【091.子どもたちの声】
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王都は、雪の世界になっていた。
みんなには毎年のことではあるが、オレの2度目の冬としては酷い雪だ。
オレの部屋の庭園にも雪が積もり、庭師が草木から積もった雪を払う。
それでもヒザ上まで積もっているので、そうした作業も大変だ。
積雪で、王都だけでなく、あちこちで被害が出ていた。
その映像がニュースで流れる。
事務室で、みんなもそれを見ている。
「酷いわね」と室長。
「ええ」
「軍が動いてるようですね」とテオ。ネットからの情報だろう。
「地元の警察だけでは手が足りないんだろう。軍には雪上車はあるのかな?」
「雪上車ですか? スノーモービルはあったと思いますが」
「それだけでも違うか」
スノーモービルなら機動性に優れている。
だが、物資を運ぶには向いていない。
雪上車なら人も物資も送ることができる。
雪上車を造っている国はどこにもないか。
周辺各国の情報を見る限り、自動車を作れる国だって、〈スベルト〉くらいしかないのだから。
北方の国では、大型の草食獣“シカモドキ”を家畜化して、ソリを引かせてる。
その名のとおり、鹿に似ている。
そうした動物がいれば、また違うのかもしれないが、〈スベルト〉にはいない。
子どもたちの声が響く。
こんな積雪でも子どもたちは元気だ。
その姿は、国内に配信されていて、誰でも見ることができる。
今、彼らは、雪を集めて、山を作っている。
ひとりが、その山に穴を開けはじめた。
ほかの場所でも似たようなことをしている。
雪を投げて、当てっこをする子どももいる。
山に穴を開けているようすを見ていると、中をくり抜いていくのがわかった。
「ははぁ。スノーハウスを作ってるんだな」
「スノーハウス? なぁに?」と室長。
「その名のとおり、雪の家ですよ。室長は、雪国出身ではないんですか?」
「雪はあったけど、たいして積もらなかったから。でもあれ、大丈夫なの? 崩れたりしない?」
「大丈夫。崩れてもたいしたことはありませんよ。翌朝になったら危ないでしょうがね」
「どうして?」
「溶けて氷になるからです。そうなると厚みが薄くなって、壊れやすくなるんです」
「へぇ」
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