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第32話

ブレイクが風邪をひいた夜


部屋を借りていたノワに


「主は冒険者にはならんのか?」


バハムートの問いにノワは


「私が?無理無理、怖いもん

それに父様が許してくれないんじゃないかな?」


ワイトが反対はしそうだな、とバハムートは笑う


「だが俺もいる

戦力としては充分だろ

あとはブレイクの側に居たいんだろう?」


えっ...と顔を赤らめながら


肯定も否定もしなかった


「主はわかりやすくていいな

そのまま番《つがい》になればいい」


番《つがい》、夫婦になれとバハムートに言われ


更に恥ずかしそうにするノワだった


「それにブレイクといた方が

俺にとっても都合がいい

正直、邪神がいつ襲ってくるかわからんからな」


邪神の動向はギデン達も追っていたが


ブレイク陣営も把握できていない


ノワが考え込む


(父様に相談して

ブレイク達と一緒にいた方がいいのかな?

でも魔王領の復興もあるしなぁ)


「まぁ、ワイトに相談するのが先だな」


バハムートに言われ


ノワはそうする、と言い眠りについた




翌朝


「アレ?母さんが寝てる

起こさない方がいいよね」


と、こっそりブレイクが部屋を出る


廊下でばったりノワと会い


「おはようノワ!」


おはようブレイク!とノワと挨拶を交わし


そのまま庭を散歩する事にした


庭園は庭師が3人体制で綺麗にしており


王族が来ても恥ずかしくないほど


凄いものになっていた


ただこれはヴィクトリアのファンである


庭師の3人が勝手にやっている事で


ヴィクトリアはやらなくても


良いんだがといつも言っていた


「坊ちゃん、おはようございます!」


と1人の庭師が話しかけてきた


世間話をして庭園を回っていると


屋敷の方から叫びに似た声が響き渡る


「息子《ブレイク》ー!!!!!!

何処だぁぁぁあ!!!!!!」


あー、起こさなかったのは


まずい事をしたなとブレイクはノワと共に


部屋に戻るとそこには


ワンワン泣いているヴィクトリアがいた


「何処行っていたんだぁ

いきなり居なくなったからビックリしたぞ!」


すみません母さんとブレイクが宥め


ノワも一緒になってヴィクトリアに


抱きつかれていた


ヴィクトリアが泣き止み落ち着くまで


その拘束は外れる事なく


結局カルラとスイレン2人がかりで


ヴィクトリアからブレイク達を救出するのに成功


朝食を済ませた後ノワはバハムートに乗って


魔王領に帰って行った




「え?なんて?ノワが?冒険者?」


帰って早々にノワがワイトに話をし


ワイトの反応を伺う


「良いんじゃないか?

経験にもなるしノワも11歳だ

それにバハムートもいるしね」


割とあっさり許可がおり


ブレイクの所で一緒に住んでも良いかと話し


「うーん

ヴィクトリアさんが良いと...言うだろうなぁ

あの人はそういう人だから

じゃあ手紙を持って行きなさい

あまり迷惑を掛けないようにね」


うん!わかった!と嬉しそうなノワを見て


子離れしないとなぁ、とワイトは思ったのであった


バハムートに乗りノワはルア王国にある


ヴィクトリア邸に向かう


「行ってきまーす!」


「ヴィクトリアさん達によろしくねー」


はーい、とノワはワイトから手紙を貰い


バハムートが飛行を始めた


「嬉しそうだな、主」


うん!とノワは喜んでいた


バハムートに乗りその日のうちに


ヴィクトリア邸に到着し


ノワはヴィクトリアに手紙を渡した


「私にか?

...そうかわかった

ウチに滞在する事を許可しよう」


よかった、とノワが一安心し


バハムートはワイトの手紙があるんだ当然だろ?


