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第10話

薬草採取の依頼の薬草を発見したブレイク達


「依頼の薬草ありましたね」


と、薬草の群生地を見つけ


依頼内容通りに根っこから引っこ抜き


ヴィクトリアやメイベルと薬草を集め


ブレイクとスイレンが水魔法で根っこの土を洗う


メイベルがそのまま麻袋にしまおうとしたが


「麻袋を濡らした方がいいわね

あまり人族に知られてはないけど

その薬草は乾燥に弱い性質を持つから」


と、スイレンがアドバイスしてくれて


麻袋を濡らして中に薬草をしまっていった


(スイレンって物知りだよね)


(1500年も生きていればそうなるわよ)


と、2人で念話をしていたが


ここでコチラに近付く人物にブレイクが気付く


そもそも一定の距離を空けていたその人物が


段々と距離を詰めてきたから


ブレイクは少し警戒して


ヴィクトリアとメイベルの方を向いて


「そっちから、誰か...来ます!」


その人物がくる方角を指差した


「「!?」」


ヴィクトリアとメイベルは驚き


近くに誰かいる事実に警戒する


茂みから現れた人物に


ブレイクが魔法で先制攻撃を仕掛けようとした時


「待て待て!

こっちに敵意はない!」


とバーンズが現れた


「なんだバーンズか、ビックリさせるな」


ヴィクトリアがブレイクに面識のある人物だと


説明し、ブレイクはようやく攻撃体制を解いた


「コイツはバーンズAランク冒険者で

初心者講座で私の生徒だったんだ」


初心者講座とはブレイクが受けた


最高難易度の試験ではなく


普通の試験を受けた際に


行われるものでベテラン冒険者が


初心者冒険者を連れて


依頼の体験をさせるというモノだった


「まぁ、あっという間にランクは越されたがな」


笑いながらヴィクトリアはバーンズの肩を叩く


「いや舞姫は依頼を選り好みし過ぎて

ランクが上がらないだけだろ

とっくにSランクでもおかしくないんだから」


と、世間話をしている2人にブレイクが


話を遮るように割って入る


「それでバーンズさんは

僕達に何の様ですか?」


珍しくブレイクが不機嫌な感じで


質問をしているのにメイベルがスイレンに


「ブレイク君、怒ってない?」


「あれは、嫉妬じゃないかしら」


ヴィクトリアと仲良く喋っているバーンズは


ブレイクからすると


母親を取られた子供の気持ちが強く


それはスイレンに伝わり


スイレンも自身が怒っている様な錯覚し


バーンズを見る目が厳しくなる


不機嫌なブレイクを見てバーンズが


何か癪に障ったのかと気を使い始める


「悪かったって、後ろを付けたのは謝る

ただ舞姫との関係性が気になってな

息子と言っていたが特に似ている訳でもない

おそらく養子なんだろう

というよりお前を見て

俺は普通じゃねぇと思った

魔力量の多さがイカれてる

そんなお前が危険だと見てる

元奴隷の孤児なら舞姫は孤児院に預ける筈だが

その魔力量の多さは化け物染みてる

舞姫が孤児院に置いておくのが危険と考えて

保護したのかもしれねぇが

まぁ、正直なんでもいいんだが

俺はあまりいい気はしてねぇ」


そこの言葉に先程までオロオロしていた


ヴィクトリアが怒りを露わにする


「バーンズ!

私の息子《ブレイク》に文句があるのか!?

それは私に文句があるのと同じだからな!」


それを聞いたバーンズは


「それを聞いても俺の意見は変わらねぇ」


バーンズの生まれは没落貴族で


家を出なければいけない状況だったが


本人はそれを諸共しないやる気に満ち溢れ


冒険者ギルドの戸を叩いた


バーンズからすれば


ブレイクは状況に甘え


ヴィクトリアやシルヴァ家に


甘えているのではないかとそう考えていた


バーンズがブレイクに逆に質問を投げかける


「さっきも言ったが

俺はお前さんの事を良くは思ってねぇ

元奴隷で舞姫が心を痛めたのかもしれねぇが

お前さんは何をした?自分で何かしたのか?

俺には今の状況に甘えている様にしか見えねぇ」


と一気に捲し立てて


ブレイクに一歩、また一歩と迫る


そんなバーンズにブレイクは


「...元奴隷じゃ、何が駄目なんだ?」


とバーンズに問いかける


「いや、元奴隷がとかではなくて...」


ブレイクは内心ブチ切れていたが


頭は急激に冷えていく


「確に俺は奴隷商にいた

正確には奴隷の子供だからちゃんと

奴隷かと言われると違うのかもしれない

ヴィクトリアさんが心を痛めてくれたのは

実際そうだと思うけど選択したのは俺自身だ

それにヴィクトリアさんだって

俺の魔力量の多さは知ってる

危険なのもわかってる筈だ

それでもヴィクトリアさんは

俺に息子に家族にならないかと提案してくれた」


ヴィクトリアがしたのは手を差し伸べる事


それを掴んだのはブレイクだった


「それに俺には奴隷商にいた頃

母が居た彼女は最後に俺に生きろと

そんな思いを託されて俺はここまで生きてきた」


メイベルとスイレンがブレイクを見守る中


バーンズがブレイクを問いただす


「じゃあ、何故舞姫と親子関係を結んだ?

