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想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―  作者: ベルナルド
六章 王位継承編

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第106話 力ではない「想い」

もう一人の俺は、静かに笑った。


「俺は俺だ」


「俺のことは俺が一番よく知ってる」


 一歩近づいてくる。


落葉松からまつには勝てない」


 一拍。


「戦ってみて分かっただろ」


「どれだけ鍛えようが、生き物としての格が違う」


「勝てるわけがない」


 黒い目が俺を見つめる。


「現世に戻っても殺されるだけだ」


 ゆっくりと、後ろの扉を指差す。


「この世界にいればいい」


「殺されることもない」


「平穏に過ごせる」


 そして言う。


「さあ」


「ドアを開けろ」


「戻るんだ」


 扉へ手を向ける。


 俺は首を振った。


「悪いな」


「俺は諦めるわけにはいかない」


愛華あいかさんとの約束も」


「みんなのためにも」


 その瞬間。


 分身は鼻で笑った。


「何が“みんなのため”だ」


 一歩踏み込む。


「お前は」


「親友すら救えなかった」


「愚かな男だろう?」


 胸の奥が痛む。


 だが。


 俺は拳を握った。


「……そうだ」


「俺は親友を救えなかった」


 一歩前へ出る。


「だからこそ」


 拳を握る。


「俺は手を伸ばし続ける」


 一拍。


「その手が」


「いつか届くと信じて」


 分身は小さく息を吐いた。


「そうか」


「残念だ」


 拳を構える。


「自分で自分を殺さなきゃならないとはな」


 想力が集まる。


「フィストブラスター」


 放たれる。


 俺は横に跳ぶ。


 回避。


 そして。


「フィストブラスター!」


 俺も放つ。


 だが。


 分身は軽く避けた。


「自分の攻撃だぞ?」


「当たるわけないだろ」


 俺は笑った。


「それはお前もだろ」


 次の瞬間。


「フィストガン!」


「フィストガン!」


 拳の弾丸が飛び交う。


 互いに撃ち合い。


 相殺。


 消滅。


 ならば。


「これならどうだ!」


「フィストブラスト!」


 さらに。


「フィストレイン!」


 拳の雨。


 だが。


 分身も同じ技を放つ。


 空中で打ち消し合う。


 俺は息を吐いた。


「連続技すら通らないか……」


 なら。


 新しく作る。


 拳に想力を流す。


 短く。


 何度も。


 連続で放出する。


 拳が伸びる。


 武器のように。


「フィストウェポン」


 拳の槍。


 それを振るう。


 分身は対応できない。


 斬撃が走る。


 分身の体に傷が入る。


「やってくれるじゃないか」


 分身が笑う。


 俺たちは激しくぶつかる。


 攻撃。


 回避。


 受け流し。


 互いに攻め続ける。


 そして。


 俺は距離を詰めた。


 ウェポンを解除する。


 その瞬間。


 拳が勢いよく上へ放出される。


 そして。


 分裂。


 空中から降り注ぐ。


「フィストレイン!」


 拳の雨。


 分身に直撃する。


「ぐぁぁぁ!」


 分身が膝をつく。


 ――いける。


 俺は拳を肥大化させた。


 だが。


 投げない。


 噴出もしない。


 拳を――


 放出する。


 拳が飛ぶ。


 想力を噴射する。


 サイズが縮む。


 だが。


 速度が加速する。


 まるで――


 ミサイル。


「食らえ!」


「フィストミサイル!!」


 直撃。


 爆発。


 炎が立ち上る。


 分身を飲み込む。


 だが。


 次の瞬間。


 腹に衝撃。


「ッ――!」


 拳が突き刺さる。


 分身の声。


「フィストガン」


 俺は吹き飛ばされた。


 床を転がる。


 分身が歩いてくる。


「残念だったな」


 傷が再生していく。


「この試練は」


 一拍。


「俺を殺すことじゃない」


 俺を見下ろす。


「俺を乗り越えることだ」


 俺は息を吐く。


 ……そうか。


 ここは。


 力の試練じゃない。


 精神の試練。


 つまり。


 こいつを倒す必要はない。


 なら。


 必要なのは。


 ――認めさせること。


 俺の想いを。

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