第3話 幼馴染
ピーンポーンと玄関のチャイムが鳴る。このタイミングで来るのは1人しかいない。
「はーい。」
母さんがインターホンに出る。
「こんにちは。真希です。優ちゃんと加奈ちゃんいますか?」
「もちろんいるわよ。今開けるわね。」
と言いながら、母さんが玄関へと向かう。ボクはというと慌てて階段を駆け上り自分の部屋へと逃げ込んだ。こんな姿真希に見せられるわけない。
木下真希。ボクと加奈の幼馴染で今月からボク達と同じ名取第三高校へと通うことになっている。加奈と同様に整った顔をしていて、2人といるとボクは男子から羨ましがられもとい恨まれ、女子からはかわいい3人組と言われ………。思い出すのはやめよう。
「加奈ちゃん、久しぶり。」
「久しぶり、真希ちゃん。」
「春休みどっか行った?」
「ううん。どこにも行けてないの。真希ちゃんは?」
「私はね、家族で遊園地に行ったの。」
そんな会話がボクの部屋まで聞こえてくる。
「あれ、優ちゃんは?」
ここで真希がボクがいないことに気づく。どうせなら一生気づかないで欲しかった。
「えっとね……お兄ちゃんは…。」
「優ちゃんならさっき部屋に上がってったわよ。」
加奈が誤魔化そうとしているのに母さんは平然とボクの居場所を教えた。もしかして母さんはボクの味方じゃなくて敵だったのかな。
そんなことを考えていると階段を上ってくる音が聞こえる。ボクは布団を全身にかぶった。
ドアが開く。
「優ちゃん入るわよー。」
今声かける前にドア開けてたよね。なんのための声かけだよ。
「あれ、優ちゃんいないじゃん。」
真希はまだ僕の存在に気づいてないらしい。このままどっかに行ってくれないかな。と思っていると、バサッと布団が剥がされる。
「…………」
「…………」
「…優ちゃんの彼女ですか?」
僕を見て真希はそう尋ねてくる。ボクが優希だと気づいていないらしい。ならこのままボクの彼女だと演じたほうが………、
「真希ちゃん、その女の子はお兄ちゃんだよ。」
考え終わる前に加奈が答えてしまう。これで彼女を演じるわけにはいかなくなった。
「確かに少し似てるところはあるけど。こことか女の子だよ。」
そう言いながら真希はボクの胸を触ってくる。
「あっ。」
ボクから女の子みたいな声が漏れる。てか女の子なんだけど。
「ど、どこ触ってんだよ。」
思わず声を荒げる。とここで冷静になって今のが自分が優希であると認めていることに気づく。
「…ホントに優ちゃんなの?」
まだ真希は半信半疑だ。
「うん、そうみたい。」
僕は諦めて認めることにした。
「か、かわいい。」
そう言ってボクに抱きついてきた。
真希から解放されたのはそれから5分後だった。




