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第19話

「魔王の呪い?」


ヴィクトリアの問いにワイトが話し始める


魔王の呪いは魔王の魔力が凝縮されたもので


ノワが作った大鎌に歴代魔王達の魔力が宿っており


その魔力がヴィクトリアの体内に侵食していき


最後には死に至る呪いだと説明した


「なので私が除去します」


出来るのか!?とヴィクトリアがワイトの提案に


食い付いたがそこまで言ったところでスイレンが


「私はアンタにその呪いを

どうにか出来るとは思えないけど

まさか娘を残して死ぬつもり?」


スイレンの言葉に


ノワがワイトにしがみ付く


「...なら、私がやるわ」


スイレンがヴィクトリアの傷を看る


「スイレン?何を?」


ヴィクトリアの問いにスイレンは答えない


スイレンはブレイクに向き話し始める


「御主人様《マスター》暫くの間お別れね

魔王の呪いも大精霊の禁術なら

どうに出来るかもしれないわ」


水ノ封印石(アクア・コフィン)


絶対にブレイクにやってはいけないと言っていた


禁術で自身と対象を封印する


その対象は呪いも例外ではなく


確実に封印できるだろう


「私が居なくても

魔法の練習は続けること

封印の解除は7年後にしておくから

15歳になった御主人様《マスター》に逢うのを

楽しみにしてるわ」


スイレンがブレイクに別れの挨拶をしていると


ヴィクトリアが


「待てスイレン!

他に方法はないのか?」


息子《ブレイク》の相棒であるスイレンが


自分のせいで居なくなる


そんな事はできないと


「ヴィクトリア

アンタ勘違いしてない?

別に私は消滅する訳じゃないのよ?」


だが!とヴィクトリアは断固反対なのか


スイレンに辞めるように言うが


「アンタも親なら

自分の子供達の事を考えなさい

アンタが死んだ方が御主人様《マスター》は耐えられないわよ

それにメイベルもね

...御主人様《マスター》と少し2人で話をさせて」


少し離れた場所で


スイレンとブレイクが念話を始める


(御主人様《マスター》

これから何が起ころうと私が

“貴方の初めての契約精霊”だから

今後は他の精霊を見つけて契約して

私の役割をさせるといいわ)


(...うん、わかったよスイレン

もう決めたんだね

でも、僕は他の精霊とは契約しないよ

その分強くなるし

皆もいるから大丈夫)


スイレンがブレイクを抱きしめ


ブレイクもスイレンに抱きつき数分が経過した


「さて、ちゃっちゃとヴィクトリアの

呪いを封印しちゃおうかしら」


スイレンと手を繋ぎながら皆の元に戻り


いつもならヤキモチを焼くヴィクトリアが


スイレンの今後を考えて涙ぐんでいた


「アンタ何泣いてんのよ

たった7年よ?御主人様《マスター》が15歳になったら

こんな呪い簡単に消し飛ばせる

じゃあいくわよ?



...水ノ封印石(アクア・コフィン)」


ヴィクトリアの身体の黒ずんだ所が


スイレンに吸収されていく


そしてスイレンは


手のひらサイズの石になりその場に落ちた


石になったスイレンをブレイクは


そっと拾い上げ大切に保管する


「息子《ブレイク》...」


ヴィクトリアがスイレンの事で


ブレイクに話しかけるが


「大丈夫ですよ、母さん

スイレンはちゃんと帰ってきます

それまでの辛抱ですから」


少し涙ぐむブレイクがヴィクトリアにそう答える


ブレイクをヴィクトリアが抱きしめ


「ああ、そうだな

スイレンは必ず帰ってくる」


と、ブレイクに言い聞かせる


そんな中、ログスが


「取り込み中、悪いのぉ

今後の事を少しはなさんか?

そちらが受けた依頼はワイトの保護じゃろ?

