【088.拉致・3】
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昨日の更新を忘れていました。ごめんなさい(_ _;)
「どうしてここがわかったんだ?」と王。「サミュ、ミスターに発信機は?」
「全身をくまなく確かめましたが、ございませんでした」
サミュエルも驚きを隠せない。
「私は〈スベルト〉の財産ですよ。見張られていないはずがないでしょう?」
「しかし、ここまで誰も」
「外洋ですからね。しかし、追跡装置は空を飛べます」
「追跡装置?」
オレは、船の帆柱を見上げた。
ほかのみんなも見上げる。
そこには、1羽の竜がとまっている。
「あの竜が……なんだって?」
「あれが追跡装置です。見た目は、渡り竜ですがね」
「そんな……」
3人が唖然としているあいだに、ジェット機が低空飛行をはじめた。
こっちに向かってくる。
ジェット機の腹には、先端の尖った筒が抱えられている。
「警告しておきますが、爆弾が投下されます」
「爆弾!? ミスター、あなたがいるのに?」
「ええ」
オレは、室内に戻って、前方の席に陣取った。
あとから3人が入ってくる。
「船を放棄しなければ! あなたも外に!」
「ここにいた方がいいですよ。キャプテン、できれば、エンジンを止めるべきでしょう」
「なぜ?」
「理由はともかく。早ければ早いほどいい。さあ!」
王が、操舵室に向かった。
「おふたりは、座って」
ふたりはおたがいに見交わして、それからソファーに腰を落ち着けた。
「あの爆弾は、この船を爆破するためのものではありません」
「では」とサミュエル。「どのような目的が」
「船を減速させるのが目的です」
「減速?」
「減速させれば、この船を拿捕しやすくなりますからね」
「拿捕?」
「周囲に船は見当たりませんでした」と女性。
「それでも拿捕されます。そうそう、私を人質にしようとしても無駄ですから、そうした行動は取りませんように」
前方に身体がずれる。
エンジンが止まって、減速しだしたのだ。
しばらくして、何かにぶつかったような衝撃があった。
衝撃といってもたいしたものではない。
船自体はすでにエンジンを止めて減速中だったので、衝撃が少なかったのだ。
甲板に出る。
ふたりも恐々とついてきた。
船を止めたのは、海に浮いた黄色いエアバッグだ。
長さは、この船の3倍近くある。
それが船首で折れ曲がっている。
爆弾は、このエアバッグを海に展開させるものだった。
操舵室を見る。
王が出てきた。
こちらへ歩いてくる。
「これからどうなるのだ、ミスター?」
「拿捕されます。ほら、ごらんなさい」と彼の後ろを指差した。
彼がゆっくりと振り返る。
船尾の向こうの海が盛り上がりはじめていた。
1本の黒い柱が伸び上がってくる。
やがて、その下から黒い円筒が出てきた。
そこから海が左右に分かれていく。
海面下から黒い頭が出てきた。
まるで伝説の〈地球〉にいたという海洋生物“クジラ”のようだ。
「潜水艦」とサミュエルが呆然としながら言った。
「そう。〈スベルト軍〉の潜水艦です」
あるのは知っていたが、オレも初めて見る。
「“センスイカン”とはなんだ? サミュ」と王。知らないのだ。
「海中を進む船でございます、陛下」
「海中を?」
「こんなものが建造されていた、という情報は今までにございませんでした」
船が揺れた。
「なんだ?」と慌てる王。
船の両舷から黒いダイバースーツを着た人間が現れた。
その手には銃を持ち、3人に向けていた。
そのひとりが、シュノーケルとダイビンググラスを外し、低い声で言った。
「手を頭の上に組め」
「言うとおりにした方がいいですよ。彼らは特殊部隊の兵士ですから」と助言する。
3人はどうしようもできず、言われたとおりに、両手を頭の上に組んだ。
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