第二十七話 EgGNeuRon
「鞠、4歳の誕生日おめでとー!」
4歳になった。
この一年は思い返せば色々な出来事があった一年だった。まず、特別超能力育成機関に入った事。その次にレイと誠人に出会った事。そしてあの病室での一件。
本当に色々あったが、案外過ぎるのが早かった一年でもあった。
そんな一年に別れでもあり新しい一年の門出でもある誕生日をしている。去年と同じで母と二人だけの誕生日だが、こんなにも幸せな誕生日もなかなか無いだろう。
誕生日ケーキに乗ってある4本の蝋燭の火を消す。去年よりも一本多い蝋燭以外はほとんど変わらない誕生日は進み、最後のプレゼントタイムになった。
「さあ、私からの誕生日プレゼントはこれー!」
ハイテンションに渡されたのは、あまり大きくない箱だった。重さはサイズに比べてそこそこあり、重い。
何が入っているか分からないワクワク感を感じながら箱を丁寧に開けていく。
箱に入っていたものとは…
「これは、EEG.C社のAR型情報端末…」
え?マジで。これ、めっちゃ高いやつじゃん。しかも、最新機種じゃん。
ちょっと手が震えてきた。AR型情報端末は一台で50万円を優に超える金額がする。最新機種ともなれば100ちょっとだったはずだ。この手に持っているヤツ=車一台分と考えるとマジでやばい。
「…ママ、これいくらしたの?」
100万円以上なのは知っているが、正確な金額は知らなかった。故にちょっとした出来心で聞いてしまった。
ただ、一つ言うとするのであれば聞かなかった方が良かった。
「えっとね。それは鞠専用に作ってもらったやつで250万円ぐらいだったかな?」
…。
何も言えん。両手に収まるこの機械が250万もするの?え、え?理解に苦しむんだけど。
母からのプレゼントは嬉しいけれども、さすがにこれは引く。だって、手に持っているだけでも震えてくるもん。
「ママ…そんなお金どこにあったの?」
「んーとね。ママ最近投資を始めてみたの。未来の為に少しずつやるつもりだったんだけど、試しに買っていた一つの銘柄が250倍になったのよ」
すごすぎる。母にこんな才能があったのか。僕も前世で株をやった事があるが、そんな簡単な話ではない。堅くやるのは簡単だけれども、250倍はベンチャー企業の様な小さな会社でしか無理だ。しかもベンチャー企業は10会社あるとするならば、そのうち9個はつぶれると言う物だ。その銘柄を買うなんてハイリスクハイリターンでしかない。もちろん試しで買ったのだろうけど、それで当てるなんてすごすぎる。
「…聞いてもいい?いくら買ってたの?」
「10万ぐらいだったかしら?」
…めまいがしてきた。10×250=2500万円。えぐい、えぐすぎる。っていうか試しにって言いながら10万円分も買ってたの?…いろいろヤバすぎる。
プレゼントも衝撃的だったが株の話ですべては吹き飛んだ。
いろいろな事に疲れた僕はため息とともに椅子に座った。あまりの事に無意識の内に立っていたのだ。
「はぁー。」
今聞いた事を忘れてプレゼントの事だけを考える様にした。そうしないと精神が保てそうにもなかったkらだ。
きれいさっぱり忘れた僕はまずプレゼントを試してみることにした。
説明書を一通り読む。
って、このAR型情報端末の名前ってEgGsNeuRon…エッグニューロン?卵の神経細胞?意味が分からない名前だな。
名前はさておき説明書通りに電源を付けてみた。
えっと、このボタンを押して…耳に付ければ良いのか。
EgGsNeuRonは両耳にはめるタイプのもので、後頭部を通して二つが繋がっている。
「これで、、、ここのボタンを押せば起動するのかな?」
少しの機械音と共にEgGsNeuRonが起動した。
〈EgGsNeuRonにようこそ〉
機械音声が直接脳に送り込まれてきた感覚にぞわぞわと身が震えた。
〈脳波スキャンを行います…しばらくお待ちください〉
初めて味わう感覚に戸惑いを覚えていると次の工程に進んだようだ。
言われた通りに説明書を読みながらスキャンを待っていると10分ほどで終わった。
〈スキャンが終了しました……再起動中……起動。ようこそEgGsNeuRonへ〉
お?終わったぽいな。って!なにこれすご!
