【238.食料】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
トラック3台に分乗した。
宇宙人ふたりと人間ひとりが1台だ。
人間は、オレと指揮官、それに会見のテントにいた兵士の3人。
ふつうの自動車では、彼らのツノがつかえてしまうため、乗れない。
トラックなら乗れる。
それでも彼ら用に用意した座席は、大きくなってしまった。
そのため、こういう構成での移動となったわけだ。
オレは、シェロアとドクター・スベトと一緒だ。
移動の中で、ふたりと念話する。
(すまんね、こんな車で)
(かまわないわ。城で待っているのは誰なの? あなたの上司だって言ってたけど)
(うん。この国を治めている女王陛下だよ)
(女性が治めているのね、この国は)
(うん。正確には評議会があって、女王陛下はそのメンバーのひとりとして、国を治めているんだ)
(なるほど。独裁政権というわけではないのね)
(ああ。君たちは?)
(似たようなものかしら。長老たちがいて、その下に各部署があるの)
(長老たちが星系を治めている?)
(長老たちが治めているのは、本星だけ。ほかは、別々に自治を任されているの。ただし、長老たちの指示があれば、無視できないわ)
(なるほど)
(ところで)とスベトが念をはさむ。(ネネカたちに食料を持っていきたいのだが)
(いいですよ。彼らも非常食での生活でしたからね。喜ぶでしょう)
オレンジのウロコを持つ宇宙人――名前はシャシャ――をカプセルに戻して、必要なものを持ち帰らせていた。
(うん。非常食は高カロリーだが、味気ないものでね。すぐに飽きてしまう)
(残念だけどね)と苦笑の念を発するシェロア。
(ここの食料が、君たちの口に合えばいいんだがね。そうすれば、新鮮だし、調理もできる)
(そうだな。だが、誰かがそれを試さねばならん)
(そうしたチェック機器はないんですか?)
(試作はされたらしいんだが、実用段階までに達していないらしい)
(ふむ。ちょっと訊いてみましょう)
(誰に?)
(アルです。彼なら何か知っているかもしれません)
念をアルに向け、今の話をする。
(こちらでも)とアル。(非常食から、彼らに合う食料を探しています)
(そうかね。それで?)
(まだなんとも)
(わかった。引き続き、頼むよ)
(はい)
シェロアとドクターに顔を向けた。
(すでに調査していたよ。といってもまだ何もわかっていないそうだが)
(解析技術が?)とスベト。
(うん。詳しいことはわからないがね)
(ちゃんとした食べ物を食べられると、うれしいわね)とシェロアも期待している。
城下に入る。
城への道は、普段どおりの生活が営まれていた。
宇宙人がトラックに乗って、すぐ横を走っているなどとは思ってもいない。
せいぜい、軍のトラックを怪訝な表情で見るくらいだ。
報道はされていない。
軌道上に宇宙船が飛んでいることすら知らないだろう。
城に到着。
トラックの幌が開く。
とそこには、見物人が大勢つめかけて……いなかった。
先に到着していた兵士が警戒していただけだった。
場内に入っていく。
通路ですれ違う人々が宇宙人を見て驚き、壁に背中をつけるようにして、こちらを見つめる。
どうやら城内にも知らされてなかったようだ。
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)




