第130話 船倉を押さえろ
第130話 船倉を押さえろ
第三港の。
事務所に。
荷が。
集まり始めた。
塩。
木の器。
麻布。
干した魚。
まだ。
どれも。
多くはない。
第一港。
第二港からも。
品物の一覧が。
届く。
「増えましたね」
「ああ」
「順調です」
「ああ」
ミリアが。
帳簿を閉じる。
「……何か」
「気になります?」
「ああ」
◇◇◇
次の。
ニシンが。
まとまった。
ダンの息子の船で。
第一港まで。
運ぶ。
そこから。
西。
第二港。
第三港。
ヴェルナ。
いつものように。
地元の船へ。
積み替える。
「二十樽」
俺が言う。
船乗りが。
首を振った。
「十二なら」
「載る」
「残りは?」
「次だな」
「いつ?」
「三日後」
ミリアが。
俺を見る。
「他の船は?」
「聞いてみる」
別の船。
「六樽なら」
さらに。
別の船。
「今日は無理だ」
船は。
ある。
だが。
船倉は。
俺たちのものではない。
◇◇◇
その日の。
十二樽は。
先へ出した。
残りは。
第一港の。
倉庫へ。
置いた。
「売れてるのに」
「運べないんですね」
ミリアが言う。
「運べないわけじゃない」
「三日待てば」
「運べます」
「ああ」
「なら」
「問題ないんじゃ?」
俺は。
首を振った。
次に。
ニシンが。
何樽まとまるか。
分からない。
十樽か。
二十か。
三十か。
赤い実も。
野菜も。
布も。
同じだ。
港の荷も。
増え始めている。
そのたびに。
空いている船を。
探す。
なければ。
待つ。
それでは。
外の市場と。
つながったとは。
言えない。
「必要なのは」
「船じゃない」
「船倉ですか?」
「ああ」
「しかも」
「空いている船倉じゃない」
ミリアが。
首を傾げる。
「必要な時に」
「空いている船倉だ」
◇◇◇
第一港。
船主を。
三人。
集めた。
「一月」
「場所を借りたい」
「場所?」
「船倉だ」
一人が。
笑う。
「船ごとじゃなく?」
「ああ」
「第一港から」
「第二港まで」
「毎便」
「二十樽分」
船主たちが。
顔を見合わせる。
「毎回」
「二十樽あるのか?」
「ない時もある」
「じゃあ?」
「なくても払う」
今度は。
三人とも。
黙った。
「使わなくても?」
「ああ」
「二十樽分は」
「他へ売らず」
「空けておいてほしい」
船主が。
腕を組む。
荷が。
来るか分からない。
商売より。
毎便。
一定の金が。
入る。
悪い話では。
ない。
「一月なら」
一人が言った。
「やってもいい」
◇◇◇
第二港から。
第三港。
第三港から。
ヴェルナ。
同じように。
必要な船倉を。
押さえた。
区間ごとに。
必要な量は。
少し違う。
全部の船を。
借りる必要はない。
必要な場所だけ。
必要な分だけ。
先に。
確保する。
「結構」
「払いますね」
ミリアが。
数字を見る。
「ああ」
「荷がなかったら?」
「払う」
「空なのに?」
「ああ」
ミリアが。
眉を寄せる。
「もったいないです」
「そうだな」
「認めるんですか?」
「空けば」
「もったいない」
だから。
埋める。
ただ。
それより先に。
必要な時に。
運べること。
その方が。
重要だった。
◇◇◇
前の世界でも。
安い。
だけでは。
商売にならなかった。
必要な時に。
仕入れられない。
必要な時に。
届けられない。
それだけで。
客は。
離れる。
余った能力を。
持つことは。
無駄に見える。
だが。
その余裕が。
売る約束を。
守ることもある。
◇◇◇
次の便。
ニシン。
二十四樽。
第一港へ。
着いた。
「二十」
船主が。
言う。
「約束通り」
残り。
四樽。
「こっちは」
「空きがあります」
別の船が。
受けた。
二十。
四。
すべて。
その日に。
港を出た。
ミリアが。
見送る。
「待ちませんでしたね」
「ああ」
帰り。
東へ。
赤い実。
野菜。
布。
縄。
樽材。
港で。
集まった荷。
それも。
同じ船倉を。
使う。
◇◇◇
第三港。
事務所へ。
戻った。
新しい。
荷の一覧が。
増えている。
「レオン様」
「何だ」
「次の便」
ミリアが。
予約した。
船倉の量と。
集まった荷を。
見比べる。
「少し」
「空きます」
「ああ」
「使わなくても」
「払うんですよね」
「ああ」
俺は。
帳簿を見る。
第三港だけではない。
第一港。
第二港。
荷主は。
少しずつ。
増えている。
「なら」
「空けておく必要はない」
「え?」
押さえた。
船倉は。
もう。
俺たちが使える。
場所だ。
自分たちの荷で。
埋まらないなら。
他の荷を。
載せればいい。
(第131話 空きを売れ)




