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第22話

「...もういいか」


ブレイクがコレを最後に女を殴り殺す事を決めた時


「もういい!やめろ息子《ブレイク》!」


「...坊や、もう大丈夫だから」


「ブレイクやりすぎだ

もうやめよう...な?

俺達は大丈夫だから」


「主!拳が潰れてるぞ!痛くないのか?」


「もうやめて

このままじゃ御主人様《マスター》が壊れちゃう!」


各々がブレイクを止めていた


そしてメイベルがブレイクの頬を叩き


「帰ってきて

ブレイク...貴方は大切な私の弟なの

ブレイクは強くて優しいの

今のブレイクは

私が知ってるブレイクじゃないよ...」


と、涙を零しながらメイベルはブレイクに抱きつく


(なんで...

皆、そんな顔をするんだ?

コイツを殺しさえすれば...違う

母さんが?グレイシアさんが?

違うチガウちがう


僕は...いったい何を?)


「あぁぁぁぁあ!!!」


ブレイクは女からも皆からも離れた


「僕は...なんてコトを...」


ブレイクは逃げるように迷いの森へ走って行った


ブレイク!!!と皆が追いかけるが


時間魔法で倍速以上になった


ブレイクに追いつける者は居なかった




ブレイクは迷いの森の奥地で独りになった


雨が降り始めブレイクは


降る雨を避けようとも思わず


歩いて行くそしてその先に大樹を見つけた


大樹の根元が凹んで屋根のようになっていた


(僕は...独りか)


雨をボーっと見ているブレイク


(あーあ、また“お前のせいで”

大切なものを失ったな)


「誰だ!?」


周りを見渡すが誰も居ない


(カルラの時もそうだった

お前が弱いから誰かが傷付く)


頭の中で声がする


(“オレはお前だよブレイク”)


「!?」


(オレはお前の二面性の反対側

いつもいい子ぶってる

お前が気に入らなかったんだ

カルラの事もそうだし

ヴィクトリアの事もそうだ

今回はグレイシアか?

笑わせるぜ

わ〜ん、甘えさせてママ〜ってか?)


「うるさい!そんなんじゃない!」


(でも実際どうだ?

お前はカルラが死んだから何かできたか?

運良くヴィクトリアに拾われて

運良くスイレンと契約できて

運良く周りに囲まれただけだ

そもそもお前に誰も興味ねぇよ)


「僕は...」


(な?反論も出来やしねぇ

どうせ今回も何も出来ずに

周りから離れるんだ

誰もお前を必要となんてしてねぇよ)


ブレイクはどんどん活力を失い


地面にへたり込んでしまった


「僕は...独りぼっちか」


(あぁ、どこまでもな

さっさと死んだらどうだ?

楽になるぜ?あ!

でも魔力が多すぎて

すぐ再生して死ねねぇか!

ウケる、あー面白)


ブレイクの意識は次第に薄れて


気付けば周りは光に包まれていた


目の前には“もう1人のブレイク”が居た


「よう、こっちまで来たか」


「お前が...僕か」


そうだと答えるブレイク?が攻撃を仕掛ける


「いきなり、何するんだ!?」


「お前から身体の主導権を奪うんだよ

もう生きてても意味ないだろ?

だったらオレに寄越せよ」


魔法が使えるわけではないこの場所で


2人は揉みくちゃになりながら


殴り合いの喧嘩を始めた


「オレに寄越せば、あとは楽になれるぜ

全部殺してやるよついでに邪神もな」


「なんで、そんな事言えるんだよ!

お前も僕だろ!?お世話になっておいて

恩を仇で返すのかよ!」


その言葉を吐いた時


ブレイクはハッとして


「お前にそれが言えるのか?

周りを泣かして

さっきの女を何度も殺しては

生き返らせてソレを繰り返す

だったら一回こっきりで皆殺しの方が

皆、平等でいいだろ?

みーんな殺そう!

カルラん時見たく

お前はただ見てればいい」


するとブレイク?は何処からか短剣を取り出して


ブレイクの心臓に突き刺した


「痛いか?

