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第16話

アークが眠りについた頃


書斎ではユージーンとマリアそしてライコが


茶菓子を食べながら話していた


「小僧の魔力量じゃ精霊融合《ソウル・ユニオン》は出来ん

孫は今後の成長に期待だがな」


ちょっと期待していたユージーンが肩を落とす


それを聞いていたマリアが


「それでもかなり強いんじゃないの?

それにまだやれる事はあるんじゃない?」


フッとライコが笑い


「マリアの言う通りだ

精霊融合《ソウル・ユニオン》は出来なくとも

武器化《アームズ》なら出来る筈だ」


武器化《アームズ》とはなんだい?


とユージーンがライコに聞く


「実際にやった方が早い」


とライコが魔力の粒子となり


ユージーンの身体に浸透して


(小僧、イメージしろ

お前がなりたい姿に)


ユージーンはいつも杖と


ローブを見に纏う事が多い


(私は接近戦は苦手だけど

以前からやってみたいんだ)


すると虎柄の爪付きのグローブを付けており


「これは?凄い魔力を感じる

ライコが変化したモノなのかい?」


(ああ、グローブの爪は大きさを変えて

中距離の相手にも届く)


弱点と言えばユージーンの魔力量では


長くは持たないという事


せいぜい5分が限界で切り札として使うのが良いと


ライコが実体に戻る


ユージーンがこれはシャルネも出来るのかと聞くと


「精霊は基本、全員できる

ブレイクの場合は魔力量が異常なだけで

精霊と契約する者なら基本コレが切り札になる」


なるほど、とユージーンはこれは


なかなか扱いが難しいと考え


「凄いわね、ライコさん

これにリスクは無いの?

アークの...あの子の力になるから

知っておきたいの」


ないわけじゃないがとライコが言う


「実力が知れ渡れば権力者からその力が狙われる

その力を欲する者、危険視する者

そういう奴らを弾き返せる程強くなれば問題ない」


そうなのね、と安心したような


複雑なようなマリアであったが


ユージーンが


「私が団長になれば問題ないよ

他の権力者にアークを狙わせないよう

今回、決闘を申し込むんだから」


ブレイクやメイベル、アーク達


子供達の未来を守る一心で


ユージーンは強くなり


何よりブレイクに恩を返したかったのだ




ヴィクトリア邸で


皆で食事中にブレイクは考えていた


(ねぇ、スイレン

僕は精霊融合《ソウル・ユニオン》出来るからいいんだけど

姉さんは精霊融合《ソウル・ユニオン》が安定してないって

言ってたし、それに

ユージーンさんもそうだけど

精霊融合《ソウル・ユニオン》以外に

切り札にまではならなくても

強化する方法とかないの?)


(そりゃあ、あるわよ御主人様《マスター》)


「やっぱりあるんだ!」


いきなりブレイクが声を上げるので


ヴィクトリアがどうした?と驚いていた


すみませんとスイレンとの念話の内容を説明した


「そうか!何か手立てがあるんだな

私もそれは気になっていたんだ」


スイレンは武器化《アームズ》について説明をし


グレンは生まれたばかりでその事を知らず


そんなのがあんのか!?と


精霊融合《ソウル・ユニオン》を練習中のメイベルに


切り札代わりに使えるとヴィクトリアは喜んでおり


当の本人のメイベルとグレンは


一度やってみようと言う話になり


グレンが魔力の粒子となりメイベルに浸透していき


(お嬢

あとはイメージだ、どういう武器にしたいか

イメージが出来ればオイラがあとはどうにかする)


(イメージ...

使い慣れてる剣がいいけど

遠距離もどうにかしたいから

魔法が飛ばせる剣がいい!)


すると炎を纏った深紅の剣が出来た


「これがグレン?」


「そうみたいだな

お嬢あとは的に向かって剣を振ってみな」


窓を開けてかなり離れた位置に


ブレイクが水魔法で水の壁を作り


それを的に剣を振る


すると剣先から炎が放たれ


壁にぶつかる一部を蒸発させ


炎は消えてしまったが


「凄い...」


屋敷から的まで20メートルは離れていた


2階からの上下や左右のの位置調整もできており


これなら中距離や遠距離の攻撃手段になる


そのあとも、何回か的に向かって剣を振る


軌道を変えたり複数の炎を同時に出して練習し


10分くらい練習したところで武器化《アームズ》が解けた


「はぁ、はぁ...