と、バハムートは勝手に寛ぎ始め


「あと、冒険者登録も頼まれているから

早速、明日ギルドに向かうとしよう」


と、ヴィクトリアがノワに説明して


翌朝を迎えた


「緊張してあんまり寝れなかった...」


「主はすぐ緊張するな

前も言ったが堂々としてればいい」


そんな2人を連れてヴィクトリアとブレイクが


ギルドに連れて行く


「おいおい待て待てバハムートを使役してる

嬢ちゃんだろ?どうするんだよ」


ヴィクトリアがいつも通りアレを行うと言い出し


ギルマスは相手が居ない事に困っていると


バハムートが


「相手ならそこにいるだろう?なあ、ブレイク」


え?僕ですか?と相手に指名したのは


ブレイクだった


「それならまた迷いの森でやってくれ

施設内でやられたら大変な事になる

ってか、もうやらなくてもよくないか?」


バハムートはそれでもブレイクと


ノワの実力を確かめたいと


迷いの森で模擬戦をする事になった




迷いの森に移動して


ノワは早速、龍人化《ドラゴン・リンカー》を発動し


漆黒のドラゴンの鱗に爪、牙に尻尾と


小さなバハムートになっていた


ブレイクも龍人化《ドラゴン・リンカー》を発動したのちに


精霊融合《ソウル・ユニオン》を発動し精霊龍王《ドラゴ・スピリット》になった


「おいおい迷いの森、吹き飛ばないよな?

...考えても仕方ないなるようになれだ!始め!」


まず動いたのはブレイクだった


時間魔法で極限まで加速し


ノワの背後に回ってブレスを準備し放つ


ノワはそれをノールックそして片腕で受け止めて


ブレイクの方に向き直りブレスを放つそれを受け


右腕を吹き飛ばされるが即座に再生し


互いにブレスや爪などで応戦し


ダメージが通らないバハムートの


恩恵を受けたノワと


ダメージがあっても即座に回復するブレイクで


決着が着く訳もなく


互いに魔力切れで模擬戦は終了した


「引き分け?か?」


ギルマスの言葉を遮るようにバハムートが


「いやブレイクの勝ちだ

ブレイクお前まだ余力を残して終わったな?」


バレてる...とブレイクは気まずい顔をしていた


「そっかぁ、まだ勝てないかぁ」


と、ノワが少し悔しがっていた


「結果はブレイクの勝ちみたいだか

ブレイクはSランク冒険者だ

それのほぼ全力と同じだから

本当はSランクでも良いんだが

俺の権限がBランクまでしか与える事ができない

それ故にノワはBランクスタートだな」


ギルマスのベルズが登録後の説明をして


ブレイクはノワを夜明けの旅人に加入させ


ヴィクトリア邸に戻る事にした


「本当によかったの?

皆に説明せず勝手に私を加入させて」


大丈夫だよ、とブレイクがノワの手をとり


ヴィクトリアが先に家に入ると執事長が慌てて


ヴィクトリアに話をする


すると、いきなり


「どういう事だ!!!」


ヴィクトリアの怒号が辺りに響き渡る


状況を掴めないブレイクに


メイド長が説明してくれた


「メイベルお嬢様が行方不明なのです

部屋に居たはずなのですが

グレン様が繋がりが切れたと言われました

以前のスイレン様のように」


ブレイクと繋がりが切れた時のようにという事は


かなりまずい事態となった事を意味する


「姉さんが居なくなってどれくらい経つ?」


ブレイクが真剣な表情でメイド長に聞く


3時間前まではグレンと部屋に居たとの事


「オイラとの繋がりが切れたのは2時間前だ

お嬢どこに行ったんだ...」


ブレイクは全力で索敵魔法を展開した


王都中にそれは広がったが反応はない


「姉さんの服でもなんでも良い持ってきて」


以前ログスが使った魔法を使う気だったが


その魔法にも反応はなかった


「クソッ!何処にいる!?」


「ブレイク...私」


ごめん!後にして!とノワの話を遮り


夜明けの旅人と銀翼のメンバーを集め


メイベルを捜索する事になった


「坊や!少し落ち着きな!

