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第62話 ミリアの成長

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 翌早朝。

 俺とミリアでラングへ向かった。

 ハンスは人集め。

 ダンは漁師達の準備。

 ダレンは共同施設組合との手続き。

 全員が動き始めていた。

「私には仕事ないんですか」

 ミリアが珍しく積極的だ。

「ラングで任せる仕事がある」

「バルドがいいです」

「ゆっくり寝てられるし」

 何をしたくてバルドについてきたんだ。

◇◇◇

 ラングへ着くと。

 まず、俺はダンの息子を訪ねた。

 事情を説明する。

「あの親父が」

「俺だけにやらせろと」

 男は少し笑った。

「分かりました」

「船はすぐ準備します」

「詳しい進め方はミリアに聞いてくれ」

「分かりました」

「頼む」

 俺はミリアを残し市場に向かった。

 ミリアは意外にも真剣に説明していた。

◇◇◇

「鮭の競り場はどこだ」

 市場の人間の指差す方向に向かう。

「鮭の価格はいくらぐらいだ」

 競り場の仲買人に聞く。

「…」

 仲買人は怪訝な顔で答えない。

「俺はバルドから来た」

「鮭はいくらが相場だ」

「ものにもよるが銀貨四枚だ」

 男は競りに視線を戻す。

 俺は市場を回った。

「鮭はいくらだ」

「四銀貨」

「大量なら」

「三銀貨だ」

 二軒目。

 三軒目。

 四軒目。

 同じだった。

「どれくらいある」

「秘密だ」

「なら三銀貨だな」

 笑われた。

 足元を見られている。

 市場を出ようとした時。

「終わりましたか?」

 ミリアだった。

「終わるわけがない」

「ですよね」

 ミリアは笑った。

「でも」

「面白い話を聞きました」

「何だ」

「鮭」

「銀貨七枚で買っているそうです」

「品が良ければ、八銀貨以上だそうです」

 俺は足を止めた。

「……どこで」

「南市場です」

「ダンさんに鮭の市場を教えてもらって」

「レオン様もそっちかと思って行ったんですが」

「いないので」

「市場の人に聞きました」

 俺は思考が止まる。

「それで、聞いて下さいよ」

「しかも」

「さっき売り切れてました」

 俺は目を閉じた。

 ミリアに助けられた。

 本当に一本取られた。

「ミリア、よくやってくれた」

「え、まさか、調べずにここに来てたとか」

 俺は一瞬躊躇した。

 しかし。

「ああ、事前確認、現場確認を怠ってしまった」

 素直に認めた。

「でも相場がダンさん達が言ってた通りで良かったですね」

 あっけらかんとしている。

 俺も成長が足りない。

 変なプライドがまだ残っている。

 今回は二本取られた。

 こう考えるのがまだまだなんだ。

「レオン様、次はどうしますか」

 ミリアに救われた。

「ラング商会Bに行く」

「バルドを救え」

「そう言いに行く」

 ミリアは呆れた顔をした。

「それ」

「お願いですよね」

「ああ」

「だが」

 俺は笑った。

「今回は彼らにも償ってもらう」

 ミリアが立ち止まった。

「その現場見たいです」

 ミリアが急に成長した感じがした。

 現場の交渉。

 見せてやりたい。


(第63話 バルドを救え)


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