事を大切にしている者は
ヴィクトリアやブレイクだけじゃない
当然アークにも大切にされている
(う〜ん...子供かぁ
まだ早すぎるよね...)
(なんだ、お嬢?
もう産みたいのか?)
(いや、そうじゃなくて
繋がりが欲しいと言うか
う〜ん....)
そんな事を考えながら夜が更けていく
翌朝、ブレイクとアークは早朝から
訓練をし始めており
そこにメイベルとノワも合流し
ヴィクトリアが家からそれを眺めていた
「奥様、王城から使いの者が来ていますが
如何いたしますか?」
わかった、今行くとヴィクトリアは支度をし
王城に向かった
王座の間に呼び出されたヴィクトリア
「早朝から悪いなヴィクトリア
少々困った話があってな」
なんだ?とヴィクトリアが
国王ミランドの話を聞くと
ティラ王女とブレイクの事で
「大変な時期なのはわかっているがティラも16だ
いい加減、世継ぎを考えないといけない歳だからな
ブレイクを婿に貰いたい」
国王ミランドがヴィクトリアにそう話すと
ヴィクトリアの反応は
「無理だ」
即答だった
その言葉に国王ミランドは頭を悩ませる
「ね、言った通りでしょ?
ヴィクトリア叔母様はそう言うと思ったのよ」
誰がオバさんだ!とティラ王女を
ヴィクトリアは説教をしながら
頭を拳骨でこめかみをグリグリする
「いやぁぁぁぁあ!!!」
そんな事をされたティラ王女だったが
この問題の解決策を考えていた
「痛っ...お父様、私はやはり嫁に出ます!」
「ティラ!それはならん!
世継ぎが居なくなるのは国の問題になる!」
そんな話を聞き何故自分が呼ばれたのか
わからなくなったヴィクトリアが
「用が終わったなら帰るぞ?」
「待て待て待て、まだ終わってない
ティラが言うにはブレイクに嫁ぐと言うのだ」
そうか、問題ないだろうとヴィクトリアは言うが
実際には王位継承権がティラに無くなる
それをされてしまうと国に
混乱を招く事になるではないかと
国王ミランドは懸念していた
するとティラがヴィクトリアに耳打ちし始め
「それは良い考えだ!
ミランド、ティラが良い案を思いついたぞ!」
なんと?と国王ミランドがティラを見ると
ティラが国王ミランドに向かって言い放つ
「お父様、私はブレイクの子を王にします!」
「なに!?....確かにそれなら
王位継承権はティラの子に移るか...」
そこまで話を聞いていたローラ王妃が
「でもいいのヴィクトリア?
ブレイクに許可は取ってないのでしょう?
ティラが勝手に暴走してるのに
それに乗っかるのはどうかと思うわよ?」
「そんな事はないですお母様!
ブレイクと私は相思相愛ですから!」
どこからその自信はやってくるのだろうか?
とヴィクトリアも思っていたが
「そうだな、ティラ
ブレイクは既に第二婦人まで決まっている
そうするとティラは第三婦人になる
...それでもいいのか?」
ティラはその事を既に気付いていた
特に驚く事は無く
「わかっていますわ
たとえ第三婦人でも私はブレイクと結婚します」
そうか、とヴィクトリアがティラに
「なら、私の義理の娘だな
母と呼ぶのを許そう」
「わかりました!
ヴィクトリアお義母様!」
それを聞いて国王ミランドはため息を吐いた
「まったくティラといい
ヴィクトリアといいこうも頭を悩ませるか
仕方ないブレイクには悪いかもしれんが
第三婦人に迎えてやってくれ...」
そうしてティラ王女はブレイクに嫁ぐ事が
ブレイク本人が居ない所で決まり
ティラ王女もヴィクトリア邸に住む事になった
「えぇ!?ティラ王女が僕に嫁ぐ!?
