第四話 第十七部 崩すとはこういうこと
巴美羽は笑いながらベースを回っていった。これで…逆転。この逆転は大きい。しかもそれが巴美羽からの逆転。圧倒的な実力差でホームランを打った。
巴美羽「ナイスバッティング! 私っ!」
由紀「なによそれ。でも珍しいほど喜んでいるわね。」
巴美羽「だってこうやって楽に打てたのが嬉しかっただけ。」
巴美羽のこの心強いというか適当というか…でもこれがチームを逆転に導いてくれた。これで逆転だ。
衣世「さすがだね!」
みちる「すごいバッティングでした!」
夕菜「さすが四番ね。」
湯子「ナイスバッティング!」
ベンチの皆から声をかけられていた。巴美羽はヘラヘラしながらベンチへと戻っていった。これは…巴美羽なりのモチベーションなのだろうか。私はみちるの打席があるのですぐに試合を見た。
ジャスミン「……。」
私はその瞬間にゾッとした。巴美羽のバッティングは相手投手のモチベーションを変えてしまう…ものすごいものなのだと分かった。
シューーー
みちる「(棒球!?)」
ギィイイイイン!
ポーン!
衣世「おおお!」
みちるまで簡単にホームランにしてしまった。みちるは嬉しそうに手を上げてベースを回っていく。巴美羽の存在がこれだけ大きいとは…。相手の投手を崩すというのはこういうことなのか。




