【236.物体】
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(パオロ)とアルの念が届いた。(母船から物体が射出されました)
(わかった)
3時間後。
その物体は、我々の上空で、逆噴射を行ない、ゆっくりと降下してきた。
着陸したのは、シェロアたちのカプセルから10mも離れていない場所だった。
物体は円筒形で、直径3m、高さ5mほどのもの。
着陸脚が3本、地面に接地している。
みんなが見ている前で、物体のハッチが倒れるようにして開いた。
地面との距離を5cmほど残して、ハッチの傾斜が止まった。
ハッチの内側は、階段状になっている。
シェロアが、そのハッチを登って、内部に入っていく。
しばらくして、シェロアが出てきた。
ボディランゲージで、母船との連絡ができるようになったこと、食料があったことを伝えてくれた。
この物体には、彼らの食料と通信機が載せられていたのだ。
それは、司令官と相談した上で、用意してもらったものだった。
これで、母船との連絡ができるようになり、わざわざ、オレを経由しての連絡をせずにすむ。
食料も非常用ではないはずだ。
通信機よりも、彼らはそのことに喜んでいた。
よっぽど、非常用食料は、うまくないのだろう。
あるいは、すぐに飽きてしまうのかもしれない。
2回目の会見が行なわれた。
彼らは、それぞれにタブレット型の端末を用意していた。
グローブも外している。
その手の甲は、真っ白な細かいウロコだが、手のひらはピンク色をしている。
ツメは先端が尖っているらしい。
らしいというのは、その先端を1cmほどの大きさの真珠色したボールが覆っていたからだ。
そんな指で、タブレットを操作しているのを見ると、タブレット画面を傷つけないためのボールなのかも、と思ったりもした。
まぁ、あとでそうした話にもなるだろう。
こちらもコンピューターを用意した。
ネットワークに接続して、必要な情報を引き出すためだ。
画像なども必要になるかもしれない。
さまざまな情報が交換されるにつれて、おたがいの言語の語彙が増えていく。
それでも絵を描いての説明が、一番伝わった。
(パオロ)とアル。
(なんだね?)
(電波の放出を検出しました)
(電波?)
(はい。到着した物体からです)
(では、彼らも電波を使っているんだね?)
(ええ。ですが、この電波は近距離用のもので、母船とのやり取りには向いていません)
(どういうことかね?)
(彼らのタブレットからも同様の電波が放出されています。おそらく、物体をサーバーにしているのでしょう。情報を母船から取り出したり、タブレットから送ったりです)
(ふむ)
(ただ、やはり、母船との通信に何を使っているのか、いまだに判明していません)
(わかった。ありがとう)
その夜。
兵士のひとりが、オレのところへとやってきた。
オレは、夕食を終え、イスに座って、アルと念話していた。
「お休みのところを失礼いたします、モーガン卿」
「どうしたね?」
「シェロアさんがいらしたのですが」
「ん?」
その兵士と一緒に表に出ると、シェロアがひとりで立っていた。
シェロアは、オレがそばに行くと、タブレットを見せてきた。
そこには、腹這いになった宇宙人の絵が描かれていた。
オレは、カプセルを指差し、画面を指差した。
シェロアは、否定を示した。
(確認させてくれ。あの中では、横になれないのか?)
(そうなの。地面でいいから横にさせてもらえないかしら?)
(わかった)
兵士に命じて、マットレスと毛布を用意させ、会見用のテント内に敷かせた。
宇宙人6人が、ホッとしたようすで、マットレスに腹這いになる。
(ありがとう)とシェロア。
(うん。ゆっくり休んでくれ。また明日)
(ええ)
テントを閉じる。
気になって、カプセル内を覗き見た。
照明が消されていたので、兵士からハンドライトを借りて、照らしてみた。
そこには、前傾姿勢のシートが、6脚ある。
なるほど、確かに横にはなれそうにないな。
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