表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界(胸糞控えめver.)  作者: かみのみさき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/30

13話 先立つモノを得る為に①



 えっちらおっちら、震える脚をずりずりとひきずりながら、路地裏を進み、人通りの多い場所へと出て、「ふぃぃぃっ」と建物に寄りかかり、腰を下ろす。


「すんすんっ。人が沢山いるのっ」


「ここなら早々、見つからんだろ」


「そうなの?」


 木を隠すなら、森の中だと言うし、おっさんを隠すなら、人混みの中だろう。但しっ、体力が限界で、マジでそろそろ体を休めないと、幾度目かの気絶体験になる。


「……宿って、あるのかねぇ」


「おやど?」


「お金を払って、寝る所の事だぞ」


「それは知ってますっ。お金はあるの?」


「……」


 ミルンの指摘が、懐に刺さる。

 問題は、それなんだよなぁ……異世界に来たのは良いものの、ずっと無職で無一文。

 予定だと、聖女様に色々と世話になり、金は無くても楽しく旅行だったのに、正門のあの一件で、逸れちゃったからなぁ。


「どうするかぁぁぁっ」


 頭を掻いて、横にいるミルンを見る。

 人が多いのが珍しいのか、鼻をひくひくとさせて、そわそわと落ち着きがない。

 

「そういえば……前にミルン、魔石が売れるとかって、言ってなかったか?」


「うん。んしょっ、コレは売れるのっ」


「出た、ゴブの魔石……」


 ちゃんと持ってたのね。それなら、確か俺も、あの魔石を持っていたよな。


「えっと、ステータス開いて、空間収納の一覧を確認っと……」

 

====================


 (一覧)

 ハイオークの魔石

 ミルンの尻尾の毛玉

 ミルンの耳毛

 ミルンの髪の毛

 肉屋の在庫▼

 花屋の在庫▼

 農作物▼

 資材▼

 汚れた村人A装備セット

 門兵Dの"不倫相手"の家の鍵

 門兵Fの"不倫相手"の家の鍵

 門兵Hの"不倫相手"の家の鍵

 門兵Eの"貞操帯"の鍵


====================


「貞操帯の鍵……どうしよっか」


 この鍵って、確実にあの人のだよね。

 

「ていそうたい?」


「っ、なんでもない。あった、コレか」


 ハイオークの魔石。

 あの豚野郎、やけにデカいと思ったら、オークの上位種っぽい、ハイオークだったのよ。

 これを換金すれば、金になる筈だよな。


「異世界のお約束だと……冒険者ギルドかっ!」


「ギルドで売れる?」


「いやっ、まだ分からんぞ」


 あくまでこれは、日本で読んだり見たりしていた、小説やアニメの知識だからな。


「ギルドでも探してみるか?」


「ギルドを探すのっ!」


 どうにかして金を得ないと、ローマ風衣装のままだど、地味に目立つんだよなぁ。

 脱いだらパンイチだし。

 通報レベルの変態加減だぞ。

 ミルンの姿も、ザッ、野生児っ! と言わんばかりの姿だし、靴も履いていない。


「どっこいせっ……風呂入りてぇ、火傷が痛てぇ、お酒が呑みてぇ……」


「欲望がお口に出てるのっ」


「そりゃあねぇ、口にも出ますわ」


 立ち上がって腰を伸ばし、目を細めながら、周囲をくまなく観察する。

 地面は石畳み。

 建物は、木造と石造りの二種類。

 歩いている人達の服装は、男性はスーツっぽい紳士服か、シャツに紺色のズボン。女性は町娘風ドレスか、シャツにスカート。


「ふむ……建物の扉の上に、看板があるか……」


「あの絵は、薬草屋さんですっ」


「んっ? ミルンもしかして、あの看板を見れば、なんのお店か分かる感じ?」


「村長の村にもあったよ?」


 おぉぅ……俺が見逃してただけなのね。

 とすれば、ミルンを肩車して歩けば、冒険者ギルドを見つけられるかもだな。多少は休めたし、ゆっくり歩けば大丈夫だろう。


「そんじゃあっ、どっせいっ」


 うしろから脇に手を入れて、「ぬぁっ!」と驚くミルンを肩車をしたら、ゆっくりと歩く。

 火傷に擦れて痛いけど、そこは我慢だ。


「良く見えるのっ……体は大丈夫?」


「大丈夫だぞ。知らない土地だから、ミルンの目と鼻に頼るしかないんだ」


「頑張りますっ!」


 そうして、歩き始めて何分だろうか。

 肩の上のミルンは、一生懸命冒険者ギルドを探しているが、まだ発見出来ていない。

 

「今後の事を、考えないとだなぁ……」


 本当なら今すぐにでも、この王都から脱出して、余計なトラブルに遭わないようにしたい。

 しかし、牢から逃げた事はバレてるし、間違いなく検問は、厳しくなっているだろう。


「逃げたくても、逃げれない状況か。ふむぅ……手配書とか、出回ってないだろうな」


 一番の問題はそこだ。

 この王都を見る限り、文明レベルはさほど高くはないが、それを補って余りあるモノ・魔法が存在するからなぁ。


「ギルドや宿屋に、手配書があったら……」


 即捕まってあの世行き。

 なーんて事になりそうだったら、被害を覚悟であの意味分からん魔法を、全力ブッパするしかないか。


「人殺しには……なりたくないなぁっ」


「お父さんのお顔が、くしゃってなってるよっ」


「……すまん。不安が顔に、出ちゃってたわ」


 肩の上から、俺の顔を覗き込むようにして、ミルンがジッと見つめてくる。


「お父さんは、ミルンが護りますっ」


「……あぁ」


 ケモ耳幼女に護られる中年……大人としては恥ずかしいけど、気持ち的には嬉しいな。

 

「落ち込んでばかりも、いられないか」


「そうなの。先ずはお金を手に入れて、お宿でゆっくり休んだら、ミルンのお家の材料を買って、こっそりと魔龍の川へ帰るっ」


「そりゃあ……完璧な予定だわ」


 ミルンを肩車しているからか、周囲から奇異の目を向けらているが、それを無視しながら、前へと進んで行く。

 遠くには、立派なお城が"二つ"建っており、あれが俗に言う、王城なのだろうか。

 ボーッと歩いていると、パシパシ──と、ミルンが俺の脳天を、叩いてきた。


「どうした?」


「あそこっ。冒険者っぽい人が、沢山出入りしてるのっ。冒険者ギルド発見?」


「ほうほう、行ってみますかねっ」




 次回は5/14更新予定っ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