焦った所で見つかるものも見つからなくなる」


わかってる!と焦りが周りに伝染していく


そんな中、特にブレイクが切羽詰まっており


「何処だ...姉さん」


それを見たノワがブレイクを引っ叩く


パシン!


「なにすんだ!」


「そんなんじゃ見つからないよ

ログ爺の魔法は私が改良して使えるから任せて」


と、ブレイクは一度頭を冷やす事にして


ノワはグレンの所へ行き


「グレンさん貴方はメイベルさんから

生まれた精霊ですよね?

なら繋がりが切れたとは考えにくい

私の手を取ってもらえますか?」


グレンがノワの手を取りノワは


魔法を使い出した


グレンの魔力とメイベルの魔力が繋がっていく


「「見つけた!」」


グレンとノワには場所が特定できた


メイベルはアーガルド王国にいるようだった


「アーガルドか...少し面倒だな」


ヴィクトリアがいつも通り


突っ込んで行くのかと思ったが


冷静に考えて行動した方がいいと


ブレイクに言う


「ルア王国とアーガルド王国は

平和協定を結んでいる

公爵の娘が拐われたとわかったら

国際問題になりかねん」


冷静を装ってはいるが


ヴィクトリアの血管は切れる寸前だった


「なら僕が単独で行きます

僕は正確には養子だから

そのまま切り捨てて下さい

冒険者として生きていきます

そして姉さんを必ず取り戻します」


ヴィクトリアがブレイクの頬を引っ叩き抱きしめる


「お前だけに背負わせるものか!

私達でメイベルを助けに行くぞ!」


メイベル奪還作戦を開始した銀翼と


夜明けの旅人のメンバーは秘密裏に


アーガルド王国に侵入していた


「こっちです」


ノワの案内でブレイク達はとある建物へと向かう


アーガルド王国は聖女信仰が根付いていて


教会が沢山ありその中でも特に大きい


大聖堂に侵入する事になった


「この先です

メイベルさんの魔力を感じます」


そこに横たわるメイベルが居た


大聖堂の中は意外と簡素なもので


メイベルの周りに人影が2つあり


教皇とその補佐だった


「おぉ聖女様、貴女こそ紛れもない

我々を導いてくれる聖女様に違いない!」


教皇は聖女信者だった、その補佐も


「いつお目覚めになるのやら

早く我々を導いて下さい聖女様!」


「何が聖女だ!私の娘を返せ!」


ヴィクトリアの堪忍袋の尾が切れ


教皇に突っ込んで行く


だがいつの間に現れたのかわからないが


教会の騎士団が現れ


ヴィクトリア達に立ち塞がる


教皇とその補佐がメイベルを移動させようとすると


次の瞬間ブレイクは


精霊龍王《ドラゴ・スピリット》になりその場の時を止めて


メイベルを回収した


「皆、急いで!逃げます!」


ブレイクの指示で一斉に逃げ出す


教皇とその補佐の邪魔はあったものの


どうにかメイベルの奪還に成功した 




「失敗か、聖女様はあの方しかいない

必ず取り戻すのだ!」


そう言い教皇は騎士団にメイベルを拐ってくるよう


命令を下し自室に戻る


そこには黒い霧がいた


「教皇よ我が知恵を貸したのに失敗したのか」


教皇が焦り出す


「いえ聖女様は必ず取り戻してみせます」


黒い霧はその場から居なくなり


教皇はホッとしグラスにあったワインを飲み干した




ヴィクトリア邸に戻ってきたが


未だメイベルの意識は戻らず


一同どうしようも出来なくなっていた




「ここは?」


メイベルは暗闇の中に居た


「ここはお前の意識の中、夢の中とも言える」


誰!?と声のする方を向くと黒いメイベルが居た


私!?とメイベルが驚いていると


メイベル?は続けて言う


「私はお前より強いなんせ

完全な精霊融合《ソウル・ユニオン》が出来るからな」


そこに黒いグレンも現れ精霊融合《ソウル・ユニオン》して


メイベルに襲いかかってきた


「私が勝てばお前の身体をもらう」


勝ち目がないのは明白だったが


メイベルは決して諦めなかった


どうにか攻撃を避け魔法で攻撃し応戦していた




(お嬢が困っている?

