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落とされ人  作者: カーブミラー


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244/261

【244.使節団を迎えて】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 翌日、連合側の輸送船が降下してきた。

 こちらは、滑空せずに、降りてくる。

 反重力での制御がなされているのだ。

(パオロ)と司令官。驚きが感じられる。(あれは重力制御をしているのか?)

(そうです)

(あんな小型なのに。驚いた)

(あなたがたも使っているのですか?)

(この船は、重力制御で動く)

(なるほど。我々の船は、宇宙空間では、特殊なフィールドを使って、航行しています。惑星への降下は重力制御を用いることが多いですね。以前は、ロケットモーターを使ったり、エレベーターを使ったりしていました。エレベーターは、現在でもあちこちで使われています)

(エレベーター?)

 彼のイメージが伝わってきた。

 建物内のエレベーターだ。

(こういうものです)と宇宙エレベーターのイメージを送る。

(おおっ。惑星と軌道を結んでいるのか)

(そうです。これならば、時間はかかりますが、人員の移動や資材の搬出入が、安全で低コストで行なえます。船でわざわざ惑星上に降りる必要もなくなります)

(なるほど)

 司令官は、感心しきりだ。

 輸送船が、滑走路の上1mで、停船する。

 滑走路誘導スタッフが躊躇(ちゅうちょ)しながら、滑走路に走り出る。

 反重力の機体など、誘導したことはあるまい。

 赤く光るハンドライトで誘導すると、輸送船はその指示に従って、移動していく。

 誘導された先は、ウービー人の輸送船のとなりだ。

 輸送船が、着陸脚を4本出して、接地。

 ハッチが開き、タラップが繰り出され、地上に降りる。

 タラップは、パイプに踏み板と手すり、という簡単な造りだ。

 ハッチから最初に出てきたのは若いソラ人女性で、どうやら客室乗務員のようだ。

 彼女が地上に降り、脇によると、ハッチから連合の面々が降りてきた。

 それだけではない。

 次から次へと、人が降りてくる。

 最終的には、30人以上が輸送船から出てきた。

 その全員が、となりに駐機しているウービー人の輸送船を興味深げに見上げている。

 ウービー人は、基地内からそのようすを見ている。

 オレもその中のひとりだった。

 オレのとなりには、陛下もいる。

「多いな」と陛下。

「はい。おそらく使節団全員かと」

「ふむ。先に言っておいてくれてもいいだろうに」と不満顔。

「確かに」

「シェロア」と声をかける陛下。

「はい、陛下」シェロアはもう緊張したりはしなくなっていた。

「ウービー人も同じくらい降ろした方がいいのでは?」

「必要?」

「多勢に無勢ではないか」

 シェロアがオレを見る。

 陛下が言った言葉がわからないのだ。

「あちらの数が多く、君たちの数が少なくて、大変だろう、と」

 シェロアが舌打ちを3回した。

 舌打ちは、彼らの笑いだ。

「大丈夫。困ったら、パオロに頼む」

 これには、陛下も笑い出した。

「それはよい考えだ、シェロア」

「陛下もシェロアも。あまり当てにされても困りますよ」と渋面になるオレ。

 その場にいる評議会の面々も笑う。


 会見場は、ウービー人12人と連合使節団代表8名、それから陛下と評議会の面々。

 当然ながら、オレもその中のひとりだ。

 全員が、席についている。

 陛下が立ち上がり、〈スータン〉を代表して、歓迎の意を示す。

「みなさん、ようこそ、〈スータン〉へ。私は、ここ、〈スベルト王国〉の女王しているノーラと申します。この惑星に〈落とされ人〉以外の客人が来訪されたことはかつてありませんでした。とても喜ばしい気持ちでいっぱいです」

 陛下はソラ語以外に言葉を知らないため、オレがペダフ語への通訳を務める。

 そこで一同を見回す陛下。

「今回は、新たな宇宙航行種族ウービー人が、この惑星に訪れたことで、一時は戦々恐々としたものでしたが、彼らと会い、話を聞き、彼らが平和を望んでいることがわかり、ホッといたしました。連合使節団のかたがたも同じ思いかと思います」

 連合使節団の面々がうなずいて応えた。

「本来ならば、この〈スータン〉がこのような会談の場所にはなりえないところですが、封鎖された惑星だったため、不幸な事故が起きてしまい、死亡者を出してしまったことを残念に思っています」

 連合使節団の面々は、ふたたび、うなずいて応える。

「まずは、その死亡者のために黙祷を捧げたいと思います。どうでしょう?」

 誰からも文句は出なかった。

「では黙祷」

 連合使節団は、それぞれのやり方で、死者に対し、黙祷を行なった。

 そのようすを見ていたウービー人たちは、驚き、喜び、そして、感動している。

 そうした念をオレは感じた。

 およそ1分の黙祷は、陛下の声で終わった。

「ありがとうございます。では、それぞれの紹介をいたしましょう」

 陛下が紹介したのは、評議会の面々とオレ。

 連合使節団を紹介するのは、ヘイゼル代表。

 そして、ウービー人の紹介は、シェロアだった。

 紹介が終わると、それぞれの前に水の入った透明なグラスが置かれた。

「本来ならば」と陛下。「食事をともに食べて、親交を深めるところなのですが、まだウービー人の食べられるものがわかっておりません。そこで水を用意いたしました。すでに彼らが飲めることを確認しております。新たなる友人に乾杯いたしましょう」

 全員がグラスを持ち、乾杯した。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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