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落とされ人  作者: カーブミラー


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242/259

【242.帰還】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

(戦艦は)とヘイゼル代表。(〈ゴーゴリ〉の軌道で待機することになった。それでいいかな?)

 〈ゴーゴリ〉。

 岩石惑星である〈レダン星系〉第3惑星。

 〈スータン〉では、その岩石惑星を〈竜の卵〉と呼んでいた。

 表面が白や茶色のぶちで彩られており、養殖の竜の卵の殻にそっくりなのだ。

 どうやら氷の惑星らしい。

(いいと思います。彼らに伝えておきましょう)

(頼む。それから我々の到着は、3日後となる)

(わかりました。そのことも伝えておきます)


 司令官には事前に、戦艦を下げるように説得したこと、封鎖プログラムの解除のことは伝えてあった。

(これでこちらも安心できる)

(我々もです。3日後に到着する、と言っていましたから、会談はその後、ということになりますね)

(わかった)


 使節団が到着するまでのあいだに、地上のウービー人との会見は続いた。

 “ウービー人”、それが彼らの名前となった。

 〈ウービー〉とは、彼らの言葉で、“〈地球〉”という意味だ。

 まぁ、母星とか本星とか、そういう意味での“〈地球〉”だ。

 彼らの本星は、天の川銀河の別の腕。

 連合圏とは、ソラ人星圏をはさんで、反対の腕だ。

 本星を中心に、いくつかの星系に植民している。

 だが、ほかの知的存在はいなかった。

 そこで調査に乗り出したわけだ。

 我々の〈レダン星系〉に来るまでには、彼らはいくつもの星系を調査していた。

 〈レダン星系〉に来たのは、たんに通り道にあったからだという。

 行き先をタブレットで示してくれた。

 オレの記憶と照らし合わせてみる。

 そこは、セ・イーント文明圏ではあったが、現在は星雲が広がっているだけのエリアだった。

 どうやら彼らウービー人が出発したときには、星系として見えていたが、実際にはなんらかの要因で星雲化してしまっていたようだ。

 そのことを知った彼らは残念がっていたが、「こうしてあなたがたと出会えたことが喜びだ。目的は達せられた」と話してくれた。


 使節団到着の前日。

 ネネカの手術がはじまった。

 手術とはいってもたいしたことはない。

 だが、絶対安静が必要だったので、ドクター・スベトによって、麻酔がかけられた。

 出来上がったツノは、本人も納得の出来だった。

 あとは、頭蓋骨に癒着させるだけだ。

 まず、止血していた固形物を外す。

 頭部にカバーがかけられる。

 骨折部に白い液体が注がれた。

「ナノマシンよ」とゾフィー。「頭蓋骨とツノの癒着を行なうわ」

 作られたツノが、ドローンによって、ネネカの頭蓋骨へと差し込まれる。

 その骨折部には、やはり白い液体が塗られてあった。

「ツノの中には、右ヅノの中の髄液と同じ液体を入れてあるから、癒着が完了すれば、本人でさえも骨折が夢だったと思うでしょうね」

「そこまで完璧に?」と問う。

「ええ。もちろん、ずっとツノがなかったわけだから、しばらくは重量バランスに戸惑うでしょうけど。それもすぐに慣れるわ」

 差し込まれたあと、右ヅノとともに固定された。

「あとは、時間をかければいいだけよ。4時間から5時間」

 スベトに、そうした説明は事前にしてあった。

(まったく驚くべき技術だな、君たちの技術は)

(私も驚いていますよ)

(どうして君まで驚くのかね?)

(彼らの技術は最先端でしてね。私はそれを知らずにいたんですよ。彼らが隠していたのでね)

(隠してた?)

(ええ。ソラ人には必要以上の技術を提供してくれないんですよ、彼らは)

(なぜだね? 有用な技術だと思うが)

(そのとおり。だが、どんなに有用な技術でも、使う人間によっては恐ろしい武器になる。ソラ人は、ほんの一部の、ですが、そういうことをする可能性があるのです)

(それを抑止するために隠している、と)

(そうです。そのおかげで、ソラ人は平和な時代を続けてきました)

(なるほど)


 麻酔から覚めたネネカは、起き上がって、ベッドの縁に腰掛けた。

 ドクターと話す。

 それからベッドから立ち上がると、ふらついた。

 ベッドの縁に手をついて、ゆっくりと頭を左右に振る。

 ツノの具合を確かめているのだ。

 それからベッドを離れて、歩き出した。

(どうかね?)

(慣れの問題だけだ。違和感はない。ツノが折れたとは信じられないくらいだ)

(よかった)

 ネネカは、テーブルの上のバッグを開けた。

 中からフェレが顔を出す。

 ネネカを見上げ、鳴き声をあげると、すごい勢いで、ネネカの腕を登っていって、まっすぐに新しいツノのところへ行く。

(あるじ、ツノ、生えた)(生えた、生えた)と2匹が喜んでいる。

(ふたりとも喜んでるよ)とネネカに伝えた。

(言われなくてもそのくらいわかる。長年の付き合いだからな)

(そうだった)


 ネネカは、ほかのふたりと合流した。

 それまでは、赤もオレンジも、心配していた。

 だが、ネネカのツノが元通りになったことを驚き、不安が吹き飛んだようだ。

 ふたりからは、ホッとしたのと、喜びと、安心が、混ぜこぜの念となって放出されている。


 ネネカの治療が終わったことを司令官に伝えた。

(そうか。よかった)

(はい。それで、なのですが)

(ん? 何かな?)

(彼ら3人をそちらに送り返そうかと。こちらでは輸送船の爆発で、すでに死亡してしまった、と思われていますので)

(ああ、なるほど。そうだな……どこへでも搬送できるのかね?)

(場所さえ、イメージしていただければ)

 司令官からイメージが送られてきた。

 どうやら司令官がいる司令室のようだ。

 何人ものウービー人が、いくつものスクリーン前で働いている。

 正面の大型スクリーンには、地上のようすと使節団の船、それに6隻の戦艦が映っていた。

(わかりました。彼らに支度させて、再度、ご連絡します)

(頼む)


 3人を送った。

 司令官の前のスペースに、司令官と相対するように。

 司令官の目線で、彼らが無事に到着したのを確認した。

 送る場所はすでに3人に教えてあったのだが、それでも驚いたようだ。

 司令官を見上げ、一歩あとずさり、触手をホオにピッタリとつけている。

 それからネネカは、帰還したことを司令官に報告した。

 オレは、そこで念を切った。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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