【242.帰還】
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(戦艦は)とヘイゼル代表。(〈ゴーゴリ〉の軌道で待機することになった。それでいいかな?)
〈ゴーゴリ〉。
岩石惑星である〈レダン星系〉第3惑星。
〈スータン〉では、その岩石惑星を〈竜の卵〉と呼んでいた。
表面が白や茶色のぶちで彩られており、養殖の竜の卵の殻にそっくりなのだ。
どうやら氷の惑星らしい。
(いいと思います。彼らに伝えておきましょう)
(頼む。それから我々の到着は、3日後となる)
(わかりました。そのことも伝えておきます)
司令官には事前に、戦艦を下げるように説得したこと、封鎖プログラムの解除のことは伝えてあった。
(これでこちらも安心できる)
(我々もです。3日後に到着する、と言っていましたから、会談はその後、ということになりますね)
(わかった)
使節団が到着するまでのあいだに、地上のウービー人との会見は続いた。
“ウービー人”、それが彼らの名前となった。
〈ウービー〉とは、彼らの言葉で、“〈地球〉”という意味だ。
まぁ、母星とか本星とか、そういう意味での“〈地球〉”だ。
彼らの本星は、天の川銀河の別の腕。
連合圏とは、ソラ人星圏をはさんで、反対の腕だ。
本星を中心に、いくつかの星系に植民している。
だが、ほかの知的存在はいなかった。
そこで調査に乗り出したわけだ。
我々の〈レダン星系〉に来るまでには、彼らはいくつもの星系を調査していた。
〈レダン星系〉に来たのは、たんに通り道にあったからだという。
行き先をタブレットで示してくれた。
オレの記憶と照らし合わせてみる。
そこは、セ・イーント文明圏ではあったが、現在は星雲が広がっているだけのエリアだった。
どうやら彼らウービー人が出発したときには、星系として見えていたが、実際にはなんらかの要因で星雲化してしまっていたようだ。
そのことを知った彼らは残念がっていたが、「こうしてあなたがたと出会えたことが喜びだ。目的は達せられた」と話してくれた。
使節団到着の前日。
ネネカの手術がはじまった。
手術とはいってもたいしたことはない。
だが、絶対安静が必要だったので、ドクター・スベトによって、麻酔がかけられた。
出来上がったツノは、本人も納得の出来だった。
あとは、頭蓋骨に癒着させるだけだ。
まず、止血していた固形物を外す。
頭部にカバーがかけられる。
骨折部に白い液体が注がれた。
「ナノマシンよ」とゾフィー。「頭蓋骨とツノの癒着を行なうわ」
作られたツノが、ドローンによって、ネネカの頭蓋骨へと差し込まれる。
その骨折部には、やはり白い液体が塗られてあった。
「ツノの中には、右ヅノの中の髄液と同じ液体を入れてあるから、癒着が完了すれば、本人でさえも骨折が夢だったと思うでしょうね」
「そこまで完璧に?」と問う。
「ええ。もちろん、ずっとツノがなかったわけだから、しばらくは重量バランスに戸惑うでしょうけど。それもすぐに慣れるわ」
差し込まれたあと、右ヅノとともに固定された。
「あとは、時間をかければいいだけよ。4時間から5時間」
スベトに、そうした説明は事前にしてあった。
(まったく驚くべき技術だな、君たちの技術は)
(私も驚いていますよ)
(どうして君まで驚くのかね?)
(彼らの技術は最先端でしてね。私はそれを知らずにいたんですよ。彼らが隠していたのでね)
(隠してた?)
(ええ。ソラ人には必要以上の技術を提供してくれないんですよ、彼らは)
(なぜだね? 有用な技術だと思うが)
(そのとおり。だが、どんなに有用な技術でも、使う人間によっては恐ろしい武器になる。ソラ人は、ほんの一部の、ですが、そういうことをする可能性があるのです)
(それを抑止するために隠している、と)
(そうです。そのおかげで、ソラ人は平和な時代を続けてきました)
(なるほど)
麻酔から覚めたネネカは、起き上がって、ベッドの縁に腰掛けた。
ドクターと話す。
それからベッドから立ち上がると、ふらついた。
ベッドの縁に手をついて、ゆっくりと頭を左右に振る。
ツノの具合を確かめているのだ。
それからベッドを離れて、歩き出した。
(どうかね?)
(慣れの問題だけだ。違和感はない。ツノが折れたとは信じられないくらいだ)
(よかった)
ネネカは、テーブルの上のバッグを開けた。
中からフェレが顔を出す。
ネネカを見上げ、鳴き声をあげると、すごい勢いで、ネネカの腕を登っていって、まっすぐに新しいツノのところへ行く。
(あるじ、ツノ、生えた)(生えた、生えた)と2匹が喜んでいる。
(ふたりとも喜んでるよ)とネネカに伝えた。
(言われなくてもそのくらいわかる。長年の付き合いだからな)
(そうだった)
ネネカは、ほかのふたりと合流した。
それまでは、赤もオレンジも、心配していた。
だが、ネネカのツノが元通りになったことを驚き、不安が吹き飛んだようだ。
ふたりからは、ホッとしたのと、喜びと、安心が、混ぜこぜの念となって放出されている。
ネネカの治療が終わったことを司令官に伝えた。
(そうか。よかった)
(はい。それで、なのですが)
(ん? 何かな?)
(彼ら3人をそちらに送り返そうかと。こちらでは輸送船の爆発で、すでに死亡してしまった、と思われていますので)
(ああ、なるほど。そうだな……どこへでも搬送できるのかね?)
(場所さえ、イメージしていただければ)
司令官からイメージが送られてきた。
どうやら司令官がいる司令室のようだ。
何人ものウービー人が、いくつものスクリーン前で働いている。
正面の大型スクリーンには、地上のようすと使節団の船、それに6隻の戦艦が映っていた。
(わかりました。彼らに支度させて、再度、ご連絡します)
(頼む)
3人を送った。
司令官の前のスペースに、司令官と相対するように。
司令官の目線で、彼らが無事に到着したのを確認した。
送る場所はすでに3人に教えてあったのだが、それでも驚いたようだ。
司令官を見上げ、一歩あとずさり、触手をホオにピッタリとつけている。
それからネネカは、帰還したことを司令官に報告した。
オレは、そこで念を切った。
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