表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半対の天使  作者: 薙叢雲剣
第一章 転生
22/51

第二十二話 初めての依頼



 初めて訓練施設に行ってから数カ月の月日がたった。

 超能力の訓練が出来る事と二人に会える事が幼稚園よりも楽しくなってしまった僕は、幼稚園をさぼってまで行くようになってしまった。

 母には心配されたけれども、幼稚園で友達が出来ない事と、訓練施設で二人友達が出来た事を話したら納得してもらえた。

 それからと言うもの、毎日の様に訓練施設に行き二人と遊んでいた。

 二人は中学3年生の15歳と言う事もあって学校が終わってから来る。それまで暇な僕は超能力の訓練をひたすらしていた。

 その成果はすごく、壊転だけで2メートル以上を砂にすることが出来るようになった。

 もちろんの事生転も成長している。壊転の様に目で見える形での測定は難しいが、壊転以上に成長した。

 今日もいつもと同じ様に、超能力の訓練をしていると正剛少将からメールが来ていた。


「なんだろう?」


 正剛少将は毎日が忙しく、連絡自体あまりしない。別に全くしない訳では無いが、返信までに数時間なんて当たり前なのだ。

 

「え?」


 正剛少将のメールを開くと、長い文章が書かれていた。

 正剛少将からの長いメールはかなり珍しい。と言うか、これまでにここまでの長文章は送られたことが無い。

 僕は驚きながらもメールを読んでいった。かなり長かったので訳すと内容はこんな感じだ。

 まず、季節の挨拶。何とも上流階級のメールだと思わされるものだ。

 それはさておき、大事なのはここからだ。結論から言えば依頼のメールだった。内容は出来る限りの治療行為と書いてあるだけだった。

 いや、長かった割にはあまりにも情報不足過ぎない?でも、まあこのおかげで推測できる事もある。情報が少ないと言う事は、情報を少なくせざる負えない事情があると言う事。つまりは軍でも機密に当たるような依頼メールと言う事だ。

 嫌な予感がひしひしと感じるが、一応確認の連絡だけ取っておこう。


〈確認したいことがいくつかあります。まずは母にはこの事を伝えているのでしょうか?〉


 そう僕がメールを返すと、すぐに正剛少将からのメールは返ってきた。


〈いいや、伝えていない。今回は機密性が高いからな。鞠も他には伝えるなよ〉


 なるほど。僕の嫌な予感は的中してしまった。

 正直、正剛少将の依頼ならば受けたい気持ちもあるが、さすがに怪しすぎる。何よりもあまりに情報が足りない。もう少し確認してみるか。


〈それは分かりました。で、あるならばもう少し情報を貰いたいです〉


 そう送ると既読はついているのに直ぐには返信が返ってこなかった。それから2分ほど待っていると返事が来た。


〈これは他言無用だが、今回大勢の負傷者を出してしまった。我々のスサノオ部隊の再生能力者では手が足りずに、アマテラス部隊とツクヨミ部隊から一人ずつ応援を頼んでいる。それであっても足りない状況に再生能力者に依頼と言う形で応援を頼んでいる状況だ〉


 なるほどね。つまりは猫の手でも借りたい状況に軍はなっていると言う事か。

 母に確認をとりたいが、正剛少将から他言無用と言われている。んーどうしよう。…もう一度聞いてみるか。


〈いろいろ分かりました。もう一度聞きますが、母に参加する事だけ伝えるのは良いですか?〉

〈いいだろう。しかし、それ以外には他言無用だ。母絵の連絡は私がする〉


 母への連絡は正剛少将がやってくれるらしい。正直いくつかのお小言が飛んでくる事は火を見るよりも明らかだったから、その身代わりとして正剛少将がやってくれるのはありがたい。


〈ありがとうございます。参加したいと思います〉

〈そうか。迎えは私がする。今どこにいる?〉

〈13番区の訓練施設です〉

〈そうか。15分で行く。直ぐに出れるように準備しておいてくれ〉


 携帯端末を閉じる。

 僕は白い部屋から出ると、荷物を置いていた病室に戻り一通りの片づけをすると玄関口に向かった。

 それから15分きっちりで軍用車が来た。ドアを開けて出てきた正剛少将は前に見た和服とは違い青色の強い紺色の軍服を纏っている。

 ちなみにだが、三柱ノ渦巫女はそれぞれ纏っている軍服が違う。例えば正剛少将が今着ているスサノオ部隊の軍服は青色の強い紺色が特徴の制服だ。これは古事記の中でスサノオと言う神様が海の神様なのをイメージして作られている。

