第17話
ギルマスのベルズが銀翼からの紹介の
アークが試験を受けると試験監を担当してくれて
「よし!これで試験は終わりだ」
アークはDランクからのスタートになった
(帰りにメイベルの所に寄ろうかな...)
アークはギルドを出てヴィクトリア邸に向かう
(お兄様!
お邪魔するんですから
何か買っていかないとなのです!)
そっか、と菓子屋によりクッキーを買って
アークは店を出てヴィクトリア邸に向かう
メイベルとヴィクトリアは付きっきりで
未だ目を覚さないブレイクの看病をしている
「お邪魔します
って、2人とも隈がひどいぜ
スイレンもグレンもいるんだから
2人とも少し寝てきた方がいいと思うけど」
いや、私はいいとヴィクトリアが頑なに
離れようとしないのを見たメイベルが
掛け布団だけ持ってきて
ブレイクの側で寝始め
ヴィクトリアもそうすれば
離れる必要がないと理解すると
急いで掛け布団を持ってきて
ブレイクの側で寝始めた
それを見たスイレンが
「やっと2人とも寝たわね
御主人様は未だ目を覚さないけど
ユージーンが言うには原因がわからないのよね」
そういえばスゥは?とアークがグレンに聞くと
「あぁ、あの嬢ちゃんなら
もう意識は戻ってるぞ
何日かすれば元気になるんじゃねぇかなぁ」
そっか、とアークが先程買った菓子折りを
スイレンに預けてブレイクを診る
(親父は気にしていなかったけど
頭のところ...魔力が流れず溜まってる
これを流せばいけるんじゃねぇかなぁ)
アークはブレイクの頭に手を当て魔力を流した
すると...ブレイクから流れ出した魔力が
部屋全体を埋め尽くし
寝ていたヴィクトリアとメイベルが目を覚ます
突然の異変にヴィクトリアがアークに詰め寄る
「アーク!何をしたんだ!?」
詰め寄られるとは思ってなかったアークは
少し驚いてヴィクトリアに説明する
「えっと...
ブレイクの魔力の流れが変で
頭のところに溜まってたんで魔力を流しました
親父は気付いてなかったから
黙ってたんだけど以前から気になってたんです」
すると徐々に部屋を埋め尽くしていた魔力が
ブレイクの中へと戻っていき
ゆっくりとブレイクが目を覚ます
「...おはようございます
あれから何日経ちました?」
ブレイク!!!とヴィクトリアとメイベルが
抱き付き泣きながら良かった!と
ブレイクの無事を確認していた
バタバタバタバタ!!!
駆け足と共に扉が勢いよく開かれ
「主!起きたか!
スゥはやっぱり主を守れるくらい強くなるぞ!」
騒ぎを聞きつけ執事やメイド達も部屋の様子を見て
涙ぐむ者が多数見受けられた
目覚めたばかりのブレイクに
アークがあの日の出来事を説明する
「あの日ブレイクがいきなり消えて
スイレンとの繋がりも切れた
皆で捜索の末にスゥが迷いの森で見つけて
スイレンと共に帰ってきたんだ
その日から3日経ってる」
3日...そんなにですか、と
ブレイクは何か考えているが
実際そんな余裕はなく
泣きじゃくるヴィクトリアとメイベルを宥め
その日はユージーンやコレットも見舞いに来て
ブレイクの回復を喜んだ
「なぁ、ブレイク
ちょっといいか?」
アークがブレイクに話があると
ブレイクは何だろうと2人は
風呂に入りながら話を始めた
「で、あの日は何があったんだ?」
湯船に浸かりアークはブレイクに聞いた
「あの日ですか?
..あの日はいきなりよくわからない空間にいて
スイレンとも念話出来ないなぁと思ってたら
いきなり光の創造神と闇の破壊神が現れて」
「ん?...ちょっと待て
なんで神話に出てくる創造神と
破壊神が出てくるんだ?」
話の続きをし始めるブレイクに
アークは戸惑いを隠せなかった
「それから選択を迫られたんですけど
えっと...均衡が崩れて新たな均衡を創造するか
均衡を破壊するかみたいな事を言われて
手を差し出されたから
どっちかを選択する流れだったんですけど
僕は両方の手を取りました
そしたら創造神も破壊神も驚いてて
でも思ったんですよ
一旦破壊してから創造じゃないか?って」
は?とアークがブレイクの発言に
何言ってんだ?コイツ?と困惑していたが
そんなアークにブレイクが説明する
「ほら
建物を建てたいのにそこにある物を
一旦破壊してからじゃないと
創造は出来ないみたいな?」
と説明するブレイクに
アークが???と尚の事、困惑する事になったが
「まぁ、そうなんだろうけど
普通それって片方を選ぶもんじゃないのか?
創世の神話に出てくる3柱の内2柱の神がなぁ...