カルラはもっと痛かっただろうなぁ

お前のせいで逃げる事もできずにさ

だからお前なんて居なければよかったのに」


「確かにカルラは逃げなかった

それは僕がお荷物だったからか?


...違う!

カルラは...僕の母さんはそんな人じゃない!

お前が勝手に決めるな!」


刺された所が光だし短剣も光に呑まれ消滅した


その光からある人物が現れた


その人物はブレイクを守る様に


ブレイク?の間に立ち塞がる


「何してるんだ、坊や

ちゃんと生きろって言っただろう?」


そこに居たのはブレイクの実母カルラだった


「「!?」」


ブレイク?がカルラの首元に


また何処からか用意した短剣を投げる


「こらこら

反抗期にして早いし

ナイフはないだろう...ナイフは」


(...カルラだ...カルラが居る)


ブレイクは驚きのあまり動けないでいると


「なんだい坊や、そんな泣きそうな顔をして

母さんの所に来てくれないのかい?」


「母さんっ....いや、僕にそんな資格ない」


ブレイクの足が震える


ブレイク?はカルラにこれ以上攻撃が通用しないと


悟ると何処かに消えてしまった


「...それは、ヴィクトリアの事かい?

それともグレイシア?」


「え!?...知ってるの?」


まぁ、坊やの中に居たからねとカルラは


ブレイクの側によると


ブレイクが後退りする


「なんだい息子に後退りされると

結構ショックなもんだねぇ」


カルラは無理矢理ブレイクを抱きしめる


「カルラ!?」


「坊やアンタはもっと強くなんな

戦いの話じゃない心の話だ

坊やにも護りたいモノが出来たんだろう?

ソレを大切にしてあとは頑張るだけだよ」


ブレイクはカルラの言葉をしっかり心に刻む


「そういえば、坊や

私とも契約してみるかい?」


「え?出来るの!?」


当たり前でしょ?とカルラが我が子に答える


「じゃあカルラは精霊になるの?」


「いやどうだろうね?

死んでるから幽霊?霊体?なんだろうね?」


まあ、なんでもいいじゃないかとカルラが


ブレイクとの契約を進める


「「今ここに魂の契約を

切っても切れぬ繋がりを

どちらかの命尽きるまで」」


更に魔力量が上がるブレイクとカルラ


「ほー、坊やと契約するとこうなるんだね

炎と癒の大精霊カルラって事が

なんだか自分でわかるね

あ!そろそろ意識を取り戻すんじゃないかい?」


と、カルラが言ったところでブレイクの意識は


その場から消えた


「...で、アンタは誰だい?」


カルラが話しかけたのはブレイク?だった


「オレか?オレはブレイ...」


と言いかけたところでカルラが遮る


「違うね、坊やの二面性?

そういうのもあるのかもしれないが

それはあの子自身がわかっている事だ

坊やの人格が乖離する事はない」


ブレイク?は黒い霧になった


『なんだバレてしまったか

もう少しで光の勇者を葬れると思ったが残念だ』


「何が残念だ!

坊やは死なせないよ

私はあの時...誓ったんだ!

ていうかアンタはさっさと消えな

じゃないと...」


カルラは炎を纏い攻撃体制に入った


すると黒い霧は何処かに消えていった


「なんだか前にも坊やん中で

こんなの見たね、あれが邪神か...」


ブレイクはカルラの膝枕の上で目を覚ました


「カルラ...母さん」


「...なんだい、坊や」


親子水入らず見つめ合っていた




ブレイクを追いかけて


ヴィクトリア達も迷いの森に入った


「スイレン!ブレイクとは連絡取れないのか!?」


「無理よ遮断されてるの

あぁ、もうどうしたらいいのよ」


ヴィクトリアとスイレンが互いに焦り混じりの


言葉を交わし他の皆も落ち着かない様子だった


「あー、なんか悪いな

俺がそのまま殺されてればすんなり済んだのに」


女がそんな事を言った途端に


ヴィクトリアが拳骨を喰らわせる


「関係ない私達が止められなかっただけだ」


その時、迷いの森の奥地から


強大な魔力の波が押し寄せて来た


「御主人様《マスター》!?

