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第18話 誰も行かない海

翌朝。

 俺は北へ向かっていた。

 隣にはグラン。

 後ろにはミリア。

 いつもの三人だ。

「本当に行くんですね」

 ミリアが言った。

「ああ」

「漁師さん達が止めていたじゃないですか」

「理由を知らなかった」

「それが問題なんです」

 もっともだった。

 だが。

 理由も分からず避けるのは好きではない。

「見れば分かる」

「またそれですか」

 ミリアがため息をついた。

 歩くこと一時間。

 入り江を越える。

 さらに北へ進む。

 すると。

「これは……」

 グランが立ち止まった。

 俺も足を止める。

 目の前に川があった。

 山から流れている。

 それほど大きくはない。

 だが。

 水は澄んでいた。

「川ですね」

 ミリアが言う。

「ああ」

 俺は周囲を見る。

 魚影が見える。

 小魚も多い。

 鳥もいる。

 獣の足跡もあった。

 生き物が集まっている。

「レオン様?」

「おかしい」

「何がです」

「誰も利用していない」

 グランも周囲を見る。

「確かに」

 漁場として悪くない。

 水も豊富だ。

 だが。

 人の痕跡がほとんどない。

 網を使った跡もない。

 小屋もない。

 道すらない。

「昔は来ていたのか?」

 俺は聞いた。

 グランは首を振る。

「聞いたことがありません」

 ますますおかしい。

 その時だった。

 ミリアが川の上流を指差した。

「レオン様」

「何だ」

「あれ」

 岩場の近く。

 何かが積み上がっている。

 三人で近付く。

 そして。

 全員が黙った。

「骨……?」

 ミリアが呟いた。

 白い骨だった。

 魚ではない。

 獣だ。

 かなり大きい。

「熊でしょうか」

 グランが言う。

「分からん」

 だが。

 死んでからかなり時間が経っている。

 最近ではない。

 俺は周囲を見る。

 もう一つ。

 また一つ。

 骨がある。

 偶然ではなかった。

「レオン様」

 グランの声が硬い。

「戻りましょう」

「なぜだ」

「嫌な予感がします」

 俺は頷いた。

 実は俺も同じだった。

 だが。

 ここで帰れば何も分からない。

 俺はさらに上流を見る。

 その先。

 木々の隙間から何かが見えた。

「建物か?」

 グランが目を細める。

「まさか」

 人が住んでいるのか。

 いや。

 違う。

 かなり古い。

 崩れかけている。

「面白いな」

 俺は口元を緩めた。

 魚を探しに来た。

 だが。

 どうやら別のものを見つけたらしい。


(第19話 忘れられた小屋)



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