その依頼に付いて行って

ワシらも保護して貰おうと思う

ノワはまだ子供じゃし

それにワイトはノワの側を離れんじゃろう」


ヴィクトリアはノワとログスも連れて行く事にした


「日も暮れ始めた

今夜は交代で見張りをしながら

野営をするとしよう」


ヴィクトリアが暗くなり始めた空を見上げながら


皆にそんな指示を出した


基本的に精霊のグレン、ライコ、シャルネが辺りに


モンスターが居ないか確認してくれてはいるが


念には念をと交代で見張りを


2人ずつする事になった


ワイトとノワが最初の見張りで


ユージーンは道具の手入れをし


コレットとスゥは薪を拾いに森を探索


メイベルとアークは身体を休め


ヴィクトリアが少し1人になりたいとその場を離れ


ブレイクは自身以外で探索魔法を使うワイトに


興味が湧いたのが近寄ると


「何か用ですか?」


とワイトが近寄るブレイクに話しかける


「その...探索魔法を使う人を

あまり見かけないので

少しお話し出来ればと」


ワイトはノワを横に座らせ


ブレイクに向き直り頭を下げていきなり謝る


「すまなかった、君の母上の事だが

私がもっと早く決心していれば

ノワを止める事が出来たはずなんだ」


それを聞いたブレイクが一歩、近付く


するとブレイクの魔力が膨れ上がる


その魔力に焦るワイト


ノワはワイトを庇おうと間に立ち塞がる


「ノワ!いいんだ当然の報いだ」


「いや!悪いのは私なのに

父様は悪い事なにもしてない!」


ブレイクがノワに手を伸ばす


ブレイクの手がノワに触れると


一瞬で辺りは光に包まれ眩い光が収まると


ブレイクの手にある紋章の一部が消えて


ノワの手の甲に黒い菱形の紋様が浮き上がった


「...そっか、やっぱり」


ブレイクは少し悲しそうな顔をして


ワイトとノワに以前の創造神、破壊神の話をした


「おそらくノワさんが闇の巫女です

僕は光の勇者だからそれに反応して

さっきは魔力が膨れ上がったから

もしかしたらと思って」


ワイトはノワを見て


以前あった歴代魔王の魔力ではなく


莫大なノワ自身の魔力で溢れ返っていた


「ルア王国に着いたら

たぶんノワさんも洗礼の儀を受ける事になります」


その言葉を聞いてワイトは


「それは、つまり

ノワも危険な目に遭うという事でしょうか?」


ブレイクは頷く


ノワが闇の巫女だと発覚すれば


予言通り光の勇者と闇の巫女で


邪神を倒さなければならない


そんな使命をまだ8歳の2人に背負わせる事を


ワイトは嘆きそれ以外の方法はないのかと


ブレイクとノワの両方を心配する


「僕が前線で戦えばノワさんが

危険な目に遭う事は少ないはずです」


「それじゃあ、息子《ブレイク》が危険じゃないのか?」


と、ちょうど戻ってきた


ヴィクトリアが話に入ってきた


「私は利き腕を無くしたから

帰っても近衛騎士団の副団長は辞める事になる

公爵ではあるが発言権もおそらく無くなる

そんな中2人を護れる人間がどれほどいるか

たとえ、ユージーンが魔法師団の団長になった

場合でも特に息子《ブレイク》の勇者としての

訓練は免れないだろう」


ヴィクトリアが言うように


帰ったところで待っているのは


邪神を倒すための訓練


勇者《ブレイク》に人権《じゆう》は無いだろう


それを考えればこのまま帰るのは


ブレイクがあまりに不憫で可哀想になる


だがワイト達を保護し戻らないといけない


そんな葛藤の中ブレイクが出す答えは...


「仕方ないです

僕は光の勇者として強くなるしかない

それがどれだけ辛くて過酷でも


それにスイレンが帰ってくるんで

それまでは頑張ってみようと思います」


それを聞いたノワがブレイクに


「私も何か訓練を受けるのかな?」


光の勇者と対になる闇の巫女ノワは


正直言って可能性高いだろう


「それは...

ワイトさん次第だと思うよ

強く反発すれば王国に

訓練の強要は出来ないはずだし」


ワイトはノワを見て首を横に振る


ワイトはノワに何かさせる気は全くなかった


そこまで話したところで交代の時間となり


コレットとスゥが薪を持ってきた


「ちょうど交代ですね」


ワイトが引き継ぎをして火の番を任せ


ノワは眠たいのか目を擦り始めたので


ワイトがノワをテントに運び


ワイトとノワは就寝した


翌朝、目が覚めたノワはワイトが居ない事で


パニックになり急いでテントから出る


「父様!どこ!?」


が、そこには朝食の準備を手伝っていた


ワイトがいた


その後ノワがワイトにくっつき


ワイトは身動きが取れなくなった


コレットがしょうがないわね、と


皆の分の朝食を準備する


「コレットさんコレはどこに置けばいいですか?」


と、ブレイクとアークは森に入り


牛型のモンスターを倒してきた


「あー、ユージーン!

アレどうにか捌いちゃって

シチューにでもしちゃいましょう」


と、朝から忙しいブレイク達だった


そして朝食を食べ終え


ブレイク達は魔の森を抜けて


迷いの森に入ってブレイクを先頭に


ルア王国に向かう


王城に着くや否や王城の門番に止められる


「申し訳ありません

銀翼の皆様は通すなとの王命ですので」


なぜだ!?とヴィクトリアが問い詰めるが


王命ですので、の一点張りで話が通じない


そんな状況でブレイク達は謁見の間に通された


「よくワイトを助け出してくれた

...褒美をやらねばな」


と、ブレイクに近くに寄るように言い


ノワを見て巫女長が保護する運びとなり


ブレイクに国王?が何か着けようとし


巫女長もノワの後ろから何か着けようとする


バチン!


ワイトがノワに着けたペンダントが反応し


巫女長の持っていた物が弾け飛ぶ


「一体何のつもりだ!ミランド!」


国王ミランド・ルア・ダイア・ハート15世は


自身が呼ばれている事に気が付かないのか


キョトンとした表情でワイトを見る


「余か!そうかミランドという名だったな

...何のつもりかだと?」


ガシャン


ブレイクの首にソレは着けられてしまった


そして首周りに奴隷紋が染み込んでいく


「ソレは隷属の首輪!

