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落とされ人  作者: カーブミラー


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66/122

【066.テロ】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 城が揺れた。

 遠くで爆発音。

 天井からホコリが舞い落ちる。

「なんだ?」

 テオがすでにコンピューターで調べはじめていた。

「テロのようです」

「テロ?」

「ええ。城の門のところでの爆発です。どうやら自爆テロのようですね。巻き込まれた人が多数。門兵のひとりが死亡したと」

「なんと。なぜ自殺テロなど」

 それ以上の情報が出てこないのだろう、テオは画面から目を離した。

「きっと謁見の場で、自爆するつもりだったんでしょう。陛下を殺すことはできなくても、ケガをさせたり、心理的な恐怖を与えられると考えているんですよ」

「国民に自殺テロをさせるような――」

 テオはオレの言葉をさえぎった。

「国民じゃありませんよ。ほかの国の人間です。どうにかして国境を越えてきたんでしょう。爆発物は国内で作ったのかもしれませんけどね」

「国内で作った?」

「製造方法はネットで取得できるでしょう。材料もそれほど苦労なく手に入ると思いますよ。技術公開してますからね」

「ああ、そういうことか。だが、そんな危険なものを公開していてもいいのだろうか?」

「製造・利用は自己責任です。もちろん、中には非公開の技術もあります。主に軍が持ってますけどね」

「どんな道具でも、使う人間次第というわけか」

「ええ」

「ここには」とマリーン。彼女は怖がっていた。「来ませんよね」

「検問はいくつかある」とテオが答える。「謁見には、全身のチェックが行なわれてるから」

「でも身体の中に隠してたら」

「大丈夫。ほら、レフティーの透過装置があっただろう。あれを使って調べてるから、どんな武器も持ち込めないさ」

 あとになって、室長が全員に報告した。

 死亡したのは、門兵と自殺した人間だけ。

 負傷したのは、まわりにいた謁見希望者やほかの門兵。

 爆破の影響で、門が壊れ、ガレキとなった。

 補修のため、その門はしばらく通行止めにされた。

 我々は、普段はその門を利用しないから関係ないが、注意するように、と室長。


 その日の夕方。

 ちょうど、仕事を終えようとしていたときだ。

 遠くの方で、雷鳴のような音が聞こえた。

「雷?」とひとりが顔を上げた。

「雲は出てないな」と窓から空のようすを眺める男性。

 しばらくすると「また自爆テロだ」と誰かの声。

 彼は、フェイスを見ていた。

 テオがネットで調べる。

「街なかで自爆テロだそうです」

「街なかで? それで?」

「死傷者数はまだ。爆発があったのはビジネス街の駅構内です。この時間だと帰宅で利用者が増加したところのはずですね」

「なんという……では、死傷者数も相当」

「ええ。ああ、画像がアップされました。うわぁ、駅がつぶれてます」

 テオのコンピューターの前に行って、その画像を見た。

 テオの言うとおりだ。

 駅舎は、そこに停車中の電車を支柱にして、屋根が落ちていた。

 その上にあった商業施設も崩れている。

「これでは、逃げようがないな」

「行ってきます」とテオが立ち上がった。

「どこへ?」

「ここに。埋まってる人を助けなきゃ」

「ダメよ!」の声が、事務室に響いた。室長だった。「ほかのみんなも城内に留まるように」

「ですが」とテオが反論する。「あそこには――」

「わかってるわ。でも警察と軍に任せなさい」室長はそう言って、みんなを見た。「いい? 城門が破壊された。駅が破壊された。ということは、まだまだテロの可能性があるわ。助けに行ったところをドカーン、ということもありえる。テロがどう出るかはわからない。そんなところへ行かせるわけにはいきません。わかった? 自宅が城の外にある人は、城内で泊まれるように手配します。いいわね?」

 室長のキビキビした言葉に、誰も文句が出なかった。

 確かに室長の言うとおりだ。

 テロの狙いは、次から次へと移っていく。

 城門はその手始めだったのだ。


 多くの者が事務室に留まって、ようすを見た。

 状況は、芳しくなかった。

 警察や消防が駆けつけ、あとから軍の兵士たちが駆けつけた。

 巻き込まれなかった人々が、その活動を手助けしている。

 死傷者が次々と運び出される。

 生き埋めになった人々がほとんどだ。


 ひと段落着いたところで、室長から解散するように言われ、自室に引き上げた。

 マリーンは、怖がっている同僚とともにオレの部屋に来た。

 テオの部屋がふたりの女性に提供され、テオはソファーで寝た。


 その後、自爆テロも爆破もなく、日常に戻っていった。

 ただ、城下の警備が強化され、見回る警官や兵士の数が倍近くに増えていた。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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