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現実
あれから、数日。
黒河とも話すことはなく、波留は学校に行くことにした。
でも、しばらくの不登校生活…。
いじめの標的ともなっていた。
「ねぇ?なんで、急に学校きたのぉ?平和な学校生活奪わないでよねぇ!」
ザバッ…
教室の中にも関わらず、バケツいっぱいの水を頭からかぶる。
「きゃー!やだぁ!片付けしなさいよー?」
髪から滴る、水滴。
ぴちゃぴちゃと音を立てながら立ち去っていく、足音。
誰が見ても、ヒドイいじめ。
それは波留本人も分かっていた。
ツライ…はずなのに……
泣けない…。
泣けば、誰かが助けてくれるかもしれない。
自分で手を伸ばさなければ…誰も気づいてくれない。
でも、波留には出来ない。
手を伸ばすより、耐えることを選ぶ。
それ以前に…誰に手を伸ばす…?
伸ばせば差し伸べてくれる手はある…?
どこに…?
佐久間?…ううん、違う。
なら誰?
今、私の居場所を作ってくれるのは…
その時、ふとあの言葉を思い出す。
『一緒に暮らそう。』
東京に行けば…何かが変わる?
黒河は…
私が持っていないものを持ってる…。
でも、黒河が持っていないものを…私は持ってない。
黒河が私を癒せても…私は黒河を癒せない。
いつの間にか、私の頭の中は…
黒河との未来を
考えていた―




