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第61話 ラング商会

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 帰り道。

 俺達はほとんど話さなかった。

 ミリアだけが元気だった。

「あと三日くらい歩けば慣れそうです」

「嘘をつけ」

「二日です」

「変わらん」

 ダンが小さく笑った。

 初めて見た気がした。

◇◇◇

 山を下りながら。

 俺は気になっていたことを聞いた。

「息子さんのことを知っているのか、と言っていたな」

 ダンは少し黙った。

「あいつとは十年前から会っていない」

「俺と喧嘩してな」

 皆、話を聞きながら黙々と歩く。

「俺は獲るなと言った」

「あいつは」

「皆を食わせるには獲るしかないと言った」

「正しかったのは」

 ダンは空を見上げた。

「どっちだったんだろうな」

 その声は。

 怒りではなかった。

◇◇◇

「でも」

 ミリアが口を開く。

「息子さん心配していましたよ」

 ダンは意外そうな顔をした。

 だが。

 次の言葉を待っていた。

「今回の真相究明も随分協力してくれました」

「親父を楽にしてやりたいって」

「ね、領主さま」

「ああ」

 ダンは黙って歩き始める。

 頬から一筋見えた気がした。

◇◇◇

 夕方。

 ようやく街が見えた。

 ハンスが立ち止まる。

「俺は人を集めます」

「五人じゃ足りません」

「ああ」

「頼む」

 ハンスは頷いた。

 そして。

 ダンが俺を見た。

「あいつだけは」

「秘境に船を入れていい」

「他は駄目だ」

「分かった」

 俺は胸をなで下ろした。

 輸送が課題だった。

 これで一歩進んだ。

◇◇◇

 俺は空を見上げた。

 返済まで。

 あと十二日。

 鮭はある。

 人手も集まる。

 運ぶ方法も見えた。

 残る問題は一つ。

「売り先だ」

 ダレンが頷く。

「今度はまたラングですか」

 ミリアが立ち止まった。

「明日は早い。早く帰るぞ」

「明日も、でしょ」

 いよいよ大詰めだ。


(第62話 ミリアの成長)


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