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異世界とは愛すべき者達の居る世界(〜異世界とはケモ耳幼女の居る世界〜)  作者: かみのみさき


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14話 王都アストール散策②



 肉屋、雑貨屋、武器屋など、こうして見ると王都アストールは、結構栄えているっぽい。

 空はもう暗いのに、店々には明かりが灯り、沢山の人が出歩いている。


「服屋はどこにあるのかねぇ」


「見当たらないのぉ」


「だなぁ。このままだと、お城に着いちゃうぞ」


 それは流石に言い過ぎか。

 ジアストール"王国"という国名。これだけで王政を敷いている事は分かるし、恐らくだけど、このまま真っ直ぐ行っても、あの城には着かないだろうな。


「にしても……マジでこの首都、広過ぎだろ」


「一本道が長いっ。走ると楽しそうなの」


「歩いている人の、邪魔になるからな。ここではゆっくり、歩いてくれよ?」


「分かってますっ」

 

 口ではそう言うミルンだが、小腹が満たされたからか、さっきから尻尾が右往左往と、忙しなく動いているぞ。


「っ、ミルン、こっちにっ」


「どうしたの?」


 ミルンを連れて路地へと入り、そっと大通りの先を覗くと、鎧を着た五人組みの一団が、列を成して歩いているのが見えた。その手には紙を持って、辺りを見回している。


「アレは……追手か?」


「うんとね、『魔石が割れた灯りの交換』とか、『面倒だなぁ』とか言ってるよ?」


「交換? ……街灯って、魔石だったのか」


 そういえば前に、あの野営地で魔石を使って、火を付けていたんだったか。


「魔石は燃料? よく分からん仕組みだな」


「あの兵士は大丈夫っ」


「ふぃ……人混みの中なのに、声が拾えるとか、流石ミルンのケモ耳だわ」

 

 そういって、ミルンの頭を撫で撫でします。

 ついでにケモ耳も、モフります。

 この触り心地が、癒されるんだよなぁ。


「むふふっ、ミルンにお任せっ」


 そうして、兵士達の動きを観察していると、その兵士達の隣にある店に、とても気になる物が見えた。


「……あのシルエット、服か?」


「どれのこと?」


「ほれあそこ、兵士達の左側の店」


 色の付いたガラス張りの中に、一般的な服ではない、お姫様風のドレスが飾られている。

 あれは絶対ミルンに、似合う衣装だ。

 今のミルンの服装は、正直に言うと、汚くはないが、物凄くボロい。あの串焼き屋のおっさんが、貧民街の子供だと間違ってしまったのも、納得のボロさだ。


「ケモ耳のドレス姿……」


「お父さんのお顔がっ、久しぶりに気持ち悪いのっ。そのお顔は、めっ!」


「ミルンさんや。これがデフォです」


「"でふぉ"ってなあにっ」


 でふぉが通じない、これが異世界です。


「あそこの兵士達、早く行ってくれないかなぁ」


 ずっと同じ位置で、なんやかんやと話をしてて、店に入りたいのに邪魔なんです。

 このまま行ってみるか?

 ミルンの話だと、俺を探している感じじゃないし、そのまますんなり通れるかねぇ。


「どうするミルン……ミルン?」


 隣を見ると、ミルンがいない。

 路地の奥を見ても、ミルンがいない。

 そのままぐるっと回って確認。


「あれっ……あっ、おいおいおいっ」


 いつの間にか、兵士達の方に向かって、尻尾を振り振りしながら歩いている。


「何やってんのミルンっ」


 自然な動きで、兵士達の側まで行き、洋服店を指差して、何やら『どいて』と、お願いしているように見える。


「ミルンはコミュ力高いなぁ」


 三人の兵士達は、露骨に嫌な顔をしているが、隊長格っぽい人と、副官っぽい人は、物腰柔らかにミルンの頭を撫で、何かを手渡して、洋服店の前から離れて行った。


「何あれ……まともな兵も、ちゃんと居るじゃん。意味も分からず牢屋に入れられたから、可笑しな奴らばっかりかと、思ってたのに」


 呆然としていたら、ミルンが隊長格っぽい人から貰った何かを持って、機嫌良くこっちに向かって、手を振っている。

 

「……行くか」


 兵士達が歩いて行った方を見つつ、ミルンに近付いて行くと、「これ貰ったっ」と自慢げに、パンらしき物を見せてきた。


「妙に黒い……パンだよな?」


「ガリガリ齧るパンなのっ」


「ちゃんとお礼は言ったか?」


「勿論ですっ」

 

 なんであの兵士、パンなんて持ってたんだ。アレか、夜食的な物だったのか?

 

「……店に入るか」


「お洋服っ!」


 扉の前には、ミミズの様な文字が書かれた看板があり、明かりが点いている事から、まだ開いているっぽい。

 扉を開け、カランカラン──とベルの心地良い音色を聴きながら、中へと入る。


「あらあらぁ。こんな夜遅くに、可愛らしいお客様が、来てくれるだなんてねぇ」


 こぢんまりした店内に、色とりどりの洋服が並び、その奥の椅子に腰掛け、声をかけてきたのは──美味しいお菓子を焼いてくれそうな、見事なまでの洋風お婆様。


「お洋服下さいなっ!」


 ミルンはそう言って、お婆様に近付くと、鼻をすんすんと鳴らして直ぐ、膝の上に乗って、丸まってしまった。


「……えっ?」


「あらあらぁ、甘えんぼさんねぇ。ふふっ、孫に逢えた気分になるわぁ」


「良い匂いっ」


 ミルンが初めて会う人に、ここまで気を許すなんて、このお婆様っ……凄い人なのか。

 見た目からして、雰囲気出てるもんなぁ。


「あらぁ、御免なさいねぇ。お父さんも一緒だったのねぇ。いらっしゃい」


 俺をお父さんと見抜いたっ!? まじでこのお婆様、本当にこの店の店主なのかっ……焼菓子食べたくなってきたな。


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