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CASE3.「孔独な瞳」



【10月9日 6:49──

 私立探偵事務所『Loto ~ロト~』】



『カランッ。』と、事務所の扉にかけてある看板をひっくり返したアジュは、事務所に戻り再び料理の続きを始めた。

 その側では、事務所でニュースを聞いているコレレスの姿があった。



『本日のニュースです。

 先日判明した麻薬売買組織『ガサナ』のリーダー「サシオン」と、その組員たちを警察が一掃検挙したとのことです。』


『また、先日辞任された上院議員の「ポピ・ヒリング」氏が、裏金を受け取っていた会社の倒産が相次ぎ

 ──その中の一つとされる「カンタロ」氏が経営するブドウ畑も影響を受けていた。とのことです。』


『その影響により、多額の借金を背負ってしまったカンタロ氏は、『ガサナ』の組員である2人組「ナルコ」と「ガーニオ」と呼ばれる男と10月4日に接触。』


『その後、美術館に納品予定の『枝木に止まる梟《ブーオ》の銅像《エスタトゥア》』という銅像の中に麻薬を隠していたことが判明しました。』


『また、その日のうちに銅像は組員に盗まれ

 麻薬は『ガサナ』の手に渡っていた。

 と警察から公表されました。』



『では、次のニュースです───』




「……結局、報道的にはこうしたってわけね。」

「まあ、別にいいけどさ。」


私立探偵『Loto ~ロト~』 

  探偵[コレレス(18)]

    [性別:男]



「ややこしくなりますからね。

 これなら、大衆の人々にも分かりやすく伝わりますし」


私立探偵『Loto ~ロト~』

  助手[アジュ・フロルダンテ(28)]

    [性別:女]



『コト…。カチャ……コト。……コト。』と、テーブルに料理を置いていく。



「本日の朝食《ブレックファースト》です。」


「フレンチトーストとハッシュドポテト

 ブロッコリーのポタージュになります。」



 コレレスの目の前には、大きな美味しそうな焼き目をしたフレンチトーストがあり、その上にはメープルシロップがかかっていた。

 そして、その横には卵の黄身が主張しているであろうポテトサラダ。

 さらに、サニーレタスとスライスされたミニトマトが添えられてあった。



「冷製スープか。」


「はい。」

「牛乳とチーズでコクがあり

 風味も良くしてあります。」



「悪くない。」



『…ゴポ……ゴポゴポポッ…。』と、サイフォンコーヒーのビーカーの内側で、気泡が立つ音がコレレスの耳に届く。



「コーヒーか」


「フレンチトーストには合うな。

 目覚めも良くなるし、たまにはいいな」


「豆は──」



「ブルーマウンテンだろ?」



「はい。流石ですね。」



「香りでわかる。」


『ススゥゥゥ……』と、カップと注ぎ口をつけながらゆっくりと注いでいく。



「どうぞ。」


「お砂糖とミルクはいかがされますか?」



「いや、いい。

 ブルーマウンテンはブラックで飲みたい」


「ほどよい酸味と苦みに加え

 軽やかなコクも感じる……まさに『王道』。

 バランスのいい最高級なコーヒーだ」




【10月9日 7:04──】



 2人がコーヒーを嗜《たしな》んでいると、『ガランッガラ〜ン。』と、扉が開く音が聞こえた。



「連日で依頼人かよぉ〜〜………お?」


 首をそり返りながら、後ろを見るコレレスの言葉が止まっていた。



「なんだ、グランか」


 コレレスの見つめる先には茶髪の長髪に、ガタイがいい男が立っていた。



「コレレスちゅあ〜〜ん!!!

 おっはよ〜〜ん!!」


 猛ダッシュでコレレスの元へ駆け寄ると、ハグをし出した。



「朝から気持ちワリィっての!

 離れろって!」


 『ググッ。』っと手で押し、跳ね除ける。



「それで?

 こんな朝っぱらから、何の用だ?」



「何のって〜!

 昨日の件に決まってるじゃなぁ〜い!!」


コレレスの親友 警察官 警部 

   [グラン・アミーゴ(28)]

   [性別:中性]