なんだこの感覚、オイラは何処に行けばいい?)


「グレン!アンタ、メイベルの中に入りな!

私の考えが正しければまずい事になってる!」


カルラがそうグレンに言い


グレンはメイベルの中に入って行った




「コレで終わりだ!」


メイベル?の黒炎がメイベルに迫る


(お嬢!オイラを呼べ!)


やっと来てくれた!とメイベルは彼を呼んだ


「来て!グレン!」


「応よ!」


とグレンの登場が意外だったのか


「カルラといいお前らは

いったいなんなんだ!邪魔ばかり」


メイベル?の様子がおかしい


「やっぱり私じゃないよね」


メイベル?が黒い霧になり


その正体にメイベルは


「やっぱり邪神だったんだ

そんな気はしてた

さて、どうやって倒そう?」


我は倒せんぞ、意識の中だからなと


メイベルに挑発してくるが


そこでグレンが


「精霊融合《ソウル・ユニオン》だな

それに...」


えぇ?魔力量が足らないわよと言うが


グレンには考えがあった


「お嬢いい方法がある

オイラ達も重ねがけしよう

以前なら出来なかったけど

今なら出来るはずだ」


う〜ん...わかったわとメイベルとクリスは


再契約を始めた


「「今ここに血と魂の契約を!」」


中位の契約と上位の契約を重ねがけして


メイベルの魔力量は跳ね上がった


「コレなら大丈夫だね」


うん!と2人は意識を集中させ


「「精霊融合《ソウル・ユニオン》!!!」」


邪神はそれに驚き


「何故だ何故だ!?貴様らばかり!」


メイベルはソレを倒すのに


時間は掛からなかった


「私は...私の家族の元に戻る!

そこをどけぇぇぇえ!!!!」


魔法の威力も格段に上がっており


邪神を吹き飛ばした


光の方へとメイベルとグレンは向かった




「メイベル!大丈夫か!?」


メイベルから黒い霧が出てきてグレンも出てきた


グレンの話だとすぐに目を覚ますはずだと


「...母上?」


メイベルはヴィクトリアに強く抱きしめられた


「...苦しいです母上」


良かったと、皆メイベルの無事を喜んだ


「ブレイクは行かなくていいの?」


ノワの指摘にブレイクが


恥ずかしそうにしていると


「ブレイク...」


とメイベルはブレイクにハグを要求する


そっと近付きブレイクは涙を溜めながら


メイベルとハグをした


「よかった...よかったです」


ブレイクとメイベルの姿を見て


ヴィクトリアも泣き出していた


ブレイク達が干渉に浸っていると


余計な厄介ごとが来てしまった


教会の騎士団が現れたのだった


聖女様を返せー!!


聖女様を拐うなー!!


どの口が言っているのやらと


呆れる一同だったがメイベルが


「私が追い払ってきます」


グレンと一緒に表に出ると


おぉ!聖女様!


さあ、帰りましょう!


と言う教会の騎士団に向かって


「私は聖女じゃない!

私はヴィクトリア母上の娘で

ブレイクの姉のメイベルだ!

勝手に拐っておいて

お前達こそ、なんなんだ!」


その場で精霊融合《ソウル・ユニオン》をして


教会の騎士団を吹き飛ばす


聖女様!?なにを!?


「だから私は聖女じゃない!

迷惑だ!帰れ!」


更に黒炎を放ち教会の騎士団の鎧が溶け始める


ぎゃぁぁぁぁあ!!!!


鎧が粘度を持ち皮膚にくっ付く


急いで近くの川に飛び込む者が多発して


川は一気に沸騰していった


「もう来るなよ!」


メイベルが全て追い払い


ヴィクトリアの元に戻る


「ただいま帰りました母上!」


そこで気が抜けたのか


メイベルは意識を失った

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