CASE5.「孔独な瞳」
【10月9日 AM6:49】
【私立探偵事務所『Loto ~ロト~』】
カランッ。
事務所の扉にかけてある看板をひっくり返したアジュは、事務所に戻り再び料理の続きを始めた。
翌朝、事務所でニュースを聞いていたコレレスの姿があった。
『本日のニュースです。先日判明した麻薬売買組織『ガサナ』のリーダー[サシオン]と、その組員たちを警察が一掃検挙したとのことです。』
『また、先日辞任された上院議員の[ポピ・ヒリング]氏が裏金を受け取っていた会社の倒産が相次ぎ……その中の一つとされる[カンタロ]氏が経営するブドウ畑も影響を受けていた。とのことです。』
『その影響により多額の借金を背負ってしまったカンタロ氏は、『ガサナ』の組員である2人組[ナルコ]と[ガーニオ]と呼ばれる男と10月4日に接触。』
『その後、美術館に納品予定の『枝木に止まる梟の銅像』という銅像の作品の中に麻薬を隠していたことが判明しました。』
『また、その日のうちに銅像は組員に盗まれ、麻薬は『ガサナ』の手に渡っていた。と警察が公表されました。』
『では……次のニュースですーー。』
「……結局報道的にはこうしたってわけね。」
「まあ、別にいいけどさ。」
私立探偵『Loto ~ロト~』
探偵[コレレス(18)]
[性別:男][血液型:B型]
「ややこしくなりますからね。これなら大衆の人々にも分かりやすく伝わりますし」
私立探偵『Loto ~ロト~』
助手[アジュ・フロルダンテ(28)]
[性別:女][血液型:O型]
コト…。カチャ…コト。…コト。
「本日の朝食です。」
「フレンチトーストとハッシュドポテト。ブロッコリーのポタージュになります。」
と、目の前には、大きな美味しそうな焼き目をしたフレンチトーストの上にはメープルシロップがかかっており、その横には卵の黄身が主張しているであろうポテトサラダ。
そして、サニーレタスとスライスされたミニトマトが添えられてあった。
「冷製スープか。」
「はい。牛乳とチーズでコクがあり、風味も良くしてあります。」
「悪くない。」
…ゴポ……ゴポゴポポッ…。
と、サイフォンコーヒーのビーカーの内側で、気泡が立つ音が聞こえてきた。
「コーヒーか。フレンチトーストには合うな。」
「目覚めも良くなるし、たまにはいいな」
「豆は…」
「ブルーマウンテンだろ?」
「はい。流石ですね」
「香りでわかる。」
ススゥゥゥ…。とカップと注ぎ口をつけながらゆっくりと注いでいく。
「どうぞ」
コト…。
「お砂糖とミルクはいかがされますか?」
「いや、いい。ブルーマウンテンはブラックで飲みたい。」
「ほどよい酸味と苦みに加え、軽やかなコクも感じる……まさに『王道』。バランスのいい最高級なコーヒーだ。」
【10月9日 AM7:04】
ガランッガラ〜ン。と扉が開く音が聞こえた。
「連日で依頼人かよ〜〜を…を?」
と、首をそり返り後ろを見るコレレスの言葉が止まった。
「なんだ、グランか」
と、コレレスの見つめる先には茶髪の長髪に、ガタイがいい男が立っていた。
「コレレスちゅあ〜〜ん!!!おっはよ〜〜ん!!」
と、猛ダッシュでコレレスの元へ駆け寄ると、ハグをし出した。
「朝から気持ちワリィっての!離れろって!」
ググッ。っと手で押し、跳ね除ける。
「それで?こんな朝っぱらから、何の用だ?」
「何のって〜昨日の件に決まってるじゃなぁ〜い!!」
コレレスの親友 警察官 警部
[グラン・アミーゴ(28)]
[性別:中性]
「ニュース見たけど、解決出来たんだろ?」
「ええ。まぁ。」
「あの感じだと納得はしてない感じね。」
「真相はコレレスちゃんたちの推理通りで合ってたわ。彼女は麻薬を横取りして盗む必要があったのよ。」
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【10月8日 PM20:48】
【警察署 麻薬犯罪組織取締班 第一取調室】
「で…!なんでアンタが麻薬を盗んだんだ?」
「……4日前の夜…部屋の外からたまたま聞いたんです。大量の麻薬を『枝木に止まる梟の銅像』の銅像の中に隠して運ぶ。って。」
「私には……娘がいます。娘は今年から重度の心臓病を患っていて…。給仕の仕事だけでは…その治療費を賄うにはとても…」
「そんな時に、金になりそうな話が舞い込んできたってわけか。」