「ニュース見たけど、解決出来たんだろ?」


「ええ。まぁ。」



「あの感じだと納得はしてない感じね。」


「真相は、コレレスちゃんたちの推理通りで合ってたわ。

 彼女は麻薬を横取りして盗む必要があったのよ。」



➖───────────────────────



【10月8日 20:48】


【警察署 麻薬犯罪組織取締班 第一取調室】



「──で、なんでアンタが麻薬を盗んだんだ?」



「……4日前の夜。

 部屋の外からたまたま聞いたんです。」


「大量の麻薬を……

 『枝木に止まる梟《ブーオ》の銅像《エスタトゥア》』の中に隠して運ぶ。って。」



「聞いたからって……

 それだけで盗もうと思ったのか?」



「私には……娘がいます。」


「娘は今年から重度の心臓病を患《わずら》っていて…。

 給仕の仕事だけでは……とても。

 その治療費を賄《まかな》うには……」



「そんな時に

 金になりそうな話が舞い込んできたってわけか。」


「はい……。

 私はもともと

 前職が石膏像を作る仕事をしておりましたので……。 すぐに製作に取り掛かりました。」


「そして……執事のヨルドモさんが不在の時に

 鍵の保管庫を開けるための型取りを取り

 こちらも石膏で作った鍵を二つ作りました。」



「それを、たったの3日と少しの時間で

 やったってのか?」



「……はい。私がやりました。」



「……無理だろう。協力者がいたはずだ。」

「ソイツは誰だ?」



「………。」



────────────────────────➖



【7:12 探偵事務所 営業中】



『ザクッ…。カチャカチャ。』と、フォークとナイフを器用に使い、口元にハッシュドポテトを運ぶコレレス。



「んで、誰が協力者だったんだ?」



「………彼女の旦那さんよ。

 旦那さんは現役で石膏像を作ってる方らしいわ。」



「……。そうか。」



 コレレスは、グランの話を聞きながらコーヒーを啜る。



「フゥ〜。──美味い。」

「まあ、解決したならいいじゃね〜か」



「マトリ班のオニヅカさんも喜んでんだろ。」


「そうねぇ〜〜!

 オニちゃんったら

 ウキウキで焼肉屋さんに行ってたわよ〜フフッ!」



「そりゃ何よりだよ。」


 『フフッ』と、コレレスは軽く微笑んでいた。



「にしても〜〜ん

 ほんとにコレレスちゃんの能力は凄いわよねん〜〜!

 アジュちゃんの推理も凄いけど

 やっぱり……コレレスちゃんの能力による確信は

 頼りになるでしょ〜〜?」


「警察署《ウチ》で最初にアタシと出会った時も

 驚いちゃったもん〜!!」



「別に……。」

「便利なだけじゃねぇよ。」


 少しだけ切なそうに、どこか腹立たしいような言い方で呟いたコレレスをアジュは見つめた後に呟いた。



「……。」


      ・・・

「…….人の、心の色が見える。」

「それが…コレレス様の異能。」



「凄いわよねぇ〜!!

 そういえば〜〜どう見えていたかしら?」



「色のモヤみたいに見えてるよ。

 ……色は主に白、黒、赤、青、緑、黄の六つ。」


「それぞれ色によって違う感情をしてる」


『キュッ、キュキュッ─。』と紙にペンで書いていくコレレス。



【用紙に書かれた内容】


白・・・本心、嘘がない

黒・・・疑惑、やましい気持ち、嘘がある

赤・・・怒り、興奮

青・・・冷静、無感情、悲しみ

緑・・・穏やか、心が澄んでいる

黄・・・明るい、元気



「まあ、ざっくりだけどな。

 必ずしも正しいかは分からねぇ」


「嘘がうまいヤツもこの世にはいるしな。」


「あとは、複数の色が見えたり

 他の色が見えることもある。

 その場合はどっちつかずで混ざり合っている場合だ。」


「ほとんと今言った色が多いけどな。」



「あー……あと、心の揺れも感じることもある。」


「炎みたいな感じだ……

 激しい動悸が起これば

 心のモヤはゆらゆらと激しく揺れる。」



            ・・・

「それが……オレの左目に宿った能力だ。」

「……。」



「コレレス様。」

(やはり、あの事件のことを……。)



「本当に見てぇもんは、見えねぇくせに。」



「見たくねぇもんは色々見えちまう。

 ……オレはこの力が嫌いだ。」



「まっ、仕事だから使ってるけどな。」



「そう……よね。

 ごめんなさい。」


「でも!!」

「いつも、ほんとうに感謝してるのよ?

 ありがとうね!コレレスちゃん!!」



「分かってるよ。

 オマエの頼み事には力になるさ。」



「うふふっ!さっすがコレレスちゃんねぇ〜〜♡」

「頼りにしてるわぁ〜ん♡」



─────────────────────────



【8:00〜 探偵事務所 営業終了】



「今日は依頼人も来なかったし

 久しぶりにのんびりしますかね〜〜」


「めったに依頼なんて来ないんですから

 いつものんびりみたいなもんじゃないですか」



「ここ数日は珍しく来てただろ〜〜

 金も入ったことだし!

 今夜はもっと贅沢しようぜ!」



 そうして、2人は晩酌《ディナー》について話をしていた。



─────────────────────────



【この街には──】



【5つの特殊な能力を持つ

 『宝石《ヨージャ》』が存在する】

 

【しかし──

 もう1つ】



【隠されし6つ目の『宝石《ヨージャ》』が

 存在していたと噂があった】



【誰が最初に言ったのかは分からない】

【けれど──

 噂は次第に街中に広まっていく】



【これは 誰もが知る5つの『宝石《ヨージャ》』と

 6つ目の『幻の秘宝《テソロ》』によって

 事件が巻き起こる物語だ──】



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