【244.使節団を迎えて】
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翌日、連合側の輸送船が降下してきた。
こちらは、滑空せずに、降りてくる。
反重力での制御がなされているのだ。
(パオロ)と司令官。驚きが感じられる。(あれは重力制御をしているのか?)
(そうです)
(あんな小型なのに。驚いた)
(あなたがたも使っているのですか?)
(この船は、重力制御で動く)
(なるほど。我々の船は、宇宙空間では、特殊なフィールドを使って、航行しています。惑星への降下は重力制御を用いることが多いですね。以前は、ロケットモーターを使ったり、エレベーターを使ったりしていました。エレベーターは、現在でもあちこちで使われています)
(エレベーター?)
彼のイメージが伝わってきた。
建物内のエレベーターだ。
(こういうものです)と宇宙エレベーターのイメージを送る。
(おおっ。惑星と軌道を結んでいるのか)
(そうです。これならば、時間はかかりますが、人員の移動や資材の搬出入が、安全で低コストで行なえます。船でわざわざ惑星上に降りる必要もなくなります)
(なるほど)
司令官は、感心しきりだ。
輸送船が、滑走路の上1mで、停船する。
滑走路誘導スタッフが躊躇しながら、滑走路に走り出る。
反重力の機体など、誘導したことはあるまい。
赤く光るハンドライトで誘導すると、輸送船はその指示に従って、移動していく。
誘導された先は、ウービー人の輸送船のとなりだ。
輸送船が、着陸脚を4本出して、接地。
ハッチが開き、タラップが繰り出され、地上に降りる。
タラップは、パイプに踏み板と手すり、という簡単な造りだ。
ハッチから最初に出てきたのは若いソラ人女性で、どうやら客室乗務員のようだ。
彼女が地上に降り、脇によると、ハッチから連合の面々が降りてきた。
それだけではない。
次から次へと、人が降りてくる。
最終的には、30人以上が輸送船から出てきた。
その全員が、となりに駐機しているウービー人の輸送船を興味深げに見上げている。
ウービー人は、基地内からそのようすを見ている。
オレもその中のひとりだった。
オレのとなりには、陛下もいる。
「多いな」と陛下。
「はい。おそらく使節団全員かと」
「ふむ。先に言っておいてくれてもいいだろうに」と不満顔。
「確かに」
「シェロア」と声をかける陛下。
「はい、陛下」シェロアはもう緊張したりはしなくなっていた。
「ウービー人も同じくらい降ろした方がいいのでは?」
「必要?」
「多勢に無勢ではないか」
シェロアがオレを見る。
陛下が言った言葉がわからないのだ。
「あちらの数が多く、君たちの数が少なくて、大変だろう、と」
シェロアが舌打ちを3回した。
舌打ちは、彼らの笑いだ。
「大丈夫。困ったら、パオロに頼む」
これには、陛下も笑い出した。
「それはよい考えだ、シェロア」
「陛下もシェロアも。あまり当てにされても困りますよ」と渋面になるオレ。
その場にいる評議会の面々も笑う。
会見場は、ウービー人12人と連合使節団代表8名、それから陛下と評議会の面々。
当然ながら、オレもその中のひとりだ。
全員が、席についている。
陛下が立ち上がり、〈スータン〉を代表して、歓迎の意を示す。
「みなさん、ようこそ、〈スータン〉へ。私は、ここ、〈スベルト王国〉の女王しているノーラと申します。この惑星に〈落とされ人〉以外の客人が来訪されたことはかつてありませんでした。とても喜ばしい気持ちでいっぱいです」
陛下はソラ語以外に言葉を知らないため、オレがペダフ語への通訳を務める。
そこで一同を見回す陛下。
「今回は、新たな宇宙航行種族ウービー人が、この惑星に訪れたことで、一時は戦々恐々としたものでしたが、彼らと会い、話を聞き、彼らが平和を望んでいることがわかり、ホッといたしました。連合使節団のかたがたも同じ思いかと思います」
連合使節団の面々がうなずいて応えた。
「本来ならば、この〈スータン〉がこのような会談の場所にはなりえないところですが、封鎖された惑星だったため、不幸な事故が起きてしまい、死亡者を出してしまったことを残念に思っています」
連合使節団の面々は、ふたたび、うなずいて応える。
「まずは、その死亡者のために黙祷を捧げたいと思います。どうでしょう?」
誰からも文句は出なかった。
「では黙祷」
連合使節団は、それぞれのやり方で、死者に対し、黙祷を行なった。
そのようすを見ていたウービー人たちは、驚き、喜び、そして、感動している。
そうした念をオレは感じた。
およそ1分の黙祷は、陛下の声で終わった。
「ありがとうございます。では、それぞれの紹介をいたしましょう」
陛下が紹介したのは、評議会の面々とオレ。
連合使節団を紹介するのは、ヘイゼル代表。
そして、ウービー人の紹介は、シェロアだった。
紹介が終わると、それぞれの前に水の入った透明なグラスが置かれた。
「本来ならば」と陛下。「食事をともに食べて、親交を深めるところなのですが、まだウービー人の食べられるものがわかっておりません。そこで水を用意いたしました。すでに彼らが飲めることを確認しております。新たなる友人に乾杯いたしましょう」
全員がグラスを持ち、乾杯した。
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