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異世界とは愛すべき者達の居る世界(胸糞控えめver.)  作者: かみのみさき


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3話 お肉大好きケモ耳幼女



 相対距離凡そ二メートル。豚野郎の大きさなら、一歩で間を詰められるであろう距離。

 正直言って、残尿感でちびりそうだ。

 俺の叫びに、豚野郎は一瞬怯んだものの、すぐに落ち着きを取り戻し、巨大な斧を両手に構え、ニチャァッ──とした笑みを向けてくる。

 

「っ……逃げられないってかっ」


 豚野郎の斧が振られる。

 スローモーション再生の様にゆっくりと。

 走馬灯なんて、見る暇無いって。


 これって間違い無く────「っ死ぬやん」


 斧が振られ、俺の胴体を割った。


「流さんっ!」


 ミルンの声が聞こえた──その瞬間、背中にドンッと衝撃が走り、"前方"に飛ばされた。

 "前方"には、スイング中の豚野郎。


「あっ────」


 前方に飛ばされた俺は、豚野郎に向かって飛びかかる姿勢となり──互いの距離が重なり合うその時──この世界で初めてとなる、あり得ない奇跡が起きた。


「ぶふっ!?」


「プギュッ!?」


 オークである豚野郎(雄)と、人間である小々波流(男)との、種族の壁を超えた接吻が──実現した。


 ピンポンパンポーン(上がり調)

 レベルが1上がりました(誰得乙っ!)

 ピンポンパンポーン(下がり調)

 

「流さんっ! 大丈夫ですかっ!」


 ミルンが慌てて近付いて来る。


「何とか……生きてるよ」


 地面に前のめりに倒れてますが。

 今の衝撃何? 何かに押されて飛ばされた様な……それで、豚野郎の顔面が急に目の前に現れて、衝突して……。


「……ミルン、豚野郎はどうなった?」


「それならあそこで、頭押さえてふらついてますよっ! 大きな"お肉"ですっ!」


 豚野郎が、殺意満々でこっちを睨みながら、口を拭って叫びを上げている。


「オヴェッ! プギャアアアアアアッ!」


「ははっ、アイツも同じ事を、思ってるのかね」


 俺は、ミルンに支えられながら、何とか立ち上がり、微妙に生臭い息を吸い込み、今度はハッキリと、心を込めて魔法を行使する。


「頼むぜ魔法っ! うおおおおおおお──っ、たあああああああああ──っ!!」


 さぁ豚野郎……お互いに、清らかな水で、身も心も汚い唇も、洗い流そう。

 今なら、顔面ダイレクトでも嫌がらないからね。顔を真上にして、準備完了だよ。


「さぁ! 来るんだお水っ!」


 水を待っていると、俺の少し前に、直径一センチ程の小さな水球が現れ、豚野郎の脳天目掛けてチュン──っ「プギャッ」と打ち出され、巨大な豚野郎が、そのまま膝から崩れ落ちた。


「……はっ?」


 何が起こったのか、理解出来ない。

 滝ではなく、なに今の魔法……えっ?


「流さんの魔法、凄いの……」


 取り敢えずと、呆然としているミルンの尻尾をモフっとして、汚れた自分のマウスを、尻尾で拭き拭き。


「ふぃ……ミルン?」


「……じゅるっ」


 ミルン……涎を垂らしながら、豚野郎から目を離さないとか。そう言えば、ミルンはさっき豚野郎を、お肉って……マジですか?


「えっと……ミルンさんや。あの豚……食べれるのか? じゃなくて、食べる気なのか?」


「美味しいお肉っ!」


「あっ、そうなんだ……」


 異世界のオークって、食べれるのかぁ。もしかして、普通の食卓とかでも、並ぶのかねぇ。

 という事で、ミルンに豚野郎を、ご進呈。

 するとどうだろうか……こうなりました。


「お肉っ、お肉っ、久しぶりのお肉ーっ!」


 ミルンのテンションが、爆上がり。

 可愛い尻尾をブンブンと、千切れるんじゃないかと心配する程に振りながら、豚野郎が持っていた斧を"片手"に、解体してんのよ。

 巨大な豚野郎の、解体現場です。


「……すっげ」


 現代っ子の俺には、刺激が強過ぎるぞ。


「流さんっ! 本当にっ、モゴモゴ全部貰っても良いのですかっ! オーク肉はモゴモゴっ、売ればそこそこのお値段になるって、聞いた事あるんっモゴモゴっ!」


 最早お肉と化した、元豚野郎をモゴモゴと咀嚼しながら、キラキラした目を向けてくるというか、我慢出来ずに食べてるよ。

 生肉を嬉々として食べる、犬耳幼女……。


「あー俺は要らないから、全部やるよ。というか、生で食べても大丈夫なのか?」


「はいっ! 新鮮なので生でもいけますっ!」


「口が真っ赤じゃん……怖えっ」


 斧を使って、器用に元豚野郎の睾丸を、笑顔で引き千切る姿を見て、一瞬股下がヒュンッとなってしまう。


「それ……食べるのか?」


 元豚野郎の……睾丸。


「食べますよ? オークのお肉の中で、一番滋養に良いと言われていますので。モゴモゴ」


 あぁ……今食べるんだ……生睾丸。


「それ……全部食べ切れるのか?」


 元豚野郎の各種部位。

 見た感じで百キロ以上あるし、異世界と言えども、放置してたら腐るんじゃないか?


