↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
137/138

第137話 道が開いた

第137話 道が開いた

 雪が。

 消え始めた。

 山の。

 白い筋が。

 少しずつ。

 細くなる。

 そして。

 知らせが来た。

「街道が」

「開きました」

 ミリアが。

 嬉しそうに言う。

「ラングから」

「ヴェルナまで?」

「ああ」

 冬の間。

 閉ざされていた。

 道。

 荷馬車が。

 また。

 動き始めた。

「じゃあ」

「船の荷も」

「減りますね」

「たぶんな」

◇◇◇

 海も。

 変わった。

 北風が。

 弱くなった。

 ノース。

 第一港。

 難所であることに。

 変わりはない。

 だが。

 冬ほど。

 荒れない。

 ダンの息子が。

 二人の男を。

 連れてきた。

「昔」

「一緒に乗ってた」

「船乗りだ」

「手伝えるのか?」

「ああ」

 一人が言う。

「春からなら」

「何度かは」

「冬は?」

「断る」

 即答だった。

 もう一人も。

 笑った。

「冬に」

「あそこを越えるなら」

「こいつの船に乗る」

「自分の船じゃ」

「嫌だ」

 ダンの息子は。

 何も言わなかった。

◇◇◇

 小さな船が。

 二隻。

 加わった。

 冬のように。

 一隻へ。

 全部を。

 詰め込む必要はない。

「道も」

「開きました」

「船も」

「増えました」

 ミリアが。

 帳簿を閉じる。

「これなら」

「新しい船」

「いらないんじゃ?」

「まだ」

「分からない」

 冬だから。

 海へ。

 荷が集まったのか。

 それとも。

 道が開いても。

 海が選ばれるのか。

 見る必要があった。

◇◇◇

 一便目。

 黒火石。

 縄。

 樽材。

 塩。

 木の器。

 ほぼ。

 埋まった。

「冬の注文が」

「残ってるだけかも」

「ああ」

 二便目。

 また。

 埋まった。

 第三港から。

 ベルンの塩。

 試しに。

 ラングへ出した分。

 追加が入った。

 黒火石も。

 続いている。

 三つの港から。

 麻布。

 干し魚。

 木工品。

 小さな荷が。

 少しずつ。

 増えている。

 三便目。

 ダンの息子が。

 船倉を見た。

「また」

「残るぞ」

「え?」

 ミリアが。

 覗き込む。

「船」

「増えたのに?」

「ああ」

◇◇◇

 帳簿を。

 並べた。

 冬。

 春。

 違いを見る。

「街道へ」

「戻った荷もあります」

 ミリアが。

 指を動かす。

 急ぐ物。

 軽い物。

 値段の高い物。

 そういう荷は。

 馬車へ戻った。

 だが。

 黒火石。

 塩。

 樽材。

 大量の保存食。

 重い。

 かさばる。

 急がない。

 そういう荷は。

 船に残った。

「船の方が」

「安いから?」

「ああ」

 荷を。

 一つだけ。

 運べば。

 船も。

 高い。

 だが。

 三つの港で。

 荷をまとめる。

 行きも。

 帰りも。

 船倉を埋める。

 一袋。

 一箱。

 その運賃は。

 下がる。

 道が。

 開いた。

 それでも。

 船を。

 選ぶ荷がある。

◇◇◇

「冬だけの」

「航路じゃ」

「なかったんですね」

「ああ」

 むしろ。

 これから。

 増える可能性もある。

「秋には」

「鮭も始まります」

 ミリアが言う。

「ああ」

 今年。

 鮭が来る頃までに。

 新しい船は。

 造れない。

 間に合わない。

 今年は。

 今ある船。

 春から。

 手伝ってくれる船。

 それで。

 何とかするしかない。

 だが。

 来年も。

 鮭は来る。

 冬になれば。

 ニシンも来る。

 黒火石。

 塩。

 三つの港の荷。

 今まで。

 なかった商売まで。

 増え始めている。

 来年の船倉が。

 今より。

 空いている理由は。

 見つからなかった。

◇◇◇

「じゃあ」

 ミリアが。

 俺を見る。

「やっぱり」

「造ります?」

「まだだ」

「まだ?」

 俺は。

 一枚の紙を。

 出した。

 三千金貨。

 船大工が。

 出した。

 概算。

 船が。

 必要なのは。

 もう。

 分かった。

 問題は。

 こっちだ。

「三千金貨なんて」

「ありませんよ」

「ああ」

「どうするんです?」

 見積もりを。

 開く。

 木材。

 鉄。

 帆。

 縄。

 工賃。

 運搬。

 並んだ。

 数字。

 俺は。

 一番大きな項目を。

 指した。

「木材?」

「ああ」

「これ」

「全部」

「買う必要があるのか?」

 ミリアが。

 俺を見る。

 バルドには。

 森がある。

 木なら。

 腐るほど。

 ある。

 三千金貨を。

 用意する前に。

 やることが。

 あった。

 三千金貨を。

 三千金貨のまま。

 払わないことだ。

(第138話 三千金貨を削れ)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。