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第28話 再びラングへ

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 二日後。

 俺達はラングへ到着した。

 久しぶりだった。

 だが。

 街は以前見た時と変わらない。

 倉庫は並んでいる。

 船も停泊している。

 だが。

 活気はない。

「静かですね」

 ミリアが言った。

「ああ」

 俺は頷く。

 以前来た時も思った。

 この街は豊かそうには見えない。

 むしろ。

 何かを失った街だった。

「まずはダンだ」

「魚屋さんの?」

 ダレンが聞く。

「ああ」

 以前世話になった男だ。

◇◇◇

 港の外れ。

 古い倉庫。

 そこにダンはいた。

 相変わらずだった。

「また来たのか」

 開口一番だった。

「ああ」

「今度は何だ」

「鮭だ」

 ダンの動きが止まった。

 本当に一瞬だった。

 だが確かに。

 止まった。

「北の連中に会ったのか」

「ああ」

 ダンは黙った。

 しばらくして。

 ため息を吐く。

「まだ生きていたか」

「知り合いか」

「昔な」

 それ以上は言わない。

 だが。

 何かある。

 そう思った。

「売り先を探している」

 俺は言った。

「鮭のか」

「ああ」

 ダンは少し考える。

 そして首を振った。

「難しいな」

「なぜだ」

「来い」

 そう言って歩き出した。

◇◇◇

 魚市場だった。

 朝だというのに人は少ない。

 並んでいる魚も少ない。

 ダンは店先を指差した。

「見ろ」

 鮭だった。

 いや。

 正確には塩鮭だ。

「鮭じゃないか」

「ああ」

「売っているぞ」

「売っている」

 ダンは頷く。

「だが生じゃない」

 静かになる。

「どういう意味だ」

「鮮魚は腐る」

 当たり前だった。

 だが。

 今まで考えていなかった。

「バルドからラングまでどれくらいだ」

「船で1日ほどです」

 ダレンが答える。

「ああ」

 ダンは頷く。

「夏ならもっと早く傷む」

 俺は黙った。

「さらに量が少ない」

 ダンは続ける。

「昔なら船一隻分あった」

「今はない」

 それも事実だ。

「市場に流しても儲からん」

 ミリアが顔をしかめた。

「じゃあどうするんですか」

「知らん」

 即答だった。

 ダンらしい。

「俺は魚屋だ」

「魔法使いじゃない」

 それもそうだ。

 だが。

 困った。

 鮭はいる。

 船もある。

 だが売れない。

 その時だった。

 俺の視線が止まる。

 市場の奥。

 煙が上がっていた。

「何だあれは」

 ダンが振り返る。

「ああ」

 小さく笑った。

「燻製屋だ」

 燻製。

 聞いたことはある。

 だが。

 俺はまだ知らない。

 その煙が。

 バルドの未来を変えることになるとは。


(第29話 燻製屋)



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