 ツクヨミ部隊は黒色を基調とした軍服をしている。これもスサノオと同様にツクヨミの月の神としてのイメージを元に作られている。

 最後のアマテラス部隊は太陽神としてのイメージから真っ白の軍服を基調とした軍服になっている。

 閑話休題。


「久しぶりだな鞠よ」

「お久しぶりです」


 軽い挨拶をすると、時間が無いのですぐに車に乗った。軽い挨拶だけな所を見ると、短い挨拶すら急いでいるのが伝わってくる。

 僕たちが車に乗り込むとすぐさま車を出発させる。法定速度ギリギリで走らせる車はどんどんと他の車を追い抜いていった。


「正剛少将、ところでなんですけど、今どこに向かっているのですか?」

「69番区だ」


 69番区はR区の西側の中央に位置する番区だ。65から73番区は人気がないエリアでもある。それは天使が攻めてくる西側にあるのが一番の理由だ。そして、69番区はこの都市で一番大きな病院がある。つまりはそういう事だ。


「っとなると、僕はそこに居る人たちを治せばいいのですね」

「話が早くて助かる。もちろんだが、治した人におおじて報酬も出す」

「ちなみにいくらですか?」

「一人に着き150万だ」

「??あれ?100万円じゃなかったんですか?」

「今回は緊急性が高く、重篤者も多い」


 なるほど。それなら納得だ。

 しかし、一人につき150万は太っ腹だ。僕が何人治せるのかは知らないが一人だけでも十分すぎるだけの金額だ。

 って、人の命を金で考える事は良くないか。気をつけよう。


「ああ、正剛少将。この和服ありがとうございます」


 メールでは感謝したが、直接会うのは今日で3度目だ。前回のお出かけが2度目だから和服を貰ってから会うのはこれが初である。


「ああ、喜んでもらえたら何よりだ」


 この事で緊張の糸が取れた正剛少将は少し力が抜けた。それは些細な違いだったけれども、僕の目でははっきりと見えていた。


「この依頼が終わったら、母も誘ってごはんに行きましょう」

「そうだな。…そうしよう」


 それから車を飛ばす事20分。目的の69番区の大和国立西病院についた。


~~~


 大和国立西病院は国立の病院の中でも、一番大きい病院だ。それは西側にあると言う地理的要因で意図的に大きく作られている。その最大収容人数は2000人を超える。

 大和国立西病院にはA棟B棟C棟D棟と4つの区分けがされており、その中でもA棟は重篤患者が集められた棟だ。

 そんなA棟の前に車が止められた。


「ここだ、降りるぞ」


 正剛少将が車のドアを開けて外に出た。

 未だ身長が小さい僕は正剛少将に担いでもらって車から降りた。が、未だ正剛少将に担がれたままだ。


「ありがとうございます?」


 困惑している僕とは違い、少しでも時間が欲しい正剛少将は僕を担いだままA棟に入っていった。


「少将、お待ちしておりました。私が案内します」


 A棟の自動ドアをくぐってすぐに女の軍人が恭しく敬礼した。

 その女軍人は正剛少将と同じ紺色の軍服を着ていて、スサノオ部隊の一員である事が一目で分かる。


「香織か。重篤な人から案内してくれ」

「は!」


 香織と言われた軍人は敬礼を解くと速足で歩きだす。かなりのペースで歩いている正剛少将と香織は軽いランニング程のスピードだ。

 急ぎ足で歩いたおかげか、僕たちはすぐに目的の病室に着いた。

 香織と呼ばれた女軍人が扉の横にあるスキャナーに自分のIDパスポートをかざすと病室と言う名の地獄への扉が開いた。


「ここです」

「ああ、香織は下がって休んでいいぞ。ごくろうだったな」

「は!」


 正剛少将が香織に一瞥すると、病室に入っていった。

 そこから僕の戦いは始まった。




もし、この作品を気に入ってくれたら「いいね!」や「ポイント」を入れてもらえると非常に嬉しいのでお願いします。


楽しんで読んでもらえれば嬉しいです。自分でも見返しているのですが誤字脱字があれば報告してくれるとありがたいです。


※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