「そうなんです。全部食べたいのですけど、このままだと腐ってしまうので……どうしたら」


 返り血を浴びたまま、耳と尻尾をピコピコ動かして考えている姿は、中々にシュールな光景だと思うぞ。


「……試してみるか」


 俺は、元豚野郎の切れ端を指先で拾い、試しとばかりに、空間収納スキルを使ってみた。

 イメージとしては、空間に穴が空いて、この元豚野郎を入れるように、だろうか。


「どうなるか。『空間収納』……おっ」


 一瞬で、ミルンがモゴモゴと食べている、元豚野郎の睾丸二個目以外の部位全てが、目の前から消え去った。


「お肉がっ!?」


 ミルンが、モゴモゴと食している、元豚野郎の睾丸をボトッと落として、慌て始めた。

 

「お肉っ!? どこ行ったのお肉っ!?」


 鼻をスンスンさせて、物凄く可愛い。

 匂いを嗅いでも、どこにも無いぞーい。


「お肉────っ!!」 


「あっ、おいミルっ……行っちゃったか……」


 ミルンが森の中へ突撃して行った。

 俺はそれを見届けて、のんびりとボロ屋の中へ入り、ふぅと一息、少しばかりの休憩です。


「ちょっと確認……」


 ステータス、ステータスっと。


====================

 小々波 流 三十五歳

 レベル 4→6UP(楽しい経験値効果)

 能力値

 筋力11→13

 防御56→60

 知力25

 生命12→13

 速力65→75

 (村人男性平均100とした値)


 スキル

 ・身体強化(これで貴方もマッスルバディに)

 ・楽しい経験値リシュエルのサプライズ

 ・空間収納(大人の本の隠し場所として)

 ・基本魔法(一人暮らしのお供に)

 ・ー 判別不能 ー


 称号

 ・逃げ惑うニート

 ・崖からダイブするニート

 ・ケモナー(仮免許)

 ・種を超えた奇跡(魔物特効)


====================


 目の前で見えている、ステータスの項目を、指で触ってみる。


====================


 スキル

 ・身体強化(これで貴方もマッスルバディに)

 レベルアップ時防御能力プラス値補正

 レベルアップ時速力能力値プラス補正

 レベルアップ時上記能力値以外の成長を妨害


 ・楽しい経験値リシュエルのサプライズ

 行動内容によりランダムにレベルアップ

 レベルアップ時の効果音

 レベルアップ時のリシュエルの楽しい一言

 レベルアップ時の効果音


 ・空間収納(大人の本の隠し場所として)

 容量制限無し

 防腐効果 劣化軽減 

 効果範囲半径十メートル以内

 手に持っている物は収納出来無い

 己の物と認識している物のみ収納可

 取り出す際は一覧を参照


 (一覧)

 ハイオークの肉 百十九キログラム

 ハイオークの皮 

 ハイオークの魔石

 ミルンの尻尾の毛


 ・基本魔法(一人暮らしのお供に)

 小々波流の固有魔法

 全属性魔法中級まで使用可

 使用回数制限無し

 心の揺らぎにより範囲威力増減

 知力150より制御可

 レベルアップ時知力成長を妨害


 ・ー 判別不能 ー

 運---捻-----ー判別不能ー--


====================


「うんうん……悲しくなってきた」


 俺って、知力ステータス、絶対上がらないよね? 何なのこれ……悪意しか感じない。

 気を紛らわせる為、ミルンが帰って来るまでに、濡れパンをマシパンにしておこう。

 濡れたままだと、力が出ないからね。


 リュックを持って外に出た。

 川の近くに、ゴロゴロと落ちている石を拾い集め、円形に並べて、雑草、木の枝を中心に詰め込み、その上に平べったい丁度良い石を置けば、焼き場の完成。


「あとは……火かぁ」


 ステータスをチラッと見る。


====================


 ・基本魔法(一人暮らしのお供に)

 小々波流の固有魔法

 全属性魔法中級まで使用可

 使用回数制限無し

 心の揺らぎにより範囲威力増減

 知力150より制御可

 レベルアップ時知力成長を妨害


====================


 固有魔法でありながら、属性魔法使い放題という、ステキチートなんだけどなぁ。

 今一、心の揺らぎってのが理解出来ないし、知力150より制御可って……頭悪い子は駄目ってか? 絶望しか無いんだけど。


「小さなぁー声でぇー火ょー」


 遊び心で試してみた。


 ────ポッ


「おっ、火種着いたじゃん。それならっ、ここにこうしてっと」


 火が消えない様に急いで草で覆い、手で囲って息を吹きかけ、火が強まったら、それを焼き場の枝に合わせると、着火完了。


 パチパチッ────「暖かい……はぁ」


 石の上に濡れパンを並べて、焦げない様に焼き加減を見ながら、ボーッと暖をとる。


「こんなんすんの、二十年ぶりぐらいか。大人になって、社畜になって、こんな暇、無かったからなぁ……」


 ミルンが帰って来ない。

 というか、睾丸落としたままじゃん。


「あの睾丸……どうしよ」



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