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想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―  作者: ベルナルド
六章 王位継承編

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第107話 理想の「想い」

「お前は何のために戦い、死ぬのだ」


 分身が問う。


 俺は答える。


「俺は――俺のために戦っている」


 分身が目を細めた。


「みんなのためじゃないのか?」


 俺は首を振る。


「違う」


 一歩前へ出る。


「俺の理想は」


「誰も“届かなかった”なんて起きさせないことだ」


「誰だって変われる」


「やり直せる」


「そんな想いを」


「第三者の都合で無駄にされるのは許せない」


 分身は小さく笑う。


「綺麗事だ」


 一歩近づいてくる。


「お前は」


「親友すら救えなかった」


 胸の奥が痛む。


 あの日の光景。


 落ちていく背中。


 届かなかった手。


 だが。


 俺は目を逸らさない。


「……ああ」


「救えなかった」


 分身が笑う。


「それが現実だ」


「お前は間に合わなかった」


「そしてこれからもだ」


「誰も救えない」


 俺は拳を握る。


「違う」


 分身の眉が動く。


「俺は救えなかった」


「それは事実だ」


 一歩前へ出る。


「だからこそ」


「俺は手を伸ばし続ける」


「届かないかもしれない」


「それでも」


「手を伸ばすことをやめたら」


「本当に届かなくなる」


 分身は黙る。


 俺は続ける。


「俺は完璧じゃない」


「間違える」


「失敗もする」


 一拍。


「それでも」


「俺は諦めない」


「それが――俺だ」


 分身の黒い目が揺れる。


「……馬鹿なやつだ」


 小さく笑った。


「それでも進むのか」


「進む」


 迷いはない。


「たとえ」


「また間に合わなくても」


 沈黙。


 しばらくして。


 分身は小さく息を吐いた。


「もし」


「親友が生きていたら」


「お前はここにいなかった」


 俺は少しだけ笑う。


「そうかもな」


 一拍。


「それでも」


「今の俺を作ったのは」


「あいつだ」


 分身は目を閉じた。


「……そうか」


 体が崩れていく。


「なら」


「お前は俺を超えた」


 黒い目が、少しだけ優しくなる。


「行け」


「大地」


 分身が消える。


 空間に声が響く。


『精神の試練』


 一拍。


『クリア』


 白い世界が揺れる。


 そして。


 声が再び響いた。


『だが』


『まだ終わりではない』


 一拍。


『お前の理想は』


『一人では叶わない』


 俺は顔を上げる。


『その理想を叶えるには』


『仲間が必要だ』


 静かな声。


『その仲間を』


『お前は信じ切れるのか』


 目の前に扉が現れる。


 ゆっくりと開く。


 俺は中へ入った。


 そこにいたのは――


 仲間たちだった。


「……号?」


 鳴海号。


 瑠偉。


 花崎。


 見慣れた顔。


 号が一歩前へ出る。


「この試練は」


 静かに言う。


「仲間の試練だ」


 刀を抜く。


「最後まで仲間を信じ抜く必要がある」


 次の瞬間。


 刃が走った。


 腹に衝撃。


「ッ……!」


 刀が俺の腹を貫いていた。


 血が流れる。


 膝が崩れる。


 痛みで息が詰まる。


「……どうして……」


 俺はなんとか声を出す。


 号を見る。


 号は静かに言った。


「悪いな」


 一拍。


「大地」


 刀を押し込む。


「俺のために」


 その目は――


 冷たかった。


「死んでくれ」

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