母親と似ていたか?恐らく違うだろう!

なんせ!一度も舞姫を母と呼んでないからな!」


「バーンズ!いい加減にしろ!」


ヴィクトリアがバーンズを嗜めるが


バーンズは止まらない


「俺はお前さんの事は正直どうでもいい

ただ舞姫の負担になるんじゃねぇかと思ってる

娘もいて、旦那には先立たれた

そんな中いきなり息子だ?

こんな爆弾みたいな魔力量をした

化け物みたいなヤツに娘のメイベルが

一度でも良い顔をしたか?使用人たちは?」


と、そこでバーンズの顔面に


濡れた麻袋が投げられた


「...けるな」


投げたのはメイベルだった


いきなりの出来事にバーンズは対応できず


濡れた麻袋をくらい尻餅をついた


そんな、バーンズに対しメイベルが


「...ふざけるな!

さっきから聞いてればなんだ!?

ブレイクの事を何にも知らないくせに

なんだその言い草は!?

ブレイクが母上をちゃんと呼んでない!?

そりゃ、そうだろうよ!

実の母と離れてまだ1ヶ月も経ってないんだから!

母上や私の負担になる!?

結構!家族ならそんなものだ!

それに使用人はもうブレイクを可愛がってたわよ!

私は母上が決めた事にとやかく言う気は無いし

ブレイクがシルヴァ家に馴染むまで

時間が掛かるのは当然だ

それにさっきからブレイクを危ないだとか!

ブレイクが爆弾みたいだとか!?ふざけんな!

魔力量が多くて何が悪い!将来有望だろうが!

お前なんかに言われる筋合いはない!

何処の誰が何と言おうが!

ブレイクは私の家族で弟だ!」


捲し立てるメイベルに


バツが悪そうなバーンズ


それを見たヴィクトリアが2人の間に入る


「バーンズ今日はもう帰れ

これ以上お前が居ると

メイベルの血管が切れる」


バーンズはヴィクトリアに


「...わかった、わかったよ悪かったな」


自身が言った事を後悔しながらバーンズは


森の奥へと消えていった


残されたブレイク達は


気まずい空気になったが


ブレイクが冷静になり


「あの、ありがとうございました」


ヴィクトリアとメイベルにお礼を言い


頭を冷やして来ますと近くの湖に1人で向かった


「母上、私...言い過ぎましたかね?」


メイベルが平静を装いヴィクトリアに聞く


「いや、さっきので良かったんじゃないか?」


ヴィクトリアの言葉にメイベルは


一旦、深呼吸をしていたが


耳まで真っ赤になっていた




(ブレイクは私の家族で弟だ!)


ブレイクは湖で顔を洗っていた


水魔法で洗えば良かったのだが


単に1人になりたかった


それはスイレンも気を使い


ヴィクトリア達の側に居てくれた


「うーん...弟かぁ」


ブレイクはメイベルを姉とは


あまり意識した事はなかったが


今回の事で意識し始めていた




「ブレイク君、怒ってないかなぁ?」


メイベルはしゃがみ込み頭を抱えていた


ヴィクトリアはメイベルが投げた


麻袋から飛び出した薬草を再度集めて


スイレンに洗い直してもらっていた


「そんなに気にするな

息子《ブレイク》もそのうち帰ってくるんだ

そんな事言ってると笑われるぞ

それに“私の家族で弟”なんだろう?」


とイタズラな笑みをヴィクトリアは


メイベルに向けた


「あー、もうどうしよう

変に思われたかなぁ?」


と、少女の悩みは尽きない


「戻りました...って

どうかしました?」


切り替えて戻ってきたブレイクが


しゃがみ込みメイベルを覗き込む


なんでもない、なんでもないと


メイベルは平静を装って立ち上がる


ヴィクトリアはそんな2人を抱きしめ


「バーンズの事は気にするな

私達は私達のペースで家族になっていくんだから」


ヴィクトリアは眠る子供に言い聞かせるように


2人の頭を撫でて語りかけていた


ブレイクが何が畏まった様子で


メイベルの方を向く


「えっと...姉さん」


勇気を振り絞り声に出すと


「!?」


メイベルは嬉しそうにブレイクに抱きつき


「なに?ブレイク!」


そんな2人を見て


「ずるいぞ!メイベルだけ!

私は!?母さんとは呼んでくれないのか!?」


と駄々を捏ね始め


一息ついてからブレイクが


「か...母さん」


「おお!なんだブレイク!」


とメイベルごと抱きしめ


「「くっ...苦しい」」


2人を目一杯抱きしめていた


それをスイレンが解き


「はぁ、まあなんでも良いんだけど

さっきはヒヤッとしたわ

なんせ御主人様《マスター》がブチ切れてたから

バーンズって男は勿論

この森も消し飛ぶかと思ったわよ」


先程の怒りがトリガーとなったのか


またブレイクの魔力量は増えていた


「なんか心配させちゃってごめんね」


スイレンに気を使うと


「良いのよ御主人様《マスター》は

もっと欲を出していかなきゃ勿体ないわよ」


そっかなぁ?とブレイクはあまりわかっていない


それよりバーンズが言った事が正直気になっていた


(確かに周りから見たら

ヴィクトリアさ...母さんの家に転がり込んだ

危ない奴だもんなぁ)


ブレイクとメイベルの怒りはなんとか収まったが


ヴィクトリアの怒りがまだ収まっていなかった


「よし!