母さん、なんで断らなかったんですか...」
ブレイクがヴィクトリアが帰ってきて
ウキウキだったのが肩を落としていた
「仕方ないだろう、可愛い姪の頼みだ
それに嫌じゃないだろう?」
「それはそうですけど
ティラ王女もなんでそんなに
僕に拘るんですか?」
ティラ王女はブレイクに近付きいきなりキスをした
「なっ!?」
ノワが声を上げティラ王女を引き剥がす
「あら?その反応は
初めては私が貰ったのね
第三婦人が第一婦人に気を使うなんて
思わないでね
ノワ、貴女には負けないわよ」
とティラ王女はノワを指差した
呆然とするブレイクにノワがほっぺにキスをする
「え!?ノワ!?」
その衝撃でブレイクはハッとして状況を整理する
「えっと...僕は
既に3人奥さんになる人がいるんですか?」
「そうだな!ノワが1人目
2人目はスゥ、3人目がティラだな
増えてもいいぞ!」
ヴィクトリアがチャチャを入れるが
「母さん揶揄わないでください
僕はいつ婚約したんですか?」
「今してしてしまえばいだろう?
ノワが1人目でいいな?」
「...はい」
ノワが頬を染めながら返事をする
「2人目スゥ!...あれ?どこいった?」
その声を聞いたスゥが会話に飛び込んできた
「ダイニフジンか?なるぞ!」
そうかそうか、とヴィクトリアは
スゥの頭を撫でながら話を進める
「3人目ティラ!」
「はい!国の為にも頑張るわ!」
国の為ってなに!?とブレイクの疑問には
答えずヴィクトリアが宣言する
「この3名を息子の妻に娶る事にする!
息子もいいな!」
頭を悩ませるブレイクだったが
腹を括ったのか
「あーもう!わかりましたよ!
3人ともよろしく!」
するとブレイクの右にノワ左にティラ
後ろにスゥがくっ付いた
「...不束者ですがよろしくお願いします」
「主〜いっぱい子供作るぞ〜」
「子供かぁ3人は欲しいわね!」
ノワとスゥとティラがブレイクの婚約者になり
ノワの話がワイトに届く頃には
ワイトは既にヴィクトリア邸に着いており
スゥの話がギデン達に届いた頃
ロード・メソポリアは大盛り上がり
ティラの話が国王ミランドに届くと
王城からブレイク宛に手紙が届き
「すまんな」
と一言書かれており
ブレイクもどうにか納得し婚約者がいる生活に
新たな暖かい気持ちになっていた
「御主人様に婚約者ねぇ
いいと思うわよ
人間いつどうなるか、わからないから」
スイレンやカルラ、グレイシアにもその話をして
ブレイクは悩み相談をしていた
「なんだい、そんな悩む事ないだろう
護るモノが増えただけだ
それを護る為に強くなればいいじゃないか」
カルラも自身の孫が楽しみなのか
ブレイクにウキウキで話していた
「私達も手伝いはできるから大丈夫よ坊や」
グレイシアがブレイクを安心させようと
そんな事を言ってくれた
「そっかなぁ
まあ、今は邪神の事を
どうにかしないと、とは思ってるんだけど
護るモノかぁ...」
ブレイクはふとローグの事を考える
(僕は護り切れるだろうか?
いや、護らなきゃいけないんだ
やれる事はやっておこう)
「え!?ノワがブレイク君と婚約!?
聞いてないよ?どう言う事?」
ワイトが訪問しに来た時には既に
その話は終わっており
ヴィクトリアが説明し
理解はしてくれたワイトだったが
納得は出来ないのか
ブレイクの肩を掴み
「ブレイク君?ノワは次代の魔王だ
それが何を意味してるかわかるよね?」
魔王の後継も必要になると言う事だ
「えっと...よろしくお願いしますお義父さん」
とお辞儀をするブレイクに
ワイトは何もいえずノワは
「もういいから、父様!
私は...ブレイクと一緒になります」
娘にも宣言されてしまったら
ワイトはもう認めるしかなかった
「...そっか、もう巣立つのか
そうか思ったより早かったなぁ」
とワイトはポロポロ涙を流してブレイクに
「娘を、ノワを頼んだよ」
「はい、わかりました」
ブレイクはノワの手を握りしっかりと答えた




