【068.宗教団体】
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「〈ソマツド教〉って知ってますか?」
テオからの突然の質問だった。
「いや。なんだね?」
「例の自殺テロ、どうやらその宗教団体がやったことのようです」
「宗教団体? 国内のかね?」
「いえ。〈ソマツド教国〉といって、あいだにひとつ、国をまたいでいます。国全体が、その宗教団体の国になっているんですよ」
「それで? なぜ、そこだと?」
「警告が届いたんです。また爆弾テロが計画されている、と。知り合いから連絡がありました」
「では関係各所に連絡を」
「その知り合いがすでにしています。その人物は、王室調査部の人間なので」
「調査部?」
「ええ。こうした事件には彼らが関与して、再発防止に努めたりしますから」
「なるほど」
「その〈ソマツド教〉は、“技術進化は人間を退化させる”と説いていましてね。科学技術を嫌悪しているんですよ」
「そうは言っても科学技術がなければ生活もしづらいはずだ」
「ええ。それは彼らもわかっています。ですから必要以上の技術を持たない、使わない、そして、使わせない、と説いてるわけです」
「それで警告してきたのは?」
「わかりません。少なくても彼らからではありませんね。知人は、“第三者”としか言わないので」
「第三者……つまり、この国の者ではないと?」
「その可能性はありますね」
「また、爆弾テロか。なんとかして欲しいものだね」
「ええ」
その週の終りに自爆テロは行なわれた。
爆発は防げなかったが、被害は最小限で済んだ。
警官隊が、うまく犯人を追い詰めたのだ。
犯人は、その場で自爆した。
警官隊は完全武装で臨んでいて、防弾の透明な盾が彼らを守ってくれた。
ほかにも2ヵ所で、自爆テロは行なわれたが、同様に処置された。
〈ソマツド教〉との関連を示す証拠はどこからも出てこなかったが。
ふたたび、警告があり、それもまた被害を食い止めることができた。
だが、今回は、爆弾は爆発したものの、犯人のひとりを捕らえることができた。
爆発は犯人を捉えたあと、意図的に起こされたものだ。
犯人が捕まったことを仲間に悟らせないためだった。
尋問の結果、犯人はやはり〈ソマツド教〉信者だった。
警察は、〈ソマツド教〉信者たちが隠れ住んでいる場所を特定し、一気に踏み込んだ。
突然の警察の突入で、信者たち7名は逃げ道を塞がれ、爆発物も製造過程だったため、爆発させることもできず、ただ逮捕されるしかなかった。
供述で、彼らは次の計画を練っていたことが判明した。
自爆テロではなく、大規模爆破の計画だった。
もしそれが実行に移されていたら、王都は手痛い被害にあっただろう。
“第三者”に感謝せねばなるまい。
あとで知った話だが、この“第三者”は、隣国の諜報員らしい。
その隣国も〈ソマツド教〉の被害にあっていた。
犯人たちを追って、王国に侵入したようだ。
残念ながら、主犯格はまだ捕まっていないらしく、今後も警戒が必要だという。
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