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落とされ人  作者: カーブミラー


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240/259

【240.伝言ゲーム】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 我々は、謁見の間を出て、バルコニーに出た。

 そこには、(ひさし)が張られ、その下にテーブルと背もたれのないイスが用意されていた。

 それぞれが席に着く。

 オレのとなりにシェロアが座る。

 腿をつつかれた。

 シェロアを見ると、頭に指をあて、その指をオレに向けた。

 念話がしたいらしい。

(どうしたね?)

(女王陛下は、もしかして、とても若いの?)

 オレは笑いの念を送った。

(どうしてそう思ったのかな?)

(身長が低いし、肌が柔らかそう)

(なるほど。身長は我々にも個体差がある。だが……そうだね。そう、そのとおり、彼女は若い。我々の中では、まだ子どもと言ってもいい)

(なのに国を任されているの?)

(うん。先王が亡くなられて、継がなければならなかったんだ)

(それでも(まつりごと)には若すぎない?)

(その点は大丈夫だ。彼女は、小さいときから特別な教育を受けてきている。そうした教育を受けた者はほかにもいたんだが、彼女が次の王として、適任だと判断されたんだ)

(なるほど)

(ふつうの子どもと同じ生活ができないことを思うと、彼女が可哀想だが)

(私には、どうにもできないことね)

(そうだな。それでも私は陛下を御助けしようと思っている)

(いい考えだわ)

 給仕が、それぞれの前に、水の入ったグラスを置いていく。

「本来ならば」と陛下。「料理を出すのだが、あなたがたが食べられるものがわからない。だが、水ならば大丈夫、と聞いている」と陛下。

 オレが片言で、シェロアにそのことを伝える。

「ありがとう、陛下」とシェロア。

「うむ」

 全員が、その水を飲む。

(パオロ)とアルの念。

(どうした?)

(使節団についてなんですが)

(到着したかね?)

(いえ、そうではなく、星系内に入ってきたのは、7隻なんです)

(7隻? 多いな)

(ええ。どうやら6隻は、戦艦らしくて)

(戦艦?)

(はい。使節団の船にロボットが乗り組んでいましたので、尋ねたところ、護衛だという話です。ですが、いざというときには、交戦もやむなしと)

(交戦! そんなことになったら――)

(はい。どうなるか、予測がつきません)

 オレの怪訝な表情に気付かれたのだろう、陛下の念が聞こえた。

(パオロ? どうした?)

(ちょっとした問題が。詳しくわかり次第、御知らせいたします)

(その問題、今すぐ対応しなくてもいいのか?)

(はい。時間はございますので)

(そうか。では、この会見に集中してくれぬか)

(そういたします)

 アルに経過を見ていてくれるように頼んで、会見へと意識を戻した。

 それでも気掛かりではあった。


 会見を終え、城内を案内。

 それから彼らをトラックに乗せ、カプセルまで戻った。

 彼らから食料を受け取り、調査船に送っておく。

 指揮官と夕食をとり、自室へ入る。

 そこから司令官に念を送った。

(どうした?)

(こちらの使節団を捉えていますか?)

(もちろんだ。7隻というのはふつうか? 多いように思われるが)

(こちらで確認したところ、使節団の護衛に6隻の戦艦がいるようです)

(戦艦? まさか、我々を攻撃したりは、しないだろうな)と不安げな念。

(こちらからの攻撃はないはずです。まずは、接触をはかるのが手順だと思われます。しかしながら攻撃の可能性はあります。長期の緊張状態が続けば、ちょっとしたことが攻撃の引き金となりえますから)

(ふむ。では、どうすればいいと?)

(とにかく、あなたがたは、手を出さないでください。私がなんとかしてみますので)

(だが、攻撃されたら――)

(その前になんとかしますから)と強調した。

(……わかった。しかし、君にそれだけの力があるのか?)

(少なくても話をつけることは可能なはずです。もしものときは、連絡しますので)

(わかった。我々は、手出しをしない)

(お願いします。では)

 念話を終え、オレは、調査船にジャンプした。

「本当に戦艦なのかね?」とアルに問いかける。

「はい。ソラ宇宙軍のものです。確認が取れました」

「向こうの状況は?」

「近づくにつれて、緊迫しているようです。ステーションからの報告も逐一されていると」

「その内容については?」

「城とのやりとりの一部だけのようですね。詳細が知らされずにいるので、彼らも不安になっているようです」

「ふむ。伝言ゲームで、正確な情報が伝わっていないんだな」

「そのようです」

 どうすればいいか、考えた。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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