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第131話 空きを売れ

第131話 空きを売れ

 第三港。

 事務所。

 ミリアが。

 帳簿を。

 見ていた。

「次の便」

「空きます」

「どれくらい?」

「六箱分」

 押さえた。

 船倉。

 第一港から。

 第二港。

 第二港から。

 第三港。

 その先。

 ヴェルナ。

 東へ戻る荷を。

 確実に運ぶため。

 一定の場所を。

 先に。

 買っている。

「使わなくても」

「払うんですよね」

「ああ」

「六箱」

「空です」

「ああ」

「もったいないです」

 その通りだった。

◇◇◇

「貸す」

「え?」

「空いた六箱分を」

「他の荷に使う」

「でも」

「私たちが借りてる場所ですよ?」

「だからだ」

 船主には。

 もう。

 金を払っている。

 そこへ。

 別の荷を載せる。

 空なら。

 収入は。

 ゼロ。

 誰かが。

 使えば。

 少しでも。

 戻る。

「いくらで?」

「通常と同じ」

「埋まらなければ?」

「出る前なら」

「少し下げる」

 ミリアが。

 書く。

「最初から」

「安くしないんですか?」

「必要な奴は」

「通常の値段、それ以上でも払う」

「なるほど」

◇◇◇

 その日の。

 午後。

 商人が。

 来た。

「第一港まで」

「四箱」

「次の便に」

「載せたい」

 ちょうど。

 空いている。

「この値段だ」

 金額を。

 見せる。

「分かった」

 決まった。

 残り。

 二箱。

 夕方。

 別の男が。

 走ってきた。

「頼む!」

「今日出る船に」

「これを載せてくれ」

「どこまで?」

「第二港」

「急ぎか?」

「ああ」

「明日じゃ」

「間に合わん」

 俺は。

 通常の。

 運賃より。

 高い数字を。

 出した。

 男が。

 紙を見る。

「高いな」

「ああ」

「でも」

「今日出る」

「……頼む」

◇◇◇

 船が。

 出た。

 ミリアが。

 帳簿を見る。

「同じ場所なのに」

「値段が違います」

「ああ」

「急ぐ人は」

「高い?」

「ああ」

「ずるくないですか?」

「嫌なら」

「次の便を待てる」

「……」

 時間にも。

 値段がある。

 必要な時に。

 必要な場所が。

 空いている。

 それにも。

 値段がある。

◇◇◇

 数日後。

 今度は。

 船主が。

 事務所へ来た。

「領主さん」

「頼みがある」

「何だ?」

「次の便」

「五箱分」

「返してくれないか」

「俺たちが」

「押さえている場所を?」

「ああ」

「昔からの客が」

「急に増やしたいって」

 ミリアが。

 俺を見る。

「返すんですか?」

「返す」

 船主が。

 ほっとする。

「助かる」

「ただし」

「?」

「買った値段では」

「返さない」

 船主の顔が。

 止まった。

「必要なのは」

「そっちだ」

「……いくらだ?」

 数字を。

 出した。

 少し。

 高い。

 男が。

 しばらく。

 考える。

「分かった」

◇◇◇

 夜。

 ミリアが。

 帳簿を。

 並べた。

 通常で。

 売った場所。

 直前に。

 安く売った場所。

 急ぎで。

 高く売った場所。

 船主へ。

 買い戻させた場所。

「船倉って」

「荷物を入れるところですよね」

「ああ」

「でも」

「売ったり」

「買ったりしてます」

「ああ」

「変な感じです」

 俺は。

 紙を見る。

 船を。

 持っているわけではない。

 だが。

 一定期間。

 使える場所は。

 押さえている。

 使う。

 余れば。

 売る。

 必要とされれば。

 高く戻す。

 空いている。

 そのこと自体が。

 無駄なのではない。

 使い方が。

 ないことが。

 無駄だった。

◇◇◇

「でも」

 ミリアが言った。

「東へ戻る荷は」

「増えてきました」

「ああ」

「西へは?」

  ニシン。

 それが。

 中心だ。

 だが。

 季節が。

 終われば。

 なくなる。

  今度は。

 東から。

 西へ運ぶものを。

 探す必要がある。

(第132話 売れない石)



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