着けた者の自由を奪う奴隷紋を施す代物!

王国はソレを嫌っていたではないか!」


そこまで黙っていた巫女長?も話し始める


「光の勇者と闇の巫女はこの世に

厄災をもたらす存在だという信託が出ました

なので光の勇者と闇の巫女には

奴隷になっていただいて

王国に危険がないようにしなければ...」


すると...


「そんなのは詭弁だ!」


と扉を蹴破りヴィクトリア達が入ってきた


ノワはワイトの元に駆け寄り


ブレイクもヴィクトリアの元に行こうとするが


『動くな』


ブレイクはこの奴隷紋の事を


ここの誰よりも知っている


命令違反は即刻、首が飛ぶ


その場から動けないブレイクを見て


国王ミランド?は不敵な笑みを浮かべる


次第に巫女長も笑い出し


そこでワイトが気付く


「お前...ミランドじゃないな」


「今更気付いたか

だが、もう遅い勇者はこちらの手に堕ちた」


ヴィクトリア達はブレイクが動けないのを


見てるだけしか出来ず


『勇者よ奴らを皆殺しにせよ!』


ブレイクは水魔法で剣を作り出し


ヴィクトリア達に襲いかかる


「避けてください!」


魔法を展開しながら


魔法剣でも攻撃してくるブレイクに


ヴィクトリア達は防戦一方で


ユージーンやアーク、メイベルが魔法を相殺し


ヴィクトリア1人でブレイクの剣戟を受け切って


それでも、ブレイクに押されていた


「ノワ離れていなさい

叔父さんノワをお願い」


ワイトもそこに参加し


どうにか均衡が取れ始めたところで


国王ミランド?が怒鳴る


『早く!殺さんか!』


「...だ...嫌だ」


ブレイクは自分自身を時間魔法で遅くし


対応出来るよう手加減をしていた


段々とブレイクの意識が遠のいていく


(やはり、こうなったか)


(私達では止められない)


と創造神と破壊神がいる空間に


ブレイクの意識は移動していた


前回と違うのはそこにノワがいた事


「ブレイク!ここは?」


ノワがブレイクに駆け寄り


光と闇の塊に何アレ?と言いつつ


ブレイクがアレが光の創造神と


闇の破壊神だよと説明して


ノワもそうなんだと納得した頃に


(今の国王は邪神の操り人形だ)


(巫女長もね)


その2人だけが邪神の影響を受けており


どうにかしないと王国が大変な事になる


それよりブレイクをどうにかしないと


その前にルア王国が滅ぶ可能性が高い


「でも、奴隷紋があるから

どうしようもないんじゃ?」


ノワの発言にブレイクは


「いや命令違反をすればいいんだ

そしたら僕はそのまま...」


ブレイクは死ぬ気だった


「ダメだよ!そんな事したら

ヴィクトリアさんが皆が悲しむよ!」


そこで創造神と破壊神が


(やり方が無いわけではない)


(ただ闇の巫女として

ノワ、貴女が戦わなければならないのよ)


戦うと言うのは簡単だが


実際何をすればいいのかノワにはわからない


(お前に命をかけて護りたい者はいるか?

皆を助けたいか?それにはかなりの代償が

必要だがそれでも助けたいか?)


闇の破壊神がノワに問いかける


それを聞いたノワは少し黙ったが


「...私、助けます!

ブレイクを皆を助けたい!」


(そうか、よく言った)


そこでブレイクとノワの意識はまた遠のいた




「おい!ノワ!大丈夫か?」


スゥがノワの頬をペチペチ叩く


いきなり意識を失ったノワの看病をしていたスゥ


「大丈夫、ありがとう」


ノワが立ち上がりワイトの元に走り出す


ワイトがそれに気付き


ノワに駆け寄る


「ノワ!危ないから下がってなさい!」


「違うの!このままじゃダメなの!」


ダメとはどう言う事かとワイトはノワの話を聞く


そしてノワを護りながらワイトはブレイクの元へ


ヴィクトリアがワイトの指示に従い


ノワがブレイクに近付ける隙を作る


「ブレイク!コレで戻ってきて!」


ノワが首元に抱きつき


ノワの手の紋章とブレイクの手の紋章が


輝きだし首にあった奴隷紋がジワジワと消えていく


「...やった!」


『殺せ!何故だ!?奴隷紋が消えていく!?』


国王ミランド?が焦り出し


「息子《ブレイク》!大丈夫か?」


ヴィクトリアがブレイクを抱きしめ


「母さん、すみません

ありがとうございます」


と、感謝を込めて抱きつき返した


国王ミランド?の身体が段々と変形していき


化け物へと変貌していく


巫女長が逃げ出そうとするが


国王ミランド?がそれを押さえつけ


丸呑みにしてしまった


「何だアレ!?なんか気持ち悪いぞ!?」


スゥは変貌した国王ミランド?を見た


率直な感想をぶちまけた


すると、ブレイクが吹き出し


あはは、と笑う


「そうだね、気持ち悪いね

だからさっさと倒してしまおうか!」

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