依頼が終わったら、街に出掛けるぞ!」


と、ブレイクとメイベルを抱き抱えながら


迷いの森を走り抜けて行く


ヴィクトリアは2人を抱えて居るとは思えない


スピードで木々の間を抜けて行く


あっという間に迷いの森を抜けて


ギルドについたブレイク達


そして依頼の報告に向かう


「こんにちは、依頼の報告にきました」


受付嬢がギルドカードと依頼の内容書を確認し


「依頼達成です、薬草の状態も良いので

1束あたり銅貨3枚のところ

銅貨5枚にさせていただきます

全部で30束ありますので

銀貨1枚と大銅貨5枚ですね」


お金の価値がわからないブレイクに


メイベルが貨幣について教える


1番小さい貨幣が銅貨で


銅貨10枚で大銅貨1枚


大銅貨10枚で銀貨1枚


銀貨10枚で大銀貨1枚


大銀貨10枚で金貨1枚


金貨10枚で大金貨1枚となっている


「そんなんですね

銀貨1枚だと何が買えるんですか?」


ブレイクがメイベルに聞く


「銀貨1枚だと、初心者用の武器か

鎧とか買うのにちょうど良いくらいかな

あとは食事付きの宿に泊まれる

あ、そう言えば最近

銅貨1枚均一の店がが出来たって聞いたなぁ」


へぇ、と未だ価値がわからないでいると


あまり気にする事はないとヴィクトリアが


「私は近衛騎士団の副団長をやっていて

月に大金貨20枚貰っているし

私の領地から税は取ってないが

領民から月に大金貨5枚が届く

ブレイクもそのくらいすぐ稼げるようになる!」


と、ヴィクトリアは簡単に言うが


月に大金貨1枚を稼ぐ冒険者は


そう多くはない


そこに受付嬢がブレイクに声をかける


「ギルドカードの機能に銀行の機能もあります

そこに預けておいてカード払いもできる機能が

便利ですので是非ご利用ください」


確かに預けられるのは安心だと


するとメイベルが


「カード払いが出来ない店もあるから

現金を少しは持っておいた方がいいわよ」


そうなんだ、とブレイクは


大銅貨3枚を手元に残して


残りを全て預けた


それを見たヴィクトリアが


「まぁ、この後の買い物は私が払うから

ブレイクが現金を持つ必要はないんだかな!」


と、買い物に出掛ける


「嫌な事があったらパァーッと金を使うのが

1番ストレス発散になるからな!」


ヴィクトリアが次から次へと目につく店に入り


色々、商品を物色して行く


ブレイクは買い物の経験があまりない為


物珍しいのか目を爛々と輝かせていた


「あーあ、母上はまた...

まぁブレイクが楽しんでるならいいか」


メイベルに止められるまでその店で買い物をし


次の店に入る


宝石店や武器屋


ジャンル問わず色んな物を


買い漁っていた


買った物は全てヴィクトリア邸に運ばれるよう


手配しヴィクトリア達は屋台で買い食いしていた


「どうだった?嫌な事も吹っ飛んだだろう!」


とヴィクトリアはブレイクに話し


はい!そうですね!とブレイクが


いつもよりテンションの高い返事をした


それを見たメイベルが


「まぁでも使った金額は凄いけどね」


いくら使ったかと言うと


大金貨50枚だった


それを聞いたブレイクは呆然として


ヴィクトリアは


「なんだ、そんなものか

もっと使えばよかったな」


一体ヴィクトリアの財産はいくらあるのだろう?


とブレイクは考える、そして


「僕も稼げるように頑張ります」


いっぱい稼がないと、と言う結論に至ったのだった


するとヴィクトリアが


「そうだな稼ぐのは良い事だ

ただ成人までは親の庇護下にある

大人になるまで親に甘えているのが良い」


と、ヴィクトリアはこれから掛かる全てのお金を


自分が払うという覚悟で養子に迎えた事も


言葉の裏に込めていた


「さぁ、次の店に行くぞ!」


そうしてヴィクトリア達は次の店に向かった


そして日が傾く頃


ヴィクトリアに連れられ


ブレイクとメイベルはとある場所に連れて来られた


「ここは?」


ブレイクの問いにメイベルが答える


「ここは教会ね

母上は月に1度は必ず来る場所ね」


孤児院兼教会のこの建物は


ヴィクトリアにユージーン


それにこの孤児院出身のコレットの3人


が資金を出している建物だった


「公爵様!」


シスターが掃き掃除をしていたが


ヴィクトリアに気付き近寄ってきた


「やあ、シスターメリア

子供達は元気にしているか?」


シスターメリアはバツが悪そうに


「それなんですが...」

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