1.物語の始まりは決まってぬるっと始まる
西口にある歩道を渡っていくとすぐに東口に着き、開店するお店に到着するのは時間の問題だった。
少し入り組んだ、階段を下って地下に店を構えてこれから商売の始まりを告げようとしていた。
まだ内装は全くで、店内の色合いも以前のお店のまま放置された状態であった。席数は10席程度であり、その席全てから厨房の作業風景をみることができる。
テーブルや椅子などもカフェテーブル、硬い椅子であるので、この椅子は撤去し長い時間くつろげることが前提のソファーや画期的なテーブルを用意していきたい。
それから天井には…
後はお店の外観にも…
従業員だけでなく、店の隅々までまだ決まっていないため、オーナーの頭は様々なことがグルグルと回っていた。
オーナーの前職は求人サイトで求人を斡旋する仕事であった。
長年勤めていたこともあり、割と上の役職であったらしい。
そんなオーナーは日々老若男女問わず、様々な職業に人を導いていっていた。
そんな中には、仕事が合わなずすぐに辞める、応募していた条件と違う、こんなに辛い仕事だとは思わなかった、もう働ける自信がない…
など、そう言った声はとても多かった。
自分が勧めて喜んで働いてくれている人達と共に、自分が勧めた会社で傷ついている人達もいる。
そんな現状がなんともいえない気持ちになっていた最中、
「そうだ、私が皆んなが働きたいと思う会社をつくれば良いのだ(°▽°)」
そう思い切って退職し、このお店を立ち上げることとなったのだ。
「お店はまだまだ完成とは程遠いからねえ(*_*)
国の申請とか、資金の調達とかにも苦労するし、お店を建てるのはやはり簡単ではないねえ(´;ω;`)」
とはいえ、自分の店でも他社の意見なども欲しい気持ちはある。1人だけでは限界がある。
求人サイトにも求人は載せたが、思ったよりコストが高かったため、集まり次第早々に消したい気持ちでいっぱいだ。
そんな焦燥する気持ちの中、店頭の真新しい感じに目が止まったのか、スーツ姿のサラリーマンが足を止めこちらをじーっと見ていた。
もしかして、宣伝チャンスか?
そんな気持ちがよぎり、オーナーがその男に話しかけてみた。
「こんにちわ!(^_^)
実はここ、来月ほどでオープンする予定の新店舗なのですよー!(^O^)
興味ありましたら、ぜひ来て下さいねー!(´∀`)」
想像以上のオーナーのはつらつとした表情に、男は少しびっくりしていたが、すぐに先ほどの表情に戻った。
「ここにお店を開くのは少し珍しいですね。
物販系ですか?それとも飲食??」
「飲食店ですよー!(о´∀`о)
ただ、普通の飲食店とは違った形式にしたいと考えておりますー(´ー`)」
「そうなのですか?
ちなみにどんなお店なのですか??」
「それはー、できてからのお楽しみということで
⊂((・x・))⊃」
なんなんだ、この店は…、と心の中で思った男は、
できたらぜひ伺わせて下さい、
とビジネス敬語らしい返事を後に、その場を離れた。
池袋には特殊な店は多いが、今回はどんな店が待っているのだろうな。
変な期待と共に、男は休憩終わり前にアイコスを吸い終えると会社へ戻っていく。