御主人様《マスター》よ!でもなんで魔力量が増えたの?

まさか!ノワみたく暴走したんじゃ!?」


急いで皆、迷いの森の奥地へ走る




「母さん、僕はこれから

どうすれば良いんだろう?」


皆と別れて数分だが合わせる顔がないと


ブレイクがいうがそれにカルラはデコピンをし


「坊やの家族はそんな薄情なのかい?

アンタが勝手に壁を作ってるだけ

大丈夫、私もいるからどうにかなるよ」


そんな中バタバタと走る音が聞こえ


そっちの方を見るとヴィクトリア達が居た


「...えっと」


「帰るぞ、息子《ブレイク》」


ヴィクトリアがブレイクの手を取る


そんな中スイレンが


「アンタ、誰?」


するとブレイクが口を開く


「その人はカルラ...僕の実母だね」


「!?」


御主人様《マスター》のお母様!?とスイレンが驚き


皆も驚いていたが


「...私が...母ではないのか?」


と、下唇を突き出し泣きそうなヴィクトリアに


カルラが説明する


「私は一度死んでる人間だ

そんな中でも坊やの役に立ちたくて

あの世から戻って来た幽霊だよ

まあ炎と癒の大精霊でもあるけどね」


そうなのか?とブレイクに聞くと


「どっちも大切な母さんです

以前のであろうと現在であろうと大切な人達です」


(また御主人様《マスター》は勝手に契約したのね)


と、スイレンが拗ねてはいるが


相手がカルラな事もあり


強く突っ込めずにいた


(ごめんねスイレン)


(ごめんね、スイレンちゃん

にしてもこれが念話ねぇ黙ってても

坊やと話せるのは良いわね)


「え!?」


と、スイレンはちゃん付けされたのと


念話に入って来たカルラに驚いた


そんなスイレンに皆が何事だ?と


注目するがなんでもないとスイレンが誤魔化し


(でもスイレンちゃん

私も精霊だから念話はできるよ)


なるほど、とスイレンが納得していると


ヴィクトリアがブレイクの手を握って帰ろうと


それを見たカルラがブレイクを見て


「ほら大丈夫だったろう?

坊やが手を離してもね

ヴィクトリアが絶対に離さないはずだよ」


その話を聞いたヴィクトリアが


「そんな事か!

私は離れないぞ絶対に

それに母親だからな

子供が離しても親が離しちゃいけないんだ!」


そんなヴィクトリアの話を


ブレイクは涙ぐみながら聞いていた


「ヴィクトリア

話が急に変わって悪いんだけど

私ね炎と癒の大精霊になったの

坊やの時間魔法とね

私の癒魔法で貴女の右腕を治せると思うの」


そうか!是非やってくれ!と


ヴィクトリアが無い方の腕を差し出す


時間魔法と癒魔法で右腕は元に戻った!


そして更に魔王の呪いも元に戻ってしまった!