ブレイクは何か授かったのか?」
「はい!多分ですけど
手の甲に紋章もありますし
授かったというより託された感じです」
うん、よくわからん!とアークは頭を抱え
その後、ブレイクに
この世界に伝わる神話について話し始めた
神話には3柱の神が登場するが
元を辿ると最初は2柱しか居なかった
光の創造神、闇の破壊神
その間に産まれたのが混沌の邪神
創造神は光から天使、水の精霊王
風の精霊王、癒の精霊王を創り
破壊神は闇から悪魔、炎の精霊王
雷の精霊王、土の精霊王を創り
邪神は混沌から四大魔獣とモンスターを創り出した
天使も悪魔も他の精霊王達も
言語を通じて共存出来ていた
四大魔獣は兎も角
モンスターに言語は通じなかった
天使が人族を創り
悪魔は魔族を作った
だがモンスターは
人族や魔族を襲うようになった
それを見た天使と悪魔は
モンスターを根絶やしにするべく
四大魔獣と混沌の邪神の討伐を考え動いた
だが四大魔獣と邪神は
想像を遥かに超える強さをしていた
天使も悪魔もほぼ壊滅状態
それを見た創造神と破壊神は
我が子である邪神を封印する事にした
封印された邪神は復活を目論んで
四大魔獣とモンスター達に人族や魔族を
襲うように指示を出し
創造神と破壊神の信仰心が弱まった所で
復活を果たす為に人口を減らそうとしている
だから信仰を無くしてはいけないとの事
「何だかややこしい話でしたね
それに龍や妖精とかは
神が創り出したわけではないんですかね?」
「そうだな、他にも謎は多いが
この神話には続きがあるんだよ
光の勇者、闇の巫女が揃いし時
混沌の門が開かれ世界は終焉に向かう
って言われてる」
あ!それ聞きました!とブレイクが
光の勇者と闇の巫女について聞いたが
「いや、そこはわかってないんだ」
そうなんですか...とブレイクは肩を落とす
(でも創造神と破壊神が均衡が崩れたって
言ってたけど何がどうなってるんだろう?)
そんな考え事をしていると
アークが畏まってブレイクに
「ブレイク、改めて頼みがある
俺をお前のパーティに入れてくれないか?」
「え...あ、はい」
突然の事で咄嗟に返事をしてしまったが
(姉さんと仲良さそうだし良いか)
と明日パーティに登録すると約束して
2人は風呂を上がった
アークはブレイク達と晩御飯を食べ、家に帰る
数日前
魔王の娘ノワの魔力暴走が要因となり
内部反乱が起きていた
「父様!
いや!離して!」
反乱軍に捕まったノワを見て
ワイトは激昂したが頭は逆に冷静になっていく
そんなワイトに反乱軍のリーダーが
提案を持ちかける
「魔王様、選んでください
貴方が死ぬかこの娘が死ぬか
どっちにしろこの娘は助かる道は有りません
貴方の政治は素晴らしかった
だがこの娘はダメだ
ダークエルフそして不吉な黒髪
そして禍々しい魔力を有している」
その提案を聞きワイトの選択は1つだった
「ノワも私も死にはしない」
空間魔法を使い反乱軍の中からノワを奪い返す
魔王城の窓から飛び出し
追手をどうにか撒くためにワイトは囮になる
「ノワ、これからは1人で生きていくんだ」
「父様!?一緒に逃げよう!」
ノワはワイトに縋りつくが
「この追手の数だと私が囮にならないと
ノワ、お前が逃げ切れない
逃げて生きるんだ」
「いや!父様と一緒にいる!」
「いい加減にしなさい!!!」
パチン!
ワイトはノワの頬を引っ叩いた
ノワは叩かれた事も怒られた事も1度もなかった
「ノワ...お前は生きるんだ、いいね」
「...父様」
ワイトはノワに認識阻害の魔法をかけて
自身のペンダントをノワの首にかける
「このペンダントがお前を守ってくれる
絶対に外さないようにしなさい」
泣きじゃくるノワを風魔法で包み
ルア王国の方角へと魔法を放った
ノワを見送った途端、背後から
「いたぞ!魔王ワイトだ!」
もう見つかったか、とワイトは急いで
煙幕を魔法で展開して逃げ出す
(ノワ、君は強い私より誰よりも
そんな君だけど
本当は甘えん坊で泣き虫だ
そして、これからの成長が楽しみなんだ
でもそれを見れないのは残念だ
魔力は先程の魔法でほぼ使い切ってしまった
さて、どうしたものか)
複数人に囲まれてしまったワイト
「...ノワ、愛しているよ」
ドカーン...