「はい。私はもともと前職が石膏像を作る仕事をしておりましたので…すぐに製作に取り掛かりました。」
「そして、執事のヨルドモさんが不在の時に、鍵の保管庫を開けるための型取りを取り……こちらも石膏で作った鍵を二つ作りました。」
「それをたったの3日と少しの時間でやったってのか?」
「……はい。私がやりました。」
「……無理だろう。協力者がいたはずだ。」
「ソイツは誰だ?」
「………。」
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【AM7:12 探偵事務所 営業中】
ザクッ…。カチャカチャ。
口元にハッシュドポテトを運ぶコレレス。
「んで、誰が協力者だったんだ?」
「……。」
「彼女の旦那さんよ。旦那さんは現役で石膏像を作ってる方らしいわ。」
「……。そうか。」
…ズズゥ〜。
「フゥ〜ー…美味い。」
「まあ、解決したならいいじゃね〜か。」
「マトリ班のオニヅカさんも喜んでんだろ。」
「そうねぇ〜〜!オニちゃんったらウキウキで焼肉屋さんに行ってたわよ〜フフッ!」
「そりゃ何よりだよ。」
と、コレレスは軽く笑っていた。
「にしても、ほんとにコレレスちゃんの能力は凄いわよねん〜〜!!アジュちゃんの推理も凄いけど、やっぱり……コレレスちゃんの能力による確信は頼りになるでしょ〜〜?」
「警察署で最初にアタシと出会った時も、驚いちゃったもん〜!!」
「別に……。便利なだけじゃねぇよ。」
と、少しだけ切なそうに、どこか腹立たしいような言い方で呟いたコレレスを、アジュは見つめていた。
「……。」
・・・
「…….人の、心の色が見える。」
「それが…コレレス様の異能。」
「凄いわよねぇ〜!!えっと〜〜どう見えていたのかしら?」
「色のモヤみたいに見えてるよ。……色は主に白、黒、赤、青、緑、黄の六つ。」
「それぞれ色によって違う感情をしてる」
【コレレスが見えている心の色】
白・・・本心、嘘がない
黒・・・疑惑、やましい気持ち、嘘がある
赤・・・怒り、興奮
青・・・冷静、無感情、悲しみ
緑・・・穏やか、心が澄んでいる
黄・・・明るい、元気
「まあ、ざっくりだけどな。必ずしも正しいかは分からねぇ。嘘がうまいヤツもこの世にはいるしな。」
「あとは、複数の色が見えたり、他の色が見えることもある。その場合はどっちつかずで混ざり合っている場合だ。」
「大体が、今言った六色が多いけどな。」
「あー…あと、心の揺れも感じるな。」
「炎みたいな感じだ……激しい動悸が起これば、心のモヤはゆらゆらと激しく揺れる。」
・・・
「それがオレの左目に宿った能力だ。」
「……。」
「コレレス様。」
(やはり、あの事件のことを……。)
「本当に見てぇもんは、見えねぇくせに…見たくねぇもんは色々見えちまう。……オレはこの力が嫌いだ。」
「仕事だから使ってるけどな。」
「そう……よね。ごめんなさい。」
「でも!!いつも、ほんとうに感謝してるのよ?ありがとうね!コレレスちゃん!!」
「分かってるよ。オマエの頼み事には力になるさ。」
「うふふっ!さっすがコレレスちゃんねぇ〜〜♡」
「頼りにしてるわぁ〜ん♡」
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【AM8:00〜 探偵事務所 営業終了】
「今日は依頼人も来なかったし、久しぶりにのんびりしますかね〜〜」
「めったに依頼なんて来ないんですから、いつものんびりみたいなもんじゃないですか」
「ここ数日は珍しくきてただろ〜〜金も入ったことだし、今夜はもっと贅沢しようぜ!」
と、2人は晩酌について話をしていた。
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【この街には5つの特殊な能力を持つ『宝石』が存在する】
【しかし、もう1つ……隠されし6つ目の『宝石』が、存在していたと噂があった】
【誰が最初に言ったのかは分からない】
【けれど……噂は広まり、次第に街中に広まっていく】
【その勢いは止まることをしらない】
【『赤石』 『黒石』 『白石』 『緑石』 『黄石』】
【そして、幻の6つ目の秘宝『青石』が存在した】
【これは、誰もが知る5つの『宝石』と6つ目の『幻の秘宝』によって事件が巻き起こる物語だ】