【240.伝言ゲーム】
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我々は、謁見の間を出て、バルコニーに出た。
そこには、庇が張られ、その下にテーブルと背もたれのないイスが用意されていた。
それぞれが席に着く。
オレのとなりにシェロアが座る。
腿をつつかれた。
シェロアを見ると、頭に指をあて、その指をオレに向けた。
念話がしたいらしい。
(どうしたね?)
(女王陛下は、もしかして、とても若いの?)
オレは笑いの念を送った。
(どうしてそう思ったのかな?)
(身長が低いし、肌が柔らかそう)
(なるほど。身長は我々にも個体差がある。だが……そうだね。そう、そのとおり、彼女は若い。我々の中では、まだ子どもと言ってもいい)
(なのに国を任されているの?)
(うん。先王が亡くなられて、継がなければならなかったんだ)
(それでも政には若すぎない?)
(その点は大丈夫だ。彼女は、小さいときから特別な教育を受けてきている。そうした教育を受けた者はほかにもいたんだが、彼女が次の王として、適任だと判断されたんだ)
(なるほど)
(ふつうの子どもと同じ生活ができないことを思うと、彼女が可哀想だが)
(私には、どうにもできないことね)
(そうだな。それでも私は陛下を御助けしようと思っている)
(いい考えだわ)
給仕が、それぞれの前に、水の入ったグラスを置いていく。
「本来ならば」と陛下。「料理を出すのだが、あなたがたが食べられるものがわからない。だが、水ならば大丈夫、と聞いている」と陛下。
オレが片言で、シェロアにそのことを伝える。
「ありがとう、陛下」とシェロア。
「うむ」
全員が、その水を飲む。
(パオロ)とアルの念。
(どうした?)
(使節団についてなんですが)
(到着したかね?)
(いえ、そうではなく、星系内に入ってきたのは、7隻なんです)
(7隻? 多いな)
(ええ。どうやら6隻は、戦艦らしくて)
(戦艦?)
(はい。使節団の船にロボットが乗り組んでいましたので、尋ねたところ、護衛だという話です。ですが、いざというときには、交戦もやむなしと)
(交戦! そんなことになったら――)
(はい。どうなるか、予測がつきません)
オレの怪訝な表情に気付かれたのだろう、陛下の念が聞こえた。
(パオロ? どうした?)
(ちょっとした問題が。詳しくわかり次第、御知らせいたします)
(その問題、今すぐ対応しなくてもいいのか?)
(はい。時間はございますので)
(そうか。では、この会見に集中してくれぬか)
(そういたします)
アルに経過を見ていてくれるように頼んで、会見へと意識を戻した。
それでも気掛かりではあった。
会見を終え、城内を案内。
それから彼らをトラックに乗せ、カプセルまで戻った。
彼らから食料を受け取り、調査船に送っておく。
指揮官と夕食をとり、自室へ入る。
そこから司令官に念を送った。
(どうした?)
(こちらの使節団を捉えていますか?)
(もちろんだ。7隻というのはふつうか? 多いように思われるが)
(こちらで確認したところ、使節団の護衛に6隻の戦艦がいるようです)
(戦艦? まさか、我々を攻撃したりは、しないだろうな)と不安げな念。
(こちらからの攻撃はないはずです。まずは、接触をはかるのが手順だと思われます。しかしながら攻撃の可能性はあります。長期の緊張状態が続けば、ちょっとしたことが攻撃の引き金となりえますから)
(ふむ。では、どうすればいいと?)
(とにかく、あなたがたは、手を出さないでください。私がなんとかしてみますので)
(だが、攻撃されたら――)
(その前になんとかしますから)と強調した。
(……わかった。しかし、君にそれだけの力があるのか?)
(少なくても話をつけることは可能なはずです。もしものときは、連絡しますので)
(わかった。我々は、手出しをしない)
(お願いします。では)
念話を終え、オレは、調査船にジャンプした。
「本当に戦艦なのかね?」とアルに問いかける。
「はい。ソラ宇宙軍のものです。確認が取れました」
「向こうの状況は?」
「近づくにつれて、緊迫しているようです。ステーションからの報告も逐一されていると」
「その内容については?」
「城とのやりとりの一部だけのようですね。詳細が知らされずにいるので、彼らも不安になっているようです」
「ふむ。伝言ゲームで、正確な情報が伝わっていないんだな」
「そのようです」
どうすればいいか、考えた。
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