これ以上は魔力切れで無理ね」


「夢中になってやってたもんなぁ

確かにこれなら切り札にするには

ちょうどいいかもな」


そんなメイベルの姿を見て少し羨ましくなった


ブレイクがスイレンに僕にもできる?と聞くが


水の鎧や精霊融合《ソウル・ユニオン》の方が便利だと言われ


そうなんだと少し残念そうにしていた


「そういえば姉さんが前に言ってましたけど

15歳になると何かあるんですか?」


ブレイクの質問にスゥ以外のメイドや執事も


驚いてブレイクを凝視する


えぇ!?とブレイクは何かまずい事を言ったのかと


思ったがそういう事ではなく


メイベルがブレイクに話し始める


「ブレイクは知らないのね

15歳になると洗礼の儀と呼ばれる儀式があって

そこで職業が決まるのよ」


職業?となっているブレイクに説明し始める


職業は全員が15歳になると教会で受けられる


適正を見るためのもので例えばヴィクトリアの場合


最初の職業は戦士


そして武術と魔術の適正も同時に見る為


15歳で大体の将来が決まってしまう


ヴィクトリアの場合だと


戦士→騎士→聖騎士


と今のヴィクトリアの職業は聖騎士なっていた


職業にはレベルというものがあり


レベルが上がれば身体能力が上がる


洗礼の儀では例えばだが


戦士(1/50)


というふうに鑑定される


レベルが上限まで上がれば次の職業に転職出来る


そして武術や魔術はレベルではなく


以前ユージーンが説明していたように


なし→初級→中級→上級→極級→天賦級


と6段階ありヴィクトリアは現在


武術適正の剣術と体術が天賦級であり


魔術適正がなしとなっている


そこまで聞いたブレイクが


「だから姉さんは15歳の洗礼の儀の事を

気にしていたんですか、でもそれって

その時になるまでわからないんですよね?

それなら好きにしたらいいんじゃないんですか?」


「それはそうなんだけどね

近衛騎士団に入るには最低でも

騎士の職業じゃないといけないのよ

15歳までの事が影響して職業は決まると

言われているから将来的に騎士になりたくて

毎日鍛えてはいるんだけど

最近はよくわからなくって

グレンも居るし今のままだと

母上みたいになれないんじゃないかって...」


そうか私みたくなりたいのか!と


ヴィクトリアは照れていたが


メイベルに向き直り


「目指してくれるのは嬉しいが

メイベルは好きに生きて良いんだからな」


その言葉にメイベルは更に悩む事になった


その後メイベルは自室に戻り


寝る準備を始めた


(お嬢は何になりたいんだ?

オイラは騎士でも良いだろうし

冒険者でもどっちでも良いと思うけど

お嬢が楽しくないとダメだと思うぞ)


屋敷の屋根に居るグレンが念話で聞いてきた


(うーん...何になりたいかなぁ...

母上みたく強くはなりたいけど

昔から近付くには騎士になるのが1番早いと

思ったから騎士になれるように鍛錬してきたけど

今は何だか......よくわからない)


(焦るこたぁねぇよ

何になろうとしてもオイラは協力するしな)


メイベルはベットと掛け布団の間に入り


グレンにありがとうとお礼を言い


眠りについた




翌朝


勢いよく玄関の扉が開かれ


ヴィクトリアが外に出る


「スイレン!

息子《ブレイク》とはまだ繋がらないのか!?」


今やってる!とスイレンがブレイクとの


念話を試みるが一向に繋がらず焦りが募る


「私は街を探してくる!

スイレンはそのまま続けてくれ!」


何事かとメイベルとスゥが起きてきて


スイレンに事情を聞く


「...御主人様《マスター》が!

御主人様《マスター》が何処にも居ないの!

早朝まで繋がってたのに

それで部屋に行ったらいなくて!」


取り乱すスイレンをグレンとメイベルが宥める


するとスゥは心当たりがあるのか


急いで外へ飛び出す


「スゥ!?ちょっと何処行くの!?」


メイベルの問いかけに


反応する事なくスゥは屋敷を後にした




その頃ブレイクは真っ白い空間に居た


「此処はどこだろう?」


しばらく歩いてみたり


スイレンと念話を試みるが繋がらず


(...どうしよう

此処が何処だかもわからないし

スイレンとも念話が繋がらない)


ブレイクがそんな事を考えていると


突如として目が眩むほどの光と


全てを呑み込みそうな闇が現れ


(いきなり呼び出してごめんなさいね

でも、説明しなくてはいけなくて)


その光は契約しているわけでも


喋っているわけでもないのにブレイクの脳内に


直接、話しかけてきた


(時間がない

我々は其方の事を知る必要がある)


闇も光と同様に話しかけてくる


光の方は女性的で


闇の方は男性的な言葉遣いをしており


ブレイクは光と闇が


話しかけてきた事に驚きを隠せなかった


「あの、僕は元の場所に帰れるんでしょうか?」


(それは問題ない

用事が済めばまた居た世界に返せる)