「あぁ!どうしようスイレンちゃん!」


「大丈夫ですよ、お母様

御主人様《マスター》はそんなの吹き飛ばすくらい

強くなってますから」


皆の視線がブレイクに集まる


ブレイクは腕から魔力を出して


魔力の腕を創り


魔王の呪いの魔力を


ヴィクトリアの身体から剥ぎ取る


そして魔力の腕で圧縮し消し去ってしまった


カルラがヴィクトリアに聞く


「どう?違和感ない?」


「問題ないな!以前より元気だ!」


ヴィクトリアは


ブン!ブン!と治った右腕で素振りをしていた


そんな中


「なぁ、俺はどうすればいい?」


と女がブレイクに聞く


「...僕は皆を、家族を傷付けた貴女を許しません

でも、僕もやり過ぎました

すみませんでした」


女は謝られた事に驚き


俺が暴走してお前らを傷付けたのが


原因だと謝っていた


彼女自身も戦闘民族メソポリアだから


ブレイクがスゥの師匠になるようお願いした


「えー!?俺、教えんの下手だぞ?」


「そこを何とかお願いします」


と、さっきまでの事は無かったかのように


打ち解けていた


彼女はカーラと名乗り


そしてカーラがスゥの師匠になる事が決まり


「その代わり俺の仕事に

付いて来てもらうぞ?大丈夫か?」


「わかった師匠!スゥ付いてく!」


カーラは師匠と呼ばれたのが嬉しそうで


スゥとカーラは共にアジトへと向かい


ブレイク達はヴィクトリア邸に戻る


その道中カルラが皆に質問責めを受けたが


大抵ブレイク関連の事で


逆にブレイクが恥ずかしがっていた




魔王領の片隅に


ログスとワイトそしてノワが


ルア王国での一件の後に


ひっそりと暮らし始めた


魔王領の復興の為にワイトが色々と試行錯誤して


魔王領の民は少しずつ戻ってきていた


ドタドタと階段を上がってくる音と共に


ノワがワイトの書斎に入って来た


「父様!ログ爺がご飯出来たって!」


わかった今行く、とワイトがノワ達の待つ


一階に向かった


骸骨のワイトがどうやって食事を摂るのかは


不思議だが口に入った途端に物が消えて


魔力に変換される...う●こはしないようだ


ワイトだけに限らず魔族は食べた物が


魔力に変わるようでこの家にはトイレはなかった


「ワイトや、ノワの訓練はどうなんじゃ?

ワシはいまいち見ててもわからんのでな」


「ノワは凄い才能を秘めているよ叔父さん

このままいけば私より強くなる」


ワイトの魔法の訓練は正直レベルが高いもので


その訓練を毎日こなすノワは


ワイトからするとかなり吸収率がいい生徒で


教え甲斐がある為ワイトは毎日楽しそうだった


「父様!今日は何するの!?」


そうだなぁとワイトが考え


ノワの魔力適性が召喚魔法という事もあり


召喚獣との契約をしてしまった方が良いという


召喚にも2種類あり


ただ人や物を出現させる召喚と


召喚獣と呼ばれる強力なモンスターとの


契約をする召喚がある


今回はその召喚獣を呼び出して契約をする事にした


「まずは魔力を高めて

魔法陣を作ってその中で召喚魔法を使う

そしてノワの魔力で召喚獣を包むんだ

それが成功すれば契約完了でいつでも呼び出せる」


「前やったスイレンとは違うから

う〜ん、何だか難しいね」


魔法陣を作り召喚魔法を使った


そこで出て来たのは


大きな牛の様な召喚獣だった


「...おっきいねぇ」


と、ノワは自分の魔力で包めるか心配だったが


何とか召喚獣と契約が完了し


そしてノワの魔力適性が高いのか


疲れをみせないノワを見てワイトが


「これだったらもう何体かもいけそうだね」


うん!とノワは褒められたのが嬉しい様子で


また魔法陣の中に入り


続々と召喚獣との契約をしていった




ヴィクトリア邸に帰ってくると


突然カルラがブレイクが濡れている事が気になり


「親子水入らず

お風呂でも入ろうか坊や」


え?とブレイクは固まる


「なんだい今更恥ずかしがる事ないだろう?

昔はよく2人で水浴びもしたじゃないか」


カルラが奴隷時代を懐かしんでいると


ヴィクトリアが


それなら私も入る!と言うが


メイベルに止められる


「何故だ!?私も母親だ!

一緒に入る権利はある!」


「ダメです!カルラさんもダメですからね

ブレイクは男の子ですから

男同士ならまだしも男女はダメです!」


えぇ?とカルラとヴィクトリアは


とても残念そうだったが


そこにシャルネが


「それならタオルを巻いて入れば

良いのじゃないのです?」


と、その手があったか!とヴィクトリアとカルラは


何故か意気投合しブレイクを連行し


お風呂に向かった

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