何もないハズなのに見える。モニターの様なものが無いのにも関わらず画面が見えるのだ。手で触れようとしてみても勿論触れられない。
「って、これどうやって使うの?」
一度EgGsNeuRonを外して説明書を見てみたが、そこには起動方法しか書いていなかった。必死に探すと一つのQRコードが乗っており、QRコードの下にはこう書かれていた。
「これをEgGsNeuRonで見てください?」
意味が分からないが、書かれている通り試してみる。外していたEgGsNeuRonを付け直してもう一度見てみると…。
「…?なにこれ?」
QRコードを見た瞬間に、目の前一杯に画面が現れる。
こ、これは?EgGsNeuRonの説明書?でも、説明書は今手に持っている。なぜこんなものを表示したのだろうか?
疑問に思いながらも、表示された中身を読んでいく。
「……なるほどね。大体わかった」
この説明書なのだが、今手に持っている説明書とは別物だ。手に持っている方は起動までの手順書で、今読んでいるのがEgGsNeuRonの使用法の説明書だ。
そして、一通り読んだことをまとめるとこうだ。
まず、EgGsNeuRonは脳波を利用した装置であると言う事だ。視覚野を通して情報を伝達するだけでは無く、脳そのものを一つのCPUとして活用することで爆発的な演算を可能とするのがEgGsNeuRonなのだ。それは他のAR型情報端末には無い機能らしい。
安全かどうかで言えば、国が認可を下ろしている所からして、ある程度の信用性はある。
このBPCIS(Brain Processing-computer Interface system)脳処理コンピュータインターフェイスシステムは革命的なシステムで他の追随を許さないほどに処理能力が優れている。
もちろん個人によっても処理能力が変わるのだが、最低ラインでも最高クラスのCPUの数倍以上のスペックを発揮する。
しかし、そんな革命的なシステムなのだが、弱点がいくつかある。
その一つ目が高いと言う事だ。革命的なシステムであるとは言え、やっている事は高度な事だ。それ相応の機器が当然必要になる。故に最低でも100万円以上の値段がするのだ。
そもそも、CPUの数倍の処理能力なんて一般人は使わない。豚に真珠、猫に小判と言うヤツだ。
二つ目が、使用できる人に制限があると言う事だ。このBPCIS、脳処理コンピュータインターフェイスシステムは一定以上の脳波レベルでないと、使用が出来ないと言う制限がある。
それは高負荷の処理を脳波の弱いものに使用すると脳が焼ききれる場合があるからだ。
その最低レベルはγ(ガンマ)。ガンマはHzで言うならば31~60Hzの値だ。
ガンマはとても強い脳波に分類されるもので、一般人では到底使用できない。数値で言うならば一般人の3倍から6倍の値と言えばその尋常性が分かるだろうか?
そんな脳波を持っている者は少ないので一部の人以外、誰も買おうとはしないのだ。
さて、ここまでがEgGNeuRonの基礎スペックだ。
次は使用方法なのだが、これは案外簡単だった。っというか直感的に操作できる。ここをクリックしたいと思えばクリック出来る。名前は分からない映画を見たいと思ったならば、その情報を読み取って検索してくれる。本当にAR、拡張現実と言うヤツだ。
調べたところによると、他のAR型情報端末はここまでの事は出来ないらしい。クリック程度ならできるが、何かイメージを読み取って検索したりだとかは無理だそうだ。もちろんの事演算スピードなんて桁が2つか3つ違うレベルだそうだ。
「これはすごい」
試しにちょっとインターネットに潜ってみた。するとどうだ。あり得ない情報量が一斉に入ってくるが、それを脳が即座に処理することによって莫大な情報でも分かってしまう。
そして、ある事に気が付いた。
これ、僕の再生の超能力と合わせたら…すごい事にならない?と。
思い立ったが吉日で、試してみた。徐々に処理速度を上げていく。とてつもない情報量に脳が悲鳴を上げているが、生転で再生して無理やり続ける。そして…
「マークスコア430万…」
マークスコア。それはCPUのスペックを表す単位である。今の世界では技術も発展して最高50万程度ある。
50万でもオーバースペックと言われるCPUの世界において430万はオーバースペックを通り越して、廃品スペックとかしている。
「確かにすごいけど…これ、使う時あるのかな?」
それは神のみぞ知る事である。
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※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。




