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池袋毎度喫茶  作者: ドラピ@レオ
1.メイドカフェにいる人種はある程度頭がちゃんとイカれている

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9/12

9.朝日を浴びることで、人間は生きる力を合成することができる

 ランチの前の仕込みはお昼前、つまり午前中にすることとなる。眠い目をコシコシしながらご主人様のために準備する、まさにメイドとしての1日の始まりである。


 午前中は意外と喫煙所は空いているため、ストレスなく西郷はタバコをふかしていた。


 ぷかぷかと浮かぶ雲はさながらタバコの煙が巨大となって空に浮かんだだように思えた。


 タバコの煙くらいしかない空の晴天具合。こりゃあ忙しくなりそうだと腹をくくっていた最中、たかしがアイコスを用意しながらこちらに歩いてきた。


「おはよう、今日は晴天なのに、湿度があって不快だな」


「おす、ほんとそれな」


メンソールの香りがこっちまで香ってくる。

ふーっと息を吐いた後、あ、そうだ。とたかしが思い出したかのように呟く。


「明日、新しいメイドの面接はいるよ」


「おー、やっとメイドが入ってきたかあー。

 求人出してたんだっけか??」


「まあねー、門松求人」


 門松求人とは、門松の客寄せの看板に小さく、

「新しいメイド募集中♡」

と書いて募集スタイルだ。


 ほぼ求人していないのと同じだな。


 だが、そんな文字を見切ってこちらに募集したメイドと思うだけで只者ではないなとも考えた。


「本格的にランチとディナー営業を考えられるくらい従業員が増えてきたな」


「いやーー、増えたとはいえ、厳しいんじゃないかあ…?」


 遠藤くんという調理人が入り、私の厨房としての業務の負担が減ったのは事実で、昼夜の営業も可能ではあると思う。


 だか、それでも気持ち的には今の形態で働きたいなあと強く思っている自分がいる。


 なのでタバコをふかしつつ、やんわりと否定的な発言でたかしに返した。


 飲食を行うお店は忙しくなるほどお店が儲かっていく、まさにドMの仕事形態なのだ。

 もちろん、料理を作ることは好きで、ご主人様が喜んで食べているのを見ると作って良かったと心底思う。

 

 だが、その幸福以上に疲労感が付き纏ってしまう。

それがシンプルに辛いのだ。


 私は優れた料理人ではないことはわかっている。

 様々な厨房を経て働きすぎると死ぬこともわかる。

 そこで頑張るか!と思うことが素晴らしき人間だと思うが、私は絶対そうは思わない。


 働きたくない。

 働きたくない。

 働きたくない。

 働きたくない。



「おはようございます!お二人とも一服中にすみません!」


 やはり朝から遠藤くんは元気が良い。


「おはよう、今日もよろしくねー、

 あ、おれアイコス切れたから先向かうね」


 アイコスを灰皿にいれたたかしはスタスタと職場へ歩いていった。


「おすー、

 厨房、こんなやる気のないやつと一緒でごめんねー」


 ネガティブなことを考えていたせいか発言にもその傾向が現れてしまったが、遠藤くんが、いえいえ!と返答した。


「以前も言いましたけど、田中さんと働くことで私の勉強にもなるのでとても嬉しいです!」


 厨房で疲れすぎると逆にテンションが上がってしまい、熱くなって話していた時だな。

 ただ今日はネガティブな感情が続く。


「ランチディナーどっちも営業するの、遠藤くんは大変だと思わない?」


「はい!大変ですね!!」


 あまりに即答で流石に驚いた。


「だよなー。ならやりたくないって思うよねー」


 厨房2人がNOを出せばきっと今の形態のままになる。同調を誘ってお願いしてみよう。


 ただ、遠藤くんはんー…と悩んだ末にこう答えた。


「大変ではあるんですけど、やりたくないとは思わないんですよねー…、楽しそうじゃないですか!」


 ああ、若き青年のひたむきさ、輝きすぎて目が眩む。だが負けない。


「でも、そんなことして体とかに支障出たらいやでしょ?体壊してまで仕事したいとは思わないけどなあー…」


 青年の頑張ろうとしていることに、おっさんが足を引っ張って…

正直本当に自分が嫌だ。

…自分は本当に社会で働くことに適していないな…


「体は壊れないと思いますよ!」


「だって、僕がいますから!」


 え、と口を開く私を横に遠藤くんが続ける。


「確かに私はここにきてまだ日は浅く、正直覚えることもいっぱいで本当に辛くあります」


「料理だってたくさん作ってフライパンすらみたくない時もあります」


「それでも!そんな大変な中頑張って、お客様の幸せそうな顔みて楽しそうに仕事している、田中さんに早く追いつきたいです!」


「僕は田中さんの弟子ですから」



 …やはり、遠藤くんは眩しいな。


 今度からサングラスを持参することにしよう。


 太陽が眩しい。


 …雨の予報はなかったんだがな。


 一筋水が目から流れた。

こんなに真っ直ぐで、そしてこんなに自分のことを評価してくれることに慣れてなく、久しく感動してしまった。


「遠藤くん、お客様じゃなくて、ご主人様だよ。

 今度から訂正してね。

 …今日もランチ頑張っていこうか。」


すみません!はい!と元気の良い返答を返して私達はお店へ向かう。


 数日後、本格的にランチディナー営業が始まっていく。

 正直な私の感想は…_

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