【094.料理】
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スエツグの知識の取り出しは、順調に行なわれた。
料理に関することが、先に取り出された。
テオは、そこから食材や調味料の原材料のデータをまとめ上げた。
「でも〈スベルト〉で手に入る素材はほとんどありませんね」
「そうかね。それでは南の大陸からの輸入を必要とするわけだ」
「ええ。そういう意味では、〈ラクロア王国〉と接触できたのは、うれしい誤算と言えますね」
「そうだね。問題は、そうした交易には時間がかかるということだ。海によって、分断されていなければいいのにな」
「ええ。どんな味なのか、食べてみたいですよ」
「私もだ」
「やっぱり、教えてもらえませんでした」とスエツグ。
「そうか」
スエツグに、ほかの国々へ送った人間の安否を師父たちに尋ねてもらったのだ。
まぁ、安否がわかっても、どうしようもない気もするのだが。
「それから」
「ん?」
「向こうから食材を送ってもらえないか、とも尋ねてみたんですが」
「食材を? ああ、君が送られたように」
「はい。ですが、師父たちに笑われてしまいました。“そんなことのために術があるわけではない”と。怒られるかと思っていたんですけどね」と苦笑い。
「それはそうだろう。私でも笑ったと思うよ。だが、残念でもあるな。どんな料理なのかは、興味があるから」
数日後。
見知らぬ料理がテーブルに並んでいた。
「初めて見るが」
「スエツグくんが」とテオ。「ミタニ師父からのレシピを書いたので、作りました」
「ミタニ師父からの?」
「はい」とスエツグが答える。「こちらでの食材や調味料の味や食感を、ミタニ師父が知りたがりまして。わたしの味覚を以心伝心の術で送ったところ、この料理の作り方を教えてくれました」
「なんと、味や食感までも伝えることができたのか」
「はい。ミタニ師父は、うれしそうに作り方を教えてくださいました」
さっそくいただくことにした。
「ふむ、なかなかおいしいじゃないか」
「ええ。作った私も驚きのうまさですよ」とテオ。
スエツグは、まるで自分のことのように喜んでいる。
「ミタニ師父は、これからも教えてくれるそうなので、私はそれが楽しみです」
「このレシピ、一般にも公開しよう。テオ、そんなに難しくはないのだろう?」
「はい。それぞれの量がどのくらいなのかわからなかったので、スエツグくんに見てもらいました。あとで対応表を作るつもりです。それができさえすれば、一般の人でも作れると思いますよ」
「いいね」
そのあともミタニ師父からのレシピが届き、仕事中も夕食が楽しみになった。
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