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落とされ人  作者: カーブミラー


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85/119

【085.映話】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 調査旅行は、いくつかの洞窟に改善を施して終わった。

 あとは、同行していた兵士たちが、ほかの洞窟に施してくれる。

 必要な資料を作成し、すべての洞窟に配布するようにも依頼した。

 老婆が築き上げた施設近辺には、〈スベルト〉の兵士が地上基地を整え、セキュリティーを確保し、物資を届けられるようにした。

 施設内の人々には、コンピューターが提供され、ネットにも常時接続される。

 彼らの知識が〈スベルト〉の知識になるのだ。

 その知識量に文化院の面々は驚いた。

「まさかこんなにあるなんて」「重複分を考えても新しい知識の量は半端じゃありませんよ」「さまざまな技術がさらに進歩するわね」

 そのままでも利用可能なものも多い。

 医薬品は、すぐさま製造にまわされた。

 必要としている人々がいるのだ。


 しばらくして、室長に電話が入った。

「はい……ええ、まわしてください」

 室長は、受話器を持ったまま、オレを手招きする。

「お久しぶりですわね。お元気でいらっしゃいます? そう、よかったですわね。今、パオロと代わりますわ」

 受話器を渡してくる。

「誰ですか?」

「〈エルゼンタール〉のドクターからよ」

 そう言われてもすぐには思いつかなかった。

 だが、〈エルゼンタール〉といえば、あの老婆を思い出す。

「ああ、あのかたですか」

 受話器を受け取り、話し出す。

「お久しぶりです」

「お久しぶりだね。元気かい?」

「おかげさまで。そちらは?」

「こっちもだよ」

「それはよかった」

「こうやって、遠方と連絡が取れるのはありがたいね」

「ええ」

「映話できないのが残念だけどね」

「何をお使いですか?」

「これかい? 提供してもらったコンピューターだよ」

「なら映話できますよ。そのまま、待っていてください」

 受話器を室長に手渡す。

 室長が電話機のボタンをいくつか押した。

 受話器を電話機に戻す。

「どうも」

 自分の席に座ると、すでにコンピューターの画面上に老婆の姿があった。

「映話といっても簡易的なものですがね」

「それでもおたがいの顔を見れるのはありがたいよ」

 老婆は、白い服をまとっていた。

 医療関係者が着る服装だ。

 背後は、岩肌。

 洞窟内の診療室らしい。

 明るさは充分にあるようだ。

「ドクターらしく見えますね」

「そうかい? ならうれしいね」

 彼女の横には、マイラがいた。

 彼女も同じ服装だ。

「お仕事の方はどうです?」

「さっきまで忙しくしていたんだよ。洞窟内のみんなの健康管理をしてね」

「なるほど。それで何か御用でも?」

「忙しかったかい? たんにつながるのを確認したかっただけなんだよ」

「ああ、そうでしたか。こちらは普段どおりの仕事をこなしていただけです。このくらいはなんでもありませんよ」

「ならよかった。こっちは雪が積もって、外に出ていけなくてね。それでもみんなゲームを楽しんでいるよ」

「ゲーム?」

「ボードゲームやカード。〈スベルト〉からの支援物資の中に入ってたんだ。そんなの、ここにはなかったからね。子どもたちも大人たちも一緒になってやってるよ」

「なるほど。それは気付かなかったな。カマドはどうです?」

「うん。(まき)の減る量が減ったそうだよ。まぁ、調理方法も変わったから、それもあるのかもしれないがね」

「あのままでは、時間がかかってましたからね。手間はかかりますが、その分、味もよくなるはずです」

 肉をひと口ずつにしたり、加熱のムラをなくしたりして、かかる時間を短縮したのだ。

 調理方法が変わり、調味料も手に入った。

「新しい食材も教えてくれたから、みんな喜んでるよ。明かりも充分だ」

 照明器具は変わらないが、発電方法をソーラーパネルから別の方法に変更した。

 カマドの熱で発電するようにしたのだ。

 ソーラーパネルでは、降雪時には使えないだろうと考えて。

「診察室の明かりは?」

「発光パネルを下から持ってきたんだ。〈スベルト〉の支援物資とみんなにはウソをついてね」と笑みを浮かべる老婆。

「まだ秘密に?」

「ああ。まさか、あんな施設が自分たちの下に出来上がってるとは、夢にも思っていないよ。言っても信じないだろうさ」

「そうですね。施設のみなさんには?」

「話したよ。支援物資にコンピューターが届けられたから喜んでね。それにネットにもつながって、そっちの人間と意見交換もできるようになったから、ちょっと混乱もしているが、おおむね、好意的に受け止めている」

「では問題にはなっていないんですね?」

「なっていないね。外に出られるようにもなったから、それも喜んでる」

「今までは?」

「日光浴はしてたよ、グラスファイバーで太陽光を引き込んでね。でも外の空気はまた違うから」

「確かに」

 外への出入り口は、軍の施設が建てられている。

 そこでなら安心していられるのだ。

 しばらく話してから映話を終了した。

「どうやら」と室長。「問題は起きていないようね」

「ええ。春になるまで備蓄がもつかどうか心配ではありますが」

(まき)は大丈夫でしょう?」

「おそらく。食料も大丈夫だとは思いますが、なんとも言えません」

「そう。様子見するしかないわね」

「ええ」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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