爆発音の後、辺りは静まり返った
「...父様」
泣きじゃくるノワを風魔法が運んでいく
(初めて怒られた
私のこと嫌いになったのかな)
認識阻害の魔法のお陰で周りからは
ただの突風くらいにしか認識されていなかった
翌朝になるまでノワは眠ってしまっていた
翌朝、目覚めると森の中にいた
「...ここは?」
魔の森と呼ばれる森林地帯
魔王領に属する場所で
他の国との国境になっており
ここを越えれば追手も手を出しにくくなる
「そっか...もうちょっとで」
ノワが歩みを進めようとするが
それは阻まれる事になる
「見つけたぞ!この娘だな?」
追手の手にはワイトのローブが握られていた
「...それを、どこで?」
震えた声でノワが質問する
「あ?見てわかんねぇか?」
ワイトのローブがあるという事は
...そういう事だ
「いや、いやぁぁあ!!!」
まだ幼いノワにはその現実が受け止め切れない
追手はそれをわかっていて
ワイトのローブを持ってきたのだ
ただ誤算だったのは
ノワが歴代のどの魔王よりも
強い魔力を有している事に
魔力が溢れ出したノワは狂乱状態になり理性を失う
「うがぁぁぁぁあ!!!」
「なっ!?なんだコイツは!?」
魔力の暴走により追手は悉く《ことごと》吹き飛ばされ
魔力の暴走により辺りの魔物も活性化し
ノワに襲いかかるがノワの魔力により圧死したり
切り裂かれたり破裂していた
(いや、いやだ
父様...どこ?独りはいや!!!)
反乱軍が反旗を翻した数時間後に
魔王ワイトを捕らえたという報告があり
反乱軍の勝利にてこの内乱は終わり
夜通し宴をひらくが
その翌日、反乱軍は壊滅
たった1人の少女に何万といた反乱軍は敗れた
そうしてノワの心に大きな穴が空き
誰の声も届かなくなった
そんな少女は呟く
「トウサマ...ドコ?」
破壊の限りを尽くす新たな魔王が
悲しくも誕生してしまった
それを別の空間から見ている者がいた
「やっとか...
この時をどれだけ待った事か
父も母も我を邪魔者扱いしおって
あと少しでこの素敵な空間から出られる」
混沌の邪神は独り復活の機を伺い続けていた
もうすぐ復活の準備が整う
それが待ち遠しいのか
不敵な笑みを浮かべていた
大きな魔力の流れは各国を巡り
ブレイクの元にもやってきた
「...これは?」
その魔力はブレイクの前で止まり
「...ドコ?...トウサマ」
魔力の幻影ははっきりと喋り
消えてしまった
今のは?と思うブレイクに
メイベルとスゥが部屋に入ってくる
「主!ヴィクトリアが呼んでる!」
「王城に銀翼と夜明けの旅人が呼ばれたみたい」
先日アークを加えた夜明けの旅人と
ヴィクトリア率いる銀翼が両方呼ばれるとは
珍しい事もあるんだなぁと呑気なブレイクに
早くね!とメイベルが催促し部屋を出て行く
スゥもそれに付いていき
ブレイクを外で待つ事になった
(ねぇ、スイレン
王城に呼ばれた理由なんだと思う?)
着替えながらスイレンと念話するブレイク
(さぁ?まぁ何かしらあったんでしょう
新たな魔王が誕生したとか?かしら
御主人様なら余裕で倒せるでしょうけど)
そうかなぁ?とブレイクは着替え終わり
スイレンと共に外に出る
既に馬車が用意されていて
ブレイクはそこに乗った
王城に着くと、謁見の間に通され
国王が神妙な面持ちで銀翼と
夜明けの旅人を待っていて
全員が揃うと口を開いた
「よく来てくれた!
突然だが先日、新たな魔王が誕生した」
「!?」
皆、驚きを隠せなかった
当代の魔王ワイト氏は人に友好的で
関係も良好だった為である
「ワイト氏が内乱を起こされ
囚われていたが消息不明となっている
だがそれより問題なのは
新たな魔王の存在だ
ワイト氏が消息不明になったその日に現れ
未だに魔王領のを蹂躙しているとの事だ」
そこまで聞いたユージーンが質問をした
「それで私達は何故集められたのでしょうか?」
そうだな、と国王が改めて頭を下げ
銀翼と夜明けの旅人に頼み込む
「友人ワイト氏の捜索
更に新たな魔王の討伐を依頼したい」
王命として命ずるではなく依頼するとの事
するとヴィクトリアが
「断る!」
ヴィクトリアがいきなり断るのにブレイクが驚き
「母さん?陛下からの頼みですよ?」
ヴィクトリアが断る理由は幾つかあり
それをブレイク達に説明する
「単純に危険な事と
両パーティにメリットがない
それにそんなに危険ならBランクではなく
AランクやSランクの冒険者に頼めばいい」
それをヴィクトリアが国王に告げるが
「巫女長が今朝、信託を受けてな」
巫女とは創造神を信仰し仕える女性で
神託を賜り人々に予言として残す役割がある
巫女長が受けた信託によれば
シルヴァ家の一族とその仲間にしか
均衡の崩壊は止められない
そして“クロノ”が鍵だ
との事、シルヴァ家は
ヴィクトリアにメイベル
そしてブレイク
その仲間と言うのはパーティの事であろう
そしてブレイクの隠し名がクロノであるからして
国王は2つのパーティに依頼する以外ないと
こうして集めたとの事だった




