表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落とされ人  作者: カーブミラー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/119

【076.いい子】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 それから1週間。

 ターニャからの知識の取り出し作業は順調に進む。

 彼女には、城内の部屋が割り当てられた。

 とはいってもオレの部屋ほどの広さはなく、またルームメイトもいた。

 アネットが言っていた監視者だろう。

 ターニャは、詐欺師の片鱗を少しも見せていなかった。

 ただ、たんたんと日々の仕事を続けている。

 オレと同じように改心したのだろうか?

 それとも状況を見ているだけだろうか?

 なんとも言えない。


 オレの方は、マリーンが手伝ってくれている。

 テオほどではないが、おおいに助かっている。

 ときおり、マリーンを夕食に招待する。

 だが、もうお客様としてではなく、一緒の夕食を楽しむために、調理を手伝ってもらっている。

 寮まで送るのは、オレの役目だった。

 仕事のパートナーなのだから当然だ。

 マリーンは、いつもうれしそうに、恥ずかしそうにして、歩く。

 “オレに娘がいたらマリーンのようになっていただろうか?”といつも思う。

 ちょうどそのくらいの年齢差だ。

 とはいえ、オレの稼業で、子どもを持つことはできなかった。

 ニセの家族を作って、相手を騙すことはあったが、ほんのいっときだ。

 子どももそれをわかっていた。

 マリーンは、いい子だ。

 こんな、もと詐欺師でも敬ってくれる。

「先生」

「ん?」

「私、先生のお役に立ってますか?」

 オレは笑顔のまま、答えた。

「もちろんだとも。テオほどではないにしろ、君は役立ってくれている。君の成長が楽しみだ」

「がんばります」

「ほどほどにな。張り詰めたロープは切れやすい。適度にゆるめておいておくれ」

「はい」

 寮に送り届けたあとは、ひとりで歩く。

 廊下には、明かりが点々と足元を照らし、続いている。

 城内は静まり返っているが、虫の音がほどよい雑音を提供してくれている。

 この惑星の虫は、例に漏れず、ほかの惑星の虫と似ている。

 まるで同じDNAを祖先に持っているかのようだ。

 その点は、比較するためのデータがない。

 生物は、環境によって、進化や退化をしていく。

 同じような環境であれば、似たような身体を持つようになるという。

 オレにとっては、どうでもいいことだ。

 今は、このほどよい音色に身を任せて、部屋に戻るとしよう。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