(私達は貴方に話さなければいけないの

光の勇者と闇の巫女について)


「光の勇者と闇の巫女ですか?」


ブレイクは何のことだかわからないが


光と闇は話を続ける


(光ある所に影が現れ闇が広がる)


(闇があるから影が伸び光は輝く)


「なんの話ですか?」


(勇者がいるから巫女が生まれるのか)


(巫女がいるから勇者が生まれるのか)


((答えはわからない

光ある所に闇があり、また逆も然り

世界は均衡を保つ為に働き

その世界の強制力は人を生かしそして殺す))


ブレイクは緊迫した空気に固唾を呑み


そんなブレイクをよそに光と闇は話を続ける


((我ら光の創造神と闇の破壊神

我らが創造するモノ破壊するモノ

それらはこの世界に根付き因果を創り出し

生命は始まりそして終わる

太陽が登り沈むように

太陽が沈めば月が昇るように

それは繰り返される))


光の創造神と破壊神が言うことは抽象的で


いまいちブレイクは話を掴めておらず


(私達は貴方にその覚悟を問う)


(我々は其方に力の使い道を問う)


((光と闇は共存してきた

だがその均衡はヤツにより崩れた

我らは貴方に問わねばならない

其方は均衡を破壊するのか

新たな均衡を創造するのか

選択の時は今!))


そうすると光の創造神と闇の破壊神は


ブレイクに手を伸ばす


(どっちかの手を取れって事だよね)


光の創造神の手を取れば新たな均衡を


保つ力を手に出来るだろうし


闇の破壊神の手を取れば均衡を


破壊し尽くす事が出来るだろう


今の均衡を元に戻すための創造


今の均衡が崩れて新たな均衡を作る為の破壊


どちらを選べば良いのかブレイクは考える


(創造...破壊...

足りないものを創造

創りすぎたものを破壊

どちらも必要な事だ)


ブレイクは悩んだ末に


「...僕はこうする」


左手を光の創造神


右手を闇の破壊神


両方の手を取った


(それは苦難の道だ!

そんな事をした人の子は居ない!

其方にそれが出来るのか?)


(...今はこれで良いかもしれません

私達には貴方に運命を委ねるしかないのだから)


そう言ったところでブレイクは意識を失った




スゥは心当たりがあるのか走り出していた


行き先は迷いの森、モンスターと遭遇しながら


そして傷だらけになりながらも


ブレイクが居るであろう場所に向かう


しばらく走り続けて


少し開けた場所にブレイクは居た


「いた!主!」


ブレイクに意識は無く横になっているブレイクを


担いでスゥは迷いの森を抜けようとするが


モンスターがそれを許さない


本来のスゥであれば避けられる攻撃も


ブレイクを担いでいる状態では


避ける事が出来ずモンスター攻撃が


ブレイクに当たるのを防ぎながら


スゥはブレイクに覆い被さる


「大丈夫...大丈夫だから

主が傷付かないように

スゥは主の盾になる」


モンスターの攻撃で足は砕かれ


立ち上がることすらまともに出来ず


持った短剣を投擲し追い払える分は追い払うが


残りのモンスターはブレイク達から離れず


スゥに攻撃を仕掛けている


(このままじゃ

スゥは主を守れない...まだ足りない)


そんな時だった


スゥの身体から魔力が溢れ出し


足の傷を癒やしそのまま立ち上がった


スゥの隣にはスイレンが居た


「スイレン!力貸して!」


スイレンの力を使いスゥは


水の刃を無数にモンスターに放つ


逃げ出すモンスターまではスゥは追いかけず


スイレンが来たことで安心したのか


スゥは気絶してしまった


「まったくこの娘《こ》は凄いわね

それにしても御主人様《マスター》無事で良かった」


2人を水のベットに乗せてスイレンは屋敷に戻る


ヴィクトリアはボロボロのスゥとブレイクを見るや


歯を食いしばってやるせない顔になった


ヴィクトリアに呼ばれたユージーンが


スゥとブレイクを診る


「スゥちゃんの方はある程度治ったから

安静にしてれば大丈夫だよ

ブレイクなんだけど特に異常が見られないね」


そうか良かったと一安心だが


ブレイクが消えた事と


スイレンとの繋がりが切れた事については


わからない事が多くスイレン自体も


こんな話は聞いた事がない


「...どう言う事かしら

それより...そっちの精霊は?」


スイレンがアークの側にいる


シャルネに気付き話を聞く


ライコの出産に驚くスイレンだったが


ライコが大精霊にならなかったのを鑑みるに


当然かと納得した様子だった


「そうだ!アークも冒険者になったらどうだ?」


ヴィクトリアの提案で


冒険者の試験を